バグフィルタ

バグフィルタとは

バグフィルタ

バグフィルタとは、織布や不織布などの濾布と呼ばれるものを用いることで気体中に浮遊する非常に細かい微粒子やダストを捕集し、処理対象の気体・ガスを浄化するための集塵装置の1つです。

濾布を円筒状にしてその袋を処理気体が流入する箇所に吊り下げることから、バグフィルタと呼ばれています。集塵機には電気の力を利用した電気集塵機もありますが、バグフィルタはそういった集塵機に比べると設備費が安価で導入しやすいという利点があります。

バグフィルタの使用用途

バグフィルタは人体・環境に対して有害な微粒子・ダストを多く含む煤煙などが発生する製造・処理現場などで利用されています。

代表的なものに、鉄鋼工場などに設置されている廃棄物を処理するための大型焼却炉があります。

また、バグフィルタによる空気清浄は粉塵が多く発生する現場や閉塞空間の空気を清浄に保つことや、粉塵爆発などの危険を抑制するなど安全に作業を進めるために非常に重要です。

バグフィルタの原理

バグフィルタは、濾布中をガスが透過する際に、ガス中の微粒子・ダストが濾布繊維に捕捉されることによりガスを清浄にします。

微粒子・ダストの除去能力はおよそ99%と非常に高い捕集率を持ち、0.01マイクロメートル以下の非常に小さい微粒子も捕集する能力をほこります。

このように捕集能力は非常に大きいですが、一定時間使用していると濾布の表面上に捕集された微粒子が堆積することで圧力損失が大きくなり、バグフィルタの捕集能力が低下します。

そのため設定値の圧力損失に達した場合には堆積した微粒子を濾布から叩き落とす必要があります。

この方法には主に機械的に振り落とす方式や圧縮空気を送り込んで振り落とすパルスジェット式などがあります。

この他にセメントや製鉄などの製錬現場で使用されるガラス繊維製のバグフィルタの洗浄には濾過方向とは逆方向から空気を流入させる方式が採用されています。

バグフィルタのその他情報

1. バグフィルタの材質

バグフィルタに使用される濾布は木綿からポリエステルナイロンポリプロピレンアクリル・テフロン・ガラス繊維などの高分子合成樹脂などの素材でできているものが主流です。

また処理するガスの温度によってはセラミック製のものが使用されます。

このようにバグフィルタの材質は、使用温度、ガスの性質、粒子の性状、耐久性及び価格などの条件を考慮し決定します。

例えば、ポリエステルは低価格ですが、高温やアルカリに弱いです。ポリイミドは溶剤に強いが、酸やアルカリに弱いです。PTFEは耐熱性があり耐薬品性能も高いが、非常に高価です。ガラス繊維は耐熱性、耐薬品性能に優れていますが、高価で耐久性に難があります。

バグフィルタは設備が簡素である反面、濾布交換が前提であることから、濾布の選定が直接ランニングコストに影響します。一方でサイズが同じであれば、材質変更も容易に可能であり、現場の状況に応じて材質を変更できる等の特色があります。

2. バグフィルタの払い落とし方式

圧力損失が大きくなったバグフィルタは堆積した微粒子を払い落とす必要がありますが、その方法として機械的振動、逆圧、パルスジェットがあります。

機械的振動はバグフィルタに振動を加えることで、逆圧では集塵時と逆向きに気流を流すことで堆積した微粒子を払い落とします。セメントや製鉄などの製錬現場で使用されるガラス繊維製のバグフィルタの洗浄には逆洗方式が採用されています。

ただし、機械的振動、逆圧では払い落とし時に気流を遮断しなければならず、集塵を中断する必要があります。このため、連続運転を可能にするには集塵機内を複数の室に分ける必要があります。

これに対して、下図のように一部のバグにのみ瞬間的に逆噴流を与えて払い落とすパルスジェット方式では集塵を中断する必要がないため、多室構造にしなくとも連続運転が可能です。

バグフィルタ

図1. パルスジェット式の模式図

3. バグフィルタのトラブル事例

バグフィルタの基本的な構造は、他の集塵機と比較しても単純であることから、省スペースでの設置が可能であり、かつメンテナンスが用意です。また、濾布の材質やサイズを適切に選定することにより、様々な環境で高い集塵能力を発揮します。このような特徴から、バグフィルタは様々な分野で広く普及しています。但しこの利点が、種々のトラブル原因とも密接に関連することがあります。

最も多いトラブルは、濾布の脱落や破損です。これは、粒子を含むガスが局所的に集中すること、また負荷変動による流速の変化で濾布が揺れ、隣接する濾布やケーシングに接触することにより発生します。この対策として、パンチングメタルのようなガス流れを調節する整流板を増設することで解決することがあります。また、濾布設置数を減らし、接触の恐れのある個所で配置密度を低下させることがありますが、集塵効率を低下させるため応急処置の場合に限ります。

そして最も重大なトラブルは着火や爆発になります。一般的に焼却炉の集塵設備は、バグフィルタを採用するケースが殆どです。焼却炉のバグフィルタでは、集塵対象が微細な炭素であり、系内が負圧となることが多いためケーシングの隙間などから外気を取り込んで着火の条件が揃うことがあります。また、濾布の詰まり等で系内に微粉が滞留すると、粉塵爆発の危険性が増大します。

このように簡易で導入しやすい設備ではありますが、非常にデリケートな面も併せ持っています。これらのトラブルを防止するためには、適切なバグフィルタの選定と定期的なメンテナンスが重要となります。

参考文献
http://www.k-yamako.co.jp/jigyou_engineering_bugfilter.html
http://www.ns-atomic.jp/products/products-04.html
http://www.nakao-filter.co.jp/contents/gas/bug_filter.html

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