低温乾燥機

低温乾燥機とは

低温乾燥機とは、材料を乾燥させる際に温度を下げた風を用いる装置です。

木材、食品、医薬品、紙製品などの乾燥に利用されています。通常の熱風乾燥機とは異なり、比較的低温 (約15℃〜35℃) の風を利用することで、エネルギー消費を抑えつつ乾燥が可能です。さまざまな製品や材料に合わせて、エネルギーや品質に関する工夫が施されています。

年間を通して安定して乾燥可能であり、外気や湿度に左右されないため、食品加工業では広く利用されています。

低温乾燥機の使用用途

低温乾燥機は、主に食品加工や木材加工、医薬品製造、製紙産業、生体試料の乾燥現場で活用されています。

1. 食品業界

食品加工では、低温の風を使い乾燥させることで、味や栄養価の劣化を最小限に抑えることができます。外気を利用して乾燥する場合と同様の温度を保ちつつ、年間を通じて効率的な乾燥が可能です。

水分を蒸発させると、食品の品質を保ちながら保存期間を延ばすことが可能となります。

2. 木材加工業界

木材の乾燥は、製品の品質や寿命を向上させるために重要です。低温乾燥機を利用し、木材を適切な湿度に乾燥させることで、割れや反りを最小限に抑え、加工品の安定性を高めます。特に、高温による木材の劣化を避けるために有用です。

3. 医薬品製造業

医薬品や医療用具の製造において、低温乾燥機は製品の安定性や品質を保つために利用されます。特に、高温で薬剤の効力や安全性に影響を及ぼす可能性がある場合に有効です。

4. 製紙産業

紙や紙製品の製造過程で、低温乾燥機は湿度を制御し、均一な品質を維持するために使用されます。乾燥が均一に行われることで、紙の乾燥収縮や歪みを防ぎ、高品質な製品を製造できます。

5. 生体試料の乾燥

研究機関や医療機関などでは、生体試料の保存や解析のために低温乾燥機が使用されます。生体分子は高温によって組織が損傷する可能性があるため、低温乾燥させることでダメージを最小限に抑えることができます。

低温乾燥機の原理

低温乾燥機には、用途や対象材料に合わせて様々な種類があります。産業用途では、大型のウォークインタイプが一般的です。材料の投入方法としては、ベルトコンベアを使用する方法や、人力で台車を使って出し入れする方法があります。

乾燥させるための空気は、ヒートポンプ方式を利用して除湿され、循環されます。ヒートポンプ方式は、熱を移動させることで熱エネルギーを得る技術です。

燃焼による熱エネルギー取得と比較して、効率が高く環境に優しいです。この方式はボイル・シャルルの法則と熱力学の第2法則に基づいています。設備の劣化が少ないため、耐用年数も長いです。

低温乾燥機の種類

低温乾燥機の種類はメーカーによって異なりますが、家庭用サイズの卓上サイズのものから、業務用サイズ、ユニットタイプの大型のものまでさまざまです。

家庭用の低温乾燥機であれば、安いもので数千円で購入可能であることから、ドライフルーツや乾燥野菜を作る際によく利用されます。業務用の低温乾燥機は、小型ユニットタイプ、平行流タイプ、反転流タイプなどがあります。

1. 小型ユニットタイプ

乾燥室と乾燥機本体が一体型となっているため、業務用ですが比較的コンパクトです。設置工事が不要なため、電源がある場所であれば、どこでも設置可能です。

家庭用タイプと比較し、高度な温度、湿度制御が可能であり、多くの製品を乾燥させることができます。

2. 平行流タイプ

平行な風が均一に当たることで、効率的に乾燥させることができます。また、匂いが気になる製品であっても加工可能です。

3. 反転流タイプ

風を交互に正反対の流れにすることで、平行流タイプよりも乾燥ムラがなくなり、均一に乾燥可能です。また、乾燥庫のサイズを小さくすることができるため、省スペース化が実現できます。

風が反転することから、乾燥位置をずらす必要がなくなり手間が少なくなることに加え、乾燥までの時間短縮にもつながります。

参考文献
https://www.san-a-giken.jp/guide/guide02

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