マイクロプレート

マイクロプレートとは

マイクロプレートのイメージ

図1. マイクロプレートのイメージ

マイクロプレート(英: Microplate)  とは、主に生化学実験で使われる実験器具です。

ウェルと呼ばれる透明な多数のくぼみがついており、各ウェルをちょうど小さなシャーレのようにして用います。マイクロタイタープレート (英: Microtiter plate) と呼ばれる場合もあります。

同時に複数条件のアッセイを検討し、比較して観察及び分析を行うことに適しており、目的用途に合わせてウェル底の形状・色・容量・表面素材やコーティングを選択することが重要です。

マイクロプレートの使用用途

マイクロプレートは、多数のウェルを同時に用いることができる実験器具です。細胞株や微生物を同時に培養して条件検討に用いたり、希釈系列を作って測定する実験など、同条件下で多くのデータを取る実験などの用途に向いています。

マイクロプレートリーダーと組み合わせて使用することで、吸光検出・蛍光検出などが可能です。この場合は、特に微量試料を高感度で定量測定する用途に用いられます。

特に、生化学・臨床検査の現場ではELISA法 (酵素結合免疫吸着法) における使用が多い他、創薬の現場ではHTS (ハイスループットスクリーニング) で化合物ライブラリーから薬効をスクリーニングにかける際に使われます。また、顕微鏡などを用いて直接試料を観察したり、細胞イメージングに用いることも可能です。

マイクロプレートの原理

マイクロプレートの表面には、用途に合わせて異なった表面素材コーティングが施されており、試料の吸着・固定化を行うことができます。マイクロプレートを最も汎用する分析法がELISA法です。

ELISAの原理

図2. ELISA法の原理

ELISA法では、マイクロプレートに直接ないしは吸着抗体を介して吸着させた抗原に対し、特異性の高い抗原抗体反応によって抗体を結合させます。この抗体には予め発光する酵素を結合させておくため、酵素の反応に生じた発光をマイクロプレートリーダーで検出することが可能です。

微量試料でも定量的に感度良く測定でき、また放射線曝露などもない安全な検査方法であるため、生化学や臨床検査の分野で非常によく用いられている実験原理手法です。

マイクロプレートの種類

1. ウェルの数・大きさによる分類

マイクロプレートは、8×12の96ウェルプレート (96穴プレート) がよく使われますが、その他に6, 12, 24, 384なども用いられ、最もウェルの多いものでは9,600にもなります。プレートの大きさが同じ場合、ウェルの数が少ないほどウェルの大きさは大きくなります。

2. ウェルの形状による分類

ウェルの形状は、平底、丸底、V底などがあります。平底はウェル底部から測定するプレートリーダでの使用と細胞培養に適しており、丸底はサンプル回収を行いたいアッセイを行うことが容易です。

3. プレート素材による分類

マイクロプレートのプレート素材には、ポリスチレン、ポリプロピレン、ガラスなどがあります。使用したい薬品に合わせて薬品耐性のある素材を選択することが可能です。

4. 表面処理の有無

マイクロプレートのコーティングに用いられる官能基の例

図3. マイクロプレートのコーティングに用いられる官能基の例

表面処理されていないポリスチレン表面は疎水性のため、抗体など疎水性部分のある生体分子と相互作用して固定化することが可能です。疎水性分子との結合性を強化した高結合表面コーティングの他、逆に親水性表面 (ポリエチレンオキシド様) コーティングによって、分子間相互作用を最小にするようにしたものもあります。

その他には、試料の特定の官能基と共有結合して固定化するような分子構造を表面にコーティングしたもの (マレイミド基やヒドロキシ基など) もあり、これらは特定の生体分子を方向づけて固定化することが可能です。

5. 色

色は透明が主流ですが、その他では白・黒などがあります。黒は光の散乱を抑えるため蛍光のバックグラウンドが抑えられる、白は逆に反射するため発光のS/N比を増幅するなど、それぞれ検出における特徴があります。

参考文献
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S019697811500131X

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