ローラーガイドとは
ローラーガイド (英: Roller Guide) とは、機械や機構において使用されるローラー型の摺動ガイドです。
主に直線的な動きを制御するために使用されます。軸方向に直線運動するオブジェクトをサポートし、正確な位置決めやスムーズな移動を可能にします。
リニアレールと組み合わせてガイドレールとして使用する場合や、円筒上に配置することでリニアブッシュのように直道する軸受として使用する場合があります。円筒状のローラーがレール上を転がることにより、滑らかな動きを実現して静粛性向上に寄与します。
また、鉄鋼業界においては、加熱炉から出てきた高温の鋼材を圧延ロールに誘導するための装置をローラーガイドと呼びます。鋼材に摩擦力をほとんど与えることなく圧延ロールに誘導できるため、歩留まりおよび品質の向上に欠かせない装置です。
ローラーガイドの使用用途
直動機構としてのローラーガイドは、ボールベアリングを使用した直動機構であるリニアガイドよりも比較的安価であり剛性が高いため、簡易的な直動機構や負荷が大きい場合の直動機構として採用されます。
以下はローラーガイドの使用用途一例です。
1. 工作機械
旋盤やフライス盤などの工作機械に使用されることがあります。これらの機械では高い位置決め精度が求められ、また、高速かつ正確な動きが必要です。ローラーガイドを使用することでこれらを実現します。
2. 産業用ロボット
産業用ロボットや自動化システムにおいて、ロボットアームやガントリーなどの移動部に使用されます。ローラーガイドによって高い精度とスムーズな動作が可能なため、ロボットの作業範囲や精密な位置決め用途に重宝されます。
3. 鉄鋼業界
鉄鋼業界におけるローラーガイドは、圧延ロールへの誘導に使用されます。圧延鋼材の焼付きを防止することによる歩留まりと品質の向上を実現可能です。世界各国の製鉄所に導入されます。
鉄鋼業界におけるローラーガイドは、2個あるいは4個のローラーが一定の間隔で並列に配置されます。圧延前の鋼材をローラーの間に通すことにより、圧延ロールに対して正確な位置に誘導することが可能です。ローラーの間隔は遠隔操作で調整できるため、生産する圧延鋼材の生産条件に応じて制御されます。
ローラーガイドの原理
ローラーガイドは、ローラーとレールの相互作用に基づいて動作します。
レール (ガイドレール) は、直線的な形状をしており、通常は平面や角柱状の断面です。ガイド部品としての役割を果たし、軸方向の直線運動を制御します。レールは高い剛性を持ち、荷重を受けることができるように設計されます。
ローラーは、レール上を転がることができる円筒形の部品です。一般的には軸受けに支持されており、転がり摩擦を最小限に抑える部品です。ローラーの外周面がレールと接触し、摩擦力を生み出します。
ローラーとレールの接触によって摩擦力が発生します。一方、ローラーは回転して転がり摩擦が生じるため、レール上をスムーズに転がります。ローラーの回転によって摩擦力を低減し、より滑らかな動きを実現します。
ローラーガイドの種類
ローラーガイドには、さまざまな種類があります。以下はローラーガイドの種類一例です。
1. リニアローラーガイド(英: Linear Roller Guide)
直線的な運動制御に使用するローラーガイドです。レール上に並ぶ複数のローラーが負荷を分散し、スムーズに直線運動します。高い精度と剛性を持ち、工作機械やロボットで広く使用されます。
2. クロスローラーガイド(英: Cross Roller Guide)
クロスローラーと呼ばれる特殊な形状のローラーガイドです。軸方向と垂直方向の両方に対して高い剛性を有します。したがって、高い荷重容量と優れた回転精度を持つガイドとして使用されます。
3. スフィアローラーガイド(英: Spherical Roller Guide)
球形のローラーを使用したローラーガイドです。球形のローラーは、軸方向と傾斜方向の双方に対して自由度を持ち、振動や歪みを吸収します。振動の多い環境などで使用されます。
参考文献
https://eurotechno.co.jp/info/characteristics-of-ball-roller-guide/
https://www.ikont.co.jp/product/chocudo/tou16.html
https://www.kotobuki-sangyo.com/steel/about.html