ナノバブル発生装置とは
ナノバブル発生装置とは、超微細気泡と呼ばれる非常に小さな気泡を発生させる装置です。
ナノバブル発生装置により生成されるナノバブルと呼ばれる超微細気泡には、殺菌能力や洗浄能力、環境浄化、成長促進、免疫力向上、細胞保護能力などの性質があります。
ナノバブル発生装置の使用用途
ナノバブルの性質を生かした主な使用用途は、以下の通りです。
- 殺菌力・洗浄力
病院や介護施設など - 環境浄化
一般排水や工場排水などの排水処理、河川や池や海水の水質浄化など - 生態活性化・細胞保護・成長促進
魚の鮮度維持、牡蠣やエビなどの貝・甲殻類や魚類の養殖など
その他、ナノバブルには水の蒸発を促す効果もあるため、水冷式冷却塔の効率化などが期待できます。熱伝達能力を利用して、効率よく液体の温度を低下させることなどにも利用されています。
ナノバブル発生装置の原理
ナノバブル発生装置では、ナノサイズの超微細気泡を発生させています。一般的に直径50マイクロメートル以下の気泡をナノバブルと呼んでいます。
ナノバブルはイオンの力が働くことで気液界面が縮小し、イオン濃度が濃縮されて気泡内部の温度と圧力が高くなり、様々な現象が発現することが特徴です。なお、ナノバブル発生装置としては、ナノバブルよりも大きく、直径50マイクロメートルよりも大きく0.1mm以下程度の微細気泡であるマイクロバブルと共にナノバブルを生成する装置と、ナノバブルを直接生成する装置があります。
ナノバブル発生装置の種類
ナノバブル発生装置においては、マイクロバブルとナノバブルを同時に生成する「高速旋回液流式」と「加圧溶解式」があります。「界面活性剤添加微細孔式」と「超音波キャビテーション式」は、ナノバブルだけを生成する方式です。
1. 高速旋回液流式
高速旋回液流式は、ナノバブルが液体中に長い時間残存可能で、マイクロバブルは液面に浮上することを利用した方式です。まずは、液体と気体を混合し、気泡を発生させます。
これを高速旋回液流として回転させると気泡が細かく粉砕され、液体中にマイクロバブルとウルトラファインバブルが生じます。マイクロバブルは液面に浮上する性質があるので、マイクロバブルが浮上分離された後、液体内に残存しているナノバブルだけを回収可能です。
2. 加圧溶解式
加圧溶解式では、気体を加圧して液体中に過飽和で溶解させたのち、急減圧をおこなって、液体中にマイクロバブルとナノバブルを発生させます。その後、高速旋回液流式と同様に、マイクロバブルを浮上分離してナノバブルのみを回収します。
3. 界面活性剤添加微細孔式
界面活性剤添加微細孔式では、まず液体中に界面活性剤を十分に添加し、気液界面張力を低下させます。この後、ガスで圧力を掛けながら、ナノバブルのみ通過可能なサイズの超微細孔を有する膜を透過させ、この超微細孔からナノバブルを通過させて回収します。
4. 超音波キャビテーション式
超音波キャビテーション式では、液体中の溶存ガスに超音波によるキャビテーションを起こし、ナノバブルを生成しています。
ナノバブル発生装置のその他情報
ナノバブル発生装置の長所
ナノバブル発生装置は、排水や河川などの水質浄化や、魚介類の養殖での成長促進に利用されていますが、農業でも様々な長所があり利用が広がっています。
1. 栄養素の集積
農業で生育を促進するために活用されている肥料には、ナトリウムや鉄、またカルシウムなどの栄養素が含まれており、これらには、プラスの電荷を帯びる性質があります。ナノバブル発生装置により生成されるナノバブルは、マイナス電荷を帯びる特性があるため、栄養素を集めて効率良く農作物に与えることが可能です。
2. 植物細胞への浸透
ナノバブル発生装置により生成されるナノバブルのサイズは植物細胞よりも小さいため、植物細胞へ容易に浸透でき、このことからも肥料中の栄養素を効率よく農作物に与えることが可能です。
3. 気体の運搬
ナノバブル発生装置では、空気だけでなく酸素やオゾンなど様々な種類の気体をナノバブルにすることが可能です。農業で利用される農業用水の中にはポンプで地下からくみ上げるものがあり、その場合水中の酸素濃度が低いことが問題となっています。
ナノバブル発生装置を使用すれば、農業用水中に酸素よりなるナノバブルを生成することも可能です。酸素濃度を上げた農業用水を農作物に与え、かつ酸素がナノバブルとなっているため、植物細胞に酸素が直に届きます。病原菌対策として、殺菌や抗ウイルス性の高いオゾンを閉じ込めたナノバブルを活用している事例もあります。
参考文献
http://anzaimcs.com/main/aboutnanobubble.html
https://kyowa-ctc.co.jp/
https://www.micro-bubble-evc.com/micro-bubble/
http://www.tec-kak.co.jp/seihin/q-and-a.html
https://ecologia.100nen-kankyo.jp/column/single075.html
http://www.landbell.jp/images/pdf/nano-gijyutu.pdf