ガスインジェクション

ガスインジェクションとは

ガスインジェクションとは、射出成形において樹脂に窒素ガスなどのアシストガスを注入し、内圧を高める成形方法です。

ガスインジェクション成形という名称で呼ばれる場合もあります。ガスインジェクションは旭化成が1970年代に考案し、1990年代にかけて海外メーカーも参入しました。現在では自動車や住宅設備、OA・家電、医療機器など幅広い分野で採用されています。メリットはヒケやソリ、バリなどの不良を改善できること、寸法精度や精算効率を向上できること、成形品の薄肉化や軽量化が可能なこと、冷却時間が短縮できることなどが挙げられます。一方でデメリットとして、内部からガスを注入するため耐久性に劣る場合がある点やガスの挙動をコントロールできない点が挙げられていて、その点には注意が必要です。

ガスインジェクションの使用用途

ガスインジェクションは以下の用途で使われています。

1. 不良品改善

一般的な射出成形だと樹脂を注入し、金型を締める事によって外から圧力をかけます。しかしその方法では細部まで樹脂が届かなかったり、充分に圧力がかけられない事でへこみができたりして、不良品に繋がります。そういう時にガスインジェクションが役立てられて、樹脂を注入し、その中にガスを注入することによって内部から圧力をかけるため、細部まで樹脂を行き届かせる事が可能です。また、同じように、製品が高温になり焼けてしまうヤケや製品が反ってしまうソリも防げます。

2. 製品の生産サイクルを早められる

ガスを注入する時に冷却されたガスが樹脂に入り込んでいくため、通常であれば成形後に冷却が必要な時間が短縮されるところも良いポイントです。ガスを注入し、成形しながらの冷却もできるため、その分生産サイクルを早められて、同じ時間でも製品を多く作れます。製品によってはガスインジェクションを導入したおかげでサイクルが2倍早くなったという声もあります。

3. 樹脂の節約ができる

内部にガスを注入する事で、その間は空洞となるためいつもよりも樹脂の量を抑えながら生産できるようになっています。特にプラスチック樹脂は原材料の石油の価格と密接にリンクしており、年によって変動して、高くなる時も少なくないです。