一酸化炭素濃度計とは
一酸化炭素濃度計 (Carbon Monoxide Detector) とは、一酸化炭素 (CO) ガスの濃度を測定するための電子機器です。
居住空間や工場などの環境で一酸化炭素の漏れや蓄積を検知するために使用されます。一酸化炭素は無色・無臭であり、高濃度では人体に有害な影響を与えます。
したがって、一酸化炭素濃度計は安全性の確保のために重要です。一酸化炭素が特定の閾値を超えた場合に、警報を発して一酸化炭素中毒や事故の発生を防止します。
一酸化炭素濃度計の使用用途
一酸化炭素濃度計は、家庭や商業施設で一酸化炭素中毒の予防や安全確保のために広く使用されます。また、一酸化炭素濃度計は消防署や建物規制に基づく安全基準に従って設置される場合もあります。
以下は一酸化炭素濃度計の使用用途一例です。
1. 住居・商業施設
一軒家やアパート、マンションなどの居住空間で使用されます。火災やガス機器の不完全燃焼、換気不良などによって一酸化炭素が発生する可能性があります。したがって、早期に一酸化炭素の漏れを検知し、警報を発することで住民の安全を確保します。
また、ホテルやショッピングモールなどの商業施設でも一酸化炭素濃度計が使用されます。建物内の暖房機器やボイラーなどが原因で一酸化炭素が発生する可能性があるため、早期の検知と警報が重要です。
2. 重工業
工場や製造施設では、燃焼プロセスや化学反応によって一酸化炭素が生成される場合があります。一酸化炭素濃度計は作業者の安全を確保するために使用されます。また、一酸化炭素が製品品質に影響を与える場合もあり、その監視にも役立ちます。
自動車や船舶、航空機などの車両では、エンジンや排気系からの一酸化炭素漏れによる乗員への影響を検知し、安全な状態を維持するために重要です。
一酸化炭素濃度計の原理
一酸化炭素濃度計の測定方法には赤外線吸収法、定電位分解法、接触燃焼法があります。環境大気用では、赤外線吸収法または定電位分解法が使用され、固定発生源用では全ての測定方法が使用されます。
1. 赤外線吸収法
赤外線吸収法は試料となる気体を装置内に取り込んだあと、粉塵・水蒸気の除去を行なった上で赤外線を照射します。一酸化炭素をはじめ、多くのガスは赤外線を吸収します。吸収された赤外線の変化量を検出することでガスの濃度を定量します。
2. 定電位分解法
定電位分解法はガス透過性隔膜を通過して電解質中に拡散した一酸化炭素を電気分解し、発生した電流をガス濃度として検知する方法です。軽量で小型化できるため、ポータブル式の一酸化炭素濃度計に用いられることが多いです。
3. 接触燃焼法
接触燃焼法は一定温度に加熱した酸化剤と試料ガスを接触させる方法です。一酸化炭素の燃焼により、酸化剤の温度が変化します。この温度変化の上昇によって生じた電気抵抗の変化を信号として取り出すことで、一酸化炭素の濃度を測定します。
一酸化炭素濃度計の種類
一酸化炭素濃度計は、用途などに応じてさまざまな種類があります。製品によって機能や特徴はさまざまです。
以下は一酸化炭素濃度計の種類一例です。
1. ポータブル型
バッテリー駆動のコンパクトな一酸化炭素濃度計です。持ち運んで使用可能であり、一般的には家庭や旅行先での使用や、火災現場の調査などに適しています。一酸化炭素の漏れを検知し、警報を発することができます。
2. 固定型
壁掛け型や天井取付型など、固定設置が必要な一酸化炭素濃度計です。商業施設や工場などで使用され、一定の場所で一酸化炭素濃度を監視します。一酸化炭素濃度が設定された閾値を超えると、警報を発報することで異常を知らせます。
3. 複合型
一酸化炭素濃度計に加えて、煙や可燃性ガスなどの検知機能を備えた複合型です。複合型は一酸化炭素だけでなく、他の有害なガスや火災の危険も監視することができます。商業施設や工場などで使用される場合が多いです。
工場においては、排ガス分析計としてボイラーの出口などに使用される場合があります。環境基準の順守の面からも重要な役割を果たします。
参考文献
http://www.nihs.go.jp/hse/chem-info/aegl/agj/ag_Carbonmonoxide.pdf
http://www.thr.mlit.go.jp/Bumon/B00093/K00490/eizen/hozen/h-news/print/hozennews103.pdf
https://www.jemima.or.jp/tech/5-01-01.html
http://www.rikenkeiki.co.jp/cms/riken/pdf/support/PC9-0314-180610S.pdf