FPD製造装置とは
FPD製造装置とは、フラットパネルディスプレイ (FPD) を製造するために使用する装置の総称です。
テレビやスマートフォンに代表されるように、近年では様々な製品にフラットパネルディスプレイが使用されています。そのフラットパネルディスプレイは、液晶ディスプレイを始め、有機ELディスプレイ、マイクロLED、電子ペーパーなどいくつかの種類に分類されます。
それぞれのディスプレイの製造は、異なった工程もあれば、同じ工程もあります。製造に使用する装置も同様であり、FPDの製造に関わる専用の装置のことをFPD製造装置と言います。
FPD製造装置の使用用途
FPD製造装置は、それぞれの種類のフラットパネルディスプレイの製造において、各々の工程で使用されます。
1. FPDの分類
液晶ディスプレイ (LCD)
現在、FPDの中で最も生産数が多いのが液晶ディスプレイ (LCD) です。LCDは長年の実績と技術の成熟により、コストパフォーマンスが高く、大画面から小型まで幅広い製品に採用されています。
有機ELディスプレイ (OLED)
次に生産量が増えてきているのが有機ELディスプレイ (OLED) です。OLEDは高コントラスト、広視野角、応答速度が速く、薄型軽量化が可能なため、高画質を求める製品に採用されています。
マイクロLED
マイクロLEDは液晶や有機ELに比べて高輝度、高コントラスト、広色域を実現でき、長寿命なのが特徴です。デジタルサイネージや大型ディスプレイでの採用が進んでいます。
また、かつてはプラズマディスプレイも数多く生産されていましたが、消費電力が大きいのと製造コストが高くなるのが欠点とされて、現在はあまり生産されなくなっています。
2. FPDの各工程とFPD製造装置
それぞれのFPDは内部構造が異なるので、製造工程も異なります。しかし、FPDはフラットなパネル上に画像を表示するという最終機能が同じで、外観も似た製品となるので、異なる種類のFPDの製造であっても、同じ製造工程を用いるところもあり、多種のFPD製造装置が共通で使用されています。
フォトリソグラフィ関連装置
液晶ディスプレイの製造と有機ELディスプレイの製造では、FPD露光装置に代表されるフォトリソグラフィ関連装置が共通で使われています。リソグラフィ関連装置は、液晶パネルのTFT形成や、有機ELパネルの有機層形成など、両方のディスプレイにおいて回路パターンを形成するために使用されます。
スパッタリング装置
液晶パネルのTFT形成や、有機ELパネルの金属電極形成など、導電性薄膜を形成するために使用されます。
蒸着装置
スパッタリング装置と同じように、蒸着装置が液晶パネルのTFT形成や、有機ELパネルの有機層形成など、様々な薄膜を形成するために使用されます。
その他
その他には、洗浄装置や検査装置も、広い意味での共通に使われるFPD製造装置と言えます。
FPD製造装置の原理
FPDの中で、最も生産量の多い液晶ディスプレイの製造について説明します。液晶ディスプレイの製造は、大まかに分類すると、アレイ工程、セル工程、モジュール工程に分類されます。
アレイ工程の中には、スパッタリング工程とフォトリソグラフィ工程があります。スパッタリング工程では、スパッタリング装置を用いて、ガラス基板上に薄膜トランジスタ (TFT) の形成に用いる薄い金属膜を形成します。フォトリソグラフィ工程では、FPD露光装置を用いてフォトマスク上のパターンを転写します。
セル工程では、主に液晶注入装置を用いて液晶セルに液晶材料を注入します。モジュール工程では、偏光板貼り合わせ装置を用いて液晶パネルの両面に偏光板を貼り合わせます。
実際にはFPDの製造には20から30の工程が存在し、それぞれの工程で専用のFPD製造装置が使用されています。
FPD製造装置の選び方
FPDの製品の品質は、最終的には人が目で見て判断します。人間の目はFPDの表示する画像の、歪み、色ムラ、段差、ドット抜け等を敏感に感じ取ります。
特に大型化、高精細化の進歩が著しい大型ディスプレイの製造では、歪みが生じやすい薄くて大きなガラス基板上に、微細なパターンやセルを高精度で形成して行かなければならず、基板の取り扱いにも高度な技術が必要となります。
FPD製造装置の選択に当たっては、価格や仕様、納期の確認の他に、メーカーや代理店との入念な打ち合わせを行い、必要に応じて実機デモをしてもらい、慎重に選択することをお薦めします。