ローラーシャフト

ローラーシャフトとはローラーシャフト

ローラーシャフトとは、シャフト(軸)の外周部分あるいはシャフト全体が従動回転可能なローラーとなっているシャフトです。

ローラーコンベアやコロコンローラと呼ばれるフリーローラーやシート状の製品を搬送するウェブハンドリングの分野で多く使用されています。

従動回転が可能であるローラーシャフトを使用することで全てのシャフトを駆動させる必要が無くなるため、駆動伝達部の集約による設備の省スペース化が実現できます。

ローラーシャフトの使用用途

ローラーシャフトは主に箱製品などを台上で水平移動させるフリーローラーやウェブハンドリング設備などに使用されています。

フリーローラーは対象物の移動範囲となる接地面にローラーシャフトを連続して整列させることにより、小さな力で対象物を移動できるようにしたり、ローラーを回転させることで対象物を自動搬送したりすることができます。

ウェブハンドリング設備では連続して生産される長いシート状の製品に対して、張力を加えた状態でフリーローラーによって支えることにより任意のシートパス(シートが通る道筋)を設定することができます。また、駆動回転するローラーシャフトでシートを挟み込むことで、一定の速度でシートを搬送することが可能となります。

ローラーシャフトの特徴

ローラーシャフトは、両端の構造物に支持される部分(支持部)と対象物に接触する部分(外周部)の間にベアリングが内蔵されており回転する構造のものと、支持部と外周部が固定されているものがあります。

前者の構造は従動回転するロールとして使用され、U字型の溝あるいは穴によりシャフトの両端部を支持するだけで使用が可能です。

後者の構造は従動回転するロールに加えて駆動回転するロールにも使用され、シャフトの両端にベアリングおよびピローブロックを設置する必要があります。駆動回転する場合には支持部のシャフトにモーターの動力を伝達する機構を設けます。

前者の構造はローラーシャフト以外に必要な部品がほとんど必要ないため容易に設置できる点、後者の構造ではローラーシャフト内部に冷却機構やセンサを設置しやすい点や駆動ローラーとして使用できる点などがそれぞれメリットとして挙げられます。

以上のようにローラーシャフトは使用する目的や対象物の材質によって適切な構造や材質を選択する必要があります。ローラーシャフトの材質は鉄製の他ステンレス・樹脂などから選択できます。

参考文献
http://www.moritakaroller.co.jp/shaft/
https://www.monotaro.com/k/store/%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%95%E3%83%88/

ローラーガイド

ローラーガイドとは

ローラーガイド (英: Roller Guide) とは、機械や機構において使用されるローラー型の摺動ガイドです。

主に直線的な動きを制御するために使用されます。軸方向に直線運動するオブジェクトをサポートし、正確な位置決めやスムーズな移動を可能にします。

リニアレールと組み合わせてガイドレールとして使用する場合や、円筒上に配置することでリニアブッシュのように直道する軸受として使用する場合があります。円筒状のローラーがレール上を転がることにより、滑らかな動きを実現して静粛性向上に寄与します。

また、鉄鋼業界においては、加熱炉から出てきた高温の鋼材を圧延ロールに誘導するための装置をローラーガイドと呼びます。鋼材に摩擦力をほとんど与えることなく圧延ロールに誘導できるため、歩留まりおよび品質の向上に欠かせない装置です。 

ローラーガイドの使用用途

直動機構としてのローラーガイドは、ボールベアリングを使用した直動機構であるリニアガイドよりも比較的安価であり剛性が高いため、簡易的な直動機構や負荷が大きい場合の直動機構として採用されます。

以下はローラーガイドの使用用途一例です。

1. 工作機械

旋盤やフライス盤などの工作機械に使用されることがあります。これらの機械では高い位置決め精度が求められ、また、高速かつ正確な動きが必要です。ローラーガイドを使用することでこれらを実現します。

2. 産業用ロボット

産業用ロボットや自動化システムにおいて、ロボットアームやガントリーなどの移動部に使用されます。ローラーガイドによって高い精度とスムーズな動作が可能なため、ロボットの作業範囲や精密な位置決め用途に重宝されます。

3. 鉄鋼業界

鉄鋼業界におけるローラーガイドは、圧延ロールへの誘導に使用されます。圧延鋼材の焼付きを防止することによる歩留まりと品質の向上を実現可能です。世界各国の製鉄所に導入されます。

鉄鋼業界におけるローラーガイドは、2個あるいは4個のローラーが一定の間隔で並列に配置されます。圧延前の鋼材をローラーの間に通すことにより、圧延ロールに対して正確な位置に誘導することが可能です。ローラーの間隔は遠隔操作で調整できるため、生産する圧延鋼材の生産条件に応じて制御されます。

ローラーガイドの原理

ローラーガイドは、ローラーとレールの相互作用に基づいて動作します。

レール (ガイドレール) は、直線的な形状をしており、通常は平面や角柱状の断面です。ガイド部品としての役割を果たし、軸方向の直線運動を制御します。レールは高い剛性を持ち、荷重を受けることができるように設計されます。

ローラーは、レール上を転がることができる円筒形の部品です。一般的には軸受けに支持されており、転がり摩擦を最小限に抑える部品です。ローラーの外周面がレールと接触し、摩擦力を生み出します。

ローラーとレールの接触によって摩擦力が発生します。一方、ローラーは回転して転がり摩擦が生じるため、レール上をスムーズに転がります。ローラーの回転によって摩擦力を低減し、より滑らかな動きを実現します。

ローラーガイドの種類

ローラーガイドには、さまざまな種類があります。以下はローラーガイドの種類一例です。

1. リニアローラーガイド(英: Linear Roller Guide)

直線的な運動制御に使用するローラーガイドです。レール上に並ぶ複数のローラーが負荷を分散し、スムーズに直線運動します。高い精度と剛性を持ち、工作機械やロボットで広く使用されます。

2. クロスローラーガイド(英: Cross Roller Guide)

クロスローラーと呼ばれる特殊な形状のローラーガイドです。軸方向と垂直方向の両方に対して高い剛性を有します。したがって、高い荷重容量と優れた回転精度を持つガイドとして使用されます。

3. スフィアローラーガイド(英: Spherical Roller Guide)

球形のローラーを使用したローラーガイドです。球形のローラーは、軸方向と傾斜方向の双方に対して自由度を持ち、振動や歪みを吸収します。振動の多い環境などで使用されます。

参考文献
https://eurotechno.co.jp/info/characteristics-of-ball-roller-guide/
https://www.ikont.co.jp/product/chocudo/tou16.html
https://www.kotobuki-sangyo.com/steel/about.html

ロータリーコネクタ

ロータリーコネクタとは

ロータリーコネクタとは、回転接続用のコネクタです。

回転体と非回転体との間を電気的に接続するために使用されます。主に、回転体に電力を供給したり、回転体上のセンサなどの電気信号を非回転体である制御部へ電気信号やデータ、電力などの伝達を可能にしたりする接続部品です。

一般的なロータリーコネクタには水銀やガリウム合金などの液体金属が内部に充填されています。ロータリーコネクタは、産業機械、自動車、医療機器、通信機器など多岐にわたる分野で利用されており、現代の様々な技術的進化に貢献しています。

ロータリーコネクタの使用用途

ロータリーコネクタは回転体と非回転体との間で電気的接続を構成する素子であるため、回転体上に電子機器やセンサを備える装置に多く使用されています。特に、連続稼働している機器や無限回転する必要がある機器は、ケーブルを用いた接続で断線やショートが懸念されます。

しかし、ロータリーコネクタは接点同士の摩擦や電気的な特性を考慮した構造を持つため、その心配も不要です。製造プロセスや装置の自動化が進む産業機械分野において、工作機械やロボットなど回転体を有する数多くの機械で採用の実績があります。

1. 自動車産業

自動車産業では、車載エレクトロニクスの進化に伴い、多くの電子制御装置が車内外で使用されています。こうした装置間の信号伝達や電力供給において、ロータリーコネクタは必要不可欠です。

車載エンターテイメントシステムやセンサー、エアバッグなど、さまざまな機能が円滑に連動するために使用されます。

2. 医療機器分野

手術用ロボットや画像診断装置などの高度な技術が求められる中で、臨床応用においてロータリーコネクタの需要があります。回転しながら信号を伝えることで、高精度な操作やデータの取得が可能となるからです。

3. 通信機器分野

通信機器分野では、アンテナや衛星通信装置など、回転しながらの信号伝達が必要な場面でロータリーコネクタが利用されます。これにより、構造の回転部分と信号伝達部分を連結する際に、信号品質や通信の安定性を保つことが可能です。

ロータリーコネクタの原理

一般的な機械的なコネクタと異なり、ロータリーコネクタは回転運動を伴う構造を持つ機械で広く用いられます。このため、ステータスと呼ばれる固定部分と、ローターと呼ばれる回転部分の2つの構造が安定性を保つ重要な要素です。

ステータスには通常、基盤やフレームに取り付けられた配線が接続され、一方でローターにも別の配線が接続されます。ステータスとローターの間に配置された接点は、信号や電力を伝える役割を果たします。

ステータスとローターの間での回転によって接点同士が常に接触を保ちつつ、信号や電力の伝達が中断することなく持続させることが可能です。また、この接触が高い品質で維持されることにより、信号の損失やノイズの影響を最小限に抑え、高い信頼性を確保します。

さらに、ローターコネクタの設計には、材料選定や接触面の設計が重要な要素です。材料は耐久性や電気的特性を考慮して選ばれ、接触面は高い導電性と耐摩耗性を持つよう工夫されます。さらに、環境条件や使用用途に合わせて防塵や防水の機能が組み込まれることもあります。

ロータリーコネクタの種類

ロータリーコネクタは、その多様な設計と機能によって、さまざまな種類が存在します。用途や要件に合わせて、選択することが重要です。

1. 高周波ロータリーコネクタ

高周波ロータリーコネクタは、無線通信や通信機器での使用に適しており、高周波信号の伝送を効率的に行うための特別な設計が施されています。

2. 高電流ロータリーコネクタ

大容量の電力を効率的に供給するために使用され、産業機械や発電所などの分野で重要な役割を果たしています。高耐久性と高い信頼性を持つ設計が特徴です。

3. 光ファイバーロータリーコネクタ

光ファイバーを介して光信号を伝送するための特別な設計が行われており、高速・高帯域幅のデータ通信において重要な役割を果たします。

ロボットハンド

ロボットハンドとは

ロボットハンド

ロボットハンドとは、産業用ロボットの先端部分に取り付けられている搬送物を掴むための部品のことです。

搬送物の形状などに応じてロボットハンドが変わり、搬送物に応じて付け替えられることがあります。ロボットハンドでは搬送物を掴めることが大切ですが、安全であることも欠かせません。

ロボットは無人で動くため、人が接触しても止マラないのが一般的です。ロボットハンドが鋭利な形状をしていると、人を傷つけてしまう恐れがあります。したがって、ハンドにウレタンを巻くなどの対策が必要になることがあります。

ロボットハンドの使用用途

ロボットハンドが使用される産業用ロボットは、垂直多関節ロボット、水平多関節ロボット、直交ロボット、パラレルリンクロボットなど様々です。ロボットハンドには、搬送物に応じて適切な形状があります。

段ボールを搬送する際は、例えば板状の2枚の爪を有する把持タイプのロボットハンドの使用が可能です。この場合、2枚の爪で段ボールを両側から挟み込んで持ち上げます。段ボールの落下を防止するために、爪の下側を少し内側に折り曲げる対策を取ることもあります。

一斗缶やペール缶のような搬送物の搬送には、吸着タイプのロボットハンドの使用が可能です。この場合、容器の上面に吸着パッドを載せた状態で真空状態にして容器を真空吸着します。また、真空にする際はポンプだけでなく、エジェクターを用いるケースもあります。

ロボットハンドの原理

把持タイプのロボットハンドには、ソフトグリッパと呼ばれる食品などの割れやすい (壊れやすい) 搬送物を掴めるハンドがあります。柔軟なシリコンで形成されているため、搬送物を掴んでも壊すことがありません。

吸着タイプのロボットハンドで使用される吸着パッドの形状は丸形、平型、ベローズ形、長円ベローズ形など様々です。吸着パッドには吸引口が付いています。ここから吸引を行って、吸着パッド内を減圧する仕組みです。

吸着パッドの接触面を搬送物にしっかり接触させることが重要です。減圧は真空ポンプや圧縮空気を用いたエジェクターで行います。真空になると搬送物から接触面が離れなくなって吸着が完了し、減圧解除を行うと接触面を搬送物から離すことが可能になります。

最近では、搬送物を掴む機能に加えて別の機能がロボットハンドに組み込まれています。1つの機能が画像認識です。ロボットハンドにカメラなどの画像認識機器を取り付けることでロボットハンドから撮影をして自動でハンドリング先を認識します。例えば、乱雑に置かれたボルトを選択的に掴んだりする場合など幅広い用途に適用が可能です。

ロボットハンドの種類

ロボットハンドには大きく分けて2つのタイプがあり、把持タイプと吸着タイプに分類されます。

1. 把持タイプ

把持タイプのロボットハンドは、爪や指を用いて搬送物を機械的に掴みます。2個または3個の爪を持っているものが一般的ですが、人間の手のように5本の指を持つロボットハンドもあります。複雑な形状の搬送物を掴むことが可能です。

2. 吸着タイプ

吸着タイプのロボットハンドは、吸着パッドを備えていて、真空吸着によって搬送物を吸着して掴みます。短時間で搬送物を掴むことが可能です。なお、吸着タイプのロボットハンドには、磁気吸着によって搬送物を掴むものもあります。

ロボットハンドの選び方

人間のように何でも器用に行えるロボットハンドはまだ存在しません。そのため、実現したい仕事 (例えばロボットアームで空き缶を拾い、任意の場所に置くなど) に合わせた適切なロボットハンドを選ぶ必要があります。

まず、「どのように搬送物を掴むか?」を考えることが大切です。例えば、「人の手のように搬送物を掴んで保持するのか」「真空吸着によって搬送物を保持するのか」「磁気吸着によって搬送物を保持するのか」など、選択肢がいくつかあります。

このとき、搬送物がどのような特性を持つかで選択する手段が変わります。保持手段を考える上で考慮すべき対象物の特性は、以下の通りです。

  • 搬送物の硬度はどれくらいか?
  • 吸着したり磁力を発生させても問題ない環境か?
  • ロボットによる搬送速度はどのくらいか?
  • 搬送物の形状はどのようなものか?

これらの項目より把持手段が決定したら、「大きさや重心位置」「表面素材」「保持部位」によって採用するロボットハンドを具体的に考えます。

ロボットハンドのその他情報

ロボットハンドを自作する方法

簡単な構造のロボットハンドであれば、素人でも比較的簡単に作製可能です。例えば、クレーンゲームのアームに取り付けられるハンドを作製する場合を考えます。

なお、サーボモーター駆動で、搬送物を挟んで保持する方法を採用します。

  1. L型の板などを2枚用意します。
  2. そのうちの1枚にサーボモーターを連結し、サーボモーターが回転すると1枚の板が一緒に動くようにします。
  3. L型板2枚を蝶番でつなぎ合わせます。

L型板2枚を蝶番でつなぎ合わせると、片方の板がもう片方へと接近するため、搬送物の把持が可能になります。その他、例えば工場の生産技術者などが自作するハンドには、エアシリンダやNCシリンダを把持爪として採用したものがあります。

参考文献
http://www.schmalz.co.jp/products/vacuum-components/suctionpads.html
https://www.robot-digest.com/contents/?id=1598496407-465511
https://onrobot.com/ja/zhipin/sofutokuritsuha
https://www.mirai-lab.co.jp/info/teaching/2713

ロボットアーム

ロボットアームとは

ロボットアーム

ロボットアームは産業用ロボットのうち、人間の手の動きに似せた形のロボットです。

ロボットの構成として、主に6軸の回転軸とリンクで構成されるマニピュレータ部、荷物をつかむハンド部、ロボットの制御や現状確認を行うコントローラ部に分かれます。

ロボットを導入する際には、作業員の安全のために安全柵を設けなければなりません。ただし協働ロボット (協調ロボット) と呼ばれるロボットは、リスクアセスメントを実施し、適切なリスクレベルまで運用することができれば安全柵は必ずしも必要ではありません。

ロボットアームの使用用途

ロボットアームの種類はリンクの接続方式によってシリアルリンクとパラレルリンクに分かれます。リンクが直線的につながっているのがシリアルリンクで、並列につながっているのがパラレルリンクです。

シリアルリンクロボットとパラレルリンクロボット

図1. シリアルリンクロボットとパラレルリンクロボット

シリアルリンクロボットはリンクの先に次のリンクが直列につながっているロボットです。可動範囲が広く、人の手のように斜め方向からアプローチして作業できることが特徴です。シリアルリンクロボットは、自由度が高い動きを活かして、次のような用途で使用されています。

1. 溶接

自動車のボディなどを部材の金属を溶かして接合させる作業です。ロボットが行うことで、正確でばらつきの少ない溶接が可能になり、品質向上が期待できます。

2. 組立

つかんだ部品を別の部品に組付けたり、ねじ締めなどを行う作業です。垂直多関節ロボットは人の手で行う作業も対応できるため、熟練の職人技のような作業を正確に再現することができます。

3. 塗装

垂直多関節ロボットの手先に取り付けたスプレーガンで、自動車のボディなどに色を塗る作業です。

パラレルリンクロボットはベースからリンクが並列に出ており、その先に手先が付いているロボットです。パラレルリンクは動きが速いのが特徴で、次のような用途で使用されています。

1. 箱詰め

ベルトコンベヤで流れてきた食品 (個別包装されたお菓子など) をプラスチック製のトレーに詰める作業

2. 検査

天井から吊り下げたカメラで部品の品質OK/NGを判定し、次の工程に流すか流さないかを振り分ける作業

ロボットアームの原理

産業用ロボットは動作を行い作業するマニピュレータ、マニピュレータを動かして制御するロボットコントローラ、マニピュレータに動作を教えるティーチングペンダントの3要素で構成されています。

産業用ロボットの構成要素

図2. 産業用ロボットの構成要素

シリアルリンクのマニピュレータは、リンクと回転軸で構成されています。回転軸は6つあり、それぞれACサーボモータが駆動源であることが一般的です。この6つの軸は、それぞれ次のような動きをします。

1.旋回: 体全体を旋回させる
2.下腕: 下腕を動かして、体を前後に動かす
3.上腕: 腕を上下に動かす
4.手首旋回: 腕を回転させる
5.手首曲げ: 手首を曲げる
6.手首回転: 手首を回転させる

マニピュレータの6つの軸

図3. マニピュレータの6つの軸

ロボットアームのその他情報

1. ロボットアームのプログラミング

ロボットが動作を行う際、ロボットコントローラにマニピュレータの手先の位置座標 (X, Y, Z) 、および手先の回転座標 (Rx, Ry, Rz) が与えられます。その手先位置と回転角度に一致するように各軸のモータが動くことで、ロボットは所望の動作を行うことができます。

ティーチングペンダントでロボットに位置を教示する
ティーチングペンダントは、ロボットに位置を記憶 (教示) できる入力装置です。キーボードやタッチパネルを使ってロボットを直接動かし、その姿勢をロボットに教示、再現させることができます。

従来の産業用ロボットのティーチングペンダントは操作には慣れが必要でした。近年は、ダイレクトティーチングと呼ばれる手法で、初心者でも簡単にティーチングができるようになっているロボットも出てきました。

パソコンで座標をプログラミングする
パソコンでプログラミングし、ロボットの座標を指定する方法です。

これまではC言語などのコーディング型のプログラミングが主流でしたが、コーディングはプログラミング自体に習熟する必要があり、プログラムのデバッグに多くの時間がかかるのが課題でした。

近年では、シミュレータ型のプログラミングツールを提供するロボットメーカーが増えました。これは、ロボットのモデルをPC上に映してPC上のロボットを操作することで座標を教示させるプログラミングツールです。ロボットの動きが視覚的に分かり、コーディングに習熟しなくてもロボットの動きを教示できることが特徴です。

画像認識で座標を認識させる
上部からカメラで撮影を行い、ロボットが次に動作すべき場所を判断し、その座標を自動で算出します。この方式はバラ積みピッキングで使用されています。バラ積みピッキングとは箱の中にランダムに積まれている部品を掴み、次の工程のベルトコンベヤに流したり箱詰めしたりする工程です。

画像認識は毎回ロボットが動作すべき座標が変わる作業において有効ですが、システム構築のためのコストがかかるところに留意しましょう。

2.産業用ロボットアームの役割

産業用ロボットアームは工場や製造現場、物流センターなど、様々な業界で普及が進んでいます。人の代わりに夜間や休日も休むことなく作業を行えるのがロボットアーム導入のメリットです。これらのユーザーにとってロボットアームは人手不足を解消する省人化・省力化や、生産性向上に貢献することが期待されています。

生産現場で起こるミスの多くは人的ミスと言われており、人的作業では品質にバラツキや効率の低下もつながると考えられます。産業用ロボットアームを導入すると人的なミスが抑制され、作業の品質や製品の品質を一定に保つことができます。また、生産履歴データが残るため、品質の改善に向けて分析をしたり、クレーム対応の迅速なフィードバックも実現可能です。

さらに、怪我のリスクや事故の可能性が考えられる危険物の取り扱いや高所での作業、重量物の搬送などの重労働、精密さが求められる作業などをロボットが担うことで、従事者の安全確保と労働環境の改善につながります。

レンチキュラーレンズ

レンチキュラーレンズとは

レンチキュラーレンズは、断面がかまぼこのような形をした凸レンズのことであり、一般的に細長い凸レンズが複数本連なってシート状になっているものが多いです。レンチキュラーレンズを画面に貼り付けた状態で、視差のある画像や映像を画面に表示することで、裸眼での立体視を実現することができます。

レンチキュラーレンズの使用用途

主な用途としては、「裸眼での3D立体視」と「見る角度によって絵柄の変わる2D画像の作製」が挙げられます。お土産品などで目にする、見る角度によって見える絵柄が変わるカードやキーホルダーなども、表面にレンチキュラーレンズが貼ってあるため、このような現状が起こっています。最近では、3D用メガネを必要としない裸眼立体視ディスプレイなども製品化されてきています。

レンチキュラーレンズの原理

レンチキュラーレンズは、PETやアクリルなどの素材で作られていることが多く、断面形状がかまぼこのような形をした細長い凸レンズを連ねてシート状にして使用します。このシートを貼る、もしくはこのシートの裏面に直接印刷を行うことで、「立体視」や「見る角度によって見える物が変わる」といった効果を得ることができます。
これは、レンチキュラーレンズで光が屈折することにより生み出されます。この効果を得るためには、レンチキュラーレンズの一つ一つの凸レンズと対象となる画像や映像の位置が正確にあっていることが重要です。位置がズレてしまうと、上手く効果を得ることができません。レンチキュラーシートは、シート表面の目の細かさついて、「lpi」という数値を用いて表しているため、このピッチに合わせた画像や映像を作製することが重要となります。(例えば、30lpiであれば、1インチあたりにレンズ30本、100lpiなら1インチあたりに100本のレンズがあるということを表します。)

また、レンチキュラーレンズの屈折率により視野角が変化し、これは線数に対する厚みの比率で角度が決まります。同じ線数の場合は、厚みがあるほど奥行きのある3D向きのレンズとなり、逆に薄いレンズほど2D向きになります。

レンチキュラーレンズの適用例

レンチキュラーレンズの適用例

レンチキュラーレンズを液晶ディスプレイに適用した例を図に示します。

「見る角度によって絵柄の変わる2D画像」を液晶ディスプレイで実現したものは「2画面ディスプレイ」とも呼ばれ、例えば車載用のセンターインフォメーションディスプレイ(CID)として用いると、運転席側にはカーナビゲーション画像、助手席側には映画等のエンターテインメント映像を単一のディスプレイで同時に生成することが可能となります。 また、裸眼での3D立体視ディスプレイとして用いる場合は、左目用と右目用に適合した視差のある2種類の画像を生成し、それぞれの画像データを表示する画素からの光がユーザの左目と右目の方向に分離するようにレンチキュラーレンズの条件を調整します。

参考文献
https://coburn.jp/filmpaper/lenticular/lenticularlens/
https://www.lenticular.jp/lens/
https://lentiya.com/?page_id=1621

リリーフバルブ

リリーフバルブとは

リリーフバルブ

リリーフバルブとは、ポンプなどの圧力が異常値となった際に、パイプや機器の破損を防止するために圧力を逃がす安全装置です。

通常の圧力時にはバネの力でバルブを閉じていますが、配管内圧力がスプリングよりも強い力となった際にバルブが開きます。燃料やオイル、空気などをバイパスして圧力を開放します。バルブの開く圧力はバネの強さとバルブの受圧面積で決まります。

リリーフバルブは正確に設定され、適切に保守される必要があります。定期的な点検やテストを行い、リリーフバルブの動作が適切であることを確認することが重要です。

リリーフバルブの使用用途

リリーフバルブは、液体の異常圧力上昇を防止する目的で使用されることが多いです。以下はリリーフバルブの使用用途一例です。

1. 自動車

自動車では、カーエアコンなどにも使用されます。カーエアコンのシステム配管内の圧力が設定値よりも高くなった際に、リリーフバルブで減圧を行います。

また、ガソリンエンジン自動車の場合は、内部駆動用の動力に油圧を使用していることがあります。油圧ユニットのオイルフィルタ内にはリリーフバルブがあり、フィルタが詰まった際に油をバイパスします。

オイルパンにたまったオイルを汲み上げるオイルポンプの出口にリリーフバルブを設置して、圧力が高まった際に圧力を逃す用途にも用います。

2. ガス供給

プロパンガスなどの供給においても、リリーフバルブが使用される場合があります。身近な例はバーベキュー用プロパンガスなどです。バルブが開放されることで、ガス圧力が設定された範囲内に維持されます。

3. 製造業

製造業においては、油圧システムや化学プラントなどに使用されています。 油圧システムではリリーフバルブがシステム内の油圧を制御し、システムの安全性を確保します。油圧ポンプやアクチュエータに異常な圧力がかかった場合、リリーフバルブは圧力を逃がしてシステムの破損を防ぎます。

また、化学プラントでは異常な圧力上昇を監視するためにリリーフバルブが必要です。化学反応器や貯蔵タンクなどの装置内の圧力が制御され、爆発や破裂などを防止します。

リリーフバルブの原理

リリーフバルブは、ポンプなどの圧力が異常値となった際に、圧力を開放して圧力の上昇を防止します。リリーフバルブの構成部品は調整ネジ、プッシュロッド、スプールなどです。

通常の圧力では、スプールと呼ばれる部品をバネで押し付けています。入力側の圧力が上昇してスプールを押す力がバネの力よりも大きくなると、スプールを押して回路から圧力を逃して圧力異常を防止します。

リリーフバルブの設定圧の調整は、調整ネジを回すことで行います。リリーフバルブの設定圧はバネの強さとバルブの受け圧面積で決まります。

バルブや弁の形状、バネの力、設定圧力などによって動作します。設定圧力を超えると、バルブが開いて圧力を解放し、安全な圧力範囲に制御します。また、リリーフバルブはシステム内の圧力変動に応じて繰り返し作動することがあります。

リリーフバルブのその他情報

リリーフバルブと安全弁の違い

大きな意味ではどちらも安全弁に属しますが、機能の違いで安全弁とリリーフバルブに分けられます。安全弁は設定圧力になった場合、弁体が瞬時に全開して圧力を逃がします。

リリーフバルブは設定圧力になると弁体が開き始め、圧力の上昇とともに開度が大きくなります。一般的に安全弁は蒸気や気体で使用され、危険圧力になるとすぐに開放し、事故を防止することを目的とします。

液体で使用され、圧力調整や誤作動による圧力上昇防止が目的です。また、ポンプの出口に設置して圧力調整や締め切り運転による圧力上昇防止を行うポンプリリーフ弁があります。

また、安全弁とリリーフ弁の機能を併せ持ち、気体・液体両方に使用できる安全逃し弁もあり、使用用途と使用環境に合わせて選択します。

参考文献
http://www.ishinotec.com/
https://www.hitachihyoron.com/jp/pdf/1966/12/1966_12_12.pdf

リフティングマグネット

リフティングマグネットとはリフティングマグネット

リフティングマグネットとは、磁石の吸引力により物体を吸着する装置です。

名称を省略してリフマグと呼ばれる場合もあります。リフティングマグネットは主にロボットアームなどの可動機器の先端に装着され、磁石で吸着可能な物体の持ち上げや搬送に利用されます。

2指平行グリッパのように掴むことのできる対象の物体の形状が限定されず、1つ以上の平面を有する磁性物体であれば吸着が可能であるため、鉄製品を扱う工場などで汎用的に使用されています。

リフティングマグネットの使用用途

リフティングマグネットは磁力により物体を吸着する装置であり、電磁式と永磁式の2つのタイプが存在します。

電磁式のリフティングマグネットは磁力の強さを自由に設定できるため、一定の枚数の鋼板を搬送する装置などに使用されています。

永磁式のリフティングマグネットは配線や整流器などの電気設備が不要なため、比較的小型なハンドクレーンの先端や作業テーブル上のチャック機構として使用されます。

永磁タイプはON/OFF切り替え動作のみ電動化した永電磁式というタイプが多く使用され、停電時の落下を防止できる点や消費電力が小さい点で優れています。

リフティングマグネットの原理

電磁式のリフティングマグネットは内部に電磁石が備えられており、通電することにより物体を吸着します。また、電磁石を流れる電流量を制御することで吸着力を調整することが可能です。

永磁式のリフティングマグネットは内部に永久磁石が固定されており、手動で磁石の方向を90度回転させることにより吸着力を発揮します。永電磁式タイプではこの切り替えをサーボモーターなどの電動機器により行っています。

リフティングマグネットは磁力により物体を吸着するため、磁性材料である鉄・コバルト・ニッケルを主成分とした物体を吸着することが可能です。ただし、合金などの主成分が1種類でない材料の物体を吸着しようとする場合はその組成により吸着力も変化するため注意が必要です。

磁性材料でないアルミ材料の合金は当然吸着できませんが、鉄の合金であるステンレス鋼は吸着できるものとできないものがあります。一般的に使用されるステンレス鋼であるオーステナイト系のSUS304材は吸着できませんが、フェライト系やマルテンサイト系のステンレス鋼は吸着することができるなど、吸着したい物体の材料によって適切なリフティングマグネットを選定する必要があります。 

参考文献
https://www.sanshin-kk.co.jp/product/unit301.htm
https://www.monotaro.com/s/pages/cocomite/079/
https://www.sunco.co.jp/neji/reference/02_q04.html

リフタ

リフタとは

リフタ

リフタ (英: lifter) とは、重い物体を持ち上げたり下ろしたりするために使用される機械や装置です。

製品を積載したパレットや箱詰め製品を上昇させる工業用装置を指して、リフタと呼ばれることが多いです。機械的な力を利用して、物体を持ち上げることができます。モーターや油圧システムを使用して力を発生し、それを伝える仕組みを備えています。

したがって、人力では運搬不可能な重量物を持ち上げることが可能です。また、物体を確実かつ安全に持ち上げるために、安全装置や制御機構が組み込まれています。事故や怪我のリスクを最小限に抑えるように設計されており、安全性向上にも寄与します。

リフタを使用することで重量物の昇降作業が容易になるため、作業の効率化や省人化、腰痛リスクの軽減などが主なメリットです。

リフタの使用用途

リフタはさまざまな産業・分野で使用されます。主な分野は物流業界、建築業界、製造業などです。

1. 物流業界

物流業界では、倉庫内での物品の運搬や保管作業に広く使用されます。パレットリフタやフォークリフトなどのリフタは、重い物体を効率的に持ち上げて移動することが可能です。また、棚の配置や積み下ろし作業にも活用されます。

2. 建築業界

建設現場や重機産業においても重要な役割を果たしています。クレーンリフタなどは大型の建材や機械を持ち上げるために使用されます。これらのリフタを活用して、建設現場での物資の配置や運搬がスムーズに行われます。

3. 製造業界

製造業界では、リフタが製品の組み立てや梱包などのプロセスで使用されます。自動車産業では、車体の持ち上げや部品の取り扱いにリフタが利用されます。また、製造ライン上での物品の移動や位置調整にも使用されることがあります。

リフタの原理

リフタは、機械的な力やエネルギーを利用して重い物体を持ち上げるために設計されます。動力源や持ち上げ用治具、制御機構などで構成されます。

まず、動力源からエネルギーを供給されます。一般的な動力源にはモーターや内燃機関、油圧システムなどがあります。動力源から供給されるエネルギーは、適切な機構を介して運搬力に変換されます。

また、リフタには持ち上げる物体に適した部品が組み込まれています。フォークリフトではフォークが使用され、クレーンリフタではフックや吊り具が備わっています。用途に応じて付け替えることも可能です。

制御機構が組み込まれる場合もあります。制御機構によってリフタの操作や運動を制御し、安全性や正確性を確保します。

リフタの種類

リフタにはハンドリフタ、電動リフタ、油圧リフタ、テーブルリフタなどの種類が存在します。

1. ハンドリフタ

手回しハンドルや滑車によって、小さな力で重量物を上昇できるリフタです。製品の積載のために上昇と移動の機能は同時に必要になる場合が多く、大半の製品は移動するためのキャスターが設けられます。

ハンドリフタは人力以外の動力源を必要としないため、使用場所に制約がありません。また、電力や燃料のコストがかからないため、価格もランニングコストも比較的低い点が特徴です。

2. 電動リフタ

ハンドリフタのハンドル部分をモータに置き換えた構造のリフタです。動力源としてバッテリーを備えた製品もあり、あらかじめ充電することで、移動式台車として使用することが可能です。電動のため、作業の効率化や省人化に寄与します。

3. 油圧リフタ

油圧の力によって対象物を持ち上げるリフタです。電動で油圧をコントロールするタイプや足踏みペダルで加圧するタイプがあります。

重量の大きい対象物を昇降するために使用されることが多いです。ただし、大きいストロークや上昇速度が必要な場合には不向きです。

4. テーブルリフタ

テーブルを昇降させて作業に適した高さに変えることが可能なリフタです。箱詰めされた製品を上昇するために使用される場合があります。

テーブルリフタは移動する必要が無く、動力源は配線または配管接続することが可能です。工場内のエア配管をエアシリンダと接続することで、空気圧リフタとして使用する場合もあります。 

参考文献
https://www.makitech.co.jp/conveyor/index-5.html
https://www.monotaro.com/s/pages/cocomite/772/ 

シリコンラバーヒーター

シリコンラバーヒーターとは

シリコンラバーヒーター (英: Silicon Rubber Heater) とは、シリコンゴムを使用したシート状のヒーターです。

一般的なニクロム線のヒーターと同様に、電流を流すことで面全体が加熱されます。2mm以下に設定可能な薄さに加えてゴム材料の特徴である柔軟性を有しているため、狭幅部や曲面の加熱に適しています。また、シートの形状も自由に設計できるので、被加熱物の形状に合わせた形状が選択可能です。

設定温度は60℃から300℃程度まで設定可能であり、円筒容器やパイプの加熱や紙・プラスチックなどのヒートシールに使用されます。

シリコンラバーヒーターの使用用途

シリコンラバーヒーターは柔軟性と高い熱伝導性から、さまざまな使用用途で利用されます。

1. 自動車分野

自動車においては、バッテリーの温度管理や自動車内のシートヒーターなどに使用されます。デフロスター (除霜) システムなどでも利用される場合があります。また、寒冷地や冬季の低温環境では、エンジンオイルの温度を適切に制御するために使用する場合もあります。

2. 医療分野

医療現場では、医療機器の保温や温熱療法に使用されます。血液温度制御装置や熱療法パッドなどがその一例です。また、早産児や病弱児の保温環境を提供するインキュベータにも使用されます。

3. 製造分野

製造業では、さまざまなプロセスで加熱のために使用されます。溶接の前処理やラミネート加熱などが代表例です。また、発火の恐れが小さい点や、ニクロム線ヒーターと比較して省スペースな点から、航空宇宙分野でも採用の実績があります。 

シリコンラバーヒーターの原理

シリコンラバーヒーターは、2枚の薄肉シリコンゴムシートの間に一定間隔で折り返した抵抗線を挟み込んだ構造です。シリコンラバーヒーターの端部では抵抗線の両端部がリード線と接続されており、リード線に電圧を印加すること加熱することができます。

抵抗線にはニッケル合金であるニクロム線や、炭素などが使用されます。電流が流れると抵抗を生じ、その結果として熱が発生します。

リード線の材質は銅が最も一般的です。銅は高い電気伝導性を持ち、信号や電力の効率的な伝達が可能です。また、柔軟性にも優れており、加工や取り扱いが容易となっています。

シリコンラバーヒーターの発熱能力は、出力ワット数を面積で割ったワット密度という値で表されます。ワット密度は抵抗線の発熱量や配置密度に依存し、およそ0.1~2W/cm2の発熱能力の製品が展開されています。

シリコンラバーヒーターの種類

シリコンラバーヒーターには、使用用途合わせて穴あけや、丸型、金属発熱体のパターン設計に合わせたものの作成などができますが、代表的なものは下記の2つです。

1. シリコンヒーターパッド(角形)

一般的なタイプで、フレキシブルで均一な熱を発生させることができます。平面で使用することはもちろん、様々な形態に対応可能で、配管、食品、薬品などに使用されます。

2. シリコンヒーターバンド

管やシリンダーなどの円形または円筒形のオブジェクトを温めるために使用されます。これらのバンドは対象物の周囲に巻き付けられ、必要な温度を維持するために設計されています。またドラム缶やタンクなど比較的大きなものに対応しているものがあります。

シリコンラバーヒーターの選び方

シリコンラバーヒーターを選ぶ際には、設置条件や発熱能力を考慮します。

1. 設置条件

どのような対象物やプロセスを加熱する必要があるのかを明確に把握します。加熱する対象物の形状やサイズを考慮し、厚さや大きさを選定します。また、使用環境によっては耐久性と耐環境性を持つシリコンラバーヒーターを選ぶ必要があります。

2. 発熱能力

各メーカーからシリコンラバーヒータの発熱能力と空気中での温度変化のグラフが提供されています。そのため、使用する際には目標加熱温度と到達時間、被加熱物の熱伝導係数などから電熱計算を行います。計算結果からシリコンラバーヒーターの発熱能力を決定します。

ただし、シリコンラバーヒーターの到達温度は周囲温度や被加熱物との密着状態によって変化するので、厳密な温度設定をしたい場合には別途サーミスタやコントローラーなどを用意して制御システムを構築する必要があります。

参考文献
https://www.om-heater.jp/whatssrh/index.html
https://www.threehigh.co.jp/blog/2017/09/silicon-rubber-heater-calculation.php