レーザー干渉計

レーザー干渉計とは

レーザー干渉計

レーザー干渉計とは、光の干渉を利用して非常に高い精度で距離や形状の測定を行う装置です。

装置の中に組み込まれた光源から出力されたレーザー光は、ビームスプリッターと呼ばれる特殊なミラーによって2つに分けられます。そして、片方は直接サンプルの表面に照射、もう片方はビームスプリッターで一度反射してから照射される仕組みです。

このとき2つのレーザー光の間の光路長に差が生じます。そして2つの波が重なり合ったとき、波の位相に応じて干渉パターンが変わります。干渉パターンは光路長によって変わるので、サンプルの表面の凹凸に応じて敏感に変化します。

そのため、干渉パターンからサンプル表面の形状解析が可能です。高い測定精度と非接触性から、工業分野や科学研究などさまざまな分野で使用されています。

レーザー干渉計の使用用途

レーザー干渉計は、固体サンプルの表面形状の解析に用いられます。例えば、カメラのレンズやコンタクトレンズのように精密に形状を制御する必要があるレンズの表面解析やDVDディスクやガラスなどの表面形状測定にも用いられます。

平面、球面、半球面など、サンプルの形状によらず測定が可能であるため、使用分野は幅広いです。一方で、外部の振動やサンプル表面のゆらぎ、粗さなどの影響を受けて測定結果が変動しやすいため、液体サンプルや未研磨のサンプルの測定にはあまり用いられません。

レーザー干渉計の原理

レーザー干渉計の原理は、干渉の原理に基づいています。レーザー干渉計では、1つのレーザー光源から出た光を分割し、2つの光路に分けます。この分割された光路の1つは「参照光路」と呼ばれ、もう1つは「測定光路」と呼ばれます。

参照光路と測定光路で分けられた光が再び合流すると、光の干渉が起こります。干渉によって生じる明るさの変化を検出することで、光路の長さや形状の微小な変化を測定可能です。

具体的には、光が干渉する際には波の位相差によって明るさが変化します。位相差が0であれば干渉が完全に合致し、明るさが最大になります。逆に、位相差が波長の半分 (180度) ずれると、干渉が打ち消されて明るさが最小になります。

測定光路の一方の光路の長さが変化すると参照光路との位相差が生じ、この位相差を検出することで、測定対象の形状や移動量を高い精度で計測可能です。

レーザー干渉計の特徴

1. 2つに分けた光の位相の差を解析する

レーザー干渉計は、上で述べたように装置内で2つに分けられた光が重なったときの干渉パターンからサンプル表面の解析を行います。光は波の1種であるため、2つの光がお互い山、谷同士で重なった場合は波が強くなり、片方の波が山、もう片方が谷で重なった場合、波は打ち消されるのが特徴です。

この2つの光の波のずれを位相差と呼び、位相差が光の波長の倍数と等しいときに重なった波は強くなります。逆に位相差が光の波長の1/2の倍数に等しいときは波が打ち消されます。

2. 1μm以下の微小な厚みの変化も測定可能

レーザー干渉計で使用している光源の波長は630ナノメートル付近であるため、数百ナノメートルの僅かな光路の変化でも干渉パターンは変わります。したがって、1マイクロメートル以下の微小な表面の厚みの変化もレーザー干渉計では検出可能となります。

3. 振動対策が必須

レーザー光によるサンプルの変性は起こりにくいため、非破壊で表面の測定を行うことが可能であることもレーザー干渉計の大きな特徴の1つです。なお、レーザー干渉計は実験台の微小な振動の影響も受けやすいので、装置は振動や衝撃から保護するために使用される防振台の上に設置する必要があります。

参考文献
https://www.fujifilm.com/jp/ja/business/optical-devices/interferometer/knowledge
https://www.global-optosigma.com/jp/application/guide-int02.html
https://www.keyence.co.jp/ss/3dprofiler/keijou/flatness/interferometer/

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