ボールタップ

ボールタップとは

ボールタップ

ボールタップとは、浮子を使用して流体の水位を調整するための装置です。

主に液体を取り扱うタンクや容器に取り付けられ、水位の上昇や下降に応じて流体の供給や排出を制御します。操作が簡単で、水位の制御を容易に可能な点が特徴です。浮子の位置に応じて自動的に弁が開閉するため、特別な操作や設定が必要ありません。

機械的な部品が少なく、故障やメンテナンスの必要性が低いので、長期間にわたって安定して使用可能です。また、比較的低コストで入手できる点もメリットです。

水位調整に電力を使用しないため、省エネルギー効果もあります。水位の制御により、必要な流体の供給や排出量を最適化することで、水やエネルギーの節約にも貢献します。

ボールタップの使用用途

ボールタップは産業用途から日用品まで、幅広い用途で使用される機器です。代表的な用途はトイレの給水装置です。タンク内の水位が下がると、ボールタップが開いて水の供給が行われます。タンク内の水位が一定の範囲に達すると、ボールタップが閉じられて水の給水が停止します。

産業用途としての代表例は、クーリングタワーです。クーリングタワーは発電所などで熱を発する設備の冷却に使用される装置で、冷却水の循環が行われます。冷却水は蒸発して徐々に少なくなるため、ボールタップを使用して適宜給水が必要です。

また、農業における灌漑システムに組み込まれることもあります。水位の制御により、農地への水の供給を効果的に調整することが可能です。水位が一定の範囲を保つことで、作物へ適切な水量を供給します。

ボールタップの原理

ボールタップの原理は、浮力とバルブの連動に基づいています。ボールタップには液体中で浮力を受けるフロートまたは浮子があります。フロートは一般に球状または円盤状で、軽量な材料で作られるのが一般的です。フロートは液体の中に浮かび、水位の変動に応じて上下に移動します。

フロートの上下運動に連動して開閉するバルブが付属しています。バルブはフロートの下部に取り付けられ、水の供給や排出を制御します。なお、バルブは、フロートの位置に応じて開いたり閉じたりする部品です。

ボールタップが取り付けられたタンクや容器から液体が減ると、フロートは下降します。フロートが下降するとバルブが開いた状態となり、液体がタンクに供給される仕組みです。液体が供給されると水位が上昇し、フロートの上昇と共にバルブを閉まって水の供給が停止します。

ボールタップの選び方

ボールタップは以下の要素を考慮して選定します。

1. 材質

ボールタップは、使用環境や流体に適した材質を選ぶことが必要です。一般的には、ステンレス鋼や真鍮などの耐食性の高い材料が使用されます。特定の環境や流体によっては、プラスチック製のボールタップが適している場合もあります。

ボールの材質として多いのは、プラスチックや銅玉です。耐食性や強度を持たせたい場合はステンレスを使用します。選ぶ材質は、耐久性や化学的な互換性などの要素を考慮して決定する必要があります。

2. バルブ径

バルブ径はボールタップの流体処理能力を示す重要な要素です。流体の供給や排出の量に応じて、適切なバルブ径を選ぶ必要があります。

一般的には、大口径のバルブはより大量の流体を制御することが可能です。ただし、大口径の製品は大型の場合が多く、徐々に高価になります。システムの制約や必要な流体量に合わせて適切なバルブ径を選ぶ必要があります。

3. 構造

ボールタップには、単式と複式の2つのタイプがあります。単式は、水位の上昇に対して一本のアームでバルブを開くだけのシンプルな構造です。一方、複式は複数のアームを使用してボールの上下を検知する構造です。

単式の方が構造が簡単で安価ですが、複式の方が強度に優れている利点があります。使用環境や必要な水位制御の精度に応じて、単式または複式のボールタップを選ぶ必要があります。

4. 取り付け方法

ボールタップの取り付け方法は、使用するシステムや設備によって異なる場合が多いです。一般的な取り付け方法には、フランジ取り付けやネジ取り付けなどがあります。システムの仕様や取り付けスペースに合わせて、適切な取り付け方法を選択する必要があります。

参考文献
https://ssl.fcservice.co.jp/column/2013/10/post-40.html
https://www.kanevalve.co.jp/product/balltap.html

ボルト軸力計

ボルト軸力計とは

ボルト軸力計とは、ボルトが発生している軸力の大きさを知るための計測器です。

ボルトを含めたねじは、ねじ自体が引っ張られて元の長さに戻ろうとする弾性力によって、対象物を固定する力を発生しています。引っ張られたボルトが元に戻ろうとする力を軸力と呼び、ボルト軸力計によって計測します。ボルト軸力計には超音波式と油圧式が存在しますが、油圧式はトルシアボルトなどの製品検査に用いられる軸力計です。

一般的には、超音波式のボルト軸力計が普及しています。非破壊で検査が可能で、装置が小さく使う場所を選ばないなどのメリットがあります。

ボルト軸力計の使用用途

ボルト軸力計は、特に軸力管理が必要な締結の検査に用いられます。量産製品の締結検査に用いられることは稀であり、例えば風車や発電所といった施設の建設などが代表的な用途です。

その他の使用分野として、研究開発が挙げられます。軸力を知るためには歪ゲージを用いた軸力ボルトが使われますが、ねじに穴を開けたり歪ゲージのリード線が通せるような工夫もしなければなりません。ボルト軸力計は耐久試験など、試験前と試験の経過、試験終了時のボルト軸力の計測などにも有用です。

ボルト軸力計の原理

ここでは、超音波式のボルト軸力計の原理を説明します。超音波ボルト軸力計で計測するのは、締結によって生じるボルトの伸びです。理由として、ボルト中を伝わる超音波の伝播速度が変わることと、ボルトが伸びことが挙げられます。

超音波の伝播速度は、ボルトに作用している応力の大きさによって変化します。ボルトを締結していない状態とボルトを締結しボルトに引っ張り応力が生じている状態では、超音波の伝播速度は遅くなります。

   v = v0 (1 – ασ) 

v: 応力負荷状態での超音波の伝播速度
v0: 無負荷状態での超音波の伝播速度
α: 材質と超音波の周波数によって決まる計数
σ: 締結によってボルトに生じている応力

また、応力が発生している状態は、ボルトが伸ばされていることを意味します。

   l = l0 (1 + σ/ E) 

l: 締結によって伸びた状態のボルトの長さ
l0: 無負荷状態でのボルトの長さ
E: ボルトの材質のヤング率

ボルトの締結によって超音波の伝播速度が遅くなること、またボルト自体が長くなっていることから、ボルトの端面から発射した超音波が先端まで伝わり反射して戻ってくるまでの時間は、無負荷状態のボルトよりも長くなります。つまり、無負荷状態と締結状態での超音波の電波時間の差が生じることを利用しているのが、超音波式ボルト軸力計の原理です。

ボルト軸力計の種類

ボルト軸力計のほとんどは超音波式ですが、油圧式のボルト軸力計もあります。油圧式のボルト軸力計はトルシアボルトと呼ばれる、破壊をともなうボルトの検査や強度試験に持ちられるものです。

ボルト軸力計のその他情報

ボルト軸力計を使用する際の注意点

超音波式のボルト軸力計が用いられますが、ボルト端面が平行になるように研磨が必要になるなど、ボルトの軸力は必ずしも簡単に計測できるわけではありません。ボルトの軸力管理はとても重要ですが、軸力を直接知ることは難しい場合がほとんどです。

工業製品の生産管理などでは、締め付けトルクや締め付け角度による管理が行われています。しかし、締め付けトルクや締め付け角度は、軸力の代用値に過ぎません。最も多く行われている締め付けトルクによる管理は、ねじ面やねじの座面の摩擦係数がある想定範囲内にある場合に限ってボルト軸力の代用値になります。

摩擦係数が想定範囲から外れていれば、締め付けトルクを管理しても、狙いどおりの軸力を得ることはできません。トルク管理によるボルト締結の管理においては、ねじやねじ座面の摩擦のばらつき範囲を想定し、生産においても想定範囲内を保つことが重要です。

参考文献
https://www.dakotajapan.com/maxseries.html
https://www.honda-el.co.jp/hb/3_25.html
https://www.tohnichi.co.jp/products/detail/79
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjspe1933/43/506/43_506_223/_pdf
https://magazine.cartune.me/articles/2368
https://www.thermofisher.com/blog/learning-at-the-bench/viscoelasticity-basic1/

フレキ管継手

フレキ管継手とはフレキ管継手

フレキ管継手とは、フレキシブル管継手の略で、柔軟性があり自由に曲げられる配管継手です。

給排水管やガス用配管をはじめ、様々な設備の配管継手として使用されています。柔軟性があるため、熱膨張で伸縮しやすい配管や振動しやすい機器との配管との接続に活用されています。

また、地震が発生したとしても、誘起される振動を吸収することが可能です。材質としてはSUS304等のステンレス鋼が用いられていますが、一部ゴムなどの非金属が使われることもあります。フレキ管継手の接続方法は、ねじ込みやフランジなどの一般的な配管継手と同様で、長さもある程度自由に選択することができます。

フレキ管継手の使用用途

フレキ管継手は、耐震性や耐熱性などに優れているため、水や油などの液体から、空気・蒸気・ガスなどの気体に至るまで様々な流体を輸送することができます。汎用性が高く、継手のバリエーションも豊富です。フレキ管継手の代表的な使用用途は、以下の通りです。

1. 振動に曝される用途

フレキ管継手は、振動を吸収する性能があるため、工場などにあるポンプやタンク、回転する機械用の配管として利用されています。振動する機械の配管が柔軟でないと、その振動が建物に伝搬し、建物自体が揺れてしまう可能性があります。

また、建築物同士を連結する配管や免振設備にも活用されています。日本は地震が頻発する国なので、地震によって地盤が振動したり沈下したりした場合でも、配管の破損を防ぐことができます。

2. 熱変化に曝される用途

蒸気の配管など、激しい熱変化のある使用用途の場合、膨張と伸縮を繰り返すことになるためその影響で劣化や破損する恐れがあります。この熱変化による応力を和らげるため、フレキ管継手が使用されます。

3. その他の用途

工場などで既存の設備や配管に加えて新たに配管工事をしたい場合、新たな配管がどうしても干渉してしまうことがあります。解決策の1つとして、様々な配管を組み合わせる方法もありますが、フレキ管継手を使用すれば1本で既存設備、配管を迂回可能で、工事も簡単に進めることができます。

フレキ管継手の特徴

フレキ管継手の大半は、SUS304などのステンレス鋼で造られています。一部ゴムなどの非金属素材からなるものもあります。ステンレス鋼は可とう性がありませんが、ベローズ構造やチューブ構造にすることで、可とう性を持たせられます。

ベローズ構造とは、いわゆる蛇腹形状です。ベローズには単式と複式があり、単式は1つのベローズで主に軸方向と角度、軸方向に対して直角方向の変位に対応することができます。一方、チューブ構造とは、波状のバネのような形状のことを指します。

古くから使われている硬質の塩ビ配管継手の場合、配管の芯がズレていると接続することができません。フレキ管継手では芯ズレがあったとしても施工が可能になり、工事の手間も比較的少なくすることができます。

フレキ管継手の種類

フレキ管継手には接続方法に応じて、さまざまな種類があります。代表的なものがフランジ型で、小口径から大口径まで幅広い用途に対応することができます。

ネジ型も使用される場合が多く、直径65ミリ以下の配管の接続に使われています。接続方法にはユニオンやニップルが一般的です。

フレキ管継手のその他情報

フレキ管継手の注意点

フレキ管継手は便利な部材ですが使用に際し、いくつか注意事項があります。まず挙げられるのが、口径によって最小の曲げ半径があることです。フレキ管継手の大半はステンレス鋼でできているため、所定の最小曲げ半径よりも小さい寸法で施工すると破損する恐れがあります。

次に挙げられるのは、長さにも制約があるということです。所定の長さより長い寸法で施工をすると、本来示す耐震性や熱膨張耐性を示さなくなります。最後に挙げられるのは、ねじれに対して非常に弱いことです。フレキ管継手はねじれが加わると、容易に破損してしまうことがあります。

参考文献
https://www.technoflex.co.jp/about/products/flex/
https://www.nfk-jp.com/products/flexible/

ヒューム集塵機

ヒューム集塵機とはヒューム集塵機

ヒューム集塵機とは、溶接作業に伴って発生するヒュームを吸引するための機器です。

ヒュームとは、固体物質の蒸気が凝固したり、気体の化学反応によって生じた固体粒子が空気中に浮遊するものを指します。このようなヒュームは、特にアーク溶接の際に発生します。また、グラインディング作業によって飛散する微細粉塵にも有害性があり、この場合も集塵機の使用が必要です。

溶接ヒュームには酸化鉄、ケイ素酸化物、ベリリウム、カドミウム亜鉛、鉛、アスベストなど、多様な有害物質が含まれています。このため、溶接作業を行う際にはヒューム集塵機を適切に使用し、作業環境の安全を確保することが極めて重要です。

ヒューム集塵機の使用用途

ヒュームを吸い込むことで、じん肺という病気になるリスクがあります。じん肺は、小さな土ぼこりや金属の粒などの無機物や鉱物性の粉じんが発生する環境で働く人々が、長年にわたりこれらの粉じんを大量に吸い込むことにより発症します。

この病気は、肺の組織が線維化し硬くなり、弾力性を失うことが特徴です。じん肺を避けるために、特に溶接作業などでヒュームが発生する際にヒューム集塵機が使用されます。

ヒューム集塵機の使用例としては、自動車整備工場や金属加工場が挙げられます。これには板金加工レーザー加工、溶接などが含まれます。これらの場所では、ヒュームやその他の粉じんが常に発生するため、集塵機を用いることで作業環境の安全を保ち、労働者の健康を守ることが可能です。

ヒューム集塵機の原理

ヒューム集塵機の原理は他の集塵機と大きく異なるわけではありません。主に羽根車を用いて吸引を行います。その際、ヒュームが羽根車に付着しないよう、いくつかのフィルター構造が用いられ容器内にはバッフル構造が設けられており、重たいヒューム粒子はこのバッフルに遮られて捕集されます。

その後、金網フィルターを通して大部分のヒュームが捕集されます。さらに、それでも取り除けない微細なヒュームはフィルターで捕集します。

また、溶接時にはスパッタや火花が発生します。これらの火花には溶けた金属の粒が含まれており、近くの金属に触れると冷えて固着します。これらの粒はスパッタと呼ばれ、集塵機内に入ると火災や故障の原因となるため、それらを阻止する仕組みが設けられています。

捕集したヒュームの除塵には、パルスジェット方式が広く用いられています。これは間欠的にジェット噴射を行うことで、効率的に捕集したヒュームを除去します。このプロセスにより、集塵機は効果的にヒュームを管理し、作業環境の改善が可能です。

ヒューム集塵機の選び方

使用する場所の規模とヒュームの量を考慮する必要があります。大規模な工場や頻繁に溶接作業が行われる場所では、高い吸引力と大容量のフィルターを備えたモデルが最適です。

異なる溶接プロセスは異なる種類のヒュームを生成します。たとえば、TIG溶接は比較的クリーンなヒュームを生成しますが、MIG溶接やスティック溶接はより多くの有害な粒子を放出する可能性があります。このため、生成されるヒュームの種類に応じて、特定のフィルターシステムを備えた集塵機を選ぶことが必要です。

集塵機のフィルター効率も重要な選定基準です。HEPAフィルターやULPAフィルターを備えた機種は、微細な粒子まで効果的に捕集できるため、特に健康を守るために推奨されます。また、フィルターのメンテナンスや交換の容易さも選択時に考慮すべき点です。簡単に交換や清掃ができる設計のものは、長期的な運用コストを低減します。

さらに、操作性とメンテナンスのしやすさも大切な要素です。ユーザーフレンドリーなインターフェースを持つ機種や、容易にアクセス可能な部品を持つ機種は、日常的な使用において大きな利点となります。また、機械の耐久性や製造元のサポート体制も評価すべきです。信頼できるメーカーから購入し、適切な保証が付いている製品を選ぶことが望ましいです。

参考文献
http://www.yodogawadenki.gr.jp/products/SET.html
http://terukobayashi.com/archives/9727

バイメタル式サーモスタット

バイメタル式サーモスタットとは

バイメタル式サーモスタットとは、温度変化に応じて形状が変わるバイメタルと呼ばれる金属片を使用して、温度制御を行うデバイスです。

バイメタルと呼ばれる2種類の異なった金属を張り合わせた接点を使用したサーモスタットを、総じてバイメタル式サーモスタットと呼びます。古くから使用される方式で、対候性・信頼性が高い装置です。

バイメタル式サーモスタットの使用用途

バイメタル式サーモスタットは、その信頼性とシンプルな構造からさまざまな用途で使用されています。代表的な用途は、温度制御が必要な装置やシステムです。家庭用冷蔵庫やエアコン、温水器などで温度を制御するために使用されます。

また、電子機器や電気機器では過熱による損傷を防ぐために使用されます。バイメタルが一定の温度を検知すると、電気回路を遮断して装置を保護することが可能です。その一例として、コンピュータの電源装置や電気ストーブなどがあげられます。

温度がある範囲を超えた場合に、警報を発するために使用されることもあります。温室や実験室などで温度が制御範囲を外れた場合に警告を出すために使用されることが多いです。

バイメタル式サーモスタットはその信頼性と堅牢な性質から、温度制御や制御回路の動作など、さまざまな分野で広く使用されています。

バイメタル式サーモスタットの原理

バイメタル式サーモスタットは、バイメタルと呼ばれる二層構造の金属片を利用して動作します。バイメタルは異なる熱膨張係数を持つ二種類の金属を積層した構造です。それぞれの金属層が異なる熱膨張係数を持つため、温度が変化すると一方の金属層がもう一方よりも大きく膨張または収縮します。

この膨張や収縮によって、バイメタル全体の形状が変化します。使用される金属としては、高膨張率側が鉄やニッケルの合金にクロムマンガンなどを添加します。低膨張率側は膨張係数を低くした鉄とニッケルの合金が使われることが多いです。

鉄やニッケルが使用される理由は、安くて加工がしやすく、耐久性にも優れているためです。バイメタル式サーモスタットは、バイメタルの形状変化を利用して温度制御を行う機器です。一般的な構造としては、バイメタルが一端で固定され、もう一端に連結された接点やスイッチを配置します。

温度が上昇すると金属片の膨張率差によって片方の金属層大きく膨張し、機器全体が曲がって接点やスイッチが開放されます。

バイメタル式サーモスタットの選び方

バイメタル式サーモスタットを選ぶ際は、以下の点に留意することが必要です。

1. 定格電圧

使用する電気機器や回路の仕様に基づいて、バイメタル式サーモスタットの定格電圧を確認します。製品が許容する最大電圧を超えないように選ぶ必要があります。AC100V~250V程度を許容する製品が一般的です。

2. 定格電流

使用する電気機器や電流要件に応じて定格電流を考慮します。定格電流を超過した場合、接点溶着などの故障が発生するため注意が必要です。適切な定格電流のサーモスタットを選ぶことで、正常な動作と信頼性を確保することが可能です。

制御回路に使用されることが多いため、定格電流は20A以下の製品が一般的です。小型製品の場合は3A程度の場合もあります。

3. 設定温度範囲

使用する場面で要求される温度範囲を確認して、適用可能な製品を選定します。温度範囲外では動作しない製品が多いです。設定温度範囲は数十℃から数百℃まで、幅広いラインナップが存在します。

4. 復帰タイプ

接点の復帰タイプも重要な要素です。自動復帰タイプと手動復帰タイプの2種類が存在します。自動復帰タイプのサーモスタットは、温度が設定範囲内に戻ったときに自動的に元の状態に戻ります。

手動復帰タイプは、一度動作した後は手動でリセットする必要があります。用途に応じて選定する必要があります。

参考文献
http://www.ngt.co.jp/technical/about_thermostat.html
https://www.nippon-heater.co.jp/products/tc/tmqttm/

ナノバブル発生装置

ナノバブル発生装置とは

ナノバブル発生装置とは、超微細気泡と呼ばれる非常に小さな気泡を発生させる装置です。

ナノバブル発生装置により生成されるナノバブルと呼ばれる超微細気泡には、殺菌能力や洗浄能力、環境浄化、成長促進、免疫力向上、細胞保護能力などの性質があります。

ナノバブル発生装置の使用用途

ナノバブルの性質を生かした主な使用用途は、以下の通りです。

  • 殺菌力・洗浄力
    病院や介護施設など
  • 環境浄化
    一般排水や工場排水などの排水処理、河川や池や海水の水質浄化など
  • 生態活性化・細胞保護・成長促進
    魚の鮮度維持、牡蠣やエビなどの貝・甲殻類や魚類の養殖など

その他、ナノバブルには水の蒸発を促す効果もあるため、水冷式冷却塔の効率化などが期待できます。熱伝達能力を利用して、効率よく液体の温度を低下させることなどにも利用されています。

ナノバブル発生装置の原理

ナノバブル発生装置では、ナノサイズの超微細気泡を発生させています。一般的に直径50マイクロメートル以下の気泡をナノバブルと呼んでいます。

ナノバブルはイオンの力が働くことで気液界面が縮小し、イオン濃度が濃縮されて気泡内部の温度と圧力が高くなり、様々な現象が発現することが特徴です。なお、ナノバブル発生装置としては、ナノバブルよりも大きく、直径50マイクロメートルよりも大きく0.1mm以下程度の微細気泡であるマイクロバブルと共にナノバブルを生成する装置と、ナノバブルを直接生成する装置があります。

ナノバブル発生装置の種類

ナノバブル発生装置においては、マイクロバブルとナノバブルを同時に生成する「高速旋回液流式」と「加圧溶解式」があります。「界面活性剤添加微細孔式」と「超音波キャビテーション式」は、ナノバブルだけを生成する方式です。

1. 高速旋回液流式

高速旋回液流式は、ナノバブルが液体中に長い時間残存可能で、マイクロバブルは液面に浮上することを利用した方式です。まずは、液体と気体を混合し、気泡を発生させます。

これを高速旋回液流として回転させると気泡が細かく粉砕され、液体中にマイクロバブルとウルトラファインバブルが生じます。マイクロバブルは液面に浮上する性質があるので、マイクロバブルが浮上分離された後、液体内に残存しているナノバブルだけを回収可能です。

2. 加圧溶解式

加圧溶解式では、気体を加圧して液体中に過飽和で溶解させたのち、急減圧をおこなって、液体中にマイクロバブルとナノバブルを発生させます。その後、高速旋回液流式と同様に、マイクロバブルを浮上分離してナノバブルのみを回収します。

3. 界面活性剤添加微細孔式

界面活性剤添加微細孔式では、まず液体中に界面活性剤を十分に添加し、気液界面張力を低下させます。この後、ガスで圧力を掛けながら、ナノバブルのみ通過可能なサイズの超微細孔を有する膜を透過させ、この超微細孔からナノバブルを通過させて回収します。

4. 超音波キャビテーション式

超音波キャビテーション式では、液体中の溶存ガスに超音波によるキャビテーションを起こし、ナノバブルを生成しています。

ナノバブル発生装置のその他情報

ナノバブル発生装置の長所

ナノバブル発生装置は、排水や河川などの水質浄化や、魚介類の養殖での成長促進に利用されていますが、農業でも様々な長所があり利用が広がっています。

1. 栄養素の集積
農業で生育を促進するために活用されている肥料には、ナトリウムや鉄、またカルシウムなどの栄養素が含まれており、これらには、プラスの電荷を帯びる性質があります。ナノバブル発生装置により生成されるナノバブルは、マイナス電荷を帯びる特性があるため、栄養素を集めて効率良く農作物に与えることが可能です。

2. 植物細胞への浸透
ナノバブル発生装置により生成されるナノバブルのサイズは植物細胞よりも小さいため、植物細胞へ容易に浸透でき、このことからも肥料中の栄養素を効率よく農作物に与えることが可能です。

3. 気体の運搬
ナノバブル発生装置では、空気だけでなく酸素やオゾンなど様々な種類の気体をナノバブルにすることが可能です。農業で利用される農業用水の中にはポンプで地下からくみ上げるものがあり、その場合水中の酸素濃度が低いことが問題となっています。

ナノバブル発生装置を使用すれば、農業用水中に酸素よりなるナノバブルを生成することも可能です。酸素濃度を上げた農業用水を農作物に与え、かつ酸素がナノバブルとなっているため、植物細胞に酸素が直に届きます。病原菌対策として、殺菌や抗ウイルス性の高いオゾンを閉じ込めたナノバブルを活用している事例もあります。

参考文献
http://anzaimcs.com/main/aboutnanobubble.html
https://kyowa-ctc.co.jp/
https://www.micro-bubble-evc.com/micro-bubble/
http://www.tec-kak.co.jp/seihin/q-and-a.html
https://ecologia.100nen-kankyo.jp/column/single075.html
http://www.landbell.jp/images/pdf/nano-gijyutu.pdf

ナノインプリント装置

ナノインプリント装置とは

ナノインプリント装置とは、超微小回路パターンなどを形成するナノインプリントを行う装置です。

主に半導体の超微細回路パターンの形成などに使用されています。

ナノインプリント装置の使用用途

ナノインプリント装置は、半導体などの超微小回路パターンの形成に使用されています。ナノインプリント装置を使用すれば、微細なパターンを容易に量産できるため、これまで難しくコストがかかっていた微小回路を作成することが可能です。

半導体分野以外に、バイオテクノロジー分野やディスプレイなどの分野などでも利用されています。また、大学や研究所などの研究機関における研究や開発の目的での使用、生産の現場における条件や仕様に合わせた試作品を作るための使用も進んでいます。

ナノインプリント装置の原理

ナノインプリント装置は、ナノインプリント技術を実現する装置です。ナノインプリント装置は、ガラスや樹脂が塗布された基板および載置台、載置台に相対向して設置される超微細パターンが形成されている金型を有します。

そして、金型を基板に押し付けるプレス手段、ガラスや樹脂を硬化させる硬化手段が必須構成です。すなわち、基板上の溶融しているガラスや樹脂にプレス手段により金型を押し付け、金型の形状を転写します。

この金型の形状が転写されたガラスや樹脂を硬化手段により硬化し、基板上に超微細パターンを持つガラスまたは樹脂層を形成します。さらに、ナノインプリント装置は大型でスペースを必要とするものが一般的ですが、持ち運びができるほどコンパクトなサイズのナノインプリント装置も登場しています。

ナノインプリント装置のその他情報

1. ナノインプリント技術

ナノインプリント技術とは、極微細加工により超微小サイズのパターンを刻み込んだ金型をガラスや樹脂などに押し付けて同じ形状を転写する技術です。この技術により、超微小サイズのパターンが形成されている同一の部品を短時間で量産できます。

2. 樹脂の種類による硬化方法の違い

ナノインプリント装置の基板上の樹脂層に使用される樹脂としては、「熱可塑性樹脂」と「光硬化型樹脂」があります。「熱可塑性樹脂」とは、高温加熱することにより溶融し、冷却することで再度硬化する樹脂のことです。

一方の「光硬化型樹脂」とは光を照射することにより硬化が起こる樹脂で、UV硬化型樹脂などが代表的です。このため、ナノインプリント装置の硬化手段としては、冷却する手段と紫外線などの光を照射する手段があります。

なお、ナノインプリント装置としては、どちら一方の手段を持つものと両方の手段を持つものがあります。

3. 樹脂の供給方法

ナノインプリント装置において、ナノインプリントされる基板上の樹脂層の多くは基板上に一律に樹脂を塗布して形成したものです。この方法では、パターンを形成する場合にパターンの形状や樹脂の硬化速度によっては、パターンのエッジが甘くなるなどの問題が懸念されています。

そこで実施されているのが、基板上の樹脂の供給をインクジェットプリンターの技術を応用した方法です。すなわち、インクジェットプリンターの技術を利用して基板上のパターン形状に対応する部分にのみ、最適な量の溶融樹脂を噴出して塗布して樹脂層を形成しています。

このとき、パターンに応じた適量な樹脂量や樹脂のパターンへの流入速度、硬化速度などを考慮して溶融樹脂の最適供給量を求め装置に組み込んでいます。

4. ナノインプリント装置とリソグラフィ

半導体製造装置の中でもリソグラフィを利用した装置は、超微細パターンの形成に向いています。この装置では、基板上に一律に塗布された樹脂層上にパターンに応じて光を照射しています。つまり、光が当たった部分だけを硬化してパターンを形成し、現像して不要部分を取り除いてパターンが完成する仕組みです。

この方法の場合、光の照射は回路パターンに応じて縮小投影露光で行っています。この縮小投影露光はレンズ系により制御していますが、レンズ系の制御が困難で装置が大掛かりになるのが問題です。

しかし、ナノインプリント装置であれば、超微小回路パターンを形成した金型を樹脂層に押し当てて一気に光を照射するため、レンズ系の制御が必要ありません。非常にシンプルな操作で超微細回路パターンを有する半導体の製造が可能であり、ナノインプリント装置に対する期待が高まっています。

参考文献
https://www.mitsuiec.co.jp/nanoimprint
https://www.shinetsu.co.jp/jp/
https://xtech.nikkei.com/dm/article/WORD/20060314/114815/

ダイヤモンドペースト

ダイヤモンドペーストとは

ダイヤモンドペーストとは、宝石にならなかったダイヤモンドや、人工的に作り出した合成ダイヤモンドなどのダイヤモンド粒子を油脂に均一に分散させて混ぜ込んで作った研磨剤です。

非常に安定した研磨力を有している点が特徴として挙げられます。

ダイヤモンドペーストの使用用途

ダイヤモンドペーストは研磨剤として、様々なものに使用されています。例えば、金属及び非金属素材よりなる製品の研磨などです。金属としては、焼入れ鋼及び生材や超硬合金、ステンレスおよびジュラルミン、アルミや真鍮、硬質・軟質金属全般に対応できます。

また、非金属としては、セラミックスやフェライト、シリコンおよびゲルマニウム半導体、硝子類やプラスチック、ルビーやサファイヤ、メノー、水晶などの貴石や半貴石に対応可能です。プラスチック金型や金属などの研磨や、鏡面磨きといった最終仕上げにも使用されています。ペースト状であることから、入り組んだり曲がったりしていて作業が難しい複雑な形状の研磨などにも好適です。

ダイヤモンドペーストの原理

1. ダイヤモンドペーストの構造

ダイヤモンドペーストは、粘性のあるゲルや液体および固体に、微細なダイヤモンドの粒子を均一に練りこんだ状態となっています。このため、使用毎にダイヤモンド粒子の含有率が偏らず、一定の研磨力を保持した状態で研磨剤として使用することができます。また、ダイヤモンド粒子の粒度にも様々なものがあり、研磨対象物の材質や用途に合わせた選択が可能です。

2. ダイヤモンドペーストの特徴

ダイヤモンドペーストは、ペースト状であるため、液体状の研磨剤のように塗布後に研磨剤が流れ落ちることがありません。さらに、ペーストの状態を維持したまま使用できることから、他の研磨剤では難しい複雑な形状や曲面などの様々な箇所や形状の研磨にも対応可能です。

なお、ダイヤモンドペーストには、油性と水性の種類があります。水性のダイヤモンドペーストは、水で洗い流せるので、研磨加工後の片づけも容易で、非常に便利です。一方、油性のダイヤモンドペーストは、錆やすい部分などに使用するのに適しています。

ダイヤモンドペーストのその他情報

1. ダイヤモンドペーストの粒度

ダイヤモンドペーストの製品には、#6000などと記載されています。「#xx」は粒度を示し、粒度とは砥粒の大きさを表す指標です。数字が大きくなれば、砥粒が小さく、より精密な研磨が可能です。

仕上げによって使う粒度が異なり、例えば粒度の小さい#16などは粗仕上げ、粒度の大きい#10000などは鏡面仕上げに用いられます。特に粒度が小さいもの~#400までについては、JIS規格でふるいによって分級されています。

一方で、#400以上のものに関してはJIS規格で規定されておらず、各メーカーに任せた表記です。#400を超える領域では、粒径によってはxxμmと記載されているケースが多くみられます。この領域での粒度-粒径対比は仕様提示が明確にされていない場合があり、注意が必要です。

換算目安としては、15000/粒度=粒径となり、おおよその目安を知ることができます。ただし先述の通り、メーカー毎に表記が異なる場合があるため、あくまで参考値です。詳細が知りたい場合は、発売元に問い合わせましょう。

2. ダイヤモンドペーストの使い方

工業加工で使用する場合
工業加工において、ダイヤモンドペーストを使用する際には、希釈剤を用い、用途に合わせた濃度と硬さに薄めます。これをフェルトパッドなどの研磨布や鉄板、ガラス板などの研磨板に塗布し、研磨布や研磨板で対象物を擦ることでペーストを塗りこんで使用するのが一般的です。

この研磨作業時には、ダイヤモンドペーストのダイヤモンドにより研磨布や研磨板も摩耗が生じます。そこで、研磨布や研磨板の耐用回数を超えたら裏返して反対の面を使うか、新しい研磨板に交換する必要があります。

DIYなどで使用する場合
一方、DIYなどでダイヤモンドペーストを使う場合は、ペーストに加えて人工毛織シートを用意するのがおすすめです。人口毛織シートは、他のシートと比較して、繊維が均一なので鏡面仕上げに適しているためです。適量を毛織シートに塗布し、ヘアライン仕上げかサークル仕上げを行います。このとき、ダイヤモンドペーストの量が多くても少なくても研磨できません。

ヘアライン仕上げは直線的な磨きスジが出ることが多いので、サークル仕上げをおすすめします。サークル仕上げは一定の範囲内で、毛織シートをくるくると回転させながら試料を磨く方法です。ムラなく均一に磨くことが可能です。

ダイヤモンドペーストを拭き取るようにひたすら磨き続けると光沢感が増してきます。研磨中に洗浄剤などで拭き取らないようにすることがポイントです。ダイヤモンドペーストを利用することで、古くさびついた金属でも新品同様に鏡面仕上げ可能な場合があります。

参考文献
http://www.resiton.co.jp/publics/index/357/
https://www.monotaro.com/s/pages/cocomite/493/
https://jp.misumi-ec.com/vona2/detail/223000427448/

ダイヤモンドブレード

ダイヤモンドブレードとは

ダイヤモンドブレード

ダイヤモンドブレードとは、刃の部分にダイヤモンドの粒子を使用した硬度の高い切削工具のことです。

硬度が高く加工が難しい切削対象物を効率よく切断できます。エンジンカッターや電源工具に取り付けて使用されるダイヤモンドブレードは、優れた摩耗に対する耐性や強度を持っています。ダイヤモンドブレードの特性から、幅広い用途で活用されており、乾式や湿式の種類や溝加工の有無などを選択することが可能です。

湿式と乾式のどちらも使用できる場合は、湿式の方が優れています。湿式のダイヤモンドブレードは、冷却液を使用して切削中にブレードを冷却しながら作業を行うことが可能であるためです。高温にならず、ダイヤモンドブレードの性能をより高めることができます。

ダイヤモンドブレードの使用用途

ダイヤモンドブレードの主な使用用途は、硬度の高い削材を切断することです。具体的には、アスファルトやコンクリートで舗装された道路、橋の支柱部分、建造物などの建築物の加工に使用されています。

また、ダイヤモンドブレードはグルービング工事にも有用です。グルービング工事とは、道路に溝を加工することで、スリップ防止や安全性を向上させる工事です。グルービング工事は、自動車用の一般道路や高速道路、トンネルだけでなく、空港の滑走路にも適用されています。そのため、車や飛行機の安全性を高める効果が期待されています。

ダイヤモンドブレードの原理

ダイヤモンドブレードは、その構造と独自の技術によって高い強度と耐久性を実現しています。ダイヤモンドブレードは、基盤と呼ばれる鉄などの素材でできた本体部分と、チップと呼ばれる刃で切断を行う部分から構成されています。チップには、ダイヤモンドの粒子が均等に付加されているため、切削が可能です。

ダイヤモンドブレードの製造工程では、まずチップを基盤に取り付け、その後チップの表面を磨いて内部にあるダイヤモンド粒子を露出させる仕上げ作業が行われます。製品によっては、さまざまな技術が駆使されています。

例えば、表面の溝にダイヤモンド砥粒を圧入させたり、特殊な充填剤で結合させたり、メッキ技術を応用して表面に付着させたりするなど、砥粒の保持力を高める工夫が施されています。

ダイヤモンドブレードの種類

ダイヤモンドブレードは、その優れた切削性能と耐久性から多くの業界で利用されていますが、用途や対象材料によってさまざまな種類が存在します。作業内容や対象材料に応じて適切な種類を選択することが重要です。

1. 乾式ダイヤモンドブレード

乾式ダイヤモンドブレードは、水なしで使用されるタイプのブレードです。主に屋内での作業や、水を使うことが難しい環境での切断作業に適しています。ただし、切削時に発生する熱がブレードの寿命を縮めることがあるため、定期的な休憩が必要です。

2. 湿式ダイヤモンドブレード

湿式ダイヤモンドブレードは、水を使って切削を行うタイプのブレードで、切断時にブレードを冷却するため、熱による摩耗が抑えられ、長寿命化が図られます。また、切削粉塵の発生も抑制されるので、環境負荷が低減されます。主に屋外での作業や、大規模な切断作業に使用されます。

3. セグメントタイプ

セグメントタイプのダイヤモンドブレードは、刃部分が独立したセグメントに分かれていることが特徴です。熱の発散が良く、乾式での使用に適しています。また、セグメント間の隙間が切削粉を排出しやすくするため、切削性能が向上します。

4. 連続リムタイプ

連続リムタイプのダイヤモンドブレードは、刃部分が連続していることが特徴で、切断面が滑らかに仕上がります。一般的に湿式で使用され、タイルや石材などのデリケートな材料の切断に適しています。

参考文献
https://www.noritake.co.jp/products/abrasive/middles/detail/56/
http://blog.momocan.shop/?eid=19

タングステン電極

タングステン電極とは

タングステン電極とは、溶接の際に用いる電極です。

タングステンが材料であり、円筒型に加工されています。径は1.0~4.0mm程度、長さは150mm程度で販売されています。

タングステン電極の使用用途

タングステン電極は溶接の際に使用します。そのため、工事現場や加工工場などが主な使用場所です。具体的な使用用途は以下の通りです。

  • ボイラーの補修用
  • バイクや自動車のメンテナンス・改造
  • 造船所における船舶製造
  • 化学プラントにおける配管修理用

基本的には、金属母材の溶接に使用します。製造業の中でも重工業において多く用いられる部材です。

タングステン電極の原理

タングステン電極は、タングステンが材料の棒材です。タングステンとは原子番号が74の金属で、元素記号はWと表記します。金属の中では比較的抵抗が高く、融点が高いことが特徴です。

タングステン電極は、融点が高い特徴を利用してTIG溶接用の電極として使用されます。TIG溶接は「Tungsten Inert Gas 溶接」の略で、タングステン電極と不活性ガスを利用した溶接です。溶接する母材とタングステン電極の間に高電圧を印可し、アーク放電を発生させます。

発生させたアーク放電の熱によって母材を溶かして溶接します。その際にアルゴンヘリウムなどの不活性ガスを吹き付けることで金属の酸化や劣化を防止します。タングステン電極の融点が高いために母材に混ざることなく、溶接が可能です。タングステン電極の先端は使用時に円錐型に加工されます。この削り角度によってアーク放電の形状を変えること可能です。

タングステン電極の先端を鋭角にすると、アークが全体に広がって範囲が広くなります。母材の広い面積を浅く溶かすことが可能です。鈍角にすると、アークが先端部分の一点に集まります。母材の一点を深く溶かすことが可能です。

タングステン電極の種類

JIS規格で定められているタングステン電極は4つの規格が存在します。酸化トリウム入り、酸化セリウム入り、酸化ランタナ入り、純タングステン電極の4種類です。それぞれ特徴が異なるため、用途に応じて適したものを使い分けることが重要です。

1. 酸化トリウム入りタングステン電極

酸化トリウムを1~2%含有するタングステン電極です。摩耗に対する強度とスタート性が純タングステン電極よりも優れているのが特徴です。ただし、交流電流で使用する際に電極の先端が変形しやすく、溶接時に溶け出して飛び散る場合があります。そのため、直流電流で溶接する用途に適しています。

2. 酸化セリウム入りタングステン電極

酸化セリウムを1~2%含有するタングステン電極です。交流電流でも先端部分が溶けて飛び散ることがないため、酸化トリウム入りよりもさらに摩耗に対する耐性やスタート性が高い電極です。アルミやアルミ合金の交流溶接に適しています。

3. 酸化ランタナ入りタングステン電極

酸化ランタナを1~2%含有するタングステン電極です。4種の中で最も摩耗に対する耐性とスタート性が高い電極で、アーク安定性を保持しながら長時間連続的に使用可能です。自動溶接に適しており、ロボット溶接などの用途で用いられます。

4. 純タングステン電極

純粋なタングステンのみで構成されたタングステン電極です。4種の中で最も摩耗に対する耐性やスタート性が弱い電極です。先端が摩耗するのが早い反面、一度丸くなった後はそれ以上変形しないので溶接時の飛び散りが起きにくい特徴があります。そのため、電極の消耗が大きい交流溶接の用途に使用されます。

タングステン電極のその他情報

タングステン電極の識別色

タングステン電極は先述した種類ごとに識別色が定められています。識別色とは、販売時に分かりやすいように棒端部を塗装する色です。JISなどの規格で定められています。以下はJISで定められた各電極の識別色です。

黄色 1%トリウム入タングステン電極
赤色 2%トリウム入タングステン電極
桃色 1%セリウム入タングステン電極
灰色 2%セリウム入タングステン電極
黒色 1%ランタナ入タングステン電極
黄緑色 2%ランタナ入タングステン電極
緑色 純タングステン電極

参考文献
https://www.lamerco.com/product/r_parts/tungsten_spec.php
http://www.tohokinzoku.co.jp/business/electrode.html
https://www.weldtool.jp/article/yousetsu-sozai/3200
https://www.rakuten.ne.jp/gold/kougunomikawaya/tungsten.html