バイメタル式サーモスタットとは
バイメタル式サーモスタットとは、温度変化に応じて形状が変わるバイメタルと呼ばれる金属片を使用して、温度制御を行うデバイスです。
バイメタルと呼ばれる2種類の異なった金属を張り合わせた接点を使用したサーモスタットを、総じてバイメタル式サーモスタットと呼びます。古くから使用される方式で、対候性・信頼性が高い装置です。
バイメタル式サーモスタットの使用用途
バイメタル式サーモスタットは、その信頼性とシンプルな構造からさまざまな用途で使用されています。代表的な用途は、温度制御が必要な装置やシステムです。家庭用冷蔵庫やエアコン、温水器などで温度を制御するために使用されます。
また、電子機器や電気機器では過熱による損傷を防ぐために使用されます。バイメタルが一定の温度を検知すると、電気回路を遮断して装置を保護することが可能です。その一例として、コンピュータの電源装置や電気ストーブなどがあげられます。
温度がある範囲を超えた場合に、警報を発するために使用されることもあります。温室や実験室などで温度が制御範囲を外れた場合に警告を出すために使用されることが多いです。
バイメタル式サーモスタットはその信頼性と堅牢な性質から、温度制御や制御回路の動作など、さまざまな分野で広く使用されています。
バイメタル式サーモスタットの原理
バイメタル式サーモスタットは、バイメタルと呼ばれる二層構造の金属片を利用して動作します。バイメタルは異なる熱膨張係数を持つ二種類の金属を積層した構造です。それぞれの金属層が異なる熱膨張係数を持つため、温度が変化すると一方の金属層がもう一方よりも大きく膨張または収縮します。
この膨張や収縮によって、バイメタル全体の形状が変化します。使用される金属としては、高膨張率側が鉄やニッケルの合金にクロムやマンガンなどを添加します。低膨張率側は膨張係数を低くした鉄とニッケルの合金が使われることが多いです。
鉄やニッケルが使用される理由は、安くて加工がしやすく、耐久性にも優れているためです。バイメタル式サーモスタットは、バイメタルの形状変化を利用して温度制御を行う機器です。一般的な構造としては、バイメタルが一端で固定され、もう一端に連結された接点やスイッチを配置します。
温度が上昇すると金属片の膨張率差によって片方の金属層大きく膨張し、機器全体が曲がって接点やスイッチが開放されます。
バイメタル式サーモスタットの選び方
バイメタル式サーモスタットを選ぶ際は、以下の点に留意することが必要です。
1. 定格電圧
使用する電気機器や回路の仕様に基づいて、バイメタル式サーモスタットの定格電圧を確認します。製品が許容する最大電圧を超えないように選ぶ必要があります。AC100V~250V程度を許容する製品が一般的です。
2. 定格電流
使用する電気機器や電流要件に応じて定格電流を考慮します。定格電流を超過した場合、接点溶着などの故障が発生するため注意が必要です。適切な定格電流のサーモスタットを選ぶことで、正常な動作と信頼性を確保することが可能です。
制御回路に使用されることが多いため、定格電流は20A以下の製品が一般的です。小型製品の場合は3A程度の場合もあります。
3. 設定温度範囲
使用する場面で要求される温度範囲を確認して、適用可能な製品を選定します。温度範囲外では動作しない製品が多いです。設定温度範囲は数十℃から数百℃まで、幅広いラインナップが存在します。
4. 復帰タイプ
接点の復帰タイプも重要な要素です。自動復帰タイプと手動復帰タイプの2種類が存在します。自動復帰タイプのサーモスタットは、温度が設定範囲内に戻ったときに自動的に元の状態に戻ります。
手動復帰タイプは、一度動作した後は手動でリセットする必要があります。用途に応じて選定する必要があります。
参考文献
http://www.ngt.co.jp/technical/about_thermostat.html
https://www.nippon-heater.co.jp/products/tc/tmqttm/