エキゾーストクリーナ

エキゾーストクリーナとは

エキゾーストクリーナとは、「排気クリーナ」とも呼ばれ、空気圧システムの電磁弁やシリンダなどの排気ポートで使用される空気清浄化機器です。

エキゾーストクリーナには次の2つの目的があります。1つ目は、排気時に発生する騒音の軽減です。消音性能はサイレンサより高く、35dB以上の効果があります。

2つ目は、空圧システムから排出された圧縮空気中にある油分やダストの除去です。エキゾーストクリーナを取り付けることで、これらを回収し適切に排出することができます。エキゾーストクリーナを設置すれば、静かでクリーンな作業環境が実現します。

エキゾーストクリーナの使用用途

エキゾーストクリーナは、空圧システムの排気時の騒音と、排気中のミストオイルなどを取り除くために使われています。空圧システムには「エアフィルタ」「レギュレータ」「ルブリケータ」の3つのユニットが搭載され、下記のような機能があります。

  • 空圧ライン中に発生・混入する不純物を除去
  • 加圧と圧力の保持
  • 潤滑油の供給

これらの機能により、空圧システムを安定的に稼働させ、劣化や故障を防いでいます。ユニットを通過した圧縮空気は、排気時に「騒音」と「汚染」を発生させるという問題があります。騒音はサイレンサを使用することで軽減できますが、ダストやオイルミストで汚染された圧縮空気には対策が必要です。

問題を放置すれば、排出ポートの汚染・詰まりを引き起こし、やがて機器を故障させる恐れがあります。さらに、人体に悪影響を及ぼし、呼吸器や内蔵の疾患を引き起こす危険があります。その対策として、エキゾーストクリーナが設置されています。

エキゾーストクリーナを設置すれば、排気時の騒音に加え、排気中のダストやミストオイルなども取り除くことが可能です。

エキゾーストクリーナの原理

エキゾーストクリーナは、「エレメント」と呼ばれるろ材で排気を浄化しオイルを回収します。また、この「エレメント」が消音効果を発揮します。

1. オイルミストが発生する仕組み

エアシリンダなどのアクチュエータは、組み付け時にグリスを必要量付着させることで無給油で使用できる無給油機器が普及しています。

その一方で、シリンダの潤滑のため、ルブリケータを使用して圧縮空気中に油を混入させて潤滑する場合があります。すると、排気中にも油分が混入し、オイルミストが発生する仕組みです。

2. 排出される圧縮空気を浄化する

このオイルミストやダストを含んだ圧縮空気を、エキゾーストクリーナに通過させることで浄化します。エキゾーストクリーナ内部にある「エレメント」と呼ばれるろ材の出番です。

排気中のオイルは、エレメントの表面及び内部でろ過され、さらに凝縮されてエレメント内部や表面を落下し、オイルケース部に溜まることで回収されます。

3. 回収したオイルを排出する

回収したオイルは、「ドレンコック」や「ドレン配管」といった方式でドレン口より排出されます。ドレンコックは、コックを開けることでオイルを排出します。ドレン配管は、配管によってオイル溜りなどつなげることで、たえずオイルを落とす方式です。また、エレメントを通過することで、消音効果を得ることができます。

エキゾーストクリーナの選び方

有効断面積や最大処理流量によってサイズが異なるため、使用内容に応じて選定します。エキゾーストクリーナは、電磁弁から排気される圧縮空気の最大所要空気量より大きい処理能力があるものを選定するのが基本です。

複数の電磁弁を集中配管方式で使用する場合は、同時に作動するアクチュエータ等の機器と接続される配管の容積を含めたピーク時の最大所要空気量を計算します。そして、その値がエキゾーストクリーナの最大処理流量以下となるように機器を選定します。

エキゾーストクリーナの最大処理流量を超えて利用すると、オイルを周囲へ飛散させたり、エレメントが損傷したりする原因となるため注意が必要です。

エキゾーストクリーナのその他情報

エレメントの目詰まり

エキゾーストクリーナは、通常のサイレンサと比較して、有効断面積が小さくなりエレメントの目詰まりも早いです。エレメントの目詰まりを検出する目安として、排気時の内圧を測定します。

内圧が一定以上上昇した場合は、エレメントの通気性が悪くなっているサインであり、目詰まりを起こしていると考えられます。通常、0.1Mpaに達する前に交換します。

参考文献
https://www.smcworld.com/products/ja/s.do?ca_id=1049

エアプラズマ切断機

エアプラズマ切断機とはエアプラズマ切断機

プラズマ切断機

エアプラズマ切断機とは、高温のアークプラズマを利用して金属を切断する機械です。

プラズマ切断機の一種で高温のアークプラズマを使用するため、金属の効率的な切断が可能です。ガス切断機やプラズマ切断機に比べ、ステンレスなどの硬度の高い金属やアルミ、真鍮、鉄などの多くの金属を切断も可能になります。

また、大型の工場や自動車修理工場、造船所などで広く使用されています。金属を切断する必要がある場合には、エアプラズマ切断機が高い効率で作業を行えるため、多くの業界で必要不可欠な機械です。

プラズマ切断機と同様に高度な技術が必要ですが、正しく操作することで、効率的な金属が可能です。また、安全性にも注意が必要で、操作時には、保護メガネや手袋などの適切な安全装置を着用することが大切です。

エアプラズマ切断機の使用用途

エアプラズマ切断機は主に金属の切断に使用される機械で、主に加工工場内で利用されます。プラズマ切断機とは異なり、高圧エアを使用するため硬度の高い金属やアルミ、真鍮、鉄などの多くの金属の切断が可能です。

鉄骨や鋼材の切断、建設現場での金属の加工、また、自動車や船舶の修理工場において金属の切断にも使用されます。さらに、パイプラインや製鉄工場、航空宇宙産業など、さまざまな分野で広く使用されています。

エアプラズマ切断機は、プラズマ切断機と同様に手作業で使用され、切断面はやや荒くなる傾向があるため、仕上げ切断には適していませんが、厚板の切断には効果的です。

エアプラズマ切断機の原理

エアプラズマ切断機は、プラズマアークを発生させて高温のアーク熱とプラズマ流によって金属を溶断することで成り立ちます。

プラズマアークは、トーチ先端の電極と切削対象物との間に高周波の電気を印加することで発生します。電気が流れることでトーチ先端の電極が加熱され、その周囲の空気分子がイオン化されプラズマ化する仕組みです。プラズマアークはプラズマ化したガスによって維持され、非常に高温 (約2万℃) の状態になります。この高温プラズマアークが金属を溶かし、高圧エアによって吹き飛ばすことで切断が行われます。

エアプラズマ切断機には、内部に冷却装置を備えたウォーターインジェクションタイプもあります。これは、プラズマアークが発生する周辺部分が非常に高温になるため、冷却水を噴射して熱を逃がすことで、トーチの寿命を延ばすことが可能です。

また、ウォーターインジェクションタイプは、プラズマアークによる加熱が少なくなるため、切削精度が向上するという利点もあります。

エアプラズマ切断機のその他情報

エアプラズマ切断機のメリット

エアプラズマ切断機を使用するメリットは以下の4つです。100mm程度の厚板まで切断でき、ステンレス鋼やアルミ合金など、ガス切断で切断できない素材も切断可能であることや、曲線の切断も比較的簡単にでき、ランニングコストも安く、操作も簡易で安全性も高いという利点があります。

1. 高い精度で切断
プラズマアークを利用するため、熱によって素材が溶解するので、切断面に残留ストレスが生じません。そのため、切断面は平滑できれいに仕上がります。また、CNCマシンを使って切断することもでき、高精度の切断加工も可能です。

2. 省エネルギー
プラズマアークによる熱によって溶解された素材は、高速で放出されます。そのため、電力消費が少なくなり、省エネルギーになります。

3.高い柔軟性
切断の際に、トーチと切断対象の間にクリーナーガスを送り込むことで、切断面の品質を変更できます。このため、異なる素材や厚さの板金を切断する場合に、適切な切断条件を設定できます。

4.低コストで導入可能
他の切断技術に比べて機器のコストが低いため、低コストで導入が可能です。また、使用する消耗品も安価であるため、ランニングコストも低く抑えられます。

Vリング

Vリングとは

Vリングとは回転軸に直接取付けて用いるシール部品です。

例えばスラストワッシャ、シャフトカラー、さまざまなベアリングの隣に設置され、ベアリングに封入されたグリスの流出を防ぎつつ、外部からチリや埃など異物の侵入を防ぎます。

Vリングと類似の役割を果たす部品にオイルシールがあります。オイルシールは回転軸を支えるハウジング側に固定されますが、Vリングは回転軸側に固定するのが大きな違いです。またオイルシールは異物の侵入以外に、潤滑油など機械の内部に封入された流体のシールに用いられます。一方でVリングは主に外部からの異物の侵入を防いだり、グリスのような粘度の高い潤滑剤を保持するのが主な目的です。

Vリングはスウェーデンにあるフォーシェダ (Forsheda) 社が開発しました。そのためフォーシェダVリングと呼ばれるこtもあります。

Vリングの使用用途

Vリングは、回転軸に取り付けられたベアリングに封入されたグリスなどを保持しつつ、外部からの異物の侵入を防ぐために用いられます。特にオイルシールが必要なオイルのような低粘度の流体を封入する必要がなく、工場内で使われる産業用機械など、過酷な自然環境以外の環境で用いられる機械の回転軸部分に適したシール部品です。具体的には産業用機械のスピンドル、ロボット、ギアボックス、OA機器の回転軸などに用いられます。

Vリングでは回転軸の太さは幅広く対応でき、約5mm程度の小型の軸から、約360mm程度の大型軸まで、数ミリ単位で適用可能なほど、豊富なサイズがあるのが特徴です。

Vリングの原理

ここでは原理について、固定とシールに分けて説明します。

まず固定の原理は、回転軸に対するVリング自体の弾性力によるものです。回転軸の軸径よりも小さな内径との締め代の大きさと、Vリングの材質の弾性力によって回転軸への固定力が決まります。

次にシールの原理を説明します。Vリングのシール原理は、リップの先端の回転軸を支えている相手部品との直接接触によるものです。接触圧力は主にVリングのヒンジ部と呼ばれる部分によって発生します。

Vリングはリップ部分が相対運動する部品と直接接触しているため、摩擦力によって動力損失が発生するシール部品です。しかしリップには回転による遠心力が生じ、接触圧力を低下させるように作用します。Vリングによる動力損失は、さまざまな実験によって、シャフト径の大きさに関わらずリップの周速が10~12m/sでピークを迎え、その後減少していくことが知られています。遠心力による接触圧力の低下がリップの高寿命化にもつながるのも、Vリングの特徴です。

Vリングの構造

Vリングは大きく3つの部分から構成されています。まず回転軸への保持力を発生する本体部分、回転軸の相手部品と接触しシール機能を担うリップ部、本体とリップ部を繋ぎリップの接触力を発生させるヒンジ部です。3つの部位がちょうどV字をなすように構成されています。

Vリングのその他情報

1. Vリングの材質

材質は使用環境に耐えうることはもちろん、回転軸へ固定力の発生、ヒンジによるリップの接触力の発生、リップと相手部品との耐摩耗性から考慮されなければなりません。一般的には広く用いられるニトリルゴム (NBR) 、耐薬品性や耐高温性、耐摩耗性などが求められる場合にはフッ素ゴム (FPM) 、その他クロロプレンゴム (CR) 、エチレンプロピレンゴム (EPDM) などが用いられます。

2. Vリングを用いる際の注意点

Vリングを用いる際には取り付ける回転軸、シールする相手部品についても考慮して設計しなければなりません。

まず回転軸の軸径と面粗度です。Vリングとのはめあいによって固定しますが、Vリング材質の弾性が低いため、比較的幅広い設計範囲で使用することができます。

シール機能に大きな影響を与えるのはシール相手面です。リップは弾性力によって柔軟に変形できますが、シール面は回転軸に対して垂直が保たれているほどシール機能を高く維持できます。また平面度も一般的に100mmにつき0.4mm以内とされています。

相手面の面粗度は動力損失やリップの摩耗に大きく影響する因子です。使用するVリングに推奨される面粗度を確認することが大切です。

参考文献
https://www.monotaro.com/s/c-68369/
http://www.tokiwashoji.co.jp/v_ring.html

パネルメーター

パネルメーターとはパネルメーター

パネルメーターは入力信号をデジタルもしくはアナログ形式で表示する機器です。

現在ではデジタル方式のパネルメーターが主流で、電圧や電流に加え、回転量、速度、流量、温度など各種センサーから出力されるアナログ信号をデジタルに変換して表示させたり、内部に記録として残したり、他の機器と通信を行いデータを送受信する機能を備えているものが多くあります。

表示パネルは、7セグメントLEDを複数並べたものや白黒もしくはカラーの液晶表示を利用したものに加え、従来からあるアナログメーターを用いたものもあります。

パネルメーターの使用用途

液晶タイプのパネルメーターは数値を表示するだけでなく、各種バーグラフや折れ線グラフを表示できるなど多様な表現力を持つパネルメーターがあるため、様々な場所で利用されています。

一例を挙げると工場において電流や電圧の測定に対応したデジタルパネルメーターは、各種機器から出力される電流や電圧を、1秒間に数千回程度のサンプリングスピードで取り込み、これをデジタル値に変換し、更にシステムを制御するマイコン等に取り込んだ上で演算処理を行いその結果を表示パネルに出力します。

パネルメーターの原理

デジタルパネルメーターは、多くの場合、工場など環境条件の厳しいところで使用されることが多いため、動作保証範囲が10度~50度程度、電源電圧も民生機器とは異なりAC100V~200V程度までと広い範囲でサポートされています。

デジタルパネルメーターの多くは外部機器との通信インターフェースとしてRS-232CやRS-485に対応しています。ホストPC等の通信を行うためにこれらのインターフェースをサポートしています。

通信インターフェースは、測定機器等の業務用機器で一般的に良く使われるModbusというプロトコルをサポートしています。

ホストPCからのコマンドを受け、デジタルパネルメーターの状態を定期的に監視するためのステータス情報をホスト側に送信したり、ホストからの指示に基づき、電源ON/OFFを行ったり、デジタルパネルメーター内部レジスタのデータをホストPCに送ったり、ホストから送られてくるデータをデジタルパネルメーターの内部レジスタに書き込んだりします。

この様にホストPCにより、Modbusを経由することにより同時に最大31台のデジタルパネルメーターを制御することが可能です。

参考文献
https://www.fa.omron.co.jp/guide/technicalguide/62/119/index.html
https://www.watanabe-electric.co.jp/product/show/productCode/1168/
https://www.henix.co.jp/item-cat/item01/
https://www.keyence.co.jp/ss/products/controls/network/fieldnetwork/modbus.jsp

パッチパネル

パッチパネルとは

パッチパネル

パッチパネル (patch panel) は、電子機器間のケーブル同士の接続を補助する機器のことです。

別名は、パッチボード (patch board) 、パッチベイ (patch bay) もしくはジャックフィールド (jack field) などです。構造は非常にシンプルで、パッチパネルの前面と裏面にケーブルを差し込む口 (コネクタ) が複数設置されています。パッチパネルは、LANケーブルや光ファイバーケーブルなどと、サーバーとパソコンを繋ぐ際の中継器を意味する場合もあります。

パッチパネルの使用用途

パッチパネルは、電子機器同士を繋ぐ装置です。例えば企業などでは、多数のパソコンとサーバーの接続が必要です。このとき、サーバーのコアスイッチに全てのパソコンを繋いでしまうと、何と何が接続されているのか分かりにくくなります。接続環境を見直したい場合や修理や補修の際の手間は甚大です。

そこで、パッチパネルを介して複数のパソコンとサーバーを繋いでおけば、接続環境を簡単に把握できます。サーバー側の変更もパソコン側の変更も容易で、特定のパソコンのみの交換や新規の機器の増設も容易です。

また、当該機器を経由すれば、多数のケーブルを整然と並べることが可能になります。そのため、サーバーとパソコンを直接に接続する場面と比べて配線まわりをきれいに整頓できます。

パッチパネルの原理

パッチパネルは、非常にシンプルな構造です。パネルの表面と裏面に電子機器のケーブルのコネクタを差し込むメス型のコネクタ (メスコネクタ) が配されています。このコネクタには電子機器へのインプットおよびアウトプットの機能があります。

当該機器自体には電源や電子部品、制御回路などの部品は搭載されていません。物理的に前面に接続されたケーブルと背面に接続されたケーブルを物理的に繋いでいます。電源などを必要としないため、設置箇所を選びません。

ただし、各種電子機器により使用するケーブル、接続端子の形状などが異なります。電話線に対応しているものやLAN配線に対応しているものなど、複数の種類があります。使用する電子機器に対応しているコネクタがあるパッチパネルを選ぶことが必要です。

パッチパネルのその他の情報

1. パッチパネルの種類

パッチパネルとしては以下のような種類があります。

  • UTP ケーブル用パッチパネル
  • STP ケーブル用パッチパネル
  • Fiber ケーブル用パッチパネル
  • コネクタ専用パッチパネル

UTPケーブル用やSTPケーブル用のパッチパネルは、通常のLANによく使用されるものです。高速通信の必要があるデータセンターや企業のネットワークには、Fiberケーブル用のパッチパネルが使用されます。コネクタ専用パッチパネルは、特定の機器を接続するものです。

なお、パッチパネルを介して接続することで、配線を整理して使いやすくするだけでなく、セキュリティー強度を上げることも可能です。

2. パッチパネルの設置方法

パッチパネルは電源などを必要としないため、どこにでも設置可能です。ケーブルの着脱など後々の利便性を考慮して目の高さに設置するのが一般的です。そこで、ラックを使用して設置するケースが多く見られます。

ラックに取り付けたパッチパネルのメス型コネクタに、電子機器のケーブルを挿入します。この際、パッチパネルの裏面でケーブル同士を繋ぎ、コネクタとしての使用も可能です。

最後に、どの機器がどの機器と接続されているのかが分かるように、番号を振ったり色分けしたりします。

なお、パッチパネルの大きさ、コネクタの数は設置する場所や接続する機器の数に応じて選ぶことが必要です。また、設置場所に合わせて角度をつけられるものもあります。当然のことながらパッチパネルのサイズとラックのサイズは合わせます。

 

参考文献
https://www.panduit.co.jp/column/naruhodo/4412/
https://www.panduit.co.jp/column/naruhodo/4354/

バグフィルタ

バグフィルタとは

バグフィルタ

バグフィルタとは、織布や不織布などの濾布と呼ばれるものを用いることで気体中に浮遊する非常に細かい微粒子やダストを捕集し、処理対象の気体・ガスを浄化するための集塵装置の1つです。

濾布を円筒状にしてその袋を処理気体が流入する箇所に吊り下げることから、バグフィルタと呼ばれています。集塵機には電気の力を利用した電気集塵機もありますが、バグフィルタはそういった集塵機に比べると設備費が安価で導入しやすいという利点があります。

バグフィルタの使用用途

バグフィルタは人体・環境に対して有害な微粒子・ダストを多く含む煤煙などが発生する製造・処理現場などで利用されています。

代表的なものに、鉄鋼工場などに設置されている廃棄物を処理するための大型焼却炉があります。

また、バグフィルタによる空気清浄は粉塵が多く発生する現場や閉塞空間の空気を清浄に保つことや、粉塵爆発などの危険を抑制するなど安全に作業を進めるために非常に重要です。

バグフィルタの原理

バグフィルタは、濾布中をガスが透過する際に、ガス中の微粒子・ダストが濾布繊維に捕捉されることによりガスを清浄にします。

微粒子・ダストの除去能力はおよそ99%と非常に高い捕集率を持ち、0.01マイクロメートル以下の非常に小さい微粒子も捕集する能力をほこります。

このように捕集能力は非常に大きいですが、一定時間使用していると濾布の表面上に捕集された微粒子が堆積することで圧力損失が大きくなり、バグフィルタの捕集能力が低下します。

そのため設定値の圧力損失に達した場合には堆積した微粒子を濾布から叩き落とす必要があります。

この方法には主に機械的に振り落とす方式や圧縮空気を送り込んで振り落とすパルスジェット式などがあります。

この他にセメントや製鉄などの製錬現場で使用されるガラス繊維製のバグフィルタの洗浄には濾過方向とは逆方向から空気を流入させる方式が採用されています。

バグフィルタのその他情報

1. バグフィルタの材質

バグフィルタに使用される濾布は木綿からポリエステルナイロンポリプロピレンアクリル・テフロン・ガラス繊維などの高分子合成樹脂などの素材でできているものが主流です。

また処理するガスの温度によってはセラミック製のものが使用されます。

このようにバグフィルタの材質は、使用温度、ガスの性質、粒子の性状、耐久性及び価格などの条件を考慮し決定します。

例えば、ポリエステルは低価格ですが、高温やアルカリに弱いです。ポリイミドは溶剤に強いが、酸やアルカリに弱いです。PTFEは耐熱性があり耐薬品性能も高いが、非常に高価です。ガラス繊維は耐熱性、耐薬品性能に優れていますが、高価で耐久性に難があります。

バグフィルタは設備が簡素である反面、濾布交換が前提であることから、濾布の選定が直接ランニングコストに影響します。一方でサイズが同じであれば、材質変更も容易に可能であり、現場の状況に応じて材質を変更できる等の特色があります。

2. バグフィルタの払い落とし方式

圧力損失が大きくなったバグフィルタは堆積した微粒子を払い落とす必要がありますが、その方法として機械的振動、逆圧、パルスジェットがあります。

機械的振動はバグフィルタに振動を加えることで、逆圧では集塵時と逆向きに気流を流すことで堆積した微粒子を払い落とします。セメントや製鉄などの製錬現場で使用されるガラス繊維製のバグフィルタの洗浄には逆洗方式が採用されています。

ただし、機械的振動、逆圧では払い落とし時に気流を遮断しなければならず、集塵を中断する必要があります。このため、連続運転を可能にするには集塵機内を複数の室に分ける必要があります。

これに対して、下図のように一部のバグにのみ瞬間的に逆噴流を与えて払い落とすパルスジェット方式では集塵を中断する必要がないため、多室構造にしなくとも連続運転が可能です。

バグフィルタ

図1. パルスジェット式の模式図

3. バグフィルタのトラブル事例

バグフィルタの基本的な構造は、他の集塵機と比較しても単純であることから、省スペースでの設置が可能であり、かつメンテナンスが用意です。また、濾布の材質やサイズを適切に選定することにより、様々な環境で高い集塵能力を発揮します。このような特徴から、バグフィルタは様々な分野で広く普及しています。但しこの利点が、種々のトラブル原因とも密接に関連することがあります。

最も多いトラブルは、濾布の脱落や破損です。これは、粒子を含むガスが局所的に集中すること、また負荷変動による流速の変化で濾布が揺れ、隣接する濾布やケーシングに接触することにより発生します。この対策として、パンチングメタルのようなガス流れを調節する整流板を増設することで解決することがあります。また、濾布設置数を減らし、接触の恐れのある個所で配置密度を低下させることがありますが、集塵効率を低下させるため応急処置の場合に限ります。

そして最も重大なトラブルは着火や爆発になります。一般的に焼却炉の集塵設備は、バグフィルタを採用するケースが殆どです。焼却炉のバグフィルタでは、集塵対象が微細な炭素であり、系内が負圧となることが多いためケーシングの隙間などから外気を取り込んで着火の条件が揃うことがあります。また、濾布の詰まり等で系内に微粉が滞留すると、粉塵爆発の危険性が増大します。

このように簡易で導入しやすい設備ではありますが、非常にデリケートな面も併せ持っています。これらのトラブルを防止するためには、適切なバグフィルタの選定と定期的なメンテナンスが重要となります。

参考文献
http://www.k-yamako.co.jp/jigyou_engineering_bugfilter.html
http://www.ns-atomic.jp/products/products-04.html
http://www.nakao-filter.co.jp/contents/gas/bug_filter.html

バキュームコンベア

バキュームコンベアとは

バキュームコンベア(Vacuum Conveyor)とは、粉状の原材料を空気の圧力・流れのみで輸送(空気輸送)する機械のうち、減圧による真空を利用した装置です。

動力源は真空ポンプから発生した真空であり、これにより原材料を吸引することで輸送管内を輸送します。ブロワーや圧縮ポンプなどを使用する圧送方式の空気輸送とは異なり配管内は大気圧よりも圧力が低い減圧空間であるため、配管が破損した場合でも粉体が飛散しないなどの利点があります。

また、配管を接続するだけで粉状材料を輸送することができるため、輸送経路を自由に設定することが可能です。

バキュームコンベアの使用用途

バキュームコンベアは配管で接続した経路にしたがって粉状材料を輸送する空気輸送装置であり、様々な粉状材料の輸送に使用されています。

具体的な導入実績としては、小麦粉や砂糖などの粉状の原材料や製品を輸送する必要がある食品加工ラインや粉状のプラスチックを原材料とする化学製品ライン、粉状の薬品を使用する医薬品の製造工程などがあります。

配管を接続するだけで粉状材料を輸送することができるためホッパーやタンクから直接次の工程に輸送できる点や、バケット式やベルト式の装置のように粉体を別の容器に移し替える必要がなく粉体が飛散する心配が無い点が大きく評価されています。

バキュームコンベアの原理

バキュームコンベアは動力源としての真空ポンプ、原材料を貯蔵するタンクやホッパーと原材料を送り出すエジェクターや十手管、原材料を輸送する配管、原材料と空気を分離するフィルタから構成されています。

エジェクターや十手管により空気と混合された粉状材料は、空気の流れにしたがって下流にいそうされます。排出口では粉体は重力により下方に排出されますが、空気はフィルタを通過して真空ポンプに吸引されるため粉体のみが排出されます。
フィルタには遠心力で分離するタイプのものやフィルタの内側から圧縮エアを吹き付けることにより詰まりを防止する機能を有したものなどが販売されています。

また、バキュームコンベアには間欠式と連続式の2種類が存在します。

間欠式の製品は原材料の輸送と排出が交互に行われるため、断続的に原材料が輸送されます。この方式は輸送中に排出口が開口していないため、輸送する原材料の量に対してポンプの流量、静圧といった能力を小さく設定することが可能です。

連続式の製品は連続して粉状材料を輸送・排出します。この方式では輸送と排出の工程を分ける必要が無いため、大量の原材料を短時間で輸送することが可能です。

参考文献
https://www.akatake.co.jp/product_b/2015/02/6514/
https://www.jpnext.co.jp/lineup/piab/

ネットワークラック

ネットワークラックとは

ネットワークラックとは、ネットワーク機器とそれに接続するケーブルやパッチパネルを収納するためのラックのことです。

コンピュータネットワークの構築では、サーバーとなるコンピューター (以下、サーバーと略す) と記憶装置の他にルーターやネットワークスイッチのようなネットワーク機器が使用されます。ネットワーク機器には多数のケーブルが接続され、必要に応じてケーブルを整理してメンテナンスをしやすくするためのパッチパネルも使われます。

ネットワークラックはこれらの機器類を整理し、安定且つ安全に維持するための構造を持った専用のラックです。

ネットワークラックの使用用途

ネットワークラックはネットワーク機器を収納し、通信ケーブルを引き回してネットワーク機器に取り付けるために使用します。

コンピュータネットワークでは、サーバーや記憶装置と共にルーターやネットワークスイッチなどのネットワーク機器を使用します。ラックマウント型のサーバーや記憶装置等をを据え付けるためのラックがサーバーラックであり、ネットワーク機器を据え付けるためのラックがネットワークラックです。

ネットワークの規模が大きくなるにつれて使用するケーブルの数が増大します。このケーブルはネットワーク機器に接続されます。一つのネットワーク機器に多数の通信ケーブルが接続され、さらに複数のネットワーク機器が使用されるようになるとケーブルの本数が多くなります。

ネットワークラックを使うと、複数のネットワーク機器を間隔をおいて取り付け、その周囲の空間を使って多数のケーブルを整理された状態で引き回すことができます。

ネットワークラックの原理

ネットワークラックは、サーバーラックと同様に、基本的には直方体をしています。前側2本の縦フレームには上から下までネジ穴があり、ラックマウントタイプのネットワーク機器類をこの部分に取り付けます。

ネットワークラックの形状は様々ありますが、以下のような特徴がみられます。

  1. 前面部のスペースを広くとってケーブルがラックの前に張り出さないようになっている。
  2. ラックの幅を大きめにして、左右方向からのケーブルの引き込みを容易にしている。
  3. 背面部にケーブルに引き込むための穴が空いたパネルが付いている。
  4. ラックの何か所に束ねたケーブルを留めておくための金具が設置されている。

ネットワークラックの選び方

ネットワークラックには様々な大きさと形状があります。設置する場所や取り付ける機器類の数、ラックに引き込むケーブルの数などに合わせて最適なネットワークラックを選択することをお薦めします。

以下に、ネットワークラックの選択時に検討する項目を上げます。

1. 設置スペース

ネットワークラックを設置した後にメンテナンス等の作業を行う可能性が十分に考えられますので、このことを考慮し、周辺のスペースの確保が必要です。

2. 大きさ

ネットワークラックは、大量のケーブル類を接続する機器を収納するため、ケーブル類が収まるスペースを考慮した上でラックのサイズを決める必要があります。

3. ネットワーク機器の発熱量

ネットワーク機器は、多くの熱を発生させます。周囲温度が上昇すると機器が暴走する可能性があります。従って、十分な放熱経路を確保する必要があります。

4. 堅牢性

ケーブル類を含めた全体の重量が大きくなるので、その重量に耐える必要があります。また、強い地震が来た場合にも天井からの落下物等から機器類を守る必要がります。従ってネットワークラックには、耐荷重に優れ、耐震性にも優れたものが求められます。

5. 拡張性

ネットワークの拡張が予想される場合には、ネットワーク機器の数が増えて、ラックに引き込むケーブルの数も増えることが予想されます。その場合は、あらかじめラックのサイズを大きくしておくか、ラックの数を増やすことを検討しておきます。

6. セキュリティー

セキュリティー対策が必要な場合には、鍵付きドアのあるネットワークラックを検討します。

以上の通り、使用する目的や、今後の計画を踏まえ最適なネットワークラックの選定が必要です。

参考文献
https://blog.rittal.jp/888/
https://direct.sanwa.co.jp/contents/sp/rac/server_select.html

ネットコンベア

ネットコンベアとは

ネットコンベアとは、メッシュ状のコンベアで対象物を輸送するコンベアです。

メッシュ状のベルトまたはネットを使用するため、特に通気性が必要な物品や水分を含む材料の運搬に適しています。対象物を一定速度で移動させることが可能で、特に食品の製造工程において乾燥工程や加熱工程などを省力化及び量産化を実現します。

ネットには耐熱性や耐食性を有する金網ネットが広く使用されています。ネットコンベアによって、生産工程の合理化やコストダウンの実現が可能です。

ネットコンベアの使用用途

ネットコンベアは様々な産業分野で広範な使用用途に活用されています。輸送対象物は重量物や高温物、耐薬品性が求められる製品など、多岐にわたります。以下はその一例です。

1. 製造業

ネットコンベアは、生産ラインや組み立て工程で重要な役割を果たします。部品や製品を自動的に運搬することで、作業者の負担を軽減し、組み立て作業のスピードと精度を向上させます。さらに、製品が均一なスピードで移動するため、一貫性のある品質を確保することが可能です。

2. 物流業

物流業では、倉庫内での荷物運搬や仕分け作業を自動化することが可能です。効率的な在庫管理と迅速な出荷を実現します。また、大型のネットコンベアは港湾や空港などの貨物取扱い場所で使用され、コンテナやパレットの移動と積み下ろしを効率的に行えます。これにより、輸送プロセス全体の効率が向上し、物流業界の競争力を強化することができます。

3. 食品産業

ネットコンベアの中には搬送中に加熱が可能な製品も多いです。ホタテやワカメなどを輸送しつつ加熱することができます。逆に冷却水を流しながら冷却しつつ対象物を搬送することも可能です。

ネットコンベアの原理

ネットコンベアは軽量の物品を効率的に運搬するための装置です。その基本的な原理は、連続的なネット状ベルトを使用して、物品を一定の速度で移動させることにあります。

ネットコンベアは通常、駆動装置としてモーターやエンジンを備えています。これらの駆動装置によってコンベアベルトを回転させ、物品を運搬します。ベルト速度や方向は制御装置によって調整でき、様々な用途での運搬が可能です。

物品の運搬中に生じる摩耗や負荷に耐えるために、コンベアベルトや駆動装置は頑丈な素材で作られています。一般的にはステンレス鋼などの材料を使用することが多いです。これにより、長期間の使用においても安定して運転可能であり、メンテナンス頻度も減少させることができます。

ベルトの幅や高さなどが調整可能であり、作業環境に合わせてカスタマイズできるため、多様なニーズに対応可能な点が特徴です。また、ネット状構造によって空気が間を通るため、特に食品や化学製品など、湿気を避ける必要がある場合に適しています。

ネットコンベアの種類

ネットコンベアには以下のような種類存在します。

1. S型セクショナルベルト

S型に編み込まれたネットコンベア用ベルトです。ネットコンベアの中で最もシンプルな構造で、フェンスとしても用いられる構造です。安価である一方、引張強度が弱く、ネットに歪みが生じ易く蛇行を起こしやすい点がデメリットです。

2. B型バランスベルト

B型バランスベルトは左捲りと右捲りの螺旋を交互に配置したネットコンベア用ベルトです。クリンプ加工された力骨で連結しているため、応力に対してバランス良く対応できます。運行中の蛇行がしにくく、引張強度も強いため、幅広い用途に利用可能です。

3. G型グラステックベルト

G型のグラステックベルトは螺旋のピッチがB型よりも小さいベルトです。太い線を利用しているため張力に優れ、熱処理等の用途に利用されます。

4. RR型ロッド補強ベルト

RR型ロッド補強ベルトは内部にロッドを埋め込んで強度を向上させたベルトです。高い張力を有するため、ネットの伸びが少なくなり、高温用の用途に最適の型式です。螺旋と力骨は同一経路のことが多いです。

ニポシール

ニポシールとは

ニポシールとは、VE設計による、シールコネクタのことを示しています。

ニポシールのシールコネクタは、特に際立って軽い締付力にもかかわらず、最大の効果を発揮するという、作業効率が非常に高いのが特徴です。
ニポシールの構造は、非常にシンプルで、なおかつ部品点数が少なく、それにも関わらず耐久性に非常に優れています。

ニポシールの使用用途

ニポシールは、防液性や、作業性や、耐久性だけでなく、経済性も充分に研究され尽くしており、他に類のない防液型の多芯のキャブタイヤケーブル及びコード用接続用のコネクタとして利用されています。

ニポシールは、防液型のCSA規格を取得した製品です。

ニポシールは、制御盤などへ装着する、ボックス用のストレートコネクタとして用いられています。

ニポシールの原理

ニポシールは、キャノンプラグ接続用のシールコネクタでもあり、米軍規格(MIL-C-5015)MSシリーズにおいて、キャノンプラグにキャブタイヤケーブルもしくは多芯ケーブルを接続して使用する製品となっています。

このニポシールのシールコネクタは、接続部分の防水性に優れていることと、制御回路において、配線作業を簡素化可能であること、また接続後のトラブルの解消に繋がること、更に保守作業を省力化可能にするなど、様々な点で非常に優れたコネクタとなっています。

更に、ニポシールにシールグリップを追加で装着すると、引張強度が増すため、外部からの物理的障害からも保護が可能にあり、安全性がより一層確実となります。

ニポシールの構造は、ロックナット(鋼製)、ボディパッキン(NBR)、ニップル(亜鉛)、シールブッシング(NBR)、テーパワッシャ(ナイロン66)、シメツケナット(亜鉛)となっています。

参考文献
https://www.monotaro.com/p/5124/2668/