半導体洗浄装置

半導体洗浄装置とは

半導体洗浄装置とは、半導体製造工程の1つである洗浄工程に用いられる装置の総称です。

洗浄工程は半導体製造工程全体の30〜40%を占める重要な工程です。高温処理工程や薄膜形成工程の前に十分に汚れを除去する前処理としての洗浄と、酸化膜・薄膜を削るエッチング工程の後にレジスト残滓物などを除去する後工程としての洗浄があります。

半導体洗浄装置は、薬液や純水を使用するウェット洗浄装置と薬液を使用しないドライ洗浄装置に大別されます。

半導体洗浄装置の使用用途

半導体洗浄装置は、半導体製造工場の各種工程で使用されます。シリコンウェハ上に半導体素子を形成する前工程でも素子を切り離し、パッケージ化して最終製品を製造する後工程でも使われます。

特に前工程では、ウェハ表面の汚染物質や付着物が半導体の品質や歩留まりに与える影響が非常に大きいです。そのため、ウェハ上に酸化膜・薄膜を形成する工程の前、成膜工程の後、エッチング工程の後など、非常に多くの段階で半導体洗浄装置が使われています。

半導体洗浄装置の原理

半導体製造の前工程では、半導体洗浄装置を使ってウェハ表面についた汚れを徹底的に除去する必要があります。具体的には高温処理でウェハ表面に酸化膜を形成する酸化工程の前、ウェハを薄膜材料のガスにさらして成膜するCVD工程の前後、放電によってイオン化した薄膜材料をウェハ表面に当てて成膜するスパッタリング工程の前後などです。

洗浄が十分でないと不良品の発生率が上がり、品質やコストに悪影響を与えます。薬剤を使用するウェット洗浄装置では一度に複数種類の薬剤を使えないため、1種類の薬液を用いてウェハを洗浄した後に純水で洗浄してから次の薬液槽にウェハを浸します。また、洗浄が終わった後にはウェハを乾燥させるプロセスも必要です。

半導体洗浄装置の種類

洗浄方式によって、半導体洗浄装置はバッチ式と枚葉式の2種類に分類できます。洗浄の処理方法ではドライ式とウェット式に分けられます。

1. 洗浄方法による分類

バッチ式
複数枚のウェハを同時に処理槽に浸して洗浄します。薬液の種類によって多槽式と単槽式に分類可能です。多槽式では処理槽を準備して順番に浸漬し、単槽式では1つの槽だけで薬液を入れ替えて洗浄します。

枚葉式
ウェハを1枚ずつ洗浄します。ウェハを回転させて処理液をノズルで吹き付けて洗浄します。

2. 洗浄の処理方法による分類

ウェット式
液体の薬液を洗浄に用いる方式です。

ドライ式
オゾンやアルゴンエアロゾルのような非液体で洗浄します。

半導体洗浄装置の構造

1. 多槽バッチ式

順番に浸漬し、洗浄とリンスを繰り返して処理可能です。一度に多量のウェハを処理できますが、装置が大きく、薬液の使用量が増えます。

2. 単槽バッチ式

処理槽を1個だけ使います。薬液を入れ替えて洗浄シークエンスを構築し、多槽式の欠点を補ったバッチ式です。比較的省スペースでウェハを大量に処理できます。処理ごとに薬液を入れ替える必要があり、薬液の使用量は多いです。

3. 枚葉式

薬液をウェハ1枚ずつに吹き付けて高速で回転させて洗浄します。省スペースで薬液の使用量が少なく処理液の汚染がありません。ただし、ウェハを回転させるため、薬液が飛散して回収や再利用は難しいです。

半導体洗浄装置の選び方

洗浄工程で対象となる汚れには、各種対応した洗浄方法があります。汚れの具体例はパーティクルと呼ばれる微細なゴミ、人の汗などに含まれるナトリウム分子や油脂成分、工場内で使われる薬剤に含まれる炭素分子などの有機物や金属原子などです。

1. パーティクル

パーティクルの除去のために、ブラシなどを使う物理的洗浄やアルカリ性薬品を用いたウェット洗浄が行われます。

2. 有機汚染物

有機汚染物の除去には酸性薬品やオゾン水を用いたウェット洗浄装置のほか、プラズマクリーナや紫外線オゾンクリーナーなどのドライ洗浄装置を使用可能です。

3. 金属汚染物

金属汚染物の除去のために酸性薬品によるウェット洗浄が行われます。

微圧計

微圧計とは

微圧計とは、圧力計の中でも約500Pa以下というわずかな圧力を測定するための専用圧力計のことです。

通常の圧力計は、「ブルドン管」と呼ばれる検知装置の変形度合いによって圧力を検知していますが、微圧計で測定する範囲の圧力は微小のため同じ検知装置では測定できないため、微圧計では2つの検知方法にて測定しています。

微小差圧の測定用に液柱型圧力計を改良し微小な液面の動きを測定できるようにした液柱差型のものと、零位法に基づき液面差を精密に測定するタイプの隔膜型のものがあります。

微圧計の使用用途

微圧計は、一般的にタンク内の圧力を測定する際に使用します。タンク内に熱がかかったり、空気以外のガスを使用している場合は、大気圧とは異なる圧力になるので測定の必要があります。

そのため、用途例としては、ガス圧力の測定や燃焼炉の中の圧力測定などが挙げられます。また、直接圧力を測定するだけでなく、タンク内の液体の容量、深さ等の測定する際にも圧力から導き出すため微圧計を使用することがあります。

微圧計の原理

一般的な微圧計には液柱差型と隔膜型があります。

液柱差型は、液柱圧力計を改良したものなので測定原理はほとんど同じです。液柱内での液体の高さと入っている液体の密度や比重から圧力は導き出されます。そのためガスを扱う現場では大気圧での液柱から高さが変化し、その液柱の高さの変化を検知し圧力を測定しています。

液柱型は、温度によって液柱内の液体の比重が変化するため補正が必要で工業用としては扱いづらいという特徴があります。また、隔膜型のものはブルドン管で圧力を検知するものの、直接ではなくダイアフラムと呼ばれる薄い膜と真空内に入っている封入液を介して検知されて圧力を測定します。

隔膜型は通常圧力計に詰まりやすいと言われている高粘度の液体や固形を含む液体の圧力を測定できます。

ゴムキャブタイヤケーブル

ゴムキャブタイヤケーブルとは

ゴムキャブタイヤケーブル

通電したまま移動が行えるキャブタイヤケーブルの中でも、絶縁体とシースが天然や合成のゴム類で構成されたキャブタイヤケーブルの種類です。

ビニルキャブタイヤケーブルと比較して耐衝撃や耐摩耗性に優れており、悪天候にも適応するため主に屋外での使用や過酷な環境下においての使用に適しています。

現在は合成ゴムが主流となっており、天然ゴムを使用したキャブタイヤケーブルは徐々に合成ゴムに置き換わりつつあります。

ゴムキャブタイヤケーブルの使用用途

天候の変化に強いため、主に屋外において電源の移動が必要な場所に使用されています。

また、耐油性が高いことからオイルミストが飛散しているような工場や、トンネル工事の掘削機、鉱山などの過酷な状況下で使用されています。

耐熱性にも優れているため、アーク溶接機の変圧器から溶接電極までの配線のように高温下にさらされているような場所にも使用されています。電圧は、600V以下の移動用電器機器や配線での用途に使用されます。

ゴムキャブタイヤケーブルの特徴

ゴムの素材の組み合わせにより3種類に分けられます。

絶縁体とシースの両方が天然ゴムで構成されたものを「CT」と呼び、耐油性が低いため現在はあまり使われていません。絶縁体にEPゴム、シースがクロロプレンで構成された「PNCT」は、最も広く使われており、過酷な環境下において耐久性が高いのが特徴です。

絶縁体のみ天然ゴムで構成された「RNCT」も雨天や油脂に強いですが、現在では「PNCT」が主流となっています。

また、ゴムキャブタイヤケーブルは1種から4種まであり、使用する環境によって選定します。

1種は天然ゴムのみで、環境の変化に弱いため現在は2種に統合されています。2種は最も使われている低圧用のケーブルで、屋外屋内問わず使えます。3種はシースを補強する層があるため2種よりも絶縁体とシースが太く、衝撃や摩耗に強いです。4種は3種よりもさらに耐摩耗性が高く、超過酷下での使用に適しています。

プラスチックシリンジ

プラスチックシリンジとは

プラスチックシリンジ

プラスチックシリンジとは、シリンジの中でもすべてプラスチックで製造されているシリンジのことです 。

オールプラスチックでないディスポーザブルシリンジについては、「ディスポシリンジ」を参照してください。通常のシリンジは、注射器のような構造のうち液体や気体を押し込む方の筒 (プランジャー) 側のガスケット部分がゴムで作られています。

しかし、プラスチックシリンジではすべてがプラスチック素材でできており、ゴム素材の溶出が起こらないためシリンジ内でガスケットのゴムに由来する汚染 (コンタミネーション) が起こりません。

プラスチックシリンジの使用用途

主に医療用途や理科学実験でゴムからの成分溶出が懸念される場合、あるいは理科学実験でゴムが変質する使用条件であるがプラスチックは使用可能である場合に、特定の体積を計り取るシリンジとして用いられます。

プラスチックシリンジの外筒 (バレル) には目盛がついており、液体の体積を計り取って移す操作を簡便に行うことができます。プラスチックシリンジは比較的安価で、使い捨てることが可能です 。

プラスチックシリンジの原理

プラスチックシリンジは、プラスチックのみでも気密性が保たれるように工夫されており、多くの場合にバレルが硬いポリプロピレン (PP) 、プランジャーがやや柔らかいポリエチレン (PE) であり、この組み合わせで気密性を高めています。

ガスケットが弾力性に欠ける硬質プラスチックである場合、バレルがわずかに変形しながらガスケットに密着するようにして気密性を保つようにしているものもあります。

プラスチックシリンジの構造

プラスチックシリンジは注射器であり、外筒 (バレル) 、ポンプの持ち手 (プランジャー) とプランジャーと結合した密閉する部品 (ガスケット) に分かれており、プランジャーを押し引きすることによって液体や気体を吸ったり出したりすることができます。

プラスチックシリンジの選び方

1. 材質

材質が目的に合っているか確認します。多くのオールプラスチックシリンジはバレルがポリプロピレン (PP) 、プランジャーがポリエチレン (PE) です。

2. 最大容量・目盛

最大容量に応じてサイズと目盛が異なるため、使用したい体積と目盛の刻みを考慮して選定します。医療機器のシリンジでは目盛の刻みがサイズごとにほぼ統一されていますが、理科学実験用のシリンジでは目盛が製品シリーズによって異なっているため、特に考慮して選定します。

3. 筒先位置 (中口・横口)

プラスチックシリンジの先端にはいくつか種類があり、吐き出し口が筒先の真ん中についているもの (中口) と端についているもの (横口) が存在します。

中、小容量はほとんどが中口ですが、大容量のものは横口が主流です。横口の利点は、太いシリンジでも空気抜きが行いやすい点です。中容量の場合には中口・横口両方の製品がある場合があり、この場合は実際の操作で使いやすいものを選びます。

4. 先端形状

通常、プラスチックシリンジの先端には針などがついていないため、液体を吸い上げるときに液面に届かせたいときは、先端に注射針を使用することも多いです。状況に応じて、チューブを取り付けることもあります。

多くのプラスチックシリンジは、ルアースリップ式 (ルアーチップ式) またはルアーロック式です。ルアースリップ式 (ルアーチップ式) は、注射針などをまっすぐ差し込んで固定するタイプです。

ルアーロック式は吐き出し口の先端に注射針を差し込んだ後回転させ、捻じ込むことで抜けなくするストッパーがついているタイプです。特に取り付けるものが無い場合は、シンプルなルアースリップ式を用います。

プラスチックシリンジのその他情報

オールプラスチックとする利点

最大の利点はゴムを使わないため、ゴム由来のコンタミネーションのリスクが低く、ゴムが耐えられない溶媒条件でも使用できることです。オールプラスチックにすることで、プランジャーとガスケットを一体として製造することも可能です。また、ガスケットが操作中に脱落する事故が起こりにくくなります。

マグネシウム燃料電池

マグネシウム燃料電池とは

マグネシウム燃料電池は、電気の化学反応によって電気を生み出す燃料電池の種類で、負極にマグネシウムを用いて酸素と海水などの塩水によってマグネシウムを溶かして電気を発生させる仕組みの燃料電池です。

電気自動車などで主流となっているリチウムイオン電池と比べて同じ体積あたりのエネルギー取り出し量が多く、発電効率が高いことと、マグネシウムは海水から豊富に採取できるため、石油燃料に替わる代替燃料として注目されています。

マグネシウム燃料電池の使用用途

主に災害時の非常用電源としてスマートフォンやラジオの充電、LEDランタンのバッテリーに使われています。

また、燃料が切れた場合、反応した部分だけを新品に替えることで新しい燃料を供給でき、体積あたりのエネルギー密度が高いことから将来的にはドローンのバッテリーにも使用されることが想定されています。

さらに希少金属を使わない環境負荷の低さから、将来的には電気自動車のバッテリーとして使用することを想定し、研究が進められています。

マグネシウム燃料電池の特徴

現在主流となっているリチウムイオン電池と比較すると、マグネシウム燃料電池はコストや環境負荷、安全性に優れています。

また、化学反応を起こしたマグネシウムは水酸化マグネシウムとなりますが、太陽熱を当てると還元反応でもう一度マグネシウムとして再利用できることから、リサイクル性も高いです。

安全面では、電解液に塩水を使用するため、爆発する危険性が少なく、電解液を入れない限りは自己放電しないため、未使用状態の保存性が高いです。

さらに発電時にはCO2を排出せず、音も発生しないので環境負荷も少ないです。

マグネシウム燃料電池のデメリットは、基本的には使い切りの一次電池が実用化されている一方で、マグネシウムイオンを最適に充放電を繰り返すための特性を持つ正極の材料が開発段階にあるため、二次電池としての実用化にはまだ至っていないことが挙げられます。

また、生産量が少ないためコストが割高になっています。

液体研磨材

液体研磨材とは

液体研磨材とは、通常のペースト状研磨材よりもさらに粘度が低く、ほぼ液体に近い研磨材の種類です。

柔らかい布や、ウエスに研磨材をつけて使用するため、研磨した後の拭き取り作業が簡単にでき、細やかなアルミナ系研磨材を配合しているため、傷が付きにくく、表面に美しい光沢を出すことができます。

使用できる素材は多岐に渡り、鋼材からステンレス、アルミなどの非鉄金属、更にはプラスチック類の研磨にも適応するため、様々な場所で使用することができます。

液体研磨材の使用用途

主に金属類の艶出しやプラスチック類の研磨に使用し、種類によってはガラスの汚れや水垢の除去、タイルにも使用できるものもあり、住宅の掃除道具としても広く用いられています。

また、帯電防止剤を配合し、静電気を抑えることにより、鏡面の汚れやほこりの付着防止が可能な製品もあります。

しかし、研磨力は他の研磨材よりも低いことから、キズ落としや深いサビの除去には適しておらず、表面の艶出しや汚れの除去といった軽研削に使われます。

液体研磨材の特徴

固形やペースト状の研磨材のように専用のバフグラインダーを用いる必要がなく、使用するときは布やウエスに染み込ませて使用するので、バフグラインダーがなくても手軽に研磨することができるのが、液体研磨材のメリットです。

また、家庭内でもシンクやタイル、鏡や蛇口といった様々な場所に使用することができ、車やバイクといった乗り物の艶出しにも広く使えるため、ホームセンターなどで安価に購入することができるのも特徴です。

デメリットとしては、粘度が低いため飛び散るリスクが高いことと、研磨力が低いため重研削には向いていないことが挙げられます。

また、素材を問わず多用途に使用できる研磨材がある一方で、使用できる素材ごとに分類して売られている研磨材もあるので、必ず使用する前には研磨する素材に適しているかを事前に確認し、研磨材に配合されている研磨粒子の粗さも確認した上で、用途に適した研磨材を選定することが重要です。

低圧検電器

低圧検電器とは

低圧検電器

低圧検電器とは、検電器の中でもより低圧な回路の電圧を測定するための測定器のことです。

低圧検電器を調べたい部分に接触させることで電気が通っているか否かを確認することができます。調べたい回路の電圧の大きさによって使用する種類が異なります。

低圧検電器の使用用途

低圧検電器を使用する場所は、回路の中に比較的低圧な電圧が流れている場所です。

通常低圧検電器では、20V~1000V程度の電圧を測定でき、家庭内で使用されている製品などについては使用可能です。

しかし、電気回路には直流回路と交流回路があり、回路の違いによっても検電器を使い分ける必要があるため、不安な方は直流回路も交流回路も測定できる検電器を使用することが推奨されます。

低圧検電器の原理

低圧検電器を含んだ検電器はすべて、検電器を接触した場所に電気が通っているか否かを知らせます。知らせ方には3種類あり、光、ブザー音、両方で知らせてくれるものなどです。検知方法も検知部を接触させるものと非接触のものに分けられます。

しかしこれらの原理はどれも同じです。通常回路に電気が流れている場合は、その周辺の電界が流れていない時とは変化しています。そのため、検電器を近付けることによってこの電界の変化を感知し光や音で知らせてくれます。

低圧検電器の使い方

接触型の検電器はしっかりと検電器をもち、検知部の先端ではなく側面を電線に接触させます。また、電線が被覆されている場合はむき出しの電線よりも動作感度が悪くなるので十分に電線に接触させる必要があります。

これらは電気が通っていないことを確認しその後の作業を行うために使用することが多いですが、万が一感電の恐れもありますので濡れた手で使用しないなど注意が必要です。

分光蛍光光度計

分光蛍光光度計とは

分光蛍光光度計とは、試料中に含まれる分子やイオンなどから発せられる光を解析する装置のことです。

分光器の一種で、その他に紫外・可視分光光度計や赤外分光光度計等が挙げられます。発光スペクトルは分子、イオンごとに異なるため、発光ピークの波長と強度から試料に含まれる成分を定量することが可能です。

分光蛍光光度計は非常に感度が高く、微量成分の検出に使われています。また、生化学分野では特定の化合物と結合するような蛍光プローブと組み合わせることで、生体内でのタンパク質の動きの解析などに使用されています。

なお、生体や食品など複数の成分が含まれる試料では各成分の発光が重なり、複雑なスペクトルが得られますが、最近は多変量解析などの統計解析手法を適用することで、多数の成分に関する情報を引き出す方法も検討されています。

分光蛍光光度計の使用用途

分光蛍光光度計法による定量分析は、一般的に吸光光度法に比べて1,000倍以上感度が高いため、分光蛍光光度計は試料中に含まれる極微量の成分を検出、定量するために用いられています。

具体的には、白色LEDや有機EL素子の発光効率を表す指標である量子収率の測定や、素子が発する光のスペクトル分析などです。スペクトル分析は非常に複雑ですが、解析ソフトも高度化しており、様々な情報を引き出すことができます。

分光蛍光光度計の原理

分光蛍光光度計の原理

図1. 分光蛍光光度計の原理

分光蛍光光度計は、分子やイオンの電子が励起状態から基底状態に戻るときに余分なエネルギーを光として発する蛍光(またはりん光)を利用する装置です。分子はそれぞれ固有のエネルギー状態を有しており、特定の波長の光を選択的に吸収して励起状態に遷移します。

この励起状態に存在する電子は直ちに基底状態に戻りますが、そのときに励起状態と基底状態のエネルギー準位の差に対応する波長の光を発します。なお、照射する光は試料が吸収する波長にしなければ蛍光を発せず、測定を行うことができません。

分光蛍光光度計のその他情報

1. 分光蛍光光度計と多変量解析

分光蛍光光度計と多変量解析

図2. 分光蛍光光度計と多変量解析

食品など多数の有機物が含まれている試料に対して蛍光測定を行うことで、産地や原料ごとのパターンを分類する解析が試みられています。試料に複数の成分が含まれているとき、分光蛍光光度計測定で得られるスペクトルは各成分が発する蛍光の足し合わせになります。

一般に複数成分が含まれる試料の蛍光スペクトルは非常に複雑で解析が困難です。特に食品や飲料など、多数の有機物が含まれるサンプルでは多数のピークが出現して、熟練者でなければ解析することはできません。

一方で、最近では食品などの複雑な発光スペクトルから多変量解析、統計解析的な手法を用いて情報を得る試みも行われています。例えば多変量解析手法の一つである主成分分析 (PCA) を用いるとスペクトルのような多次元データを2・3次元の低次元に圧縮することが可能です。

次元圧縮を行ったあとの各サンプルの分布からグループ分けを行うといった解析が行われています。

2. 生化学分野における分光蛍光光度計の活用

分光蛍光光度計の活用

図3. 分光蛍光光度計の活用

生化学分野では蛍光を発するプローブを選択的に特定のタンパク質やカルシウムイオンなどに結合させることで該当成分の定量を行うことが可能になります。例えばカルシウムイオンの検出ではキレート剤と呼ばれる、イオンを選択的に挟み込む構造を有する化合物が使用可能です。

その他、生物由来の蛍光タンパク質を改変した高分子も蛍光プローブとして用いられています。この高分子は蛍光タンパク質に由来しており、導入することで生体細胞自体が複製することが可能になります。

なお、ノーベル賞を受賞した日本人の下村脩氏の業績はこの緑色蛍光タンパク質を発見したということです。生体分子に蛍光タンパク質を導入できるようになり、蛍光光度計で高感度検出ができるようになったことで生体分子の解析が大きく進みました。

FPD製造装置

FPD製造装置とは

FPD製造装置とは、フラットパネルディスプレイ(FPD)を製造するための装置すべてに対する総称です。

FPDとは、映像を映すために以前まで使用されていたブラウン管に代わる平坦かつ薄型な表示装置のことを指します。

これらのFPDを製造するには、回路を設計するところからから映像が映るか検査するまで20-30種類の工程を行った上で出荷に至ります。
しかし、FPD製造装置では一貫してガラス基板を高速かつ正確にか処理する技術が求められています。

FPD製造装置の使用用途

このFPD製造装置は、薄型の映像表示装置を使用した製品を製造する場所に置かれています。
ブラウン管に代わると聞くとテレビを思い浮かべがちですが、テレビ以外にもたくさんの製品に使用されています。

たとえば、ノートパソコンやスマートフォン、タブレット機器などが挙げられます。
これらは薄型で軽いにも関わらず解像度の高いFPDが製造できるようになったからこそ普段の生活に馴染んでいった製品ともいえるでしょう。

FPD製造装置の原理

FPDの製造には20₋30の工程がありますが、大きく分けて2つの工程があります。
1つはアレイ行程といってFPDに必要な基盤や回路を作成しアレイ回路を作成する工程です。
ここでは回路に問題があったり、基板に不純物の付着があったり、フォトマスクをしっかりと組み込めていないなど少しでもズレがあればアレイ回路が働かなくなるのでかなりの精度が必要です。
また、もう1つはカラーフィルタ・セル・モジュール工程といってアレイ回路に偏光板などを取り付けてFPDを仕上げていく工程です。
これらのすべての作業は基本的には機械で行われており必要な装置も全く違います。

そのためそれぞれの工程で必要な技術も大きく異なりますし工程としてかなり複雑です。

それぞれの工程において技術が発展しないとFPDの発展には至りませんが、技術の発展が行われることで大画面でより薄型のものがより安く提供できるなどより消費者に受け入れられやすいものが作られることでしょう。

PINフォトダイオード

PINフォトダイオードとは

PINフォトダイオードは、照射された光を電気信号に変換するフォトダイオードの一種です。

フォトダイオードには、主にPN型、PIN型、APD(Avalanche photodiode)の3種類のタイプがあり、PINフォトダイオードは、P型半導体とN型半導体の間に絶縁体の真性半導体であるI型半導体(Intrinsic semiconductor)を挿入した構造をしています。

P型半導体とN型半導体のPN結合で構成されたPNフォトダイオードに比べ、PINフォトダイオードは、光を照射してから電気信号に変換されるまでの応答速度が速いという特徴があります。

PINフォトダイオードの使用用途

PINフォトダイオードは、高感度で応答速度が速いという特徴を持ち、フォトダイオードの中では最も使われています。

具体的には、デジタルカメラなどのCCDやCMOSセンサーの受光素子、CDや DVDの光ピックアップ、リモコンの受信装置、光通信システムの受信機、光度計・露出計など光検出器、バーコードリーダー、文字読取り装置、車載向けの太陽光センサー・トンネルセンサーや、X線検出器・放射線検出器など、幅広い分野で使用されています。

PINフォトダイオードの原理

PINフォトダイオードは、P型半導体とN型半導体の間に絶縁体のI型半導体をはさんだ構造をしています。

P型半導体領域が受光面、N型半導体側が基板側、I型半導体領域は空乏層の代わりとなって光吸収領域になります。P層は内部まで受光しやすいように非常に薄く、光吸収層になるI層は比較的厚い構成になっています。

P側にマイナス、N側にプラスの逆バイアスを印加すると、P層の正孔はマイナス側に、N層の電子はプラス側に移動し、中間層はキャリアがほとんど存在しない空乏層になります。I層にはもともとキャリアが存在しないので、I層の厚さだけ空乏層の幅は広がります。

この状態で、P層側からバンドギャップよりも大きいエネルギーを持つ光が照射されると、電子が光励起されて自由電子になり、その跡に正孔ができます。空乏層で生成された電子はN層へ、正孔はP層へ移動し、PINフォトダイオードには光電流が流れます。このとき、電流の大きさは入射した光の強さに比例します。

PINフォトダイオードでは、I層によって形成された広い空乏層に逆バイアスが印加されているため、PNフォトダイオードに比べてキャリアの移動速度が速く、受光素子としての応答速度が速いという特徴があります。また、光吸収領域である空乏層が広いため、感度も高くなります。