動力制御盤

動力制御盤とは

動力制御盤

動力制御盤とは、モーターや機械の動力を制御するための装置です。

一般的には工業施設や発電所などで使用され、電力を供給してモーターの起動・停止・速度制御などを行います。動力制御盤はさまざまな要素で構成されていますが、主要な要素に電力供給装置、制御回路、保護装置、通信インターフェースなどがあります。

これらの要素は、モーターの正確な制御と保護を実現するために連携して働きます。オペレーターがモーターの操作や監視を行うための操作部品や表示装置も備えている場合があります。オペレーターはこれらによってモーターの動作状態を把握し、必要な場合には適切な操作や調整を行うことが可能です。

動力制御盤は、安全性と効率性の向上を図るために重要な役割を果たします。過負荷や過熱などの異常状態を検出し、自動的にモーターを保護する機能を備えています。また、一元管理や遠隔監視などの機能も提供することで、効率的な運用管理を支援します。

動力制御盤の使用用途

動力制御盤は、さまざまな産業や施設において使用されます。工業プロセスや発電所、一般建築、装置自動化などが主な使用用途です。

1. 工業分野

工場や製造プラントにおいて機械や生産ラインのモーター制御に使用されます。モーターの起動・停止や速度制御などを行い、製品の生産やプロセスの効率化を支援します。

2. 発電所

発電所における機械管理にも使用されます。潤滑油ポンプなどの大型発電機周辺機器は低圧電気を使用する場合が多く、動力制御盤で起動・停止を制御します。

3. 一般建築

一般建築施設においてはエレベーターやエスカレーター、換気システムなどの動力制御に使用されます。

4. 自動化システム

自動化システムにおいても、動力制御盤は重要な役割を果たします。ロボットや機械の動力制御や位置制御のプログラムを実行するための制御装置を担う場合があります。センサーとの連携などを担当し、自動化プロセスの効率化や正確性を向上させます。

動力制御盤の原理

動力制御盤は、筐体、動力回路、制御回路、通信インターフェースの4つの主要な要素で構成されます。

1. 筐体

制御装置や回路を保護し、安全な環境を提供するために筐体に収納されています。筐体は通常、金属製の箱やキャビネットで構成されます。外部からの物理的なダメージや、環境条件から内部の部品要素を守る役割を果たします。

2. 動力回路

動力回路は電源からモーターに電力を供給する回路です。一般的には電源からの交流 (AC) 電力を制御盤内に取り込み、適切な電圧・電流レベルに変換してモーターに供給します。動力回路には、遮断器、接触器、インバータなどの部品要素が含まれます。

3. 制御回路

制御回路はモーターなどの運転・停止制御を担当する回路です。オペレーターの操作や自動化システムからの信号を受け取り、それに基づいてモーターなどの動作を制御します。制御回路はプログラマブルロジックコントローラ (PLC) や制御リレーなどで構成されます。

4. 通信インターフェイス

動力制御盤と他のシステムにおける通信を可能とする要素です。これにより、制御盤の監視・制御データの収集や送信などが行われ、中央監視室などにおける集中監視が可能となります。

一般的な通信インターフェースには、イーサネット(LAN)、シリアル通信、フィールドバスなどがあります。これらのインターフェースを介して、上位制御システムと情報のやり取りやリモート操作が可能となります。PLCに通信インターフェイスが付属している場合も多いです。

動力制御盤の選び方

動力制御盤は一般的に制御する系統に応じて、1台ずつ設計されます。動力制御盤の仕様は、対象動力負荷の容量や運転方法などに応じて決定されます。

まずは、対象となる動力負荷の容量や電圧、運転方法を確認します。速度制御や位置制御が必要な場合には、負荷容量・電圧応じたインバータやサーボコントローラなどの選定が重要です。単純な運転・停止のみを実施する負荷には、電磁開閉器などを選定します。

これらの負荷に応じた遮断器などの保護装置をそれぞれ選定します。制御が複雑になる場合には、PLCなどの制御機器が必要です。

最後に、これらの負荷が同時に動いても余裕がある主幹を設置します。全て収納可能な筐体を選定して、配置を検討することで動力制御盤を設計します。

参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/ieiej/26/9/26_693/_pdf/-char/ja
https://www.denso-osaka.com/news/181072.html
https://www.betsukawa.co.jp/solution/electric/ban/

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