マグネットフィルタ

マグネットフィルタとは

マグネットフィルタとは、強力な磁石の力で、試料である液体中に含有される鉄粉などの異物を吸着して除去するろ過装置です。

工業用液体に混入している鉄粉や、製造工程で製品に混入する金属粉などの除去に主に使用されています。製造機械の配管などに合わせて大型のものからコンパクトなものまで、サイズ展開も様々です。

配管中にマグネットフィルタを配し、マグネットフィルタに金属を除去したい液体を通して、磁力でマグネットフィルタに金属を吸着させて異物除去をします。通常のろ過装置のようにフィルタの交換が必要なく、ランニングコストをおさえられるのもメリットです。

マグネットフィルタの使用用途

マグネットフィルタは主に、工業用液体に含まれる鉄粉などの除去に使用されます。

例えば、研磨作業時に使われる潤滑液や製品を洗う際に出る洗浄液には、鉄粉などの微少な金属が含まれている可能性があります。また、切削作業の際の冷却液として使用される切削液や車のエンジンを冷却するクーラント液なども同様です。

これらの液体に金属微小粒子が混入していると、これら液体を使って製造される製品を傷つけたり、製造機械の故障の原因になったりします。特に、切削作業で高精度の切断を求められる場合や、研磨作業で表面を凹凸なく磨き上げる場合などは、金属微粒子の混入は避けなければいけません。

そこで、マグネットフィルタを用いて、液体の不純物を取り除き使用しています。

マグネットフィルタの原理

マグネットフィルタは、磁力をもつフィルタに接するように液体を流し、磁力により液体中の金属を除去するものです。

例えば、棒状の磁性体を棒状のケースに収納したマグネットフィルタでは、ケースの一端に流入口と排出口を設けています。この流入口から液体を流入し、排出口から排出して液体を磁性体に接するように流します。液体中に含まれる金属は磁性体に吸着し、液体中の金属よりなる異物が除去される仕組みです。

他にも色々なタイプがありますが、仕組みは同じです。

マグネットフィルタのその他の情報

1. マグネットフィルタの特徴

マグネットフィルタの特徴は主に次の3つです。

  • 微少な粒子の除去が可能
    マグネットフィルタは磁力により吸着してろ過するため、穴を通してろ過する通常のフィルタではろ過が困難な微細な粒子も除去可能です。鉄粒子では数ミクロン以下の微少なもののろ過も成功しています。
  • ランニングコストがほぼ0
    マグネットフィルタは通常のフィルタと違い、フィルタの交換が必要ありません。通常のフィルタのように不純物が詰まってしまうことはなく、消耗部分がないため、ランニングコストが少なく環境にも優しいフィルタと言えます。一方で、磁石に付いた鉄粉などは定期的に除去しなければなりません。フィルタの交換は必要ありませんが、メンテナンスは必要です。ただし、全自動でクリーニングをおこなうマグネットフィルタもあります。
  • 圧力低下がない
    マグネットフィルタはその構造上、ほとんど圧力低下が起こりません。鉄粉などが磁石に付着していても流路は確保されており、液体の流れをせき止めることがないためです。

2. 食品用途のマグネットフィルタ

マグネットフィルタは工業用液体の金属異物除去に使用されていますが、食品用途にも使用されています。例えば、ジュースや調味料、乳飲料などを製造する装置のパイプ送路に設置されています。

食品用マグネットフィルタは、ある程度液体を溜められる形状のポット形状のものや、通常の異物除去フィルタと組み合わせたものが一般的です。また、バターや味噌などの粘度が高い食品や固形分を含む果実入りヨーグルトのような食品には、流路が広いマグネットフィルタが使用されます。流路を広くとれば、高粘度のものも流れやすく、固形分があっても具材を傷つけません。

参考文献
http://marusantec.com/micromag_micromag.html
http://marusantec.com/micromag.html
http://www.tec-kak.co.jp/seihin/seihin20.html

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