デジタル式トルクレンチ

デジタル式トルクレンチとは

デジタル式トルクレンチ

デジタル式トルクレンチとは、トルク (回転力) を正確に測定し、制御するための電子デバイスを備えた工具です。

トルクレンチは一般的にボルトやナットを締め付ける際に使用され、特定のトルク値をで行うことが重要な場合に役立ちます。デジタル式トルクレンチはこの締め付け作業をより精密に管理するために、電子技術を導入した製品です。

通常のトルクレンチはアナログ式で、直接目盛りから力を読み取ります。しかし、読み取る角度や作業者によるばらつきがでるため、誤差が生じやすいです。一方、デジタル式では画面上に数字を表すため、操作によるばらつきを防げます。

また、ユーザーはデジタル式トルクレンチのディスプレイを使用して、必要なトルク値を設定できます。一度設定するとレンチはその値に達するまで自動的にトルクを制御する仕組みです。作業記録をデータ化し、パソコン上で保管することが可能な製品も販売されています。

デジタル式トルクレンチの使用用途

デジタル式トルクレンチは、トルクを正確に測定し、制御するための特定の用途で使用されます。以下はデジタル式トルクレンチの一般的な使用用途です。

1. 自動車整備

自動車のボルトやナットを締め付ける際に、デジタル式トルクレンチは非常に重要です。エンジンやブレーキ、サスペンションなどの各部品のボルトやナットを正確に締め付けるために使用されます。ホイールナットの締め付けトルクは特に重要で、正確なトルク設定はタイヤの安全性と寿命に影響を与えるため注意が必要です。

2. 航空機

航空機の組み立てや保守では、正確なトルク制御が必要です。デジタル式トルクレンチは航空産業での重要な工具として使用され、ボルトの締め付けや部品の交換などで役立ちます。メンテナンス作業では、異常なトルクがかかっていないかどうかを確認するためにも使用されることが多いです。

3. 建設業

建設現場で鉄骨などの構造物を組み立てる際に、デジタル式トルクレンチが使用されます。ボルトの正確なトルク締め付けを実現し、建物の耐久性と安全性を確保することが可能です。これにより、構造物が設計通りに建設されることを保証します。

デジタル式トルクレンチの原理

デジタル式トルクレンチは、トルクを正確に測定し、制御するための電子技術を組み込んだ工具です。トルク測定部分はトルクセンサー、データ処理ユニット、ディスプレイなどで構成されます。

1. トルクセンサー

デジタル式トルクレンチの核となる部分はねじり弾性体またはトルクセンサーです。トルクがかかるとねじれることで微小な変位が生じ、その変位を検出することでトルクを測定します。ねじり弾性体はトルクがかかるとねじれ、ねじりの度合いはトルクの大きさに比例します。

2. データ処理ユニット

データ処理ユニットはセンサーからの信号を受信し、それを数値データに変換する部品です。事前に設定されたトルク値と比較して、トルクの達成状態を判断します。

3. デジタルディスプレイ

デジタル式トルクレンチには、トルクの読み取り結果を表示するデジタルディスプレイが組み込まれています。ディスプレイには現在のトルク値や設定された目標値を示すインジケーターが表示されることが多いです。

デジタル式トルクレンチの選び方

デジタル式トルクレンチを選ぶ際には、いくつかの重要な要因を考慮する必要があります。

1. 電源

デジタル式トルクレンチには通常電池が内蔵されており、電源として使用されます。一部のモデルは充電式であり、USB充電ポートを備えていることもあります。電池の寿命と充電の頻度を確認し、使用頻度に合ったモデルを選ぶことが重要です。

2. 負荷方向

トルクレンチの使用目的によって、適切な負荷方向を選択する必要があります。一部のトルクレンチは片側 (CWまたは時計回り) のトルクのみを測定し、他のモデルは双方向のトルクを測定することが可能です。使用するボルトやナットの特性に合わせて選びます。

3. トルク範囲

トルクレンチのトルク範囲は、測定できるトルクの最小値と最大値を示します。使用する場面や用途に合わせて適切な範囲を選ぶことが重要です。トルク範囲が広いモデルは多目的に使用できますが、精度を求める場合には、範囲を限定した製品が適していることがあります。

4. 精度

多くのデジタル式トルクレンチはアナログ式トルクレンチに比べて高精度な仕様です。アナログタイプは±3%程度の精度であり、デジタル式では±1%程度の精度です。また、デジタル式は数値の表示値の読取り間違いも少なく、ヒューマンエラーの回避にも役立ちます。

デジタル式トルクレンチのその他の情報

デジタル式トルクレンチの校正

トルクレンチは計測器なので、正しいトルク値で機能するように定期的に校正を行うことが大切です。計測単位はNm (ニュートンメータ)のものが主流です。

トルクレンチの校正する際は、トルクレンチを水平に固定して分銅を吊り下げます。その分銅の値とトルクレンチの表示が規定の精度範囲内か確認します。トルクレンチのフルスケールを等分割した分銅を使って値を記録する仕組みです。

参考文献
https://ktc.jp/torque/torque.html
https://www.rent.co.jp/sanki/11data/torque_wrench_digital_ken.htm
https://matome.response.jp/articles/3997
https://d-engineer.com/kikaiyouso/toruq.html
https://ktc.jp/trasas/torqule.html

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