土壌水分計

土壌水分計とは

土壌水分計

土壌水分計は、土壌に含まれている水分の量を測定するための機器です。

主に、農業分野や農業関係の研究開発から建設工事に伴う環境モニタリング(植生の保護等)、個人のガーデニングなどの場面において、土壌の特性や、管理状態をチェックするために用いられます。

測定の原理によって、誘電率を求める方法(TDR法・ADR法・FDR法)、テンシオメータ法、サイクロメータ法があります。また、土壌の中に埋設しておくと、定期的にデータを測定し本体に保存するロガータイプもあります。また、電子工作用の水分センサーが安価で手に入るため、簡易土壌水分計として自作して利用する用途もあります。

土壌水分計の使用用途

土壌水分は、農業分野では植物の生育を左右する重要な要因であるため、広く指標として用いられています。また、鉢植えやガーデニングの場合、土壌水分率が高すぎると根腐れの原因になるため専門家から一般家庭まで幅広く用いられています。

土壌水分計に採用されている原理は複数存在する上に、価格帯も広いのでため、用途や、必要とするデータの精度に合わせて適切に種類を選択する必要があります。一台あたり、数百円で購入できるものから数万円程度のものもあります。

土壌水分計の原理

土壌水分計で用いられている主な手法は、以下の通りです。

  • TDR(Time Domain Reflectometry)法、ADR(Amplitude Domain Reflectometry)法、FDR(Frequency Domain Reflectometry)
    いずれの方法でも基本原理は同じで、誘電率により土壌水分を測ります。土壌は、水・土壌・土壌粒子から構成されます。それぞれの物質の比誘電率は、水が他の物質と比べて非常に高く、土壌自体の誘電率は、土壌の水分率と一定の関係を持ちます。この関係式から土壌水分を求めます。特徴として、ADR法は、他の方法(FDR・TDR)に比べて機器が安く、操作が簡単です。一方、TDR法や土壌が凍結しない限りは、温度の影響を受けないため、温度が安定しない環境下での使用に向いています。
  • テンシオメータ法
    ポーラスカップと呼ばれる素焼きのパーツでできた容器を土壌に挿して測定します。容器の内部には水が入っており、水が滲み出る量を圧力として測定する方法です。土壌の水分張力を利用しています。業分野で広く用いられている方法ですが、測定に時間がかかる点が、デメリットとして挙げられます。
  • サイクロメータ法
    土壌の熱電対を利用して評価する方法です。土壌中の水と平衡している空気の相対蒸気圧を測り、土壌水分を算出します。植物組織の水分量も測定できるため、用途の幅が広いといえますが、精密機器であるため一台数百万円と非常に高額です。

参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/agrmet/66/4/66_66.4.3/_pdf/-char/ja
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jagh1987/40/4/40_509/_pdf/-char/ja
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jiban/JGS39/0/JGS39_0_307/_pdf/-char/ja
https://js-soilphysics.com/downloads/pdf/036006.pdf

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です