レシプロコンプレッサ

レシプロコンプレッサとは

レシプロコンプレッサ

レシプロコンプレッサ (英: Reciprocating Compressor) とは、ピストンの往復運動で空気を圧縮する装置です。

レシプロは「往復運動する」という意味で、日本名では往復運動式圧縮機と呼ばれます。他のコンプレッサと比較して、高い圧力比を達成できるのが利点です。

また、比較的簡単な構造であり、メンテナンスや修理が比較的容易です。ただし、振動や騒音が大きいという欠点もあります。

レシプロコンプレッサの使用用途

レシプロコンプレッサは、さまざまな産業および商業用途で使用されます。以下はレシプロコンプレッサの使用用途一例です。

1. 空気圧系統

圧縮空気を供給するための空気圧系統で広く使われます。工場などの計装エアー配管などがその一例です。また、工作現場での工具や機械の駆動や乾燥装置などで利用される場合もあります。

2. 冷凍・冷蔵装置

冷凍や冷蔵装置において冷媒を圧縮するために使用されます。業務用の冷蔵庫・冷凍庫に使用されることが多いです。また、冷凍トラックや空調機などのさまざまな冷却装置で利用されます。

3. ガス供給系統

ガス供給系統で使用されることもあります。ガスを吸い込んで圧縮し、必要な圧力まで上げる役割を果たします。これにより、ガスをパイプラインやタンクに圧送します。

身近な一例は、LPG (液化プロパンガス) です。LPGは加圧することで容易に液化して体積が減るため、レシプロコンプレッサなどで液化させて運搬します。また、天然ガスの供給や圧縮、パイプラインの維持、圧力制御などに利用されます。

レシプロコンプレッサの原理

レシプロコンプレッサの原理は、ピストンの往復運動によってガスを圧縮するというものです。吸気・圧縮・排気のサイクルが繰り返されることによってガスを連続的に圧縮します。ピストンの運動は駆動装置 (エンジン、モーターなど) によって提供され、連続的な往復運動を実現します。

1. 吸気過程

ピストンがシリンダーの下方に移動すると、シリンダー内の容積が増加します。このとき、吸気バルブが開いて外部からガスがシリンダーに吸い込まれます。ピストンが下方に移動することで、シリンダー内の圧力が下がります。

2. 圧縮過程

ピストンがシリンダーの上方に移動し始めると、シリンダー内の容積が減少します。このとき、吸気バルブが閉じられ、シリンダー内のガスが圧縮されます。ピストンが上方に移動することで、シリンダー内の圧力が上昇します。

3. 排気過程

ピストンが上方に達した後、シリンダー内の圧力が最大になります。このとき、排気バルブが開き、圧縮されたガスがシリンダーから外部に排出されます。ピストンが下方に戻ることで、シリンダー内の容積が再び増加し、圧力が下がります。

レシプロコンプレッサの種類

レシプロコンプレッサは大きく分けて給油式とオイルフリー式とも呼ばれる無給油式の2種類があり、それぞれ利点と欠点があります。

1. 給油式

給油式のレシプロコンプレッサは、動作中に圧縮過程やピストンの潤滑のためにオイルを使用します。オイルによってピストンとシリンダーの摩擦を減らし、潤滑性能が向上します。これにより、摩耗や熱の発生が抑えることが可能です。

また、オイルの存在によって動作部品間の振動や衝撃を吸収するため、騒音と振動が低減されます。ピストンとシリンダーの密閉性が向上するので、圧縮機としての効率も向上します。ただし、放出する気体中には油がわずかに含まれています

2. オイルフリー式

オイルフリー式は圧縮過程やピストンの潤滑にオイルを使用せず、摩擦や潤滑を他の方法で補う装置です。放出される気体中に油分が含まれないことから、油分を嫌う医療系や食品工業などに使用されます。オイルの廃棄物処理や漏れによる環境汚染のリスクも低減されます。

ただし、オイルフリー式は給油式よりも高温や高摩擦となりやすく、冷却や耐久性の面で設計上の工夫が必要です。また、大容量・高圧用途では主に給油式が使用されます。

参考文献
https://www.anest-iwata.co.jp/compressor/tech/3-1.html
https://www.bildy.jp/mag/reciprocating-compressor/#i
https://www.ihi.co.jp/compressor/products/reciprocating/process_gas/features.html

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