顔認証システム

顔認証システムとは

顔認証システム

 顔認証システムとは、人物の顔の特徴で個人を認証する技術です。指紋、瞳の虹彩、音声などで認証する生体認証システムの一つです。

 以前は髪型や頭髪の色を変えると認証できないなど、認証精度に問題があるとされていました。しかし近年では精度が上がり、高いセキュリティ対策が可能とされています。

 上記の理由から認知度が上昇傾向だった顔認証システムですが、認証する際に何かに接触する必要がないため、衛生面から昨今の感染症対策として飛躍的に活用される場所が増加しました。

顔認証システムの使用用途

1,オフィス出入口での入退室管理、非接触による認証(感染症対策)

オフィスの出入り口に設置・電子錠と連携させ、あらかじめ社員の顔写真を登録しておくことで、カードや鍵を使用せずにオフィスでの入退室を行うことが可能です。また、機器によってはそのログを残し、入退室のデータを管理することもできます。
 入室の鍵となる物を紛失する心配がなく、なりすましの防止性も高いのが顔認証システムによる入退室管理の特徴です。
 また入退室時に何かに触る必要がないため、衛生的であると言えます。

2,介護施設などの見守り

 介護施設に入居している方が予期せず外出をしてしまわないように、出入口等に設置し見守る仕組みに利用されることもあります。あらかじめ顔写真を登録し、入居している方を認証することで、職員の方や外部の方と区別することができます。

 上記の例に加え、組み合わせるシステムや機器の種類によっては、
・登録者の温度検知に活用
・不審者対策に役立てる
といった使用用途も見込まれます。
顔認証システムのみではなく、他のシステムや機器と連携させることで、使用用途をより広げていくことが可能です。

顔認証システムの原理

画像から顔の目、鼻、口等の位置や顔の輪郭を認識し、あらかじめ登録してある顔画像のデータベースと照合することで、間違いなくその個人であるかの認証を行います。

精度の高い顔認証システムにはAIディープラーニング(人工知能による機械学習)が使用されていることが多いです。繰り返し認証させAIに学習させることで、更に精度の高い顔認証が見込まれます。

顔認証システムを利用する上で気をつけたいこと

1,誤認証について
高いセキュリティ性があるとはいえ、誤認証の可能性がないとは言えません。
機器設定時に登録した写真との合致率を高めに設定することで、より認証を厳しく行うことも可能です。その代わり認証に時間が掛かる、少しの顔の変化(眼鏡をかけている等)で認証しづらくなるといった可能性があります。
また、機器によっては、一個人につき登録する顔写真枚数を増やすことで、より認証精度を高めることが可能な場合もあります。出入り口での設置でセキュリティを特に強化したい場合、カードでの認証や鍵の使用など、他のキーとなる物と併用することが望ましいです。

2,プライバシーについて
顔認証システムにより取得した顔認証データや画像は個人情報となります。
企業施設の入退室に利用する際は、本人の許可を取ることが必要です。
 特に店舗などに設置する際には、顔認証システムにより人物の顔画像をデータとして収集し、収集目的を明らかにすることを周知することが必要で、特定の目的ために必要最低限の利用を行わなければなりません。
 また、顔写真の登録基準や収集した顔画像については社内・組織内で取り扱いルールを明確に設定し、責任者が確認を行っていくことが重要です。

参考文献
https://www.networkcamera.work/search?q=%E9%A1%94%E8%AA%8D%E8%A8%BC
https://www.grasphere.com/1675/
(個人情報保護委員会)「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン」及び「個人データの漏えい等の事案が発生した場合等の対応について」に関するQ&A(https://www.ppc.go.jp/personalinfo/contact/)

本記事は顔認証システムを製造・販売する株式会社グラスフィアジャパン様に監修を頂きました。

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ポリエステル粉体塗装

ポリエステル粉体塗装とは

ポリエステル粉体塗装とは、粉末状の塗料を被塗物に塗装するための塗装方法です。粉体塗料として「イソシアネート硬化系」「プリミド硬化系」「TGIC硬化系」の3種類が一般的に使用されています。

他の樹脂塗料と異なり、アセトンなどの溶剤を使用していないため、人体や環境に優しい塗装方法として、急激に普及してきている塗装方法です。また、1回で塗装できなかった塗料は、再利用することができるため、コストを抑えることができます。

強度がある膜を形成することが可能で「耐食性」「耐候性」「耐薬品性」「耐ピッチング性」に優れた性能の塗装ができます。

ポリエステル粉体塗装の使用用途

ポリエステル紛体塗装は、1回の塗装で厚みのある強靭な膜を形成することができます。ポリエステル樹脂粉体塗料は、他の樹脂塗料と比べても性能上大きな欠点をとらない、非常にバランスのとれた塗料です。

塗装された被塗物は、強度、硬度、耐候性が高いため、屋外用として、その他には建材などに多く利用されています。

具体的には、屋外用建築資材、屋外用バルブ、ガーデニング用品、自動車や電気機械用の内装部品、家電製品、屋内用建具、地上式消火栓、自動販売機、フェンスなどです。

ポリエステル粉体塗装の種類

粉体塗装は、粉末状になっている塗料を静電気の力を使って付着させ、その後、乾燥炉で溶かし、固める塗装方法です。粉末状の塗料を付着させる方法として「静電粉体塗装法」と「流動浸漬法」の2種類の方法があります。

1. 静電粉体塗装法

高圧発生器に繋がった塗装ガンに粉末状の塗料を入れます。マイナスに帯電した粉末塗料を被塗物に噴射します。この時、被塗物は、アースに繋げられてプラスに帯電しています。塗料と被塗物が静電気的に引き付けられ、付着します。その後、乾燥炉で焼付します。50μ程度の薄膜を形成でき、厚みの管理を行うことができます。

静電粉体塗装法では、熱硬化性のポリエステル粉体樹脂塗料が使用されます。
「耐薬品性」「耐候性」「高硬度」に優れています。

2. 流動浸漬塗装法

圧縮空気により粉末状の塗料が飛散している中に、余熱された被塗物を入れることで付着させます。その後、一部の工程では加熱を行うところもあります。
通常200~500μmの膜厚を付けることが可能です。そのため、耐食目的の塗装に使用されます。

流動浸漬塗装法では、熱可塑性ポリエステルなどの熱可塑性粉体塗料が使用されます。耐候性に優れ、汚れにくく、表面光沢があります。

ポリエステル塗装

ポリエステル塗装とは

ポリエステル塗装とは、ポリエステル系樹脂塗料を用いた塗装方法です。液体と粉体での塗装の2種類の塗装方法があります。

ポリエステル塗装は、ラジカル重合により硬化します。また、他の樹脂製塗料と異なり、無溶剤であるため、常温で揮発する物質がほとんどないため、数100μmの厚塗りが可能です。「耐摩耗性」「耐薬品性」「耐水」「耐湯性」に優れ、光沢のある仕上がりが特徴です。厚みがあるため「柔軟性」「密着性」が低いのが難点です。

ポリエステル塗装の使用用途

硬度が高く、汚れにも強いため、ピアノやギターの塗装によく使用されています。また、耐候性に優れているため、屋外用、建築用途などで採用されています。

例えば配電盤ボックスなどの産業機器、屋外照明や標識などの交通関連の機器、アルミやステンレス製の建材、電子レンジなどの電化製品に使われています。
ただし、塗料の性質上、強アルカリに弱く、塗料が剥がれ落ちてしまうため、強アルカリを使用する現場では注意が必要です。

ポリエステル塗装の種類

ポリエステル塗装には、主に液体状で使用するタイプと粉末状で使用するタイプの2種類の塗装方法があります。

1. 液体状タイプ

他の樹脂塗料は、アセトントルエンなどの溶剤を樹脂の希釈用として使います。
ポリエステル樹脂の場合は、希釈用にスチレンモノマーを使用します。そのため、溶剤のように揮発することなく、硬化後は、樹脂の一部となるので、物性の低下を防ぎつつ、厚みのある膜を作ることができます。
扱いが比較的簡単なため、業者だけでなく、趣味のDIYでも多く利用されています。

2. 粉末状タイプ

紛体塗装と呼ばれている塗装方法です。粉末状のポリエステル樹脂塗料を使用します。
まずは、この紛粉末状の塗料を静電気によって付着させます。次に、焼き付け作業で塗料を溶かし、被塗物を覆うように色を付けていきます。
こちらも1度で厚みのある膜を形成することが可能です。また、1回の塗装で塗膜にならなかった塗料は、回収して再利用が可能であるため、塗装コストを抑えることができます。

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ステンレス焼付塗装

ステンレス焼付塗装とは

ステンレス焼付塗装とは、金属であるステンレスに錆止めのための塗料を焼付乾燥させる加工技術です。

ステンレスは、耐食性の高い金属です。しかし、屋外で使用する場合には、水分や塩分、汚れなどにより錆びやすいため、表面処理を行う必要があります。

表面処理の方法のひとつとして塗装がありますが、ステンレス塗装は、剥離しやすいため、耐久性のある塗装をするために密着性を必要とします。そこで剥離しにくい塗装方法として、焼付塗装を施します。

ステンレス焼付塗装の使用用途

ステンレス焼付塗装の主な用途は、ステンレスの表面処理です。焼付塗装を施すことで「耐摩耗性」「耐候性」「耐食性」「機能性」「意匠性」を高めることができます。

扱う塗料の種類により、用途が異なります。例えば、メラミン焼付塗装であれば、硬度が高く、耐候性を持つため、お店やガレージのシャッターなどに使用されます。

フッ素焼付塗装では、水や汚れを弾きやすいという性質から、一軒家やマンションの外壁に利用されています。

アクリル焼付塗装は、高硬度、高耐候性から、自動車部品に多く使用されています。

ステンレス焼付塗装の種類

ステンレス焼付塗装には、塗料の種類により、主に「メラミン」「アクリル」「フッ素」の3種類の塗装方法があります。

1. メラミン焼付塗装

焼付塗装の中では、最も一般的な塗装方法であり、合成樹脂焼付塗装と呼ばれています。
塗装には、アミノ系メラミン樹脂とポリエステル系アルキド樹脂が合成されたものが使われています。塗料を静電塗装後、140℃前後の比較的低温で焼付乾燥させます。平均レベルの「耐候性」「耐薬品性」「耐摩耗性」が得られます。

2. アクリル焼付塗装

メラミン焼付塗装よりも難易度の高い塗装方法です。アクリル樹脂を主成分とした塗料を使用します。140℃~180℃の高温で20分間、加熱乾燥します。高温であることと、塗膜が付きにくいなど、取り扱いが難しいため、すべての業者が扱っているわけではありません。
メラミン焼付塗装と比べ「耐候性」「耐薬品性」に優れています。

3. フッ素焼付塗装

フッ素樹脂塗料を焼付塗装します。フッ素樹脂を主成分とした塗料を使用します。塗装の中でも最も「耐候性」が高く「耐食性」「耐摩耗性」に優れているため、長期間、紫外線や雨風の影響を防ぎます。そのため、外壁や道路などによく利用されています。

フライス溝加工

フライス溝加工とは

フライス溝加工

フライス溝加工とは、固定した工作物に工具を回転させながら当てて、溝形状に削る加工方法です。主に溝フライスやエンドミルという工具を使います。

溝フライスは、外側に切れ刃が付いた円盤状の工具です。エンドミルは、ドリルと似た工具で外側と先端に切れ刃が付いています。この溝フライスをフライス盤に取り付けて、溝を掘っていきます。

フライス溝加工には、一般的な加工方法の他に「キー溝加工」「T溝加工」「アリ溝加工」「スリット加工」という4種類の加工方法があります。

フライス溝加工の使用用途

フライス溝加工は、材料の表面や内面に溝加工を施します。目的は、互いの部材を固定するため、動力を伝えるため、部品を通すために行います。

例えば、キー溝は、キーを差し込むために、ギアなどの内面に溝を付ける必要があります。ギアとシャフトなど、歯車と軸とを結合する際の滑り止めの目的として加工されます。

溝加工は、金属加工の中では、一般的な加工方法であるため「自動車」「航空機」「鉄道」をはじめとして、その他の製造業でも幅広く利用されています。

フライス溝加工の種類

フライス溝加工には、一般的な加工方法のほか、4種類の加工方法があります。

1. キー溝加工

加工物にキー溝を作るための加工方法です。部品をはめ込むための溝を作ります。長いシャフト部品にキー溝を加工します。
主な工具として、溝フライスやエンドミルを使用します。

2. T溝加工

Tスロッターと呼ばれるT字型の工具で底部分が幅広くなるように加工します。
マシニングセンタなど、工作機械のテーブル面のように、ボルトを通す溝として使われています。
エンドミルや側フライスを使って溝入れした後、T溝フライスという工具を使用し、T字型に仕上げていきます。

3. アリ溝加工

台形型のアリ溝を掘るための加工です。
シリンダ位置決めステージの案内機構として使用されます。
エンドミルや正面フライスを使って溝入れした後、アリ溝フライスを使用し、台形上に仕上げていきます。

4. スリット加工

浅いスリットや深い切り込みなどを入れるための加工方法です。
スリット加工をすることで制振や消音効果を得られます。
スリワリフライスやメタルソーなどの工具を使用します。

アルミ板加工穴あけ

アルミ板加工穴あけとは

アルミ板加工穴あけ

アルミ板加工穴あけとは、金属のアルミ板に穴を開け加工することです。

アルミ板は、他の金属と比べて軽い、錆びにくい、柔らかい、強度が弱いという性質を持っています。そのため、金属の中でも加工しやすく、スマホなどの電子機器や家電、医療機器など、さまざまな分野で使用されています。

製造現場以外でも趣味でのDIYで利用されることも多く、ホームセンターや通販サイトなどで、電動ドリルなどの穴あけ用の工具が数多く販売されています。

アルミ板加工穴あけの使用用途

アルミ板には、純度が99.0%以上の純アルミニウムから、他の金属が添加されたアルミニウム合金があります。添加される金属により、強度などの性質が変わります。性質の違いにより、幅広い分野で使用されています。

純度の高いアルミ板は、加工しやすく、日用品、電気機器、反射材、ネームプレートなどに使用されています。

他の金属を添加したアルミニウム合金は、強度が強くなります。そのため、自動車、航空機、鉄道などの部品として多く使用されています。

アルミ板加工穴あけの種類

アルミ板加工穴あけには「NC旋盤」「NCボール盤」を使用します。
NCボール盤などにドリルやリーマ、タップという工具を使うことで、さまざまな種類の穴を開けることができます。

1. 穴あけ加工

基本的な穴あけ加工方法です。材料を貫通させる「通し穴」や貫通させない「止まり穴」などの穴あけを行います。「ツイストドリル」「センタ穴ドリル」「ガンドリル」「座ぐりドリル」などのドリルが使用されます。

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2. リーマ加工

ドリルで開けた穴の内径を所定の寸法に広げながら、滑らかに仕上げるための加工方法です。寸法精度を向上させて、内面のドリル跡を滑らかに仕上げることができます。主にリーマという工具を使用します。

リーマ加工について詳しくみる

3. タップ加工

ドリルで開けた穴に、メネジを作るための加工方法です。主に外側にらせん状の溝があり、切れ刃がついているタップという工具を使用します。

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4. レーザー加工

「炭酸ガスレーザー加工機」「ファイバーレーザー加工機」を使用し、穴開け加工をしていきます。穴径を自由に決めることができ、仕上がり面がきれいなので高精度の品質を必要とする製品に利用されます。

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量産加工

量産加工とは

量産加工

量産加工とは、同一規格の製品を大量に作製することを指す工程のことです。

生産性向上とコスト削減の両面でメリットがあります。量産の段階には、試作と呼ばれる少量生産や、数百から数千単位の中量生産が含まれ、特に月産数万単位の生産が「大量生産」です。

一方で、「量産」は製品の大量製造だけを意味するのではなく、市場への製品の供給という視点も含んでおり、製品が一定の量に達し、販売可能な状態となることも指します。

量産加工では、NC旋盤やマシニングセンタなど、自動化された加工機械の導入が重要となります。これらの機械により、一定の品質を保ちつつ効率的な生産が実現可能です。

量産加工の使用用途

量産加工の使用用途は、一貫して品質を保つ製品の大量生産です。特に、「自動車」「航空機」「医療機器」「精密機器」「家電」「日用品」などの多岐にわたる分野で活用されています。

量産加工がなければ、身の回りの製品は高価で手に入りにくいものになると言っても過言ではありません。量産加工技術により、高品質な製品を大量に、かつ安価に提供することが可能となります。

また、100円ショップなどで見かける商品も大部分が量産加工により製造されています。素材についても、金属から樹脂まで幅広く対応可能です。生活に欠かせない多くの製品が、量産加工の恩恵を受けています。

生産効率の向上と経済的な利益だけでなく、購入者に対して安定した品質と利便性を提供するという大きな役割を果たしています。

量産加工の原理

量産加工の原理は標準化、自動化、効率化の3つの要素で成り立ちます。

1. 標準化

標準化では、製品設計から製造プロセスまで、全てが明確な基準に従います。具体的な製造工程では、CADなどの設計ツールを使用して精密な設計図を作成し、設計図を元に統一された製品を大量に生産します。

結果として、量産した製品も同じ規格、つまり同じ品質を保証することが可能です。

2. 自動化

自動化は、生産ラインの効率を向上させるために不可欠です。人間の労働を補完するロボットや機械を導入することで、24時間稼働可能な生産ラインを実現します。例えば、CNCマシニングやロボットアームを用いて、高速かつ精密な加工を行います。

機械は疲労やエラーを起こすことなく一貫したパフォーマンスを発揮し、品質の均一性を保つことが可能です。

3. 効率化

効率化は、生産プロセスを同時並行で行うことで成り立ちます。1つの部品が完成すると同時に、次の部品が加工されるようにすることで、大量生産が可能です。

大量生産は、製品1つあたりの生産コストを大幅に下げ、消費者に手頃な価格で提供することを可能にします。

量産加工のその他情報

量産加工に使用される機械

量産加工では、NC工作機械が使用されます。NCとは「Numerical Control(数値制御)」のことです。主にプレス加工機、NC旋盤、マシニングセンタなどの加工機械が使われています。

1. プレス加工機
プレス機械に上下で対となる金型を取り付け、圧力をかけて、金属板を金型の形に変形させる加工です。

プレス加工機により「せん断加工」「曲げ加工」「絞り加工」「成形加工」「圧縮加工」といった加工ができます。短時間で高精度の製品を大量に生産することが可能です。

2. NC旋盤
汎用旋盤NC装置が付いたものです。「外径加工」「内径加工」「端面加工」「ネジ加工」「溝加工」「穴加工」「テーパ加工」などの加工が可能です。

NC旋盤にプライス加工の機能を搭載したものを「複合加工機」と呼びます。また、NC旋盤に棒材を自動供給する給材機を取り付けた「CNC旋盤」という機械もあります。

3. マシニングセンタ
「中ぐり」「フライス削り」「穴開け」「ネジ立て」「リーマ仕上げ」などの多種類の加工を連続で行えるNC工作機械です。自動工具交換装置が搭載されていることで工具の切り替えから加工までを自動で進めることが可能です。

ジクロルボス

ジクロルボスとは

ジクロルボス (英: Dichlorvos) とは、殺虫剤や農薬に含まれる成分として知られている有機リン系の有機化合物です。

組成式はC4H7Cl2O4Pで、無色~琥珀色の液体で特徴的な臭気を有します。ジクロルボスは比較的毒性の低い農薬、殺虫剤として日本国内で広く使用されてきました。2012年に日本での農薬登録が失効したため、現在では家庭用の農薬、殺虫剤および防疫用殺虫成分、動物用医薬品として使用されています。

散布後に殺虫成分が早く消失するため農作物に残留しにくいのが特徴です。ジクロルボスの原体は毒物及び劇物取締法における劇物、消防法における第4類引火性液体、第三石油類水溶性液体に指定されています。

ジクロルボスの使用用途

有機リン化合物であるジクロルボスはアセチルコリンエステラーゼ阻害剤であり、生物の体内で神経伝達物質であるアセチルコリンエステラーゼの活性を阻害する結果、過剰量のアセチルコリンが分解されないまま神経に作用し、殺虫効果を発揮します。

ジクロルボスは即効性の高い殺虫成分ですが、残留性が低いという特徴があるため、茶、桑、果樹、野菜、キノコなど広い用途に使用可能です。ジクロルボスは40~80%の濃度の乳剤、または燻煙剤として販売されています。

乳剤を希釈して散布するか、燻煙材を用いて燻煙することによって農作物への農薬として使用します。また、もう1つのジクロルボスの主な用途は防疫用殺虫剤です。ジクロルボスは動物用医薬品として薬事法によって承認されており、鶏舎や畜舎の衛生を管理するための殺虫剤や、馬用の寄生虫駆除剤として使用されています。

その他、ゴキブリやハエ駆除のための家庭用殺虫剤も用途の1つです。日本国内では、主に殺虫用燻蒸剤の成分としてジクロルボスが使用されています。

ジクロルボスの性質

ジクロルボスは水に溶けにくく、有機溶剤に溶けやすいという性質を持ちます。また、アルカリ性の水溶液に溶かすと加水分解されます。ジクロルボスは、毒物及び劇物取締法における劇物に指定されている化合物です。

危険有害性に関する情報として、経口・経皮・吸入での摂取による強い毒性、皮膚および眼への強い刺激があります。ジクロルボスを誤って摂取した場合、頭痛、倦怠感、吐き気などの症状が現れ、重篤な場合では意識混濁や死亡する可能性もあるため、使用には注意が必要です。

ジクロルボスを使用する際は、保護メガネ、呼吸器の保護具、保護衣、保護手袋などの保護具を着用してください。なお、特に高濃度のジクロルボスについては、二トリルゴムおよび塩ビは適切な保護材料ではないため、ネオプレンの保護手袋が推奨されています。

また、ジクロルボスを含む薬剤を大量に散布するような場合は、全面耐薬品性防護服とブーツの着用が推奨されています。使用前に安全データシートや商品の使用説明書をよく確認してください。

ジクロルボスのその他情報

1. ジクロルボスの別名

ジクロルボスの別名は、ジメチル‐2,2‐ジクロロビニルホスフェイト、DDVPなどです。日本国内の大手メーカーのウェブサイトでは、主に「ジクロルボス」または「DDVP」の名称が使用されています。

2. ジクロルボスの使用上の注意

ジクロルボスは消防法における第4類引火性液体、第三石油類水溶性液体に指定されている化合物です。ジクロルボスは高温での加熱により分解し、リン酸化物、塩素、ホスゲンなどの有毒なガスを発生させます。

そのため、ジクロルボスは高温物や着火源がない場所で使用してください。換気がよく施錠された場所にて、密閉された容器内で保管する必要があります。

3. 廃棄処分方法

ジクロルボスは、水生生物に対して強い毒性を持っています。そのため、ジクロルボスやジクロルボスを含む溶液を直接河川に放出したり、埋め立て投棄することは推奨されていません。

ジクロルボスは、各地方自治体のルールに従い、都道府県知事の許可を受けた産業廃棄物処理業者などに依頼して適切に廃棄処理してください。

参考文献
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/0076.html

シマジン

シマジンとは

シマジン (Simazine) とは、除草剤の主成分で、トリアジン骨格 (C7H12ClN5) を有する無臭かつ類白色水和性粉末です。

本剤を用いた製剤は、水和剤や粒剤に加工されて除草剤として市販されています。除草剤の作用機構は、根から吸収された後に植物体内に移行して、光合成を阻害することによって成長を抑制し、枯死させると考えられています。

シマジンは地域によっては使用規制があるので、用いる前には確認が必要です。購入時に名前や住所などの届け出が必要になるケースもあります。また、シマジンの安全性は普通物の扱いですが、分解が遅く薬害が強いので、土壌汚染対策法においては「第3種特定有害物質」、農薬取締法においても「水質汚濁性農薬」に指定されています。

水質汚濁性農薬なため、河川や湖沼、海域及び養殖池に流入しないように使用することが重要です。

シマジンの使用用途

シマジンは、主に除草剤として用いられております。水質汚濁性農薬であることから、散布後に流出しやすい水田よりも畑地で使用される場合が多いです。

雑草に対する登録が幅広く、野菜、雑穀、豆類、果樹、花き、西洋芝、日本芝等に対して適用があります。芝に使用できることから、農業関係者以外の方が使用するケースも多いです。

シマジンは雑草発生前に均一に土壌散布することで、長期間雑草の発生を抑制する効果があります。特にホトケノザやアカザ、スズメノテッポウなどの一年生雑草やエノコログサやオヒシバ、メヒシバなどのイネ科雑草に対して効果が高いです。また、気温により効果に影響がでないため夏作、冬作のどちらでも使用できます。

シマジンの特徴

長所

  • 多くの種類の農作物に登録があり、一度の散布で長期間雑草の発生を抑制できます。
  • 水のない環境でも使用することができます。
  • 芝に使用できることから、庭の芝内に発生する雑草対策に効果的です。

短所

  • 水質汚濁性農薬のため、購入時の届け出や使用時に外部に流出、飛散しないよう注意が必要です。
  • 雑草の背丈が大きくなると効果が劣るため、雑草の発生前、または伸びた雑草を一度刈ってから使用する必要があります。

シマジンの種類

シマジンは形状によって、次のような種類に分けることができます。

1. シマジン粒剤

シマジン粒剤は、形状が粒状です。日本芝、西洋芝 (ティフトン) に発生する一年生雑草に登録があり、高い効果を発揮します。散布方法は土壌全体に散布を行います。

2. シマジン水和剤

シマジン水和剤は、形状が粉状です。水和剤は水に希釈して使用します。水に希釈すると不透明な液体になり、放置しておくと沈殿ができます。

果樹類やクワ、ソラマメの一年生雑草に登録があり、散布方法は希釈して土壌全体に散布を行います。

3. シマジンフロアブル

シマジンフロアブルは、形状が液体です。フロアブルは水に希釈して使用し、その際に泡立ちが少なく、葉や果実などの汚れが軽減します。

シマジンフロアブルは、シマジン粒剤と同様に日本芝、西洋芝 (ティフトン) に発生する一年生雑草に登録があります。散布方法は希釈して土壌全体に散布を行います。

シマジンその他情報

シマジンを使用する上での注意点

  • 散布時は手袋やマスクを着用し、目や鼻、肌に直接かからないように注意が必要です。
  • 降雨時、または降雨が予想されている場合は、雨で薬剤が流されてしまう可能性があるため、散布を延期する必要があります。
  • 1回の栽培において、使用回数が1回に定められています。また、シマジンを含んだ農薬の総使用回数も1回と定められているので、複数回の散布を行わないように注意が必要です。
  • 散布を行う周辺に登録のない作物や広葉作物がある場合、散布液が飛散したり、流れ込まれたりしないよう注意して散布する必要があります。
  • 持続期間が長いので、散布後短期間内に作付けを行う場合には発芽等に影響がでることがあるため、注意が必要です。

シアノホス

シアノホスとは

シアノホス (英: Cyanophos) とは、シアノ基(-C≡N)を有するリン系化合物で、農薬の主成分です。

外見は黄色または赤みを帯びた黄色の透明な液体です。シアノホスは、乳剤、水和剤および粉剤として加工され農薬や殺虫剤として市販されています。適用される農作物は、野菜類、果樹類、豆類および花き類です。

太陽光によって分解される性質がありますが、水生生物への急性毒性等が確認されている有害物質です。日本、アメリカ、ヨーロッパ等にて、主要な農作物に対して残留基準が設定されています。

シアノホスの使用用途

シアノホスの主な使用用途は、農薬・殺虫剤です。

殺虫効果を発揮する一例は以下のとおりです。

  • アオムシ
  • アブラムシ
  • ヨトウムシ
  • コナガ
  • タマナギンウワバ
  • フキノメイガ
  • キスジノミハムシ成虫
  • マメシンクイガ
  • アザミウマ
  • テントウムシダマシ
  • インゲンテントウ

そのほか、害虫の卵に対する殺卵効果もあります。

シアノホスの性質

化学式 C9H10NO3PS
日本語名 シアノホス
英語名 Cyanophos
CAS番号 2636-26-2
分子量 243.22g/mol
融点/凝固点 14-15 ℃
沸点 119-120 ℃

 

シアノ基を有する有機リン系の化学物質であり、昆虫の体内に取り込まれるとオキソン体となり、昆虫のアセチルコリンエステラーゼと結合して酵素活性を低下させます。

その結果、正常な神経伝達機能が阻害されて殺虫効果が発現します。日本では1966年に農薬として登録されて以来、農業の現場で広く使用されてきました。

シアノホスのその他情報

1. シアノホスに関する法規制

シアノホスは有機シアン化合物の1種ですが、毒物及び劇物取締法においては「劇物・除外品目」に指定されています。航空法および船舶安全法では「毒物類・毒物」に指定されているため、運搬には適切な手続きが必要です。

また、シアノホスは水質汚濁防止法における有害物質、土壌汚染対策法における「特定有害物質」に指定されています。

2. シアノホスの安全注意情報

シアノホスは、経口摂取および皮膚接触での有毒性、神経系・心血管系・呼吸器への障害および水生生物に非常に強い毒性が確認されています。シアノホスは水中で急速に分解されるため、長期間における水生環境有害性は低く、さらに生物蓄積性も低いとされています。

農薬としてシアノホスが含有された商品を扱う場合は、粉じんやガス、ミストを吸引したり皮膚に付着させたりしないように、呼吸器の保護具および保護手袋・保護衣・保護メガネ・保護面を着用してください。また、農薬標準品としてシアノホスを実験室等で取り扱う場合には、保護具を着用しよく換気された環境下で使用します。

火災等で引火した場合は、シアノホスが分解され有毒なガスが発生する可能性があります。シアノホスの使用および保管時は、着火源を近付けないように注意してください。

シアノホスは冷暗所での保管が推奨されています。また、毒性のある化合物であるため、施錠して保管する必要があります。

3. 廃棄処分方法

シアノホスは特別管理産業廃棄物に該当します。シアノホスを廃棄処分する場合は、特別管理産業廃棄物処理基準に従って処理を行うか、特別管理産業廃棄物の許可業者に運搬と処分を依頼してください。

4. シアノホスの別名

シアノホスの別名はチオリン酸O-4-シアノフェニル-O,O-ジメチル、CYAPなどです。

農薬の成分として表記される場合は、略称であるCYAPが主に使用されています。シアノホスは乳剤、水和剤および粉剤として加工されて農薬として販売されていますが、この場合は例えば「CYAP 50%」のようにシアノホスの配合量が農薬のパッケージに記載されています。

厚生労働省による職場の安全データシートで使用されているのは、シアノホスの正式名称であるチオリン酸O-4-シアノフェニル-O,O-ジメチルです。また試薬メーカー各社が残留農薬検査用の標準物質としてシアノホスを販売していますが、この場合はシアノホスという名称が主に用いられています。

参考文献
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/2636-26-2.html
https://www.env.go.jp/content/900540847.pdf