グラフィックパネルとは
グラフィックパネルとは、構造を表示させるパネルのことです。
中央監視装置を構成する機器の1つとして使用されます。自動制御設備に設置される受変電設備の電力系統図・空調換気設備・給排水設備などの系統図や配置図を大きな画面上に映し出し、その画面内で機器運転状態や計測数値を表現します。
グラフィックパネルの使用用途
グラフィックパネルは、情報表示や映像の表示など、さまざまな用途に利用されています。
1. 街中における用途
例えば、観光案内鳥瞰図看板・360°パノラマ鳥瞰図・会議室向け大型パネルなどにも使用されています。また、鉄道等の交通制御システムにおいても車両の位置をランプで表示するなど多目的に使用されています。
その他、空港や駅の到着・出発案内や、コンサートやスポーツイベントでのスコア表示など用途の1つです。
2. 危険回避における用途
施設の警戒、監視状況を示す場合、施設の平面図をパネル盤へ挿入し、各種センサーより発信される警戒状況をコントローラーで統括し、LEDの点灯・点滅で表示することができます。見やすく、わかりやすい表示で侵入者の早期発見や迅速な対処を可能にします。
3. 工事現場における用途
グラフィックパネルは、工事現場での建設プロジェクトの広告やプロモーション使用にも適しています。現場内の見通しの良い場所に掲示することで、通行人や興味を持つ人々にプロジェクトの情報を提供できます。
また、グラフィックパネルは、工事現場内での指示や安全注意喚起にも役立つパネルです。重機や危険な作業エリアに関する情報を表示することで、事故を防ぐことができます。
さらに、建設プロジェクトの進捗状況を示すこともできるため、関係者間のコミュニケーションが改善される、業務が効率化する、プロジェクトのスケジュール管理が容易になるなどのメリットがあります。
グラフィックパネルの原理
情報を表示するためのディスプレイ技術の1種であるグラフィックパネルは、液晶やプラズマディスプレイといった従来のディスプレイ技術とは異なり、有機分子を利用した有機ELと呼ばれる素材を使用しています。有機ELは、電気を流すと発光する性質を持ち、液晶のようにバックライトが 不要で、薄くて軽量なディスプレイを実現することが可能です。
また、表示色が非常に豊富で、高いコントラスト比や視野角の広さも特徴的です。来客、来訪、見学者への施設の案内、説明を行う際に非常に有用なパネルである一方、監視装置と表示装置が別々に必要となるためコストは相対的に高くなります。
地図版としての用いる際は、表示方法によって「簡易方式」と「彫刻方式」の2つに分類できます。
1. 簡易方式
グラフィックパネルの簡易方式では、LEDという発光ダイオードを使用し、パネルの表面に直接配列されたLEDが光を放つことで表示を行います。この方式では、ドットマトリクスと呼ばれる方法で、点と点をつなげて表示するため、高精細な表示はできませんが、低コストでの製造が可能です。
また、電力消費も少なく省エネ性に優れています。
2. 彫刻方式
彫刻方式は、パネル表面をレーザーで彫刻し、光を透過する様にすることで表示を行います。レーザーの光は、パネル表面に当たると、表面を蒸発させることで微細な窪みを作ります。この窪みによって光が散乱し、パネルの表面に指定されたデザインが浮かび上がる仕組みです。
この方式は、彫刻深さや光の透過率を制御することで、より高精細な表示が可能となります。高い意匠性、視認性を持っており見た目に優れている反面、画面表示を変更する必要がある場合コストや納品期日の面で負担が大きくなります。
監視機器の増加や位置変更などの仕様変更が生じた際、画面表示の更新のために、地図版を新たに制作したうえで内部配線、背面LEDの位置も変更する必要があるのでコストが大きくなりがちです。このようなコスト高の対策として、最近では手作りのパネルを使用せず、ソフトで作成した監視画面を大型液晶ディスプレイへ投影し、汎用インターネットブラウザや専用アプリケーションを使用して監視する方式をとることが挙げられます。
グラフィックパネルの特徴
グラフィックパネルの製作には、高度な技術と専門的な知識が必要です。そのため、コストは多少かかるものの、設置することによって、施設全体の設備系統の把握が容易に行えます。
各種監視警戒状況・設備運転状況・故障発生状況などを、地図版でグラフィカルに確認・把握できるため、施設管理の品質向上に貢献しています。また、使用用途や場所に応じて最適な素材や技術を選択することが必要であり、それによってコスト削減が実現可能です。