ロッドレンズ

ロッドレンズとはロッドレンズ

ロッドレンズとは、円柱形状で外周面が高精度に研磨仕上げされたレンズのことです。

断面は基本的には切断面になっていますが、中には研磨仕上げされたものもあります。

光学的機能としては、外周部に照射された光をライン上に変換し、扇状に拡散させることができます。ラインセンサーなどのライン上の光を必要とする機器のために、集光を目的として使用されることが多くあります。扱える光の波長や焦点距離は、レンズの材質によって変化します。

ロッドレンズの使用用途

ここでは、ロッドレンズの使用用途について解説します。

ロッドレンズには、光をライン上に拡散する効果があり、これは建築用墨出器や非接触3次元形状測定器のレンズとしても使用されます。また、工場の製造ラインにあるラインセンサーの直前に置かれ、センサーが反応しやすくなるよう光を取り入れるためなどにも用いられます。

身近なものとしては、スーパーのレジなどにあるバーコードリーダーや、スキャナーなどにもロッドレンズが使用されています。

ロッドレンズの原理

レンズには、光を集光または拡散させる効果があります。

たとえば、凸レンズに入射した光はレンズによって屈折し、厚みのある中心部分に向かって進路を変えていきます。凸レンズは中心にいく程厚さが厚くなる形状のため、レンズを通過した光は1点に収束します。この場所を焦点といい、レンズの中心から焦点までの距離を焦点距離といいます。

レンズには様々な形状があり、形状によって光への作用も変わってきます。ロッドレンズはレンズの中でも特殊形状レンズに分類されます。入射光の1方向成分のみがレンズとして作用するため、通過後の光はスリットライン上になって扇状に広がっていきます。この特性を利用すると、レーザー光を細く集光したり、シート状の光を形成したりすることが可能です。

ロッドレンズと同じ特殊形状レンズに分類されるものが、シリンダーレンズ(シリンドリカルレンズ)です。基本的に光への作用はロッドレンズを同じですが、シリンダーレンズの方は形状が蒲鉾形になっています。

参考文献
https://www.ushio.co.jp/jp/technology/glossary/glossary_ra/rod_lens.html

レーザー干渉計

レーザー干渉計とは

レーザー干渉計

レーザー干渉計とは、光の干渉を利用して非常に高い精度で距離や形状の測定を行う装置です。

装置の中に組み込まれた光源から出力されたレーザー光は、ビームスプリッターと呼ばれる特殊なミラーによって2つに分けられます。そして、片方は直接サンプルの表面に照射、もう片方はビームスプリッターで一度反射してから照射される仕組みです。

このとき2つのレーザー光の間の光路長に差が生じます。そして2つの波が重なり合ったとき、波の位相に応じて干渉パターンが変わります。干渉パターンは光路長によって変わるので、サンプルの表面の凹凸に応じて敏感に変化します。

そのため、干渉パターンからサンプル表面の形状解析が可能です。高い測定精度と非接触性から、工業分野や科学研究などさまざまな分野で使用されています。

レーザー干渉計の使用用途

レーザー干渉計は、固体サンプルの表面形状の解析に用いられます。例えば、カメラのレンズやコンタクトレンズのように精密に形状を制御する必要があるレンズの表面解析やDVDディスクやガラスなどの表面形状測定にも用いられます。

平面、球面、半球面など、サンプルの形状によらず測定が可能であるため、使用分野は幅広いです。一方で、外部の振動やサンプル表面のゆらぎ、粗さなどの影響を受けて測定結果が変動しやすいため、液体サンプルや未研磨のサンプルの測定にはあまり用いられません。

レーザー干渉計の原理

レーザー干渉計の原理は、干渉の原理に基づいています。レーザー干渉計では、1つのレーザー光源から出た光を分割し、2つの光路に分けます。この分割された光路の1つは「参照光路」と呼ばれ、もう1つは「測定光路」と呼ばれます。

参照光路と測定光路で分けられた光が再び合流すると、光の干渉が起こります。干渉によって生じる明るさの変化を検出することで、光路の長さや形状の微小な変化を測定可能です。

具体的には、光が干渉する際には波の位相差によって明るさが変化します。位相差が0であれば干渉が完全に合致し、明るさが最大になります。逆に、位相差が波長の半分 (180度) ずれると、干渉が打ち消されて明るさが最小になります。

測定光路の一方の光路の長さが変化すると参照光路との位相差が生じ、この位相差を検出することで、測定対象の形状や移動量を高い精度で計測可能です。

レーザー干渉計の特徴

1. 2つに分けた光の位相の差を解析する

レーザー干渉計は、上で述べたように装置内で2つに分けられた光が重なったときの干渉パターンからサンプル表面の解析を行います。光は波の1種であるため、2つの光がお互い山、谷同士で重なった場合は波が強くなり、片方の波が山、もう片方が谷で重なった場合、波は打ち消されるのが特徴です。

この2つの光の波のずれを位相差と呼び、位相差が光の波長の倍数と等しいときに重なった波は強くなります。逆に位相差が光の波長の1/2の倍数に等しいときは波が打ち消されます。

2. 1μm以下の微小な厚みの変化も測定可能

レーザー干渉計で使用している光源の波長は630ナノメートル付近であるため、数百ナノメートルの僅かな光路の変化でも干渉パターンは変わります。したがって、1マイクロメートル以下の微小な表面の厚みの変化もレーザー干渉計では検出可能となります。

3. 振動対策が必須

レーザー光によるサンプルの変性は起こりにくいため、非破壊で表面の測定を行うことが可能であることもレーザー干渉計の大きな特徴の1つです。なお、レーザー干渉計は実験台の微小な振動の影響も受けやすいので、装置は振動や衝撃から保護するために使用される防振台の上に設置する必要があります。

参考文献
https://www.fujifilm.com/jp/ja/business/optical-devices/interferometer/knowledge
https://www.global-optosigma.com/jp/application/guide-int02.html
https://www.keyence.co.jp/ss/3dprofiler/keijou/flatness/interferometer/

レシプロコンプレッサ

レシプロコンプレッサとは

レシプロコンプレッサ

レシプロコンプレッサ (英: Reciprocating Compressor) とは、ピストンの往復運動で空気を圧縮する装置です。

レシプロは「往復運動する」という意味で、日本名では往復運動式圧縮機と呼ばれます。他のコンプレッサと比較して、高い圧力比を達成できるのが利点です。

また、比較的簡単な構造であり、メンテナンスや修理が比較的容易です。ただし、振動や騒音が大きいという欠点もあります。

レシプロコンプレッサの使用用途

レシプロコンプレッサは、さまざまな産業および商業用途で使用されます。以下はレシプロコンプレッサの使用用途一例です。

1. 空気圧系統

圧縮空気を供給するための空気圧系統で広く使われます。工場などの計装エアー配管などがその一例です。また、工作現場での工具や機械の駆動や乾燥装置などで利用される場合もあります。

2. 冷凍・冷蔵装置

冷凍や冷蔵装置において冷媒を圧縮するために使用されます。業務用の冷蔵庫・冷凍庫に使用されることが多いです。また、冷凍トラックや空調機などのさまざまな冷却装置で利用されます。

3. ガス供給系統

ガス供給系統で使用されることもあります。ガスを吸い込んで圧縮し、必要な圧力まで上げる役割を果たします。これにより、ガスをパイプラインやタンクに圧送します。

身近な一例は、LPG (液化プロパンガス) です。LPGは加圧することで容易に液化して体積が減るため、レシプロコンプレッサなどで液化させて運搬します。また、天然ガスの供給や圧縮、パイプラインの維持、圧力制御などに利用されます。

レシプロコンプレッサの原理

レシプロコンプレッサの原理は、ピストンの往復運動によってガスを圧縮するというものです。吸気・圧縮・排気のサイクルが繰り返されることによってガスを連続的に圧縮します。ピストンの運動は駆動装置 (エンジン、モーターなど) によって提供され、連続的な往復運動を実現します。

1. 吸気過程

ピストンがシリンダーの下方に移動すると、シリンダー内の容積が増加します。このとき、吸気バルブが開いて外部からガスがシリンダーに吸い込まれます。ピストンが下方に移動することで、シリンダー内の圧力が下がります。

2. 圧縮過程

ピストンがシリンダーの上方に移動し始めると、シリンダー内の容積が減少します。このとき、吸気バルブが閉じられ、シリンダー内のガスが圧縮されます。ピストンが上方に移動することで、シリンダー内の圧力が上昇します。

3. 排気過程

ピストンが上方に達した後、シリンダー内の圧力が最大になります。このとき、排気バルブが開き、圧縮されたガスがシリンダーから外部に排出されます。ピストンが下方に戻ることで、シリンダー内の容積が再び増加し、圧力が下がります。

レシプロコンプレッサの種類

レシプロコンプレッサは大きく分けて給油式とオイルフリー式とも呼ばれる無給油式の2種類があり、それぞれ利点と欠点があります。

1. 給油式

給油式のレシプロコンプレッサは、動作中に圧縮過程やピストンの潤滑のためにオイルを使用します。オイルによってピストンとシリンダーの摩擦を減らし、潤滑性能が向上します。これにより、摩耗や熱の発生が抑えることが可能です。

また、オイルの存在によって動作部品間の振動や衝撃を吸収するため、騒音と振動が低減されます。ピストンとシリンダーの密閉性が向上するので、圧縮機としての効率も向上します。ただし、放出する気体中には油がわずかに含まれています

2. オイルフリー式

オイルフリー式は圧縮過程やピストンの潤滑にオイルを使用せず、摩擦や潤滑を他の方法で補う装置です。放出される気体中に油分が含まれないことから、油分を嫌う医療系や食品工業などに使用されます。オイルの廃棄物処理や漏れによる環境汚染のリスクも低減されます。

ただし、オイルフリー式は給油式よりも高温や高摩擦となりやすく、冷却や耐久性の面で設計上の工夫が必要です。また、大容量・高圧用途では主に給油式が使用されます。

参考文献
https://www.anest-iwata.co.jp/compressor/tech/3-1.html
https://www.bildy.jp/mag/reciprocating-compressor/#i
https://www.ihi.co.jp/compressor/products/reciprocating/process_gas/features.html

モールド変圧器

モールド変圧器とは

モールド変圧器

モールド変圧器とは、巻線部分をエポキシなどの樹脂によって含浸モールドさせた変圧器のことです。

乾式変圧器とも呼ばれます。変圧器は電圧を変化させる際に、鉄心や巻線部分がそこでの電力損失分の熱を帯びてしまうため、放熱させる必要があります。一般的な変圧器では放熱に油が使われますが、モールド変圧器では油の使用が無いため、発火などの安全面において優れた変圧器です。

万が一の際に、発火の恐れが低いことや軽量小型なものが多いことから、屋内での使用に適しており、身近な建物の中にも設置されています。

モールド変圧器の使用用途

モールド変圧器は、主にビルなどの建物の屋内設備の電気の変圧用途が多く、その安全性の高さから様々な場所で使用されています。一例をあげると、地下鉄の構内です。地下鉄では大きな電力を消費する場合があり、変圧器を必要とします。

しかし、油入変圧器を使用すると、万が一のときに大変危険です。このように、火災が発生すると非常に危険な場面では、モールド変圧器の使用が適しています。また、マンションやデパートなどでも使われます。安全性はもちろん、小型で軽量という特徴から屋内施設での使用に適している変圧器です。

モールド変圧器の原理

モールド変圧器は、一般の変圧器が電圧を変化させる際に発生する発熱を、変圧コイルを覆うエポキシ樹脂などの樹脂モールドを介して、空気中に伝搬させて冷却しています。一般的な変圧器は、鉄心と巻線を利用して構成されており、鉄心に導線を巻いた2つのコイル状の巻線が使用されます。

この巻き線コイルの片側に電流を流すと、電磁誘導の原理でもう一方に電圧が生じます。この巻き数を調整することで、発生する電圧を調整する装置が変圧器です。

電圧を変化させる際に、鉄心や巻線は電力損失分の発熱が生じます。油入変圧器では周囲の油が熱を取り去り、水や風の力で外に放熱します。一方、モールド変圧器は乾式変圧器とも呼ばれ、油を使用しない点が最大の特徴です。

モールド変圧器のその他情報

1. モールド変圧器の長所

油を使用しないことで、モールド変圧器には油入変圧器と比較して次のようなメリットとデメリットがあります。

安全性が高い
万が一の際、油に引火して発火する恐れが無いため屋内や密閉空間でも使用できます。一方で、油入変圧器の場合は、大容量だと設置に際して消化設備の具備が必要なケースがあります。

軽量で小型
油を使用しない分、軽量で小型の構造が可能です。建物の高層部分にも設置することができます。また、油入変圧器のように内部の油のメンテナンスや廃棄手法を考慮する必要もありません。

2. モールド変圧器の短所

コストが高い
油入変圧器と比べると、内部構造の違いからコストが高くなりがちです。したがって、導入に際しては、まず油入変圧器から考慮し、適さない場合にモールド変圧器を選択することが多いです。

駆動音や振動が大きい
油入変圧器は周囲の油が振動や音を吸収してくれますが、モールド変圧器はそれが無いため、比較すると騒音が気になります。

3. トップランナー変圧器

モールド変圧器は平成19年度までに、油入変圧器は平成18年度までに「トップランナー変圧器」として、環境にやさしい高効率な変圧器を推奨する制度が官民合わせて取り組みがなされています。ここでのトップランナー変圧器の基準は、旧JIS品に比べ損失を30%低減し、エネルギー変換効率約99%という世界 最高水準レベルが目標値です。

また、2014年度からはさらにもう一段階省エネルギー性能を向上させた「トップランナー変圧器2014」への取り組みがなされ、専用のロゴマークにて従来のトップランナー品と区別された指標が用いられています。トップランナー変圧器2014の高性能な指標への対応のため、各メーカーはトランス損失の改善に向けて技術面でしのぎを削っており、その一例には待機電力効率に優れたアモルファス素材の採用があります。

参考文献
https://electric-facilities.jp/denki8/henatsu.html
https://www.daihen.co.jp/technologygeeks/cat01/cat01_01/29/
https://www.yodohen.co.jp/product/trans/mold/

マグネットフィルタ

マグネットフィルタとは

マグネットフィルタとは、強力な磁石の力で、試料である液体中に含有される鉄粉などの異物を吸着して除去するろ過装置です。

工業用液体に混入している鉄粉や、製造工程で製品に混入する金属粉などの除去に主に使用されています。製造機械の配管などに合わせて大型のものからコンパクトなものまで、サイズ展開も様々です。

配管中にマグネットフィルタを配し、マグネットフィルタに金属を除去したい液体を通して、磁力でマグネットフィルタに金属を吸着させて異物除去をします。通常のろ過装置のようにフィルタの交換が必要なく、ランニングコストをおさえられるのもメリットです。

マグネットフィルタの使用用途

マグネットフィルタは主に、工業用液体に含まれる鉄粉などの除去に使用されます。

例えば、研磨作業時に使われる潤滑液や製品を洗う際に出る洗浄液には、鉄粉などの微少な金属が含まれている可能性があります。また、切削作業の際の冷却液として使用される切削液や車のエンジンを冷却するクーラント液なども同様です。

これらの液体に金属微小粒子が混入していると、これら液体を使って製造される製品を傷つけたり、製造機械の故障の原因になったりします。特に、切削作業で高精度の切断を求められる場合や、研磨作業で表面を凹凸なく磨き上げる場合などは、金属微粒子の混入は避けなければいけません。

そこで、マグネットフィルタを用いて、液体の不純物を取り除き使用しています。

マグネットフィルタの原理

マグネットフィルタは、磁力をもつフィルタに接するように液体を流し、磁力により液体中の金属を除去するものです。

例えば、棒状の磁性体を棒状のケースに収納したマグネットフィルタでは、ケースの一端に流入口と排出口を設けています。この流入口から液体を流入し、排出口から排出して液体を磁性体に接するように流します。液体中に含まれる金属は磁性体に吸着し、液体中の金属よりなる異物が除去される仕組みです。

他にも色々なタイプがありますが、仕組みは同じです。

マグネットフィルタのその他情報

1. マグネットフィルタの特徴

マグネットフィルタの特徴は主に次の3つです。

  • 微少な粒子の除去が可能
    マグネットフィルタは磁力により吸着してろ過するため、穴を通してろ過する通常のフィルタではろ過が困難な微細な粒子も除去可能です。鉄粒子では数ミクロン以下の微少なもののろ過も成功しています。
  • ランニングコストがほぼ0
    マグネットフィルタは通常のフィルタと違い、フィルタの交換が必要ありません。通常のフィルタのように不純物が詰まってしまうことはなく、消耗部分がないため、ランニングコストが少なく環境にも優しいフィルタと言えます。一方で、磁石に付いた鉄粉などは定期的に除去しなければなりません。フィルタの交換は必要ありませんが、メンテナンスは必要です。ただし、全自動でクリーニングをおこなうマグネットフィルタもあります。
  • 圧力低下がない
    マグネットフィルタはその構造上、ほとんど圧力低下が起こりません。鉄粉などが磁石に付着していても流路は確保されており、液体の流れをせき止めることがないためです。

2. 食品用途のマグネットフィルタ

マグネットフィルタは工業用液体の金属異物除去に使用されていますが、食品用途にも使用されています。例えば、ジュースや調味料、乳飲料などを製造する装置のパイプ送路に設置されています。

食品用マグネットフィルタは、ある程度液体を溜められる形状のポット形状のものや、通常の異物除去フィルタと組み合わせたものが一般的です。また、バターや味噌などの粘度が高い食品や固形分を含む果実入りヨーグルトのような食品には、流路が広いマグネットフィルタが使用されます。流路を広くとれば、高粘度のものも流れやすく、固形分があっても具材を傷つけません。

参考文献
http://marusantec.com/micromag_micromag.html
http://marusantec.com/micromag.html

マイクロプレート

マイクロプレートとは

マイクロプレートのイメージ

マイクロプレート(英: Microplate)  とは、主に生化学実験で使われる実験器具です。

ウェルと呼ばれる透明な多数のくぼみがついており、各ウェルをちょうど小さなシャーレのようにして用います。マイクロタイタープレート (英: Microtiter plate) と呼ばれる場合もあります。

同時に複数条件のアッセイを検討し、比較して観察及び分析を行うことに適しており、目的用途に合わせてウェル底の形状・色・容量・表面素材やコーティングを選択することが重要です。

マイクロプレートの使用用途

マイクロプレートは、多数のウェルを同時に用いることができる実験器具です。細胞株や微生物を同時に培養して条件検討に用いたり、希釈系列を作って測定する実験など、同条件下で多くのデータを取る実験などの用途に向いています。

マイクロプレートリーダーと組み合わせて使用することで、吸光検出・蛍光検出などが可能です。この場合は、特に微量試料を高感度で定量測定する用途に用いられます。

特に、生化学・臨床検査の現場ではELISA法 (酵素結合免疫吸着法) における使用が多い他、創薬の現場ではHTS (ハイスループットスクリーニング) で化合物ライブラリーから薬効をスクリーニングにかける際に使われます。また、顕微鏡などを用いて直接試料を観察したり、細胞イメージングに用いることも可能です。

マイクロプレートの原理

マイクロプレートの表面には、用途に合わせて異なった表面素材コーティングが施されており、試料の吸着・固定化を行うことができます。マイクロプレートを最も汎用する分析法がELISA法です。

ELISAの原理

図2. ELISA法の原理

ELISA法では、マイクロプレートに直接ないしは吸着抗体を介して吸着させた抗原に対し、特異性の高い抗原抗体反応によって抗体を結合させます。この抗体には予め発光する酵素を結合させておくため、酵素の反応に生じた発光をマイクロプレートリーダーで検出することが可能です。

微量試料でも定量的に感度良く測定でき、また放射線曝露などもない安全な検査方法であるため、生化学や臨床検査の分野で非常によく用いられている実験原理手法です。

マイクロプレートの種類

1. ウェルの数・大きさによる分類

マイクロプレートは、8×12の96ウェルプレート (96穴プレート) がよく使われますが、その他に6, 12, 24, 384なども用いられ、最もウェルの多いものでは9,600にもなります。プレートの大きさが同じ場合、ウェルの数が少ないほどウェルの大きさは大きくなります。

2. ウェルの形状による分類

ウェルの形状は、平底、丸底、V底などがあります。平底はウェル底部から測定するプレートリーダでの使用と細胞培養に適しており、丸底はサンプル回収を行いたいアッセイを行うことが容易です。

3. プレート素材による分類

マイクロプレートのプレート素材には、ポリスチレン、ポリプロピレン、ガラスなどがあります。使用したい薬品に合わせて薬品耐性のある素材を選択することが可能です。

4. 表面処理の有無

マイクロプレートのコーティングに用いられる官能基の例

図3. マイクロプレートのコーティングに用いられる官能基の例

表面処理されていないポリスチレン表面は疎水性のため、抗体など疎水性部分のある生体分子と相互作用して固定化することが可能です。疎水性分子との結合性を強化した高結合表面コーティングの他、逆に親水性表面 (ポリエチレンオキシド様) コーティングによって、分子間相互作用を最小にするようにしたものもあります。

その他には、試料の特定の官能基と共有結合して固定化するような分子構造を表面にコーティングしたもの (マレイミド基やヒドロキシ基など) もあり、これらは特定の生体分子を方向づけて固定化することが可能です。

5. 色

色は透明が主流ですが、その他では白・黒などがあります。黒は光の散乱を抑えるため蛍光のバックグラウンドが抑えられる、白は逆に反射するため発光のS/N比を増幅するなど、それぞれ検出における特徴があります。

参考文献
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S019697811500131X

ホース継手

ホース継手とは

ホース継手

ホース継手とは、異なる種類のホースや配管を接続するための装置です。

流体やガスの移送を可能にし、配管系統の組み立てや修理を容易にする役割を果たします。ホース継手は、さまざまな種類の中からホースの素材や流体によって適切な製品を選択する必要があります。選択を間違えるとリークや事故の原因となるため注意が必要です。

ホース継手の使用用途

ホース継手は、さまざまは場面で使用されます。主にホース同士の接続に使用され、流体やガスの漏れを最小限に抑えることが可能です。

代表的な例は、庭や家庭菜園で使用される散水用ホースの継手です。延長するための中間継手や蛇口との接続継手は共にホース継手です。市販の散水用ホース継手は容易に接続可能ですが、水漏れを起こしやすいデメリットがあります。

工場などでは、配管系統や機械装置との接続に使用されます。配管系統では異なる径や種類の配管を接続するために使用され、系統構築や修理において重要な役割を果たします。機械装置では油圧ユニットや空圧機器に使用され、異なる機器同士を接続するために重要な役割を果たします。

水道や衛生設備も用途の1つです。水道の供給や排水、シャワーヘッドや蛇口の接続に使用され、水の流れを制御する機器と接続されます。インフレータブル製品への空気供給などにも有用です。

ホース継手の原理

ホース継手は異なるホースや配管を接続するための装置です。以下の要素によって成り立っています

1. 接続部

ホース継手には接続部があり、ホースや配管の端部と接続されます。接続部は通常は円筒状の形状をしており、内部に螺旋状の溝やバーブ (突起) があることがあります。

2. シール

ホース継手の接続部はシールを形成する役割を果たします。ホースや配管と継手の接触面で圧力を受けて密着し、流体やガスの漏れを防ぎます。Oリングやガスケットなどのゴム製の部品が使用されることが一般的です。

3. 固定手段

ホース継手は配管を継手にしっかりと固定する手段を有している場合が多いです。一般的にはホースクランプやボルト・ナットなどが使用されます。これらの手段によって継手と配管が確実に結合され、外力や圧力による解除を防止します。

4. 材質と耐性

ホース継手は、使用される流体の種類に合わせた材質を選択する必要があります。耐性のある材料を選定すれば、化学物質や高温、高圧などの環境条件に耐えることができます。一般的な材料は、ステンレス鋼・真鍮などの金属や、ポリプロピレン・ナイロンなどのプラスチックです。

ホース継手の種類

ホース継手は、用途に合わせて非常に多くの種類があります。以下はホース継手の種類一例です。

1. タケノコ継手

タケノコ継手は、ホースの内径に合わせたタケノコ状の突起を持つ継手です。ホースを継手に差し込み、ホースクランプなどで固定します。ホースバーブ継手はさまざまな形状や材質で提供され、一般的に低圧の流体に対して使用されます。

2. クイックカップリング継手

クイックカップリング継手は、ホースの接続や切断が素早く行える継手です。ホースの端部にあるカップリングと継手本体にあるソケットを嵌め込むことで接続が成立します。工業用や農業用のホース系統で広く使用されています。

3. ねじ込み継手

ホースや配管をねじ込むことで接続するタイプのホース継手です。一方の継手には外側にネジがあり、もう一方の継手には内部にネジ穴があります。これにより、ホースや配管を継手にねじ込むことで接続が成立します。

簡単に取り付けができる点が特徴で、通常は低圧系統から中圧系統で使用されます。シールの確保にはシールテープなどの補助材料が使用されることもあります。

4. フランジ継手

ホースや配管をフランジと呼ばれる平面の接合部で結合するための継手です。フランジ同士をボルトやナットで固定し、ガスケットを挟むことでシールが形成されます。高圧や大径の場合はフランジ継手が使用されることが一般的です。

参考文献
http://www.rgl.co.jp/html/page79.html

ホットプレス

ホットプレスとは

ホットプレスとは、高温に熱した材料に高圧力をかけて加工を行う装置のことです。

金属材料が高温になることで柔らかくなり、その状態で高圧力を加えることで塑性加工が可能となります。そのため、ホットプレスは多くの分野で幅広く使用されています。

ホットプレスの加圧方式は、基本的に一方向のみの単軸型ですが、多方向から加圧できる多軸型も存在し、用途に応じて選択可能です。また、ホットプレスで使用する温度は、数百度から、セラミックスの処理に必要な2,000℃以上の高温まで対応しています。

ホットプレスの使用用途

ホットプレスは、大きく分けて2つのタイプがあり、それぞれ異なる目的で活用されています。

1. 接合用ホットプレス

接合用ホットプレスは、金属や複合材料を接合し成形する際に使用されます。温度は比較的低く、数百度程度での使用となります。接合用ホットプレスは、材料同士を熱と圧力で結合させ、高品質な製品を生産することが可能です。

2. 焼結用ホットプレス

セラミックスや金属酸化膜基板を作る際に使用される装置です。焼結用ホットプレスでは、酸化アルミニウムをはじめとするセラミックスや金属酸化膜基板など、高温処理が必要な材料に対応しています。

酸化アルミニウムの粉体を高圧力で押し固めることにより、非常に硬いセラミックスが得られます。

ホットプレスの原理

ホットプレスは、高温と高圧力を組み合わせた加工方法です。まず、加圧には油圧が使用されます。圧力は機器によって1MPa (大気圧の10倍程度) から70MPaと幅広く選択可能です。

単軸型では、ワークに一方向から圧力が加えられて加工されます。一方、多軸型では、材料によっては複数の方向から圧力が必要な場合があり、数方向から圧力を加えることが可能です。

ヒーターでは、高温の場合は2,500℃程度まで加熱できます。黒鉛ヒーターを用いた抵抗加熱が行われ、高温を得ることが可能です。単純なホットプレスの仕組みでは、2つの平らな板を加熱し、その間にシート状の素材を置いてプレスすることで、樹脂シートなどの製品が作られます。

高温で使用されるため、出来立ての製品は非常に高温になっており、粗熱が取れるまで動かせない場合も多いです。このような場合には、冷却システムが搭載され、処理時間を短縮しています。

ハイテン材のその他情報

1. ハイテン材のホットプレス

自動車の骨格ともいわれるフレームは、自動車の強度や剛性に直結します。事故の際に乗員を守るうえでも重要な部分であることから、重く厚い金属材料を使うことで強度を高めていました。しかし、環境問題への関心から自動車の燃費向上を目的として自動車の軽量化が強く望まれ、フレーム部分の材料は軽さ、硬さ、薄さを兼ね備えた金属材料 (ハイテン材) が採用されるようになりました。

ハイテン材は従来品に比べて、軽量化に対して非常に有効です。しかし、高強度であるために製品の成形が困難であるという特徴があります。 ハイテン材の成形を行う際は、大きなプレス機を用いて高い成形荷重をかける必要があり、スプリングバッグも増大していました。スプリングバッグとは、物体の形を変える力 (プレス加工) よりも元の形に戻ろうとする力が大きい時に発生する現象です。

成形精度の再現性の難しさや金型にも負担をかけることから、従来プレス (コールドプレス) でのハイテン材の加工はとても困難とされていました。 しかし、ホットプレスでは硬いハイテン材を加熱し、軟化させることで成形を容易にします。加えて、スプリングバッグの発生を抑えられ、正確な寸法精度を出すことが容易となりました。

2. ホットプレスのメリット・デメリット

ホットプレスには成形加工を容易にするというメリットの他に、製品の強度が上がるという効果もあります。 熱せられた材料を金型で圧力をかけ冷やし固めることで、焼き入れ効果が発生し完成品はさらに高強度になります。 成形加工時は軟らかく、成形後製品は硬いことがホットプレス最大のメリットです。

その反面、ホットプレスには生産コストが非常に大きいというデメリットがあります。 材料を熱するための加熱炉が必要であり、初期投資とランニングコストが共にかかります。 また、生産の際には金型内で製品を冷却する時間を要するため、生産にかかる時間は従来プレス品の何倍も必要です。

その他、追加の加工に制約があります。 高強度のため形を変える加工はできず、穴をあける、切断するといった加工に限られます。

参考文献
https://www.ihi.co.jp/ims/products/hotpress/index.html
https://www.jutem.co.jp/
https://www.nipponsteel.com/tech/nssmc_tech/car/car_02/01.html

プラズマ装置

プラズマ装置とは

プラズマ装置とは、素材の表面に対してプラズマを照射し、洗浄や殺菌、コーティングなどの作業を行う高性能な装置のことです。

プラズマは、気体にエネルギーを与えることで生成される荷電粒子を含んだ特殊な気体状態で、分子との反応性が非常に高いことが特徴です。プラズマ装置は、使用する気体の種類やプラズマ生成方法によって効果が異なります。

例えば、酸素や窒素などの気体をプラズマ化させることで、素材表面の洗浄や殺菌効果が得られます。一方、シリコンやフッ素などの気体をプラズマ化させることで、素材表面にコーティング層を形成可能です。

プラズマ装置の使用を検討する際には、目的や用途に適した装置を選定することが大切です。例えば、医療機器や食品加工業界では、洗浄や殺菌を重視し、耐摩耗性や耐薬品性が求められる分野では、コーティング性能を重視することが求められます。

プラズマ装置の使用用途

プラズマ装置は、高いエネルギーと反応性を持つプラズマを活用し、多様な産業分野で使用されています。使用用途は幅広く、高度な技術が求められる領域から環境や衛生面に至るまで、さまざまな場面で役立っている装置です。

特に半導体集積回路などの精密機器部品製造現場では、プラズマ装置の洗浄や被膜形成、エッチング能力が重宝されています。そのため、素早くかつ高品質な製品が生産され、先端技術の発展に寄与しています。

また、プラズマ装置は産業廃棄物の無害化にも使用可能です。有害物質を分解し、環境への影響を最小限に抑えることが可能です。さらに、食品や薬品の消毒や殺菌にも利用され、安全性の向上に貢献しています。

プラズマ装置の原理

物質は温度が上昇すると、固体から液体、液体から気体と状態が変化していきます。気体の温度が上昇すると、原子中の電子が離れて正イオンと電子に分かれます。この現象を電離と呼び、電離よって生じた高エネルギー状態の気体がプラズマです。

プラズマ装置の種類は、大気圧プラズマ装置と低圧プラズマ装置の2つに大別されます。

1. 大気圧プラズマ装置

大気圧プラズマ装置はその名の通り、大気圧下でプラズマを発生させる装置です。高電圧をかけた電極に希ガスや酸素を通過させることでプラズマを発生させます。

真空環境が不要で、低圧プラズマよりもイオン密度が高いのが特徴です。しかし、極力対象物を照射位置に近づける必要があるのがデメリットです。

2. 低圧プラズマ装置

低圧プラズマ装置は、真空環境下にてプラズマを発生させる装置です。使用は真空環境に限定されますが、ガスを必要としません。また、対象物から装置をある程度離しても照射可能なので、装置の設置場所に悩むことがなくなります。

プラズマ装置のその他情報

プラズマ装置と併用する機械

プラズマ技術は主に真空チャンバー、電極装置、ガス供給装置と併用して使用します。

1. 真空チャンバー
プラズマ処理の多くは、真空チャンバー内で行われます。真空チャンバーは、外部の気体を遮断し、内部で特定のガスを充填することで、プラズマ生成に適した環境を整えます。

真空チャンバー内で生成されたプラズマは、洗浄、エッチング、コーティングなどの処理に使用可能です。

2. 電極装置
プラズマは、ガスに電磁波や電場を与えることで生成されます。そのため、プラズマ装置と併用される電極装置が重要な役割を担っています。

電極装置は、ガスに適切なエネルギーを供給し、プラズマ化を促進します。電極装置の形状や配置は、生成するプラズマの特性や処理方法に影響を与えるため、適切な選定が重要です。

3. ガス供給装置
プラズマ装置では、さまざまなガスが使用されます。ガス供給装置は、真空チャンバー内に必要なガスを適切な流量と圧力で供給します。ガスの種類や供給量によって、プラズマの性質や反応速度が変わるため、ガス供給装置の精度がプラズマ処理の品質に直結します。

参考文献
https://www.plasma-laboratory.com/plasma/
https://www.technoalpha.co.jp/products/board/diener.html

ブローガン

ブローガンとはブローガン

ブローガンは埃を吹き払い綺麗にしたい場合など強い風が欲しい際に使用します。工場や実験室など設置しているところは多く、よく使用される機器です。

使用する気体は容易に作り出せる圧縮空気の場合が多いですが、窒素のボンベに接続して高圧の窒素を吹きだすこともあります。しかし、窒素やアルゴンなどは酸素が含まれていないので密閉した空間で使用し続けると窒息してしまう危険性がありますので、安全のためには換気を行いながら使用する必要があります。

ブローガンの使用用途

ブローガンがよく使用される場合は、一般的にテーブルや製品などの表面に付着した埃、砂、木くず、糸くずなどを吹き飛ばして綺麗に清掃するためです。

他にも小型の部品やバレルの砂などを回収したい場合は箒で掃くよりもブローガンで吹き飛ばして集めた方が効率が良いので、回収という用途でも使用されます。さらに、勢いよく吹きだす空気は高温の物体を冷やす効果が高いので鍛造品や鋳造品、溶接後などの素早い冷却にも使用されます。

ブローガンの原理

ブローガンは圧縮された気体を放出する器具ですので、使用するためにはまずは気体を圧縮する必要があります。工場や実験室では圧縮空気が供給されている場合がありますので、そのようなラインに接続すると簡単に使用できます。圧縮空気が無ければ別途準備する必要がありますので、この場合はボンベやエアコンプレッサに接続して使用します。コンプレッサで作られた高圧の空気はレギュレーターにより使用したい圧力に下げられ、チューブを通してブローガンに接続されます。

圧縮空気を吹きだす際にはブローガンに着いているトリガーを引くことで放出されます。流量調整もトリガーの操作で行えますので、都度調整するか勢いがありすぎる場合は上流に設置されているレギュレーターにて調整されます。

ブローガンの先端は金属がむき出しの場合があり、ブローする際に機器などの表面を傷つけてしまう危険があります。このような際にはラバーチップなどを取り付けて傷がつかないようにします。

参考文献
https://www.chibasangyo-web.co.jp/pdf/cat_12.pdf