ダイヤモンドペースト

ダイヤモンドペーストとは

ダイヤモンドペーストとは、宝石にならなかったダイヤモンドや、人工的に作り出した合成ダイヤモンドなどのダイヤモンド粒子を油脂に均一に分散させて混ぜ込んで作った研磨剤です。

非常に安定した研磨力を有している点が特徴として挙げられます。

ダイヤモンドペーストの使用用途

ダイヤモンドペーストは研磨剤として、様々なものに使用されています。例えば、金属及び非金属素材よりなる製品の研磨などです。金属としては、焼入れ鋼及び生材や超硬合金、ステンレスおよびジュラルミン、アルミや真鍮、硬質・軟質金属全般に対応できます。

また、非金属としては、セラミックスやフェライト、シリコンおよびゲルマニウム半導体、硝子類やプラスチック、ルビーやサファイヤ、メノー、水晶などの貴石や半貴石に対応可能です。プラスチック金型や金属などの研磨や、鏡面磨きといった最終仕上げにも使用されています。ペースト状であることから、入り組んだり曲がったりしていて作業が難しい複雑な形状の研磨などにも好適です。

ダイヤモンドペーストの原理

1. ダイヤモンドペーストの構造

ダイヤモンドペーストは、粘性のあるゲルや液体および固体に、微細なダイヤモンドの粒子を均一に練りこんだ状態となっています。このため、使用毎にダイヤモンド粒子の含有率が偏らず、一定の研磨力を保持した状態で研磨剤として使用することができます。また、ダイヤモンド粒子の粒度にも様々なものがあり、研磨対象物の材質や用途に合わせた選択が可能です。

2. ダイヤモンドペーストの特徴

ダイヤモンドペーストは、ペースト状であるため、液体状の研磨剤のように塗布後に研磨剤が流れ落ちることがありません。さらに、ペーストの状態を維持したまま使用できることから、他の研磨剤では難しい複雑な形状や曲面などの様々な箇所や形状の研磨にも対応可能です。

なお、ダイヤモンドペーストには、油性と水性の種類があります。水性のダイヤモンドペーストは、水で洗い流せるので、研磨加工後の片づけも容易で、非常に便利です。一方、油性のダイヤモンドペーストは、錆やすい部分などに使用するのに適しています。

ダイヤモンドペーストのその他情報

1. ダイヤモンドペーストの粒度

ダイヤモンドペーストの製品には、#6000などと記載されています。「#xx」は粒度を示し、粒度とは砥粒の大きさを表す指標です。数字が大きくなれば、砥粒が小さく、より精密な研磨が可能です。

仕上げによって使う粒度が異なり、例えば粒度の小さい#16などは粗仕上げ、粒度の大きい#10000などは鏡面仕上げに用いられます。特に粒度が小さいもの~#400までについては、JIS規格でふるいによって分級されています。

一方で、#400以上のものに関してはJIS規格で規定されておらず、各メーカーに任せた表記です。#400を超える領域では、粒径によってはxxμmと記載されているケースが多くみられます。この領域での粒度-粒径対比は仕様提示が明確にされていない場合があり、注意が必要です。

換算目安としては、15000/粒度=粒径となり、おおよその目安を知ることができます。ただし先述の通り、メーカー毎に表記が異なる場合があるため、あくまで参考値です。詳細が知りたい場合は、発売元に問い合わせましょう。

2. ダイヤモンドペーストの使い方

工業加工で使用する場合
工業加工において、ダイヤモンドペーストを使用する際には、希釈剤を用い、用途に合わせた濃度と硬さに薄めます。これをフェルトパッドなどの研磨布や鉄板、ガラス板などの研磨板に塗布し、研磨布や研磨板で対象物を擦ることでペーストを塗りこんで使用するのが一般的です。

この研磨作業時には、ダイヤモンドペーストのダイヤモンドにより研磨布や研磨板も摩耗が生じます。そこで、研磨布や研磨板の耐用回数を超えたら裏返して反対の面を使うか、新しい研磨板に交換する必要があります。

DIYなどで使用する場合
一方、DIYなどでダイヤモンドペーストを使う場合は、ペーストに加えて人工毛織シートを用意するのがおすすめです。人口毛織シートは、他のシートと比較して、繊維が均一なので鏡面仕上げに適しているためです。適量を毛織シートに塗布し、ヘアライン仕上げかサークル仕上げを行います。このとき、ダイヤモンドペーストの量が多くても少なくても研磨できません。

ヘアライン仕上げは直線的な磨きスジが出ることが多いので、サークル仕上げをおすすめします。サークル仕上げは一定の範囲内で、毛織シートをくるくると回転させながら試料を磨く方法です。ムラなく均一に磨くことが可能です。

ダイヤモンドペーストを拭き取るようにひたすら磨き続けると光沢感が増してきます。研磨中に洗浄剤などで拭き取らないようにすることがポイントです。ダイヤモンドペーストを利用することで、古くさびついた金属でも新品同様に鏡面仕上げ可能な場合があります。

参考文献
http://www.resiton.co.jp/publics/index/357/
https://www.monotaro.com/s/pages/cocomite/493/
https://jp.misumi-ec.com/vona2/detail/223000427448/

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