圧力タンク

圧力タンクとは

圧力タンク

圧力タンクとは、大気圧以上の圧力を保持する容器です。

このタンクは気体だけでなく、液体も保管することができます。特に、液体酸素や液体窒素のような超低温の流体が対象です。これらの物質は通常の状態では気体であるため、液体として保管するには内部の圧力に耐える必要があります。

また、タンク内の気体が大気圧を超える高圧であるため、万が一圧力タンクが損傷した場合、急激に圧力が解放され、瞬時にタンクが破裂する可能性があります。そのため、一定以上の圧力や容量を持つ圧力タンクは、法的に第二種圧力容器または第一種圧力容器として規制される対象となっています。これにより、安全性が確保され、事故のリスクが管理されます。

圧力タンクの使用用途

圧力タンクは、一般的な工場から化学プラントに至るまで幅広く使用されています。例えば、コンプレッサから発生した圧縮エアーを一時的に保持するレシーバータンクも圧力タンクの一例です。このタンクにより、エアーの使用量が変動しても圧力の安定を保つことができます。

鉄鋼業界のように、大量の窒素ガスや酸素ガスを使用する場所では、液体酸素や液体窒素を保管するためのタンクが設置されています。これらのタンクには液体が入っていますが、常温では液体窒素や液体酸素が気体になるため、液体状態で保管するには適切な圧力が必要です。また、これらのタンクは断熱効果を高めるために外層が二重になっていることが一般的です。この構造により、内部の液体が蒸発するのを抑え、効率的に物質を保管できます。

圧力タンクの原理

圧力タンクは主にSS400やSUS304などの金属で製造されています。FRPなどの樹脂素材で作られることもありますが、大容量のタンク製造には金属が一般的です。圧力タンクの構造は、胴板と呼ばれる本体部分と、鏡板と呼ばれる両端の部分から成り立っており、これらの部品の厚さはJIS B 8265に規定された計算方法に基づいて決定されます。

重要なのは、溶接の継手や検査方法によって溶接部分の強度が変わることです。例えば、放射線試験を100%行う場合、溶接部の強度は元の金属と同等 (強度1.0) と見なされますが、試験を行わない場合は強度が低下します。このため、安全を確保するためには板厚を厚くする必要があり、検査のコストや手間を考慮して検査の範囲を決定する必要があります。

また、内圧と外圧に関する計算も注意が必要です。基本的に内圧と外圧では計算方法が異なり、外圧の場合はより厚い板が必要になります。内圧での計算ミスが破裂を引き起こし、外圧の場合は圧潰 (つぶれ) を引き起こすリスクがあります。

これらの事故を防ぐため、安全弁や真空破壊弁が装備されることがあります。これにより、過剰な圧力が発生した場合に安全に圧力を解放することができます。

圧力タンクの選び方

圧力タンクを選ぶ際には、以下の点が重要になります。

  1. 材質
    タンクの使用目的と操作環境を明確にし、それに基づいて材質を選定することが必要です。一般的にステンレス鋼 (SUS304やSUS316など) は耐腐食性が高く、化学薬品や食品加工に適しています。一方、炭素鋼 (SS400など) はコストが低く、一般的な工業用途に広く用いられています。
  2. 容量と形状
    プロジェクトのスケールや圧力要件に応じて、必要な容量を持つタンクを選ぶ必要があります。形状は円筒形が一般的ですが、場所や用途によっては球形や他の特殊な形状が適している場合もあります。
  3. 圧力範囲
    タンクが対応する圧力範囲も考慮します。作業圧力に応じて、適切な設計圧力を持つタンクを選定する必要があります。高すぎる圧力に耐えられないタンクは安全リスクを招くことになります。
  4. 安全機能
    圧力リリーフバルブや爆発パネルなど、安全装置が適切に装備されているか確認し、圧力が予期せず高まった場合にタンクが安全に圧力を解放できるようにすることが重要です。

参考文献
http://www.matsunaga-iw.co.jp/

土壌硬度計

土壌硬度計とは

土壌硬度計は、土壌や地面の物理的な硬さを測定する機器です。

土壌硬度計には山中式、長谷川式があります。機器の形状や細かい原理などは異なりますが、どちらも本体がどれくらい土壌に挿さるのかを元に、硬さを測定します。

主に、農業分野や、土木分野(地盤工学など)において利用されています。山中式土壌硬度計は持ち運びの利便性・精密性などを考慮した、ポケット型・標準型・普及型が販売されていますが、精度を求める場合は標準型が推奨されています。

土壌硬度計の使用用途

土壌の硬度は、農業・林業の分野において土壌診断の指標の一つとして利用されています。

例えば、樹木を植栽する際に土壌が硬すぎると根系が十分に発達せず、生育不良を起こします。土壌は重機などにより圧密を受けている場合があり、このようなケースでは土壌硬度計が役立てられています。また、建築物や道路工事の際、地盤となる土を評価するために用いられることもあります。緑化分野で用いられることは比較的少ないですが、法面の吹付緑化など稀に使われる場合もあります。

土壌硬度計の原理

山中式土壌硬度計・長谷川式土壌硬度計について、それぞれ説明します。

  • 山中式土壌硬度計
    用いられる単位は、kg/cm2です。山中式土壌硬度計は、バネが入った本体を土壌断面に差し込み、バネの押し込み具合によって土壌の硬度を測定します。土壌に一定の大きさの穴を掘り、土壌断面を露出させて測定する必要があります。そのため、測定前に穴を掘る必要があるので、労力がかかります。柔らかい土壌から、軟質岩まで幅広い対象を測定することができます。
  • 長谷川式土壌硬度計
    貫入コーンが先端についた棒状の本体を、落錐と呼ばれる2キロの重りによって打ち付け、地面に挿さった部分の深さを読み取ります。1打撃ごとの深度を記録することで、土壌の柔らかさを表すグラフが作成できます。これをS値グラフと呼びます。当時の建設省や日本道路公団などにマニュアルにおいて標準土壌硬度測定器とされています。長谷川式土壌硬度計は、地表面にそのまま差込み測定できるので、調査のコストと時間を削減できます。

参考文献
https://www.fujiwara-sc.co.jp/product_info/agricultural-science/agricultural-science2/硬度計_土壌硬度計/
https://www.maff.go.jp/j/seisan/kankyo/hozen_type/h_sehi_kizyun/pdf/gum23.pdf
https://www.jiban.or.jp/file/file/jgs3431_201105-chousa.pdf

土壌水分計

土壌水分計とは

土壌水分計

土壌水分計は、土壌に含まれている水分の量を測定するための機器です。

主に、農業分野や農業関係の研究開発から建設工事に伴う環境モニタリング(植生の保護等)、個人のガーデニングなどの場面において、土壌の特性や、管理状態をチェックするために用いられます。

測定の原理によって、誘電率を求める方法(TDR法・ADR法・FDR法)、テンシオメータ法、サイクロメータ法があります。また、土壌の中に埋設しておくと、定期的にデータを測定し本体に保存するロガータイプもあります。また、電子工作用の水分センサーが安価で手に入るため、簡易土壌水分計として自作して利用する用途もあります。

土壌水分計の使用用途

土壌水分は、農業分野では植物の生育を左右する重要な要因であるため、広く指標として用いられています。また、鉢植えやガーデニングの場合、土壌水分率が高すぎると根腐れの原因になるため専門家から一般家庭まで幅広く用いられています。

土壌水分計に採用されている原理は複数存在する上に、価格帯も広いのでため、用途や、必要とするデータの精度に合わせて適切に種類を選択する必要があります。一台あたり、数百円で購入できるものから数万円程度のものもあります。

土壌水分計の原理

土壌水分計で用いられている主な手法は、以下の通りです。

  • TDR(Time Domain Reflectometry)法、ADR(Amplitude Domain Reflectometry)法、FDR(Frequency Domain Reflectometry)
    いずれの方法でも基本原理は同じで、誘電率により土壌水分を測ります。土壌は、水・土壌・土壌粒子から構成されます。それぞれの物質の比誘電率は、水が他の物質と比べて非常に高く、土壌自体の誘電率は、土壌の水分率と一定の関係を持ちます。この関係式から土壌水分を求めます。特徴として、ADR法は、他の方法(FDR・TDR)に比べて機器が安く、操作が簡単です。一方、TDR法や土壌が凍結しない限りは、温度の影響を受けないため、温度が安定しない環境下での使用に向いています。
  • テンシオメータ法
    ポーラスカップと呼ばれる素焼きのパーツでできた容器を土壌に挿して測定します。容器の内部には水が入っており、水が滲み出る量を圧力として測定する方法です。土壌の水分張力を利用しています。業分野で広く用いられている方法ですが、測定に時間がかかる点が、デメリットとして挙げられます。
  • サイクロメータ法
    土壌の熱電対を利用して評価する方法です。土壌中の水と平衡している空気の相対蒸気圧を測り、土壌水分を算出します。植物組織の水分量も測定できるため、用途の幅が広いといえますが、精密機器であるため一台数百万円と非常に高額です。

参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/agrmet/66/4/66_66.4.3/_pdf/-char/ja
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jagh1987/40/4/40_509/_pdf/-char/ja
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jiban/JGS39/0/JGS39_0_307/_pdf/-char/ja
https://js-soilphysics.com/downloads/pdf/036006.pdf

動力制御盤

動力制御盤とは

動力制御盤

動力制御盤とは、モーターや機械の動力を制御するための装置です。

一般的には工業施設や発電所などで使用され、電力を供給してモーターの起動・停止・速度制御などを行います。動力制御盤はさまざまな要素で構成されていますが、主要な要素に電力供給装置、制御回路、保護装置、通信インターフェースなどがあります。

これらの要素は、モーターの正確な制御と保護を実現するために連携して働きます。オペレーターがモーターの操作や監視を行うための操作部品や表示装置も備えている場合があります。オペレーターはこれらによってモーターの動作状態を把握し、必要な場合には適切な操作や調整を行うことが可能です。

動力制御盤は、安全性と効率性の向上を図るために重要な役割を果たします。過負荷や過熱などの異常状態を検出し、自動的にモーターを保護する機能を備えています。また、一元管理や遠隔監視などの機能も提供することで、効率的な運用管理を支援します。

動力制御盤の使用用途

動力制御盤は、さまざまな産業や施設において使用されます。工業プロセスや発電所、一般建築、装置自動化などが主な使用用途です。

1. 工業分野

工場や製造プラントにおいて機械や生産ラインのモーター制御に使用されます。モーターの起動・停止や速度制御などを行い、製品の生産やプロセスの効率化を支援します。

2. 発電所

発電所における機械管理にも使用されます。潤滑油ポンプなどの大型発電機周辺機器は低圧電気を使用する場合が多く、動力制御盤で起動・停止を制御します。

3. 一般建築

一般建築施設においてはエレベーターやエスカレーター、換気システムなどの動力制御に使用されます。

4. 自動化システム

自動化システムにおいても、動力制御盤は重要な役割を果たします。ロボットや機械の動力制御や位置制御のプログラムを実行するための制御装置を担う場合があります。センサーとの連携などを担当し、自動化プロセスの効率化や正確性を向上させます。

動力制御盤の原理

動力制御盤は、筐体、動力回路、制御回路、通信インターフェースの4つの主要な要素で構成されます。

1. 筐体

制御装置や回路を保護し、安全な環境を提供するために筐体に収納されています。筐体は通常、金属製の箱やキャビネットで構成されます。外部からの物理的なダメージや、環境条件から内部の部品要素を守る役割を果たします。

2. 動力回路

動力回路は電源からモーターに電力を供給する回路です。一般的には電源からの交流 (AC) 電力を制御盤内に取り込み、適切な電圧・電流レベルに変換してモーターに供給します。動力回路には、遮断器、接触器、インバータなどの部品要素が含まれます。

3. 制御回路

制御回路はモーターなどの運転・停止制御を担当する回路です。オペレーターの操作や自動化システムからの信号を受け取り、それに基づいてモーターなどの動作を制御します。制御回路はプログラマブルロジックコントローラ (PLC) や制御リレーなどで構成されます。

4. 通信インターフェイス

動力制御盤と他のシステムにおける通信を可能とする要素です。これにより、制御盤の監視・制御データの収集や送信などが行われ、中央監視室などにおける集中監視が可能となります。

一般的な通信インターフェースには、イーサネット(LAN)、シリアル通信、フィールドバスなどがあります。これらのインターフェースを介して、上位制御システムと情報のやり取りやリモート操作が可能となります。PLCに通信インターフェイスが付属している場合も多いです。

動力制御盤の選び方

動力制御盤は一般的に制御する系統に応じて、1台ずつ設計されます。動力制御盤の仕様は、対象動力負荷の容量や運転方法などに応じて決定されます。

まずは、対象となる動力負荷の容量や電圧、運転方法を確認します。速度制御や位置制御が必要な場合には、負荷容量・電圧応じたインバータやサーボコントローラなどの選定が重要です。単純な運転・停止のみを実施する負荷には、電磁開閉器などを選定します。

これらの負荷に応じた遮断器などの保護装置をそれぞれ選定します。制御が複雑になる場合には、PLCなどの制御機器が必要です。

最後に、これらの負荷が同時に動いても余裕がある主幹を設置します。全て収納可能な筐体を選定して、配置を検討することで動力制御盤を設計します。

参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/ieiej/26/9/26_693/_pdf/-char/ja
https://www.denso-osaka.com/news/181072.html
https://www.betsukawa.co.jp/solution/electric/ban/

低温乾燥機

低温乾燥機とは

低温乾燥機とは、材料を乾燥させる際に温度を下げた風を用いる装置です。

木材、食品、医薬品、紙製品などの乾燥に利用されています。通常の熱風乾燥機とは異なり、比較的低温 (約15℃〜35℃) の風を利用することで、エネルギー消費を抑えつつ乾燥が可能です。さまざまな製品や材料に合わせて、エネルギーや品質に関する工夫が施されています。

年間を通して安定して乾燥可能であり、外気や湿度に左右されないため、食品加工業では広く利用されています。

低温乾燥機の使用用途

低温乾燥機は、主に食品加工や木材加工、医薬品製造、製紙産業、生体試料の乾燥現場で活用されています。

1. 食品業界

食品加工では、低温の風を使い乾燥させることで、味や栄養価の劣化を最小限に抑えることができます。外気を利用して乾燥する場合と同様の温度を保ちつつ、年間を通じて効率的な乾燥が可能です。

水分を蒸発させると、食品の品質を保ちながら保存期間を延ばすことが可能となります。

2. 木材加工業界

木材の乾燥は、製品の品質や寿命を向上させるために重要です。低温乾燥機を利用し、木材を適切な湿度に乾燥させることで、割れや反りを最小限に抑え、加工品の安定性を高めます。特に、高温による木材の劣化を避けるために有用です。

3. 医薬品製造業

医薬品や医療用具の製造において、低温乾燥機は製品の安定性や品質を保つために利用されます。特に、高温で薬剤の効力や安全性に影響を及ぼす可能性がある場合に有効です。

4. 製紙産業

紙や紙製品の製造過程で、低温乾燥機は湿度を制御し、均一な品質を維持するために使用されます。乾燥が均一に行われることで、紙の乾燥収縮や歪みを防ぎ、高品質な製品を製造できます。

5. 生体試料の乾燥

研究機関や医療機関などでは、生体試料の保存や解析のために低温乾燥機が使用されます。生体分子は高温によって組織が損傷する可能性があるため、低温乾燥させることでダメージを最小限に抑えることができます。

低温乾燥機の原理

低温乾燥機には、用途や対象材料に合わせて様々な種類があります。産業用途では、大型のウォークインタイプが一般的です。材料の投入方法としては、ベルトコンベアを使用する方法や、人力で台車を使って出し入れする方法があります。

乾燥させるための空気は、ヒートポンプ方式を利用して除湿され、循環されます。ヒートポンプ方式は、熱を移動させることで熱エネルギーを得る技術です。

燃焼による熱エネルギー取得と比較して、効率が高く環境に優しいです。この方式はボイル・シャルルの法則と熱力学の第2法則に基づいています。設備の劣化が少ないため、耐用年数も長いです。

低温乾燥機の種類

低温乾燥機の種類はメーカーによって異なりますが、家庭用サイズの卓上サイズのものから、業務用サイズ、ユニットタイプの大型のものまでさまざまです。

家庭用の低温乾燥機であれば、安いもので数千円で購入可能であることから、ドライフルーツや乾燥野菜を作る際によく利用されます。業務用の低温乾燥機は、小型ユニットタイプ、平行流タイプ、反転流タイプなどがあります。

1. 小型ユニットタイプ

乾燥室と乾燥機本体が一体型となっているため、業務用ですが比較的コンパクトです。設置工事が不要なため、電源がある場所であれば、どこでも設置可能です。

家庭用タイプと比較し、高度な温度、湿度制御が可能であり、多くの製品を乾燥させることができます。

2. 平行流タイプ

平行な風が均一に当たることで、効率的に乾燥させることができます。また、匂いが気になる製品であっても加工可能です。

3. 反転流タイプ

風を交互に正反対の流れにすることで、平行流タイプよりも乾燥ムラがなくなり、均一に乾燥可能です。また、乾燥庫のサイズを小さくすることができるため、省スペース化が実現できます。

風が反転することから、乾燥位置をずらす必要がなくなり手間が少なくなることに加え、乾燥までの時間短縮にもつながります。

参考文献
https://www.san-a-giken.jp/guide/guide02

一酸化炭素濃度計

一酸化炭素濃度計とは

一酸化炭素濃度計

一酸化炭素濃度計 (Carbon Monoxide Detector) とは、一酸化炭素 (CO) ガスの濃度を測定するための電子機器です。

居住空間や工場などの環境で一酸化炭素の漏れや蓄積を検知するために使用されます。一酸化炭素は無色・無臭であり、高濃度では人体に有害な影響を与えます。

したがって、一酸化炭素濃度計は安全性の確保のために重要です。一酸化炭素が特定の閾値を超えた場合に、警報を発して一酸化炭素中毒や事故の発生を防止します。

一酸化炭素濃度計の使用用途

一酸化炭素濃度計は、家庭や商業施設で一酸化炭素中毒の予防や安全確保のために広く使用されます。また、一酸化炭素濃度計は消防署や建物規制に基づく安全基準に従って設置される場合もあります。

以下は一酸化炭素濃度計の使用用途一例です。

1. 住居・商業施設

一軒家やアパート、マンションなどの居住空間で使用されます。火災やガス機器の不完全燃焼、換気不良などによって一酸化炭素が発生する可能性があります。したがって、早期に一酸化炭素の漏れを検知し、警報を発することで住民の安全を確保します。

また、ホテルやショッピングモールなどの商業施設でも一酸化炭素濃度計が使用されます。建物内の暖房機器やボイラーなどが原因で一酸化炭素が発生する可能性があるため、早期の検知と警報が重要です。

2. 重工業

工場や製造施設では、燃焼プロセスや化学反応によって一酸化炭素が生成される場合があります。一酸化炭素濃度計は作業者の安全を確保するために使用されます。また、一酸化炭素が製品品質に影響を与える場合もあり、その監視にも役立ちます。

 自動車や船舶、航空機などの車両では、エンジンや排気系からの一酸化炭素漏れによる乗員への影響を検知し、安全な状態を維持するために重要です。

一酸化炭素濃度計の原理

一酸化炭素濃度計の測定方法には赤外線吸収法、定電位分解法、接触燃焼法があります。環境大気用では、赤外線吸収法または定電位分解法が使用され、固定発生源用では全ての測定方法が使用されます。

1. 赤外線吸収法

赤外線吸収法は試料となる気体を装置内に取り込んだあと、粉塵・水蒸気の除去を行なった上で赤外線を照射します。一酸化炭素をはじめ、多くのガスは赤外線を吸収します。吸収された赤外線の変化量を検出することでガスの濃度を定量します。

2. 定電位分解法

定電位分解法はガス透過性隔膜を通過して電解質中に拡散した一酸化炭素を電気分解し、発生した電流をガス濃度として検知する方法です。軽量で小型化できるため、ポータブル式の一酸化炭素濃度計に用いられることが多いです。

3. 接触燃焼法

接触燃焼法は一定温度に加熱した酸化剤と試料ガスを接触させる方法です。一酸化炭素の燃焼により、酸化剤の温度が変化します。この温度変化の上昇によって生じた電気抵抗の変化を信号として取り出すことで、一酸化炭素の濃度を測定します。

一酸化炭素濃度計の種類

一酸化炭素濃度計は、用途などに応じてさまざまな種類があります。製品によって機能や特徴はさまざまです。

以下は一酸化炭素濃度計の種類一例です。

1. ポータブル型

バッテリー駆動のコンパクトな一酸化炭素濃度計です。持ち運んで使用可能であり、一般的には家庭や旅行先での使用や、火災現場の調査などに適しています。一酸化炭素の漏れを検知し、警報を発することができます。

2. 固定型

壁掛け型や天井取付型など、固定設置が必要な一酸化炭素濃度計です。商業施設や工場などで使用され、一定の場所で一酸化炭素濃度を監視します。一酸化炭素濃度が設定された閾値を超えると、警報を発報することで異常を知らせます。

3. 複合型

一酸化炭素濃度計に加えて、煙や可燃性ガスなどの検知機能を備えた複合型です。複合型は一酸化炭素だけでなく、他の有害なガスや火災の危険も監視することができます。商業施設や工場などで使用される場合が多いです。

工場においては、排ガス分析計としてボイラーの出口などに使用される場合があります。環境基準の順守の面からも重要な役割を果たします。

参考文献
http://www.nihs.go.jp/hse/chem-info/aegl/agj/ag_Carbonmonoxide.pdf
http://www.thr.mlit.go.jp/Bumon/B00093/K00490/eizen/hozen/h-news/print/hozennews103.pdf
https://www.jemima.or.jp/tech/5-01-01.html
http://www.rikenkeiki.co.jp/cms/riken/pdf/support/PC9-0314-180610S.pdf

ワンタッチ継手

ワンタッチ継手とは

ワンタッチ継手

ワンタッチ継手とは、パイプやチューブなどの異なる部品を差し込むだけで簡単に接続する継手です。

日本産業規格における正式名称は「熱可塑性樹脂チューブ用プッシュイン継手」です。その名前が示すように、1つの操作 (ワンタッチ) で継手を接続または解除することができます。通常、継手の接続部にはプッシュボタンやレバーなどで構成され、これらを操作することで簡単に接続・解除可能です。

迅速な接続と解除が可能なことに加えて、工具や専門的な知識が必要なく、手動で簡単に操作可能です。これにより、作業時間の短縮や生産性の向上が期待できます。チューブを単純に接続させるだけではなく、分岐や向きの調整・延長をさせることを目的としたパーツもあります。

ネジ径や接続できるチューブの径、設計使用圧が製品ごとに異なります。そのため、使用する条件や接続する機器の仕様に合ったものを選定する必要があります。

ワンタッチ継手の使用用途

ワンタッチ継手は、さまざまな産業や用途で使用されます。一般的には配管や空圧機器・圧縮空気用チューブなどで使用されます。以下はワンタッチ継手の使用用途一例です。

1. 配管

工業施設や建築現場などで、パイプやチューブの接続に使用される場合があります。水道設備や空調システム、ガス供給システムなどでワンタッチ継手が使用されます。また、タンクやポンプの周辺で接続用途に使用されることもあります。

2. 空圧機器

空圧機器との接続に広く使用されています。空圧機器は、空気を動力源として使用する機器であり、ワンタッチ継手はその接続に便利です。

接続に使用される機器は、エアシリンダーやエアバルブが代表的です。エアシリンダーは圧縮空気を使用して直線運動を行うデバイスで、シリンダー作動用空気の供給ポートや排気ポートに利用されます。

エアバルブは圧縮空気によって流体の流れを制御するデバイスで、入出力ポートへ配管・チューブ接続に使用されます。

3. 農業・園芸

水耕栽培システムに使用されます。ワンタッチ継手は、水や養液の供給管や循環装置の接続に使用されます。

ワンタッチ継手の原理

ワンタッチ継手は本体、シールリング、ロック機構、リリースボタンなどで構成されます。

本体はエアチューブなどを差し込む部分です。樹脂や金属で構成され、ロック機構やシールリングが配置されています。エアチューブが挿入されるとロック機構が強固に保持し、シールリングで流体漏れを防止します。

解除する際は、リリースボタンを押し下します。リリースボタンを押すとロック機構が解除され、エアチューブを引き抜くことが可能です。一般的にはスプリング構造が採用されており、ボタンを押している間だけロックが解除されます。

ワンタッチ継手の種類

ワンタッチ継手は形状により、ストレート、エルボ、ユニオン、チーズ、クロスなどの種類があります。

1. ストレート

パイプやチューブを直線的に接続するための継手です。2つのパイプを直接接続する場合に使用されます。片方がチューブフィッティング機構になっており、もう一方が雄ネジになっていることが多いです。

2. エルボ

パイプやチューブを曲げるための継手であり、直角や45度の角度での接続に使用されます。配管の方向転換や経路変更を可能にします。ネジを閉めたあと、向きを自在に変えられる機能がついた製品も販売されています。

3. ユニオン

チューブ同士を接続できる継手です。接続部を容易に分解可能とするため、チューブの定期交換や定期洗浄が必要な場合に使用します。また、チューブを延長させたいときにも重宝します。

4. チーズ

接続口がT、Y字型に分岐している構造の継手です。主パイプから分岐したり、複数のパイプを1本のパイプに集約するために使用します。T型継手やY型継手と呼ばれることもあります。

5. クロス

4つのパイプやチューブを交差させるための継手です。その形状からクロスと呼ばれます。直交する2つのパイプラインを接続する際に使用されます。

参考文献
https://www.pisco.co.jp/faq/cat/26/
https://www.pisco.co.jp/faq/cat/26/?limit=10&page=1
https://www.kikakurui.com/b8/B8381-1-2008-01.html
https://jp.misumi-ec.com/vona2/mech/M1900000000/M1905000000/M1905030000/?CategorySpec=00000033299%3A%3Ag
http://www.smcworld.com/assets/manual/ja-jp/files/KQx-OMQ0021.pdf

ロータリーブロワ

ロータリーブロワとは

ロータリーブロワとは、容積式ポンプの一種でケーシング内部に偏芯して取り付けられたローターが回転することで機能するポンプです。

この装置はルーツブロワとよく比較されます。ルーツブロワは、マユ型のルーツが回転してポンプとして機能しますが、基本的に隙間が存在するため高い圧縮比を達成することはできません。

一方で、ロータリーブロワはケーシングとの隙間が基本的に存在しないため、ルーツブロワよりも高い圧縮比を得ることが可能です。これによって、より効率的な圧縮が期待できることから、様々な産業での用途に適しています。

ロータリーブロワの使用用途

ロータリーブロワは高い圧力の気体を大量に排出する能力を持っているため、大量の空気を必要とする浄化槽や排水処理施設の曝気槽向けのブロワとして広く使用されています。このブロワは空気輸送にも適しており、同様の理由から空気輸送用のブロワとしても活用されています。

ローターとケーシングが密接しているため、ロータリーブロワは真空ポンプとしても利用可能です。現在では吸引式フィルター、真空装置、吸込みタイプの空気輸送用の真空ポンプとしても利用されています。

また、ロータリーブロワは粉体の混合プロセスや化学工業の分野でも使用されるなど、その応用範囲は広いです。これらの用途において、ロータリーブロワの高い圧縮能力と効率的な性能が重宝されています。

ロータリーブロワの原理

ロータリーブロワはケーシングの内部に偏心して取り付けられたローターを持ち、このローターは上下に移動するシリンダによって駆動されます。シリンダの動作によってローターが回転し、ローターとケーシングとの接触を維持します。

この構造により、ロータリーブロワは高い圧縮比を保つことができ、結果として高い圧力の気体を生成することが可能です。真空ポンプとしても高い性能を発揮します。

従来のロータリーブロワはローターとケーシングの接触部には摩擦が発生するため、潤滑のために内部にオイルを常時供給する必要がありました。これは、油分を嫌う設備では使用が制限されるという問題を引き起こしていました。しかし、現在ではオイルフリーのロータリーブロワも開発されており、これにより油分を嫌う設備でも安心して使用することが可能です。

さらに、内部コーティングを施した特殊仕様のロータリーブロワも市場には存在し、化学工業をはじめとする多くの業界での応用が進んでいます。このように、ロータリーブロワは多様なバリエーションにより、広範な用途に対応しています。

ロータリーブロワの選び方

ロータリーブロワを選ぶ際は、以下の点が重要になります。

  1. 必要な圧力と流量
    どの程度の圧力と流量が必要かを明確にします。使用するプロセスが要求する最大圧力と流量を満たす能力を持つブロワを選ぶ必要があります。また、使用する気体の種類や特性(温度、湿度、化学的性質)も考慮に入れるべきです。
  2. エネルギー効率
    運用コストを低減するためには、エネルギー効率の高いブロワを選択することが望ましいです。これには、ブロワの設計、モーターの効率、全体的なシステムの効率が関与します。オイルフリーのモデルはメンテナンスコストも削減できるため、運用コストの観点からも好まれます。
  3. 設置する空間の制約
    設置予定の場所の空間が限られている場合は、コンパクトなデザインのモデルを選ぶべきです。また、騒音レベルも重要な選択要因であり、低騒音モデルが好まれる場合が多いです。
  4. 耐久性とメンテナンスの容易さ
    長期間にわたって信頼性の高い性能を維持するためには、耐久性が高く、簡単にメンテナンスが行えるモデルを選ぶことが重要です。部品の交換が簡単で、アフターサービスが充実している製品を選ぶことで、将来的なトラブルを回避できます。

参考文献
https://www.unozawa.co.jp/product/arj/features.html
https://www.tohin.co.jp/blower/rotary-vane/#

ミストセパレータ

ミストセパレータとは

ミストセパレーターのイメージ

図1. ミストセパレータのイメージ

ミストセパレータは圧縮空気をはじめとするガスに含まれる、油分などのミスト (液滴) を取り除くために使用される装置です。

コンプレッサで圧縮された空気を送るエアラインなどで使用されています。コンプレッサーは大気よりも何倍も空気を圧縮し、空気中の水分が凝縮します。これらの水分や油分は機器の故障などに繋がるため、ミストセパレータによって分離をした後に必要な箇所に圧縮空気を供給する必要があります。同じくエアラインで使用されるフィルターには、エアフィルターやウォーターフィルターなどがありますが、エアフィルターはミストセパレータよりも目が粗く、ゴミや異物を除去する機能が中心であり、ウォーターフィルターは、ドレンを除去する役割を担う部品です。

ミストセパレータの使用用途

ミストセパレータは、圧縮空気の水分・油分を取り除いてライン中の機器保護を行うために使用されたり、環境汚染防止のために使用される他、ガスに含有される有効成分を回収するなどの用途でも使用されます。また、真空ポンプの排気口に取り付けられることもあります。主な用途は下記の通りです。

  • 塗装ライン用圧縮空気、クリーンルーム用圧縮空気、機器用圧縮空気の水分・油分除去
  • 化学・石油化学プラントでの製品回収
  • 圧縮空気・蒸気の配管中における凝縮水分離
  • エチレンプラント希釈蒸気
  • 吸収塔・洗浄塔
  • 蒸気タービン
  • 蒸気ドラム内装

また、食品工場でもミストセパレータは使用されています。圧縮空気の品質を規定する規格であるJIS B 8392において、食品工業に使用する圧縮空気の品質も定められています。

ミストセパレータの原理

ミストセパレータの基本的な構成は、

  • ガスを吸気・排気する通気口
  • ミストを除去するための細かいフィルター
  • 除去したミストを溜めるボディ
  • 溜まったミストをドレンとして排出するドレン排出口

です。

エアフィルタの目の細かさが5μm前後であるのに対し、ミストセパレータのフィルタろ過度は0.01〜0.3μmと、細かくなっていることが特徴です。ボディの部分のミストを捕集する原理・構造は後述する通り、ミストセパレータの種類によって大きく異なっています。

ミストセパレータの種類

ミストセパレータは、ミストを捕集する部分の構造によって様々な種類があります。ベーンセパレータ、セントリフリックスセパレータ、マルチサイクロンセパレータ、フィルターレーターなどの種類があります。その中でベーンセパレータ、セントリフリックスセパレータについて、下記に原理と詳細を記述します。用途に合わせて適切なものを選定することが必要です。

1. ベーンセパレータ

ベーンセパレーターのイメージ

図2. ベーンセパレータのイメージ

ベーンセパレータとは、ベーンブレードと呼ばれる部品を用いてミストを分離するミストセパレータです。

ベーンブレードは、ガスの流れと平行かつ等間隔に並べられています。ベーンブレード間をミストを含んだガスが通過すると、大きなミストはベーンブレードに衝突して液膜を生じ、微細なミストはベーンブレード表面の液膜に接触して吸収されます。これらの液膜は、ベーンブレードのポケットに捕集された後、下部に流れ落ちてドレン排出口から排出される仕組みです。

分離効率が高く、処理量が大きいこと、圧力損失が低いことなどが特徴です。厳密な分離が必要な場合や、大量の液分離が必要な場合に特に適しています。

2. セントリフィックスセパレータ

セントリフィックスセパレーターのイメージ

図3. セントリフィックスセパレータのイメージ

セントリフリックスセパレータの内部には、円錐形のマルチブレードエレメントと呼ばれる部品が付いています。ミストがこのマルチブレードエレメント表面に衝突すると、凝集して液膜となります。液膜は遠心力で壁面へ導かれ、下部のドレンまで流れ落ちて排出される仕組みです。

低い圧力損失かつ流速が速いことが特徴です。衝突と旋回の両方の作用を併せ持つため、低流速から高流速まで幅広く流量変動に対応しています。また、一般の衝突型セパレータに比べて省スペースで設置できることもメリットの1つです。

参考文献
https://www.smcworld.com/products/ja/s.do?ca_id=321

マグネットポンプ

マグネットポンプとは

マグネットポンプ

マグネットポンプは渦巻きポンプの一種ですが他の渦巻きポンプとは違う大きな特徴があります。

普通のポンプであれば羽根車とモーターを直結するので、液体が漏れないようなシールが必要です。

普通のポンプではグランドパッキンメカニカルシールがありますが、グランドパッキンは常に一定量もらす必要があり、メカニカルシールも壊れれば内部の流体が漏れる可能性があります。

しかし、マグネットポンプはモーターと羽根車をマグネットを介して回転するので、液体の漏れる箇所がありません。その為、腐食性流体などの環境で安全に使用できます。

マグネットポンプの使用用途

マグネットポンプの使用用途は液体が絶対に漏れてはいけない個所となります。

例えば塩酸や苛性ソーダ―などの薬品ラインです。これらはもし漏れた場合大きな被害が予想されます。その為、グランドパッキンは禁止ですしメカニカルシールも故障の際に漏れる可能性があるので使用は推奨されません。

このような所に外部漏洩が0のマグネットポンプは最適なポンプとなります。またメンテナンスコストの削減を目標として、通常の水などのラインにでもマグネットポンプを使用する事があります。

マグネットポンプの原理

マグネットポンプの原理

図1. マグネットポンプの原理

マグネットポンプは普通のポンプと違いモーターと羽根車が直結していません。その代りポンプの軸に取り付けた磁石と、羽根車に取り付けた磁石を介して羽根車を回転させます。

これにより羽根車の格納されている密閉容器に、軸の貫通部が無いので外部漏洩が0となります。結果として、外部漏洩が0にも関わらず普通のポンプとして使用する事が出来ます。

また、ポリプロピレンPTFEなどの材質で羽根車や密閉容器を作成すれば、薬品にも安全に使用できる耐食性の高いポンプを作る事も可能です。

しかし、この構造は外部から軸受などに注水や給油が出来ないので、プロセス流体で軸受の潤滑や冷却を行います。その為、空運転は厳禁でもし空運転を行えば軸受が焼付き、ポンプが壊れてしまいます。

このような注意点があるのでマグネットポンプを使用する際はアンペア計等を取り付けて、空運転を監視する必要があります。

軸が直結されているポンプと比べてモーターサイズが1サイズ程度大きくなることもあるので注意が必要です。現在ではあまり差が無いですが、24時間動かす場合などでは1サイズの違いで電力も大きく変わるので注意が必要です。

マグネットポンプのその他情報

1. マグネットポンプとダイヤフラムポンプの違い

マグネットポンプとダイヤフラムポンプの違いについて説明します。

マグネットポンプがインペラを回して送るいわば渦巻ポンプであるのに対し、ダイヤフラムポンプはダイヤフラムと呼ばれる膜をペコペコと往復運動させ吸引、吐出を繰り返すことで送る容積式ポンプです。また、マグネットポンプが回転運動を用いて送液するのに対し、ダイヤフラムポンプはピストンによる往復運動を用いて送液します。

どちらも、薬品系のラインに多く用いられますが、マグネットポンプのほうが液の危険度が高い傾向にあります。それは液体が限りなく漏れないからです。ダイヤフラムポンプの場合、その構造上フランジ面などから液体が漏れ出す可能性があり、漏洩を防ぐ面ではマグネットポンプに軍配が上がります。しかしながら、メンテナンス性はダイヤフラムポンプのほうがよく、単体の値段も安いためコストは低く済みます。

2. マグネットポンプの故障原因

使用液体を外部に漏洩することなく送液できるマグネットポンプですが、使用方法を誤れば比較的簡単に故障します。ここでは代表的な故障原因について説明します。

  • 空運転
    マグネットポンプに限った話ではありませんが、空運転をすることでベアリングが破損し、故障に至るケースが多いです。ポンプの長期停止後であったり、トラブル時の一時的なメンテナンス後であったり、稼働時にポンプ内に流体を流さことを忘れがちですので、稼働前には運転員あ整備者含め複数人でチェックすることが大切です。
  • 詰まり
    詰まる箇所にも様々です。入口側ストレーナが閉塞していると、空運転同様の症状となり、ベアリングの焼き付きが発生します。また、送液した圧力も少なくなります。出口側のストレーナが閉塞した場合、締め切り運転状態となるため、これもポンプに負荷をかけ、故障につながります。インペラ、ケースに詰まりがある場合そもそも回転しないため稼働しません。いずれも簡単に故障に至るため、使用流体に固着する性質があるものや粘性のあるものには、十分注意が必要です。

参考文献
http://www.sanwapump.co.jp/special/why/index.html
https://www.iwakipumps.jp/products/magnetic/135/md/
https://www.iwakipumps.jp/support/faq/magnetic/
http://www.mohno-pump.co.jp/learning/manabiya/a1b.html