トロリー

トロリーとは

トロリー

トロリーは天井の走行レールに取り付ける金具で、トロリーにチェーンブロック等を吊り下げて荷物とつなぎ、レールに沿って横方向に運ぶことができます。重量のある部品や、体積の大きい製品も安定して運ぶことができます。レールの形状がI型鋼やH型鋼などによって、取り付けられるトロリーの機種が変わります。

プレーントロリーが手動で作動させるタイプで、一般的に広く利用されています。他にギヤ付きのギヤードトロリー、電動トロリー、パイプトロリーがあります。

トロリーの使用用途

建設現場や工場における半製品や材料等の搬送用途にトロリーが使用されています。走行レールや単管パイプが取り付けられる場所であれば、トロリーを活用することができます。大型の荷物や重いものを安定して運べます。とくに建設現場では重量物の運搬が必要になるので、トロリーとクレーンやチェーンブロック、ホイスト等を併用して作業が行われています。自動車工場等でも導入されています。

また、巻上げ機の横行移動に使用します。

トロリーの原理

トロリーにはいくつか種類があります。

  • プレーントロリー
    手で押して横方向に移動させます。チェーンブロックなどを取り付けて搬送します。レールの継ぎ目等で引っかからないように注意します。2~3t程度までのチェーンブロックにつなぎます。
  • ギヤードトロリー
    ギヤが付いていて、ギヤに巻きついているチェーンを手動で動かすことでトロリーを横方行に動かします。チェーンを引っ張る力が調整しやすいので、位置の微調整がしやすいトロリーです。
  • 電動トロリー
    トロリーにモーターがついていて、決まった場所やよく使う場所で、電源が確保できるときは電動トロリーで搬送する方法が便利です。重量はプレーントロリーより重くなります。集電ブラシがついている製品もあります。
  • パイプトロリー
    天井の単管パイプとホイストや滑車、チェーンブロック等を連結して、荷物を搬送します。本体はスチールで、車輪はナイロン等の樹脂できています。フックがつけやすい製品が多いです。

参考文献

https://jp.misumi-ec.com/vona2/detail/223000707056/

https://www.rent.co.jp/sanki/04data/trolley02.htm

https://www.monotaro.com/s/pages/cocomite/792/

ウレタン用接着剤

ウレタン用接着剤とは

ウレタン用接着剤とは、靴底などに使用されているウレタンゴム吸音材断熱材としてよく使用されるウレタンフォームなどの接着に適した接着剤です。

ウレタン用接着剤という名称ではあまり見かけませんが、靴底などのウレタンゴムの接着にはシリコーン樹脂接着剤やウレタン系接着剤が用いられています。また、ウレタンフォームの接着にはSBR (スチレンブタジエンゴム) 系接着剤やクロロプレン系ゴム溶剤系接着剤が使用されています。

ウレタン用接着剤の使用用途

ウレタン用接着剤は、ウレタンゴムやウレタンフォーム等の接着に使用される接着剤です。ウレタンゴムの使用分野は非常に幅広く、身近な靴底やキャスター、工業用ローラー、ショックアブソーバフォークリフトのタイヤなどがあります。

ウレタンゴムに適したウレタン用接着剤は、これらの製品の製造時や補修時に必要に応じて使用されています。ウレタンフォームの使用分野も非常に幅広く、吸音材や断熱材といった建築資材のほか、寝具などのクッション材やキッチンクリーナーなどの生活用品などです。

ウレタンフォームに適したウレタン用接着剤も、これらの製品の製造時や補修時、建築時の接着工程など、必要に応じて使用されています。

ウレタン用接着剤の特徴

ウレタン用接着剤として、ウレタンゴムに好適な変成シリコーン樹脂接着剤やシリル化ウレタン樹脂系接着剤、ウレタンフォームに好適なSBR系接着剤、クロロプレン系ゴム溶剤系接着剤などが挙げられます。

1. 変成シリコーン樹脂接着剤

変成シリコーン樹脂接着剤は、変成シリコーンポリマーを主成分とした反応硬化タイプの接着剤で空気中の水分と触媒によって硬化します。ウレタンゴムの接着のほか、シーリング材としてもよく使用されています。

ウレタンゴムの接着に好適な変性シリコーン系接着剤は、1液型がほとんどですが、2液型もあります。1液型は空気中の水分との縮合反応で硬化し、硬化の際にアルコールなどの副生成物が発生しますが、2液型は付加反応で硬化するため、副成物は発生しません。

2. シリル化ウレタン樹脂系接着剤

シリル化ウレタン樹脂系接着剤は、ウレタン樹脂系接着剤の中で代表的なもので、空気中の水分や接着面の水分に反応し硬化します。強力な接着力を持つとともに、硬化後は弾力性のあるゴム状となるため衝撃吸収性が非常に高いです。シリル化ウレタン樹脂系接着剤は、耐水性・耐熱性が高く、屋内・屋外・凹凸面・水回りなどのシーリング材としても使用されています。

3. SBR系接着剤・クロロプレン系ゴム溶剤系接着剤

SBR (スチレンブタジエンゴム) およびクロロプレンゴム等の高分子エラストマーが主成分で、有機溶媒に溶解した接着剤です。

ウレタン用接着剤のその他情報

1. ウレタンと金属を接着する場合

ウレタン樹脂と金属を接着する場合には、ウレタン系接着剤や変性シリコーン系接着剤が好適です。これら接着剤は、ゴムと素材の異なる材料同士の接着に向いているため、ウレタン樹脂と金属の接着にも大きな効果を発揮します。

なお、このように接着剤を使用するときには3つのコツがあります。1つ目は金属やゴムの表面をきれいにして接着剤をはじかないようにする。2つ目は薄く均一に接着剤を塗ることで、塗りムラを無くす。3つ目は接着後に固まるまで十分静置させることです。上記のコツを押さえると、より接着力を向上させることができます。

2. 一般的なウレタン系接着剤

一般的なウレタン系接着剤には、1液タイプと2液を混合するタイプがあります。ウレタン系接着剤は、エポキシ系やアクリル系といった他の反応性接着剤よりも柔軟性が高く、衝撃に強いことが特徴です。

硬化した後は拭き取れないので、拭き取りは硬化前にすばやく行いましょう。なお、使用中に目や鼻に刺激を感じることもあるため、よく換気し、安全メガネやマスク、手袋を着用することが推奨されています。

ウレタン系接着剤のうち、1液型は比較的強度が弱く、2液型は接着強度が強く、高寿命で耐熱・耐候性が高い傾向です。このため、2液型の方が幅広い箇所に使用できます。

参考文献
https://www.monotaro.com/s/pages/productinfo/setchakuzai_choose/
https://www.etec.jsr.co.jp/technical/249/
http://www.bond.co.jp/

吸着ピンセット

吸着ピンセットとはバキュームピンセット

画像出典元: Amazon

吸着ピンセットはポンプなどを利用した吸引力のあるピンセットで、通常つかみにくい球状や細かい小さな部品等を吸着することができます。

吸着ピンセットには電動ポンプが必要なタイプと、携帯タイプがあります。電動ポンプタイプでは電池式と電源式があります。携帯タイプはペン仕様で収まりがよいですがパワーはあまりありません。

とくに真空吸着式は強力で、120g程度まで吸着することができます。内部のフィルターに目詰まりするため、粉塵を吸着することはできません。

吸着ピンセットの使用用途

吸着ピンセットは半導体などの電子部品といった、小さな精密部品をつかめるので、搬送や組立の用途で使用されています。表面実装や、基板へのマウント作業、ICの搬送などでは吸着ピンセットが便利です。

分析機器や理化学機器、半導体検査装置、各種デバイス、精密機器、時計産業、貴金属アクセサリーなどの検査やメンテナンス等に使用されています。

ウェーハ用には専用の真空吸着ピンセットが販売されており、吸着ピンセットと同じ作動をします。

吸着ピンセットの原理

吸着ピンセットの使い方は簡単で、ノズルを吸着したい対象に向けて、軽く接触させると吸着することができます。離す場合は、離脱レバーやボタンをスライドさせます。

ピンセットの先についているノズルのみでも吸着できますが、ノズルにパッドを装着するとより安定して吸着できます。パッドは導電性のシリコンゴムでできており、パッドが大きいほど重いものが吸着できます。導電性なので静電気対策がされています。

吸着ピンセットの形状には、ノズルがストレートのものと曲がっているものがあります。また、電池式の場合は簡素ですが、電源式の場合は多少大型になります。

また、ポンプと接続して吸引するタイプと、ポンプが内蔵されているタイプ、ポンプ不使用のタイプがあります。ポンプと接続して吸引するタイプとポンプが内蔵されているタイプは、ポンプが吸いこむ力で対象物を吸引します。ポンプ不使用のタイプでは、ピンセットの空気室を指で押すことで空気室の圧力を下げて、対象物を吸引します。ポンプ不使用のタイプは小型で使いやすいですが、ポンプと接続するタイプのほうが吸引力があります。

参考文献

https://www.hakko.com/japan/products/hakko_394.html

デジタル式トルクレンチ

デジタル式トルクレンチとは

デジタル式トルクレンチ

デジタル式トルクレンチとは、トルク (回転力) を正確に測定し、制御するための電子デバイスを備えた工具です。

トルクレンチは一般的にボルトやナットを締め付ける際に使用され、特定のトルク値をで行うことが重要な場合に役立ちます。デジタル式トルクレンチはこの締め付け作業をより精密に管理するために、電子技術を導入した製品です。

通常のトルクレンチはアナログ式で、直接目盛りから力を読み取ります。しかし、読み取る角度や作業者によるばらつきがでるため、誤差が生じやすいです。一方、デジタル式では画面上に数字を表すため、操作によるばらつきを防げます。

また、ユーザーはデジタル式トルクレンチのディスプレイを使用して、必要なトルク値を設定できます。一度設定するとレンチはその値に達するまで自動的にトルクを制御する仕組みです。作業記録をデータ化し、パソコン上で保管することが可能な製品も販売されています。

デジタル式トルクレンチの使用用途

デジタル式トルクレンチは、トルクを正確に測定し、制御するための特定の用途で使用されます。以下はデジタル式トルクレンチの一般的な使用用途です。

1. 自動車整備

自動車のボルトやナットを締め付ける際に、デジタル式トルクレンチは非常に重要です。エンジンやブレーキ、サスペンションなどの各部品のボルトやナットを正確に締め付けるために使用されます。ホイールナットの締め付けトルクは特に重要で、正確なトルク設定はタイヤの安全性と寿命に影響を与えるため注意が必要です。

2. 航空機

航空機の組み立てや保守では、正確なトルク制御が必要です。デジタル式トルクレンチは航空産業での重要な工具として使用され、ボルトの締め付けや部品の交換などで役立ちます。メンテナンス作業では、異常なトルクがかかっていないかどうかを確認するためにも使用されることが多いです。

3. 建設業

建設現場で鉄骨などの構造物を組み立てる際に、デジタル式トルクレンチが使用されます。ボルトの正確なトルク締め付けを実現し、建物の耐久性と安全性を確保することが可能です。これにより、構造物が設計通りに建設されることを保証します。

デジタル式トルクレンチの原理

デジタル式トルクレンチは、トルクを正確に測定し、制御するための電子技術を組み込んだ工具です。トルク測定部分はトルクセンサー、データ処理ユニット、ディスプレイなどで構成されます。

1. トルクセンサー

デジタル式トルクレンチの核となる部分はねじり弾性体またはトルクセンサーです。トルクがかかるとねじれることで微小な変位が生じ、その変位を検出することでトルクを測定します。ねじり弾性体はトルクがかかるとねじれ、ねじりの度合いはトルクの大きさに比例します。

2. データ処理ユニット

データ処理ユニットはセンサーからの信号を受信し、それを数値データに変換する部品です。事前に設定されたトルク値と比較して、トルクの達成状態を判断します。

3. デジタルディスプレイ

デジタル式トルクレンチには、トルクの読み取り結果を表示するデジタルディスプレイが組み込まれています。ディスプレイには現在のトルク値や設定された目標値を示すインジケーターが表示されることが多いです。

デジタル式トルクレンチの選び方

デジタル式トルクレンチを選ぶ際には、いくつかの重要な要因を考慮する必要があります。

1. 電源

デジタル式トルクレンチには通常電池が内蔵されており、電源として使用されます。一部のモデルは充電式であり、USB充電ポートを備えていることもあります。電池の寿命と充電の頻度を確認し、使用頻度に合ったモデルを選ぶことが重要です。

2. 負荷方向

トルクレンチの使用目的によって、適切な負荷方向を選択する必要があります。一部のトルクレンチは片側 (CWまたは時計回り) のトルクのみを測定し、他のモデルは双方向のトルクを測定することが可能です。使用するボルトやナットの特性に合わせて選びます。

3. トルク範囲

トルクレンチのトルク範囲は、測定できるトルクの最小値と最大値を示します。使用する場面や用途に合わせて適切な範囲を選ぶことが重要です。トルク範囲が広いモデルは多目的に使用できますが、精度を求める場合には、範囲を限定した製品が適していることがあります。

4. 精度

多くのデジタル式トルクレンチはアナログ式トルクレンチに比べて高精度な仕様です。アナログタイプは±3%程度の精度であり、デジタル式では±1%程度の精度です。また、デジタル式は数値の表示値の読取り間違いも少なく、ヒューマンエラーの回避にも役立ちます。

デジタル式トルクレンチのその他の情報

デジタル式トルクレンチの校正

トルクレンチは計測器なので、正しいトルク値で機能するように定期的に校正を行うことが大切です。計測単位はNm (ニュートンメータ)のものが主流です。

トルクレンチの校正する際は、トルクレンチを水平に固定して分銅を吊り下げます。その分銅の値とトルクレンチの表示が規定の精度範囲内か確認します。トルクレンチのフルスケールを等分割した分銅を使って値を記録する仕組みです。

参考文献
https://ktc.jp/torque/torque.html
https://www.rent.co.jp/sanki/11data/torque_wrench_digital_ken.htm
https://matome.response.jp/articles/3997
https://d-engineer.com/kikaiyouso/toruq.html
https://ktc.jp/trasas/torqule.html

除水機

除水機とは

除水機は除水装置とも呼ばれ、製品に付着した水分を除去する装置です。例えばレトルト食品のパウチ製品などは製造工程でパウチに水滴が付くことがあります。これを水滴を除去しないまま箱詰めしてしまうと、カビの発生やパッケージの損傷など多くの不具合が発生し、納品後に不具合が露見した場合にはクレーム問題に発展します。

これまでは、除水機で水分を除去しても完全に水分を除去できず最終的に手作業で水分を除去するシーンなどもありましたが、最近の除水機は性能が上がり、手作業無しで完全に水分を除去できる装置も増えています。

除水機の使用用途

既に述べたようにレトルト食品のパウチからの水分除去において除水機は数多く活躍しています。レトルトパウチには最近スタンディングパウチの採用が増えており、スタンディングパウチの底の部分の水分除去に対応した除水機も増えています。その他食品では、ハムやソーセージなどの表面からの水分除去、缶詰、瓶詰等の商品からの水分除去などにも活用されています。やまた、食品に関わらず水洗いが必要な商品からの水分除去にも使用されます。

除水機の原理

除水機の基本的な除水方法は、強力なブロワーで水分を吹き飛ばす方法です。除水する対象が熱風を受けても問題ない製品であれば、熱風を使用することもあります。
ブロワーで水分を吹き飛ばすといっても各メーカーによって多くの工夫が加えられており、ブロワーの数、ブロワーの送風角度、除水対象を載せるワークの構造なども工夫が見られます。

一方、ブロワーの風量を強力にすればするほど騒音が問題になり、現在の機種が以前のものよりも静かになったとはいえまだ相当な騒音であり、騒音問題の対応についても各メーカ様々な工夫が見られるようになってきています。また、インバーターなどを活用することにより、除水対象に最適な送風量を適切に調節可能可能にすることで騒音が減る上に節電にも貢献します。

また、食品の除水を行うことが多いことから、衛生面を考えてメンテナンス性は重要です。商品に近づく送風部のメンテンス製は最も重要ですが、フレームやカバーなど除水機全体のメンテナンスが簡単に行えることも製品メリットとなります。

オーディオアンプ

オーディオアンプとは

オーディオアンプ

オーディオアンプとは、音楽信号をスピーカーやヘッドホンで音楽再生するための増幅装置です。

音楽信号は、レコードやCDなどのメディアからプレーヤーと呼ばれる再生装置を介して出力される場合と、FMラジオ放送やインターネット経由で伝達される場合があります。これらの音楽信号を電力増幅して、スピーカーやヘッドホンを駆動するのに十分な電力を得ることがオーディオアンプの主な役割です。

オーディオアンプの使用用途

オーディオアンプは、音楽をスピーカーから流すために使用されています。一方、音楽信号を扱う装置は、レコードプレーヤー、CDプレーヤー、FMチューナー、ネットワークプレーヤー等、信号の形態も様々です。CDプレーヤーの出力電圧は最大で2V程度ですが、レコードプレーヤーの信号は1mV程度の微弱なアナログ信号です。ネットワークプレーヤーではデジタル信号出力となる場合もあります。

オーディオアンプはこれらの入力信号から所望のものを選択し、周波数特性の補正や音量レベルの調整機構を通して、スピーカーやヘッドホンを駆動する音楽信号を出力します。また、テレビや映画ソフトを鑑賞する場合も、臨場感あふれる音を求めて音声信号をオーディオアンプに入力し、外部スピーカーを駆動することがあります。

このような目的で使われるオーディオアンプはAVアンプとも呼ばれ、多チャンネル出力 (5.1チャンネル、またはそれ以上) を備えることが特徴です。

オーディオアンプの原理

オーディオアンプは、入力された音楽信号を処理するプリアンプ部と、音楽信号を電力増幅するパワーアンプ部から構成されています。

1. プリアンプ

プリアンプでは、信号源に応じた処理回路と、入力信号の選択スイッチ、低音域や高音域を強めるもしくは弱める為のトーンコントロール回路、音量を調整するボリュームなどから構成されています。上記処理回路には次のようなものがあり、様々な信号源に対応します。

  • フォノイコライザーアンプ
    レコード再生に対応する
  • バッファアンプ
    CDプレーヤーなどの信号をハイインピーダンスで受け、次段の回路にローインピーダンスで音楽信号を伝える
  • D/Aコンバータ
    USB端子からのデジタル入力信号をアナログの音楽信号に変換する

2. パワーアンプ

プリアンプの出力信号を、スピーカー駆動する為に電力増幅するための回路です。必要とする出力は数十Wから百ワット以上になります。また、スピーカーのインピーダンスは4Ωから8Ω程度と小さいので、パワーアンプの出力インピーダンスは極力低くすることが求められます。

オーディオアンプの種類

オーディオアンプは、音楽再生の目的や要求される性能から次の形態に分類できます。

1. プリメインアンプ

プリアンプ部とパワーアンプ部を一つの筐体に収めたもので、オーディオアンプとしては一般的な形態です。信号源を内蔵していないので、CDプレーヤーやFMチューナーなどの機器を入力端子に接続して使います。複数の音源を接続できますので、選択スイッチで所望のものを選んでスピーカーを鳴らします。

2. セパレートアンプ

プリアンプとパワーアンプを別の筐体に収めたもので、極めて高品位な音楽再生を求める場合にこの形態の製品を求めます。パワーアンプは大電力を駆動しますが、その際に発生するノイズ等がプリアンプに影響しないメリットがあります。

しかし、販売されている製品は高価なため、一般的ではありません。

3. レシーバー

FMチューナーを内蔵したプリメインアンプをレシーバーと呼ぶことがあります。嘗て比較的安価なステレオシステムで用いられていましたが、最近はこの形態の製品が少なくなりました。

4. ヘッドホンアンプ

スピーカーは使わず、ヘッドホンで音楽鑑賞することに特化したオーディオアンプです。ヘッドホンを駆動する電力は100mW程度で大掛かりなパワーアンプは不要なことから、小型の製品が販売されています。

インターネットによる音楽配信が普及してから、この形態のオーディオアンプが非常に増えてきました。デジタルの音楽信号をそのまま受けられるように、D/Aコンバータを内蔵している機種が多いことも特徴の一つです。

5. AVアンプ

前述したように、テレビ番組や映画ソフトを鑑賞する際に用いるアンプです。多チャンネルのスピーカーを配置して特殊な音響効果を活用するために、多数のパワーアンプを内蔵しています。

参考文献
https://www.denon.jp/ja-jp/blog/3596/index.html
https://www.pacnet.co.jp/column/2020/01/01200502.html
https://xn--dcknb0b6f4f7ftc.pw/archives/3197
https://korgnutube.com/jp/tube/
https://hiroya-kaitori.com/blog/tubeamp/
https://www.studionoah.jp/knowledge/guiter/post_3.php

オゾン水生成器

オゾン水生成器とは

図1-オゾンの特徴

図1. オゾンの特徴

オゾン水生成装置とは、純水や空気などを原料として水中に低濃度のオゾンを生成させる装置です。

オゾンは酸素原子3つが結合して形成される分子で、オゾン水はこのオゾンが水に溶けた水溶液です。オゾンは酸化力が高く反応性に富んでいますので、炭水化物とよく反応し、分解してしまいます。この作用を利用して殺菌や脱臭、漂白などを行います。

オゾン水生成器の使用用途

オゾンは酸化力が高いため、雑菌や微生物の除去や汚れの分解などに利用されています。また、オゾン水は使用後に水と酸素に戻るため、薬剤などの残留がなく安全性が高いことが特徴です。そのため、食品、飲食、医療など幅広い分野で利用されています。

オゾン水生成器は食品の洗浄や殺菌、脱臭などに使用されており、鮮度保持の効果も見込まれます。

現在では水道水の殺菌などにも使用されており、旧来の塩素のみの殺菌と比べ異臭味の低減に寄与しています。オゾンは人体に有害ですが、水中に存在する炭化水素と反応して酸素分子になり、反応せずに残ったオゾンは活性炭を用いて酸素に戻すため、家庭に配分される際にはオゾンは残留していません。ただし、オゾンは分解しやすいため、水道水の安全のため次亜塩素酸ナトリウムによる消毒は現在も行われています。

また、オゾン濃度を高めることで金属の除去や有機膜のエッチングを行うことができるため半導体や液晶、太陽電池などの業界でも用いられます。

オゾン水生成器の原理

図2-オゾン水生成器の種類

図2. オゾン水生成器の種類

オゾン水は主に空気や酸素ガスへの放電、水の電気分解、紫外線照射によって作り出されます。

1. 放電式

放電式オゾン発生装置は、酸素を含む気体を充填させて放電を行い、生じる電子によって酸素をオゾンに変換させます。

放電式オゾン発生装置には、無声放電式・コロナ放電式・沿面放電式などがあります。無声放電式は、既存のオゾン発生装置の中ではエネルギー効率が最も高く、大型のオゾン発生装置のほとんどがこの方式です。一方、コロナ放電式と呼ばれるタイプは、オゾン発生効率が低く、一般に小規模のオゾン発生器に用いられます。

2. 電気分解式

通常の水の電気分解では酸素と水素のみが発生しますが、陽極側の電極に二酸化鉛(β型)や白金などを用いて、酸素の発生と高濃度のオゾンの生成が行われます。原料となる水に不純物が含まれると副反応や電極の劣化につながるおそれがあるため、逆浸透膜やイオン交換膜を使用して得られた純水を原料として用いることがあります。

3. 紫外線照射式

紫外線式は、酸素を含む気体に紫外線を照射してオゾンを発生させる装置です。紫外線の中でも波長の短い深紫外線を酸素分子に照射すると、酸素分子が解離して酸素原子が生じ、その酸素原子が他の酸素分子と結合してオゾンが生成します。

紫外線式によるオゾン発生では、オゾン分解反応が並列して起こったり、分解反応で生じた酸素原子がオゾンと反応してオゾンを壊したりします。そのため、オゾンの発生効率や発生量が低く、小規模な殺菌に用いられます。

オゾン水生成器のその他情報

1. オゾン水の作用原理

図3-オゾンの作用機構

図3. オゾンの作用機構

オゾンは不安定な物質で、水中では、水と反応し、より強い酸化剤であるOHラジカルが生成されます。OHラジカルは電子が不足した不安定な状態であるため、近くの有機物から電子を奪い取り、電子を奪われた有機物は結合を分解されます。この酸化分解作用によって、細胞壁や細胞膜、細胞内の酵素や核酸の失活、匂いや汚れの原因となる成分の分解などを引き起こし、殺菌、脱臭や漂白などの効果が得られます。

2. オゾン水噴霧器

オゾン水噴霧器は、生成したオゾン水を噴霧ノズルから細かい粒子状のミストに変化させた上で対象物に直接かけたり、加湿器と同様に部屋中に循環させたりすることで除菌や除染ができる機械です。

小型のタンクに貯蔵すれば簡単に持ち運びができるので、喫煙所やゴミ置き場、トイレなどの比較的小さな空間で数が多い施設の脱臭や除菌に有効です。オゾン水を直接かけられない場所であっても、微細なミストが循環して行き渡るので隅々まで優れた殺菌や除染が可能です。

貯蔵して使用する場合はオゾンが一部分解してしまうことがありますが、噴あらかじめ高い濃度で生成しておくことで必要な除菌・除染の能力を維持することが可能です。

3. オゾン水生成器の防疫利用

オゾン水は高い除菌効果があるため、防疫の分野では感染症のパンデミックや口蹄疫や鳥インフルエンザ等の細菌、ウイルスの生物災害で利用されます。また、硫化水素等の化学災害など除染の際には現場はもちろん、除染に使用した様々な器材の洗浄にも使用されます。

オゾン水生成器で製造したオゾン水は、放水車等から通常の水の代わりに放水されたり、ハンディータイプの噴水機などで除菌や洗浄対象に噴きかけることができるので、大きさや場所に縛られずに幅広く活用できます。

オゾン水生成器を防疫に利用する場合のメリットは、水と空気と電源があれば現地で生成が可能で備蓄が不要な点です。さらにパンデミックや災害現場で直接生成して使用できるので、場所や搬送の制約が少なく、無害である上にさらに数時間後には酸素に分解するので直接下水に排水できることが大きなメリットです。

参考文献
https://biz.maxell.com/ja/living_life_equipment/mxzw-wm100j.html
https://eco-kankyo.com/service/ozon_water/
https://www.waterworks.metro.tokyo.jp/suigen/topic/13.html
https://www.teco.co.jp/wp/topix/2962
https://www.ozon-uv.com/ozon-water/ow-carrie-pat.htm

ワンタッチ管継手

ワンタッチ管継手とは

ワンタッチ管継手

ワンタッチ管継手とは、流体用のチューブやホースを差し込むだけで接続できる継手です。

エアー配管などで使用されることが多く、ネジ接続などに比べて迅速で簡単に組み立てることができるため、効率的な方法として広く採用されています。ワンタッチデザインのおかげで、特別な工具やスキルがなくても簡単に取り付けることができます。

一般的に、配管を継手に挿入するだけで、自動的にロックされる仕組みです。また、しっかりとした接続を提供し、漏れや外れも少ないです。ただし、ワンタッチ管継手はさまざまな材料で製造されています。

使用する材質は流体の性質や温度・圧力に適合している必要があります。適切な材質を選ぶことで、漏れや破損のリスクを最小限に抑えることが可能です。

ワンタッチ管継手の使用用途

ワンタッチ管継手は、さまざまな用途で使用される便利な配管接続継手です。以下はワンタッチ管継手の使用用途です。

1. 工業

工業分野では、生産ラインや工場内の異なる部門間での配管接続に使用されます。例えば、液体製品や原材料を効率的に供給するために使用されます。また、工場内でのメンテナンスや配管の変更が必要な際にも、ワンタッチ管継手によって迅速な対応が可能です。

その他、清掃用のエアー配管の継手として使用されることも多いです。ワンタッチ管継手を使用することで、流体取出口の仮設が容易になります。

2. 農業

農業分野では、灌漑や液体肥料の供給などにワンタッチ管継手が活用されます。畑や農地での効果的な水やりや栄養供給を支援するために使用され、農作業の効率を向上させることが可能です。

3. 水道

住宅や公共施設の水道や衛生設備においてもワンタッチ管継手が使用されます。キッチンやバスルームの蛇口やシャワーヘッドなどの部品の配管接続に使用され、修理や交換作業を簡単に行うことができます。

ワンタッチ管継手の原理

ワンタッチ管継手は、簡単な取り付けと確実な接続を実現するために設計されています。シールやプッシュイン機構、解除機構などで構成されることが多いです。また、内部にはOリングまたはシールが配置されています。このシール材が接続される配管との間にシールを形成し、漏れを防ぐことが可能です。

プッシュイン機構は、配管を継手に挿入するだけで自動的にロックされる仕組みです。一般的なプッシュイン機構は内部にばねを持ち、一定の力をかけることで配管をしっかりと保持します。

配管を取り外す際には、ワンタッチ管継手に備わる解除機構を使用します。これにより、一定の力をかけることでロックが解除され、配管が取り外すことが可能です。解除機構は簡単かつ迅速な取り外しを実現するのに不可欠です。

ワンタッチ管継手の選び方

ワンタッチ管継手を選ぶ際は、以下のような要素を考慮することが重要です。

1. 材質

ワンタッチ管継手のネジ部分は、ステンレスが使用されているものが多いです。さらに、耐食性の高いSUS304が使用されている製品や黄銅に無電解ニッケルメッキが施されている製品もあります。

リング部分にはポリプロピレンポリブチレンテレフタレートなど樹脂が使用されています。シール材にはニトリルブタジエンゴムが多いですが、耐薬品性が高い製品ではフッ素ゴムが有利です。オール樹脂製のワンタッチ管継手も販売されています。

2. 接続ねじ

ワンタッチ管継手の接続ねじは、接続する配管やチューブを基に選定します。主な接続ねじの種類にはNPTやメートルねじなどがあります。

エアチューブにはNPTによる呼称が使用されることも多いです。1インチを1分と呼びます。配管システムの標準ねじに合ったワンタッチ管継手を選ぶことで、漏れの少ない接続が可能です。

3. 形状

ワンタッチ管継手の形状は、余剰スペースに適合するかどうかに影響します。エルボやチーズ、ストレートなど、種類が豊富です。使用する場所や用途に合った形状を選ぶことで、配管の接続がスムーズに行えます。

4. 最大圧力

ワンタッチ管継手は、許容される最大圧力に適合する必要があります。配管内の圧力変動や流体の種類に応じて、適切な最大圧力のワンタッチ管継手を選ぶことが重要です。最大圧力を超えると、漏れや破損のリスクが高まる可能性があります。

参考文献
https://www.m-system.co.jp/mstoday/plan/mame/b_actuator/9509/index.html
https://jp.misumi-ec.com/vona2/mech/M1900000000/M1905000000/M1905030000/

微小流量計

微小流量計とは

微小流量計は非常に少量の流量を計測出来る流量計で、液体の場合はリットル/分より流量の低い流体を計測出来る流量計が微小流量計と呼ばれます。

ただし、その範囲は広く、マイクロリットル(0.001ミリリットル)/分程度の単位の流量を計測できる微小流量計も存在します。

微小流量計の測定方法はメーカによって様々で、測定の安定性や測定出来る流体の粘度の範囲、測定できる最小流量を等を争い、日々微小流量計の性能は向上しています。

微小流量計の使用用途

微小流量計の使用用途としては、少量の薬品等を正確に取り扱う必要のある化学プラント、食品プラント、薬品プラントなどが上げられます。これらのプラントでは、少量の薬品を一定の分量で継続的に供給を行うことが、製品の品質に影響するため微小流量計の必要性は非常に高いです。

また、レンズの研磨作業やシリコンウェーハの研磨を行うためには、非常に少量の研磨剤を定期的に供給する必要があるため、これらの作業にも微小流量計は無くてはなりません。

微小流量計の原理

微小流量の測定方法は様々で、現在も新しい測定方法の開発が続いていますが、代表的なものとして以下の3種類の測定方法があります。

  • アネモメータ方式
    この方式は、液体の流れの中でヒーターをある一定の温度になるように加熱します。流量が多くなればヒーターから奪われる熱量が多くなりヒータを一定の温度に保つにはより多くの電力を必要とし、逆に流量がすくなければ電力は少なくて済みます。アネモメータ方式はこの電力量から流量を測定します。
  • カロリメトリック方式
    この方式は、流体内の上流と下流に2つの温度センサーを配置し、センサー間にヒーターを設置します。センサー間にヒーターが存在することから、流体の上流と下流の温度差が生じ、その温度差を測定します。つまり、流速が速くなれば上流と下流の温度差は少なくなり、逆に遅くなれば温度差が大きくなることから、流速を測定することが可能となります。
  • Time of Flight(TOF)方式
    この方式は、流体内の上流にヒータを設置し、下流に温度センサーを設置します。上流のヒーターで加熱した液体が下流の温度センサーに達した時の温度を測定し流量を測定します。

参考文献
https://unit.aist.go.jp/nmij/public/report/bulletin/Vol8/1/V8N1P15.pdf

変調器

変調器とは

変調器とは、元の電気信号の振幅や周波数、位相などを変化させて、より伝送しやすい信号に変える機器のことです。

例えば、離れた2点間で無線通信を行う場合、送りたいデータをそのままの状態で信号として伝送するのは困難なため、変調器による信号の変調が必要になります。具体的には、送信したいデータを無線周波数のサイン波に乗せることで信号を送信します。

変調方式は、アナログ変調とデジタル変調の2種類です。相違点としては扱う信号がアナログ信号かデジタル信号かの違いであり、基本的な原理は同じです。

変調器の使用用途

変調器は、テレビやラジオ放送を送受信するために使用される機器です。音声や映像など、情報の種類によって周波数はそれぞれ異なりますが、そのまま信号として伝送するには周波数が低すぎる場合があります。

そのため、テレビやラジオ放送での変調器の用途は、元の信号よりも高い周波数に変調してデータ伝送することです。また、インターネット接続では、光ファイバー回線のように電気信号を光信号に変調したり、特有の周波数を持つ電話回線を用いて伝送したりする場合があります。

変調器の原理

放送や無線通信において、データをそのまま相手に伝送することは現実的ではありません。伝送しやすい形に変調することが必要です。

変調器では、まずベースとなる信号を用意し、そこに違いを与えることで識別可能な信号にします。このベースとなる信号を搬送波またはキャリアといいます。

搬送波に信号を乗せる方法は、大きく分けて以下の3つです。

1. 振幅変調

振幅変調 (AM) とは、搬送波の振幅を変調する方法です。ラジオやテレビなどで使われますが、外部の雑音なども拾ってしまうという特徴もあります。

復調時は受信した波形の上半分を切り出し、ピーク・ポイントを結ぶ (包絡線) と、送信側のアナログ信号を取得することができます。

2. 周波数変調

周波数変調 (FM) とは、搬送波の周波数を変調する方法です。ラジオのFM放送等に利用されます。周波数帯域は広くなりますが、振幅変調に比べ外乱が少ないのがメリットです。

FMの場合は、周波数を電圧に変換する回路 (クワドラチャ検波回路など) に振幅を一定にした受信信号を与えることで、出力電圧として周波数変調された送信側のアナログ信号を復調します。

3. 位相変調

位相変調 (PhM) とは、信号の大きさに合わせて搬送波の位相ずらす方法です。この方法は現在主流となったデジタル変調でよく使用されています。

アナログ信号の電圧レベルに比例するように、キャリア信号の時間的タイミングを変化させることで、元々のキャリアから時間差を作り出し、変調波形を作成する方式です。

変調器の種類

変調器は変調方式で、アナログ変調、デジタル変調、パルス変調、スペクトラム拡散方式の4つに大きく分類することができます。

1. アナログ変調方式

アナログ変調方式を用いた変調器は、上述したAMやFMのどちらかの変調方式が主な動作原理です。AM方式では、AMラジオ放送や航空無線などが主な使用例です。FM方式はFMラジオ放送やアマチュア無線、業務無線などで使用されます。

2. デジタル変調方式

デジタル変調方式は1と0の二値信号を伝送する方式です。携帯電話やBSテレビ放送など、近年の無線通信に採用されています。

デジタル変調はアナログ変調で変調波形を方形波にした場合と捉えることができます。デジタル信号で変調する方式の名称は、AM、FM、PhMに対応してASK (Amplitude Shift Keying) 、FSK (Frequency Shift Keying) 、PSK (Phase Shift Keying) です。

キャリアをスイッチで切り替えることと同義であることから、上記の名称で呼ばれています。

3. その他の変調方式

パルス変調方式はパルス幅を変化させる手法を指し、スペクトラム拡散方式は信号エネルギーを広域帯に分散させる手法を指します。

参考文献
https://www.cqpub.co.jp/hanbai/books/30/30341/30341_2syo.pdf
https://xtech.nikkei.com/it/pc/article/NPC/20070517/271444/