オゾン水生成器とは
図1. オゾンの特徴
オゾン水生成装置とは、純水や空気などを原料として水中に低濃度のオゾンを生成させる装置です。
オゾンは酸素原子3つが結合して形成される分子で、オゾン水はこのオゾンが水に溶けた水溶液です。オゾンは酸化力が高く反応性に富んでいますので、炭水化物とよく反応し、分解してしまいます。この作用を利用して殺菌や脱臭、漂白などを行います。
オゾン水生成器の使用用途
オゾンは酸化力が高いため、雑菌や微生物の除去や汚れの分解などに利用されています。また、オゾン水は使用後に水と酸素に戻るため、薬剤などの残留がなく安全性が高いことが特徴です。そのため、食品、飲食、医療など幅広い分野で利用されています。
オゾン水生成器は食品の洗浄や殺菌、脱臭などに使用されており、鮮度保持の効果も見込まれます。
現在では水道水の殺菌などにも使用されており、旧来の塩素のみの殺菌と比べ異臭味の低減に寄与しています。オゾンは人体に有害ですが、水中に存在する炭化水素と反応して酸素分子になり、反応せずに残ったオゾンは活性炭を用いて酸素に戻すため、家庭に配分される際にはオゾンは残留していません。ただし、オゾンは分解しやすいため、水道水の安全のため次亜塩素酸ナトリウムによる消毒は現在も行われています。
また、オゾン濃度を高めることで金属の除去や有機膜のエッチングを行うことができるため半導体や液晶、太陽電池などの業界でも用いられます。
オゾン水生成器の原理
図2. オゾン水生成器の種類
オゾン水は主に空気や酸素ガスへの放電、水の電気分解、紫外線照射によって作り出されます。
1. 放電式
放電式オゾン発生装置は、酸素を含む気体を充填させて放電を行い、生じる電子によって酸素をオゾンに変換させます。
放電式オゾン発生装置には、無声放電式・コロナ放電式・沿面放電式などがあります。無声放電式は、既存のオゾン発生装置の中ではエネルギー効率が最も高く、大型のオゾン発生装置のほとんどがこの方式です。一方、コロナ放電式と呼ばれるタイプは、オゾン発生効率が低く、一般に小規模のオゾン発生器に用いられます。
2. 電気分解式
通常の水の電気分解では酸素と水素のみが発生しますが、陽極側の電極に二酸化鉛(β型)や白金などを用いて、酸素の発生と高濃度のオゾンの生成が行われます。原料となる水に不純物が含まれると副反応や電極の劣化につながるおそれがあるため、逆浸透膜やイオン交換膜を使用して得られた純水を原料として用いることがあります。
3. 紫外線照射式
紫外線式は、酸素を含む気体に紫外線を照射してオゾンを発生させる装置です。紫外線の中でも波長の短い深紫外線を酸素分子に照射すると、酸素分子が解離して酸素原子が生じ、その酸素原子が他の酸素分子と結合してオゾンが生成します。
紫外線式によるオゾン発生では、オゾン分解反応が並列して起こったり、分解反応で生じた酸素原子がオゾンと反応してオゾンを壊したりします。そのため、オゾンの発生効率や発生量が低く、小規模な殺菌に用いられます。
オゾン水生成器のその他情報
1. オゾン水の作用原理
図3. オゾンの作用機構
オゾンは不安定な物質で、水中では、水と反応し、より強い酸化剤であるOHラジカルが生成されます。OHラジカルは電子が不足した不安定な状態であるため、近くの有機物から電子を奪い取り、電子を奪われた有機物は結合を分解されます。この酸化分解作用によって、細胞壁や細胞膜、細胞内の酵素や核酸の失活、匂いや汚れの原因となる成分の分解などを引き起こし、殺菌、脱臭や漂白などの効果が得られます。
2. オゾン水噴霧器
オゾン水噴霧器は、生成したオゾン水を噴霧ノズルから細かい粒子状のミストに変化させた上で対象物に直接かけたり、加湿器と同様に部屋中に循環させたりすることで除菌や除染ができる機械です。
小型のタンクに貯蔵すれば簡単に持ち運びができるので、喫煙所やゴミ置き場、トイレなどの比較的小さな空間で数が多い施設の脱臭や除菌に有効です。オゾン水を直接かけられない場所であっても、微細なミストが循環して行き渡るので隅々まで優れた殺菌や除染が可能です。
貯蔵して使用する場合はオゾンが一部分解してしまうことがありますが、噴あらかじめ高い濃度で生成しておくことで必要な除菌・除染の能力を維持することが可能です。
3. オゾン水生成器の防疫利用
オゾン水は高い除菌効果があるため、防疫の分野では感染症のパンデミックや口蹄疫や鳥インフルエンザ等の細菌、ウイルスの生物災害で利用されます。また、硫化水素等の化学災害など除染の際には現場はもちろん、除染に使用した様々な器材の洗浄にも使用されます。
オゾン水生成器で製造したオゾン水は、放水車等から通常の水の代わりに放水されたり、ハンディータイプの噴水機などで除菌や洗浄対象に噴きかけることができるので、大きさや場所に縛られずに幅広く活用できます。
オゾン水生成器を防疫に利用する場合のメリットは、水と空気と電源があれば現地で生成が可能で備蓄が不要な点です。さらにパンデミックや災害現場で直接生成して使用できるので、場所や搬送の制約が少なく、無害である上にさらに数時間後には酸素に分解するので直接下水に排水できることが大きなメリットです。
参考文献
https://biz.maxell.com/ja/living_life_equipment/mxzw-wm100j.html
https://eco-kankyo.com/service/ozon_water/
https://www.waterworks.metro.tokyo.jp/suigen/topic/13.html
https://www.teco.co.jp/wp/topix/2962
https://www.ozon-uv.com/ozon-water/ow-carrie-pat.htm