半導体洗浄装置

半導体洗浄装置とは

半導体洗浄装置とは、半導体製造工程の1つである洗浄工程に用いられる装置の総称です。

洗浄工程は半導体製造工程全体の30〜40%を占める重要な工程です。高温処理工程や薄膜形成工程の前に十分に汚れを除去する前処理としての洗浄と、酸化膜・薄膜を削るエッチング工程の後にレジスト残滓物などを除去する後工程としての洗浄があります。

半導体洗浄装置は、薬液や純水を使用するウェット洗浄装置と薬液を使用しないドライ洗浄装置に大別されます。

半導体洗浄装置の使用用途

半導体洗浄装置は、半導体製造工場の各種工程で使用されます。シリコンウェハ上に半導体素子を形成する前工程でも素子を切り離し、パッケージ化して最終製品を製造する後工程でも使われます。

特に前工程では、ウェハ表面の汚染物質や付着物が半導体の品質や歩留まりに与える影響が非常に大きいです。そのため、ウェハ上に酸化膜・薄膜を形成する工程の前、成膜工程の後、エッチング工程の後など、非常に多くの段階で半導体洗浄装置が使われています。

半導体洗浄装置の原理

半導体製造の前工程では、半導体洗浄装置を使ってウェハ表面についた汚れを徹底的に除去する必要があります。具体的には高温処理でウェハ表面に酸化膜を形成する酸化工程の前、ウェハを薄膜材料のガスにさらして成膜するCVD工程の前後、放電によってイオン化した薄膜材料をウェハ表面に当てて成膜するスパッタリング工程の前後などです。

洗浄が十分でないと不良品の発生率が上がり、品質やコストに悪影響を与えます。薬剤を使用するウェット洗浄装置では一度に複数種類の薬剤を使えないため、1種類の薬液を用いてウェハを洗浄した後に純水で洗浄してから次の薬液槽にウェハを浸します。また、洗浄が終わった後にはウェハを乾燥させるプロセスも必要です。

半導体洗浄装置の種類

洗浄方式によって、半導体洗浄装置はバッチ式と枚葉式の2種類に分類できます。洗浄の処理方法ではドライ式とウェット式に分けられます。

1. 洗浄方法による分類

バッチ式
複数枚のウェハを同時に処理槽に浸して洗浄します。薬液の種類によって多槽式と単槽式に分類可能です。多槽式では処理槽を準備して順番に浸漬し、単槽式では1つの槽だけで薬液を入れ替えて洗浄します。

枚葉式
ウェハを1枚ずつ洗浄します。ウェハを回転させて処理液をノズルで吹き付けて洗浄します。

2. 洗浄の処理方法による分類

ウェット式
液体の薬液を洗浄に用いる方式です。

ドライ式
オゾンやアルゴンエアロゾルのような非液体で洗浄します。

半導体洗浄装置の構造

1. 多槽バッチ式

順番に浸漬し、洗浄とリンスを繰り返して処理可能です。一度に多量のウェハを処理できますが、装置が大きく、薬液の使用量が増えます。

2. 単槽バッチ式

処理槽を1個だけ使います。薬液を入れ替えて洗浄シークエンスを構築し、多槽式の欠点を補ったバッチ式です。比較的省スペースでウェハを大量に処理できます。処理ごとに薬液を入れ替える必要があり、薬液の使用量は多いです。

3. 枚葉式

薬液をウェハ1枚ずつに吹き付けて高速で回転させて洗浄します。省スペースで薬液の使用量が少なく処理液の汚染がありません。ただし、ウェハを回転させるため、薬液が飛散して回収や再利用は難しいです。

半導体洗浄装置の選び方

洗浄工程で対象となる汚れには、各種対応した洗浄方法があります。汚れの具体例はパーティクルと呼ばれる微細なゴミ、人の汗などに含まれるナトリウム分子や油脂成分、工場内で使われる薬剤に含まれる炭素分子などの有機物や金属原子などです。

1. パーティクル

パーティクルの除去のために、ブラシなどを使う物理的洗浄やアルカリ性薬品を用いたウェット洗浄が行われます。

2. 有機汚染物

有機汚染物の除去には酸性薬品やオゾン水を用いたウェット洗浄装置のほか、プラズマクリーナや紫外線オゾンクリーナーなどのドライ洗浄装置を使用可能です。

3. 金属汚染物

金属汚染物の除去のために酸性薬品によるウェット洗浄が行われます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です