レンチキュラーレンズとは
レンチキュラーレンズは、断面がかまぼこのような形をした凸レンズのことであり、一般的に細長い凸レンズが複数本連なってシート状になっているものが多いです。レンチキュラーレンズを画面に貼り付けた状態で、視差のある画像や映像を画面に表示することで、裸眼での立体視を実現することができます。
レンチキュラーレンズの使用用途
主な用途としては、「裸眼での3D立体視」と「見る角度によって絵柄の変わる2D画像の作製」が挙げられます。お土産品などで目にする、見る角度によって見える絵柄が変わるカードやキーホルダーなども、表面にレンチキュラーレンズが貼ってあるため、このような現状が起こっています。最近では、3D用メガネを必要としない裸眼立体視ディスプレイなども製品化されてきています。
レンチキュラーレンズの原理
レンチキュラーレンズは、PETやアクリルなどの素材で作られていることが多く、断面形状がかまぼこのような形をした細長い凸レンズを連ねてシート状にして使用します。このシートを貼る、もしくはこのシートの裏面に直接印刷を行うことで、「立体視」や「見る角度によって見える物が変わる」といった効果を得ることができます。
これは、レンチキュラーレンズで光が屈折することにより生み出されます。この効果を得るためには、レンチキュラーレンズの一つ一つの凸レンズと対象となる画像や映像の位置が正確にあっていることが重要です。位置がズレてしまうと、上手く効果を得ることができません。レンチキュラーシートは、シート表面の目の細かさついて、「lpi」という数値を用いて表しているため、このピッチに合わせた画像や映像を作製することが重要となります。(例えば、30lpiであれば、1インチあたりにレンズ30本、100lpiなら1インチあたりに100本のレンズがあるということを表します。)
また、レンチキュラーレンズの屈折率により視野角が変化し、これは線数に対する厚みの比率で角度が決まります。同じ線数の場合は、厚みがあるほど奥行きのある3D向きのレンズとなり、逆に薄いレンズほど2D向きになります。
レンチキュラーレンズの適用例
レンチキュラーレンズを液晶ディスプレイに適用した例を図に示します。
「見る角度によって絵柄の変わる2D画像」を液晶ディスプレイで実現したものは「2画面ディスプレイ」とも呼ばれ、例えば車載用のセンターインフォメーションディスプレイ(CID)として用いると、運転席側にはカーナビゲーション画像、助手席側には映画等のエンターテインメント映像を単一のディスプレイで同時に生成することが可能となります。 また、裸眼での3D立体視ディスプレイとして用いる場合は、左目用と右目用に適合した視差のある2種類の画像を生成し、それぞれの画像データを表示する画素からの光がユーザの左目と右目の方向に分離するようにレンチキュラーレンズの条件を調整します。
参考文献
https://coburn.jp/filmpaper/lenticular/lenticularlens/
https://www.lenticular.jp/lens/
https://lentiya.com/?page_id=1621