サンプリングポンプとは
サンプリングポンプとは、液体またはガスのサンプルを取得するために使用されるポンプです。
計測対象を採取して目的化合物の定量を行い、採取した対象の体積と化合物量から化合物濃度を求めることが可能になります。一般的にはこの濃度はppmなどの単位で表されます。
サンプリングポンプの使用用途
サンプリングポンプは様々な産業や分野で使用されます。以下はサンプリングポンプの使用用途の一例です。
1. 環境調査
空気や土壌の調査や、廃棄物や化学物質などのサンプルを取得するために使用されます。これらのサンプルは環境汚染度合いや工場排水が基準値以下であることを確認するために使用されます。
大気汚染の調査ではサンプリングポンプを使用して空気中の微小粒子や有害物質をサンプリングします。また、水質調査では水中の汚染物質の濃度を評価します。土壌調査では土壌中の汚染物質の濃度を評価することが可能です。
2. 医療診断
患者から血液や呼気などの生体試料を採取するために使用されます。これらのサンプルは、検査や診断に使用されます。
3. 産業機器制御
化学プロセス制御や品質管理のために、生産ラインからサンプルを取得するために使用されます。化学業界の他にも食品や飲料業界でも広く使用され、生産ライン上の微生物や製品の物理的および化学的特性などを測定するために使用されます。
4. 研究開発
研究者が物質、化合物、微生物、化学反応、生化学的反応などを研究するために使用されます。研究用途においては、正確で信頼性の高いデータを収集することが重要です。したがって、適切なサンプリングポンプの選択や適切なサンプリング手法の選択が重要になります。
サンプリングポンプの原理
サンプリングポンプの原理は通常のポンプと同様です。ポンプ内のピストンまたはダイヤフラムを動かすことで、ポンプ内部の圧力を変化させます。圧力変化によって液体やガスをサンプルとして採取します。
液体の場合は吸入と排出の2つのバルブを備えたボトルなどを使用して、ポンプを介してサンプルを吸引します。一方、ガスの場合は吸入口を通じてサンプルを取得し、ポンプ内の特定の容積までガスを圧縮します。次に、ポンプのバルブを切り替え、ガスをサンプリング容器に放出します。
サンプリングポンプの正確さと信頼性はポンプの設計と機能によって決定します。高品質のサンプリングポンプは精度や安定性が高い場合が多いです。また、ポンプのポンプヘッドの材質やシール材質など、さまざまな要素がポンプのパフォーマンスに影響を与えます。
サンプリングポンプの種類
サンプリングポンプは用途などに応じて様々な種類が存在します。
動力源の違いに応じて、手動ポンプと電動ポンプがあります。手動ポンプは人力で操作され、容器やサンプリングバッグなどの収集容器にサンプルを取り込みます。電動ポンプは電力を使用してサンプルを取り込みます。
また、用途に応じてサンプリングポンプには以下のような種類があります。
1. ハンディサンプリングポンプ
個人が身に着けることができる小型で携帯性が高いサンプリングポンプです。主に労働者の被曝線量を測定するために使用されます。
労働者が長時間作業する場合、長時間のサンプリングが必要となります。パーソナルサンプリングポンプの多くはバッテリー駆動であり、連続的なサンプリングを長時間行うこと可能な製品も存在します。
2. エアボリュームサンプラー
大気中の微小粒子や微生物を捕集するためのポンプです。空気を一定量取り込むことができます。
エアボリュームサンプラーは微小粒子の調査において重要な役割を果たします。大気中の微小粒子は人体に悪影響を及ぼす可能性があり、環境調査や健康管理のために重要なデータです。エアボリュームサンプラーを使用することで正確な微小粒子の濃度を評価することができ、健康管理や環境保護に役立てることができます。
3. ハイボリュームサンプラー
大量の空気を取り込み、微小粒子の濃度を高精度で測定するためのポンプです。エアボリュームサンプラーよりもさらに多くの流量を採取することが可能です。ただし、エアボリュームサンプラーの方が、より細かい微粒子を捕捉可能な製品が多いです。