ミストセパレータ

ミストセパレータとは

ミストセパレーターのイメージ

図1. ミストセパレータのイメージ

ミストセパレータは圧縮空気をはじめとするガスに含まれる、油分などのミスト (液滴) を取り除くために使用される装置です。

コンプレッサで圧縮された空気を送るエアラインなどで使用されています。コンプレッサーは大気よりも何倍も空気を圧縮し、空気中の水分が凝縮します。これらの水分や油分は機器の故障などに繋がるため、ミストセパレータによって分離をした後に必要な箇所に圧縮空気を供給する必要があります。同じくエアラインで使用されるフィルターには、エアフィルターやウォーターフィルターなどがありますが、エアフィルターはミストセパレータよりも目が粗く、ゴミや異物を除去する機能が中心であり、ウォーターフィルターは、ドレンを除去する役割を担う部品です。

ミストセパレータの使用用途

ミストセパレータは、圧縮空気の水分・油分を取り除いてライン中の機器保護を行うために使用されたり、環境汚染防止のために使用される他、ガスに含有される有効成分を回収するなどの用途でも使用されます。また、真空ポンプの排気口に取り付けられることもあります。主な用途は下記の通りです。

  • 塗装ライン用圧縮空気、クリーンルーム用圧縮空気、機器用圧縮空気の水分・油分除去
  • 化学・石油化学プラントでの製品回収
  • 圧縮空気・蒸気の配管中における凝縮水分離
  • エチレンプラント希釈蒸気
  • 吸収塔・洗浄塔
  • 蒸気タービン
  • 蒸気ドラム内装

また、食品工場でもミストセパレータは使用されています。圧縮空気の品質を規定する規格であるJIS B 8392において、食品工業に使用する圧縮空気の品質も定められています。

ミストセパレータの原理

ミストセパレータの基本的な構成は、

  • ガスを吸気・排気する通気口
  • ミストを除去するための細かいフィルター
  • 除去したミストを溜めるボディ
  • 溜まったミストをドレンとして排出するドレン排出口

です。

エアフィルタの目の細かさが5μm前後であるのに対し、ミストセパレータのフィルタろ過度は0.01〜0.3μmと、細かくなっていることが特徴です。ボディの部分のミストを捕集する原理・構造は後述する通り、ミストセパレータの種類によって大きく異なっています。

ミストセパレータの種類

ミストセパレータは、ミストを捕集する部分の構造によって様々な種類があります。ベーンセパレータ、セントリフリックスセパレータ、マルチサイクロンセパレータ、フィルターレーターなどの種類があります。その中でベーンセパレータ、セントリフリックスセパレータについて、下記に原理と詳細を記述します。用途に合わせて適切なものを選定することが必要です。

1. ベーンセパレータ

ベーンセパレーターのイメージ

図2. ベーンセパレータのイメージ

ベーンセパレータとは、ベーンブレードと呼ばれる部品を用いてミストを分離するミストセパレータです。

ベーンブレードは、ガスの流れと平行かつ等間隔に並べられています。ベーンブレード間をミストを含んだガスが通過すると、大きなミストはベーンブレードに衝突して液膜を生じ、微細なミストはベーンブレード表面の液膜に接触して吸収されます。これらの液膜は、ベーンブレードのポケットに捕集された後、下部に流れ落ちてドレン排出口から排出される仕組みです。

分離効率が高く、処理量が大きいこと、圧力損失が低いことなどが特徴です。厳密な分離が必要な場合や、大量の液分離が必要な場合に特に適しています。

2. セントリフィックスセパレータ

セントリフィックスセパレーターのイメージ

図3. セントリフィックスセパレータのイメージ

セントリフリックスセパレータの内部には、円錐形のマルチブレードエレメントと呼ばれる部品が付いています。ミストがこのマルチブレードエレメント表面に衝突すると、凝集して液膜となります。液膜は遠心力で壁面へ導かれ、下部のドレンまで流れ落ちて排出される仕組みです。

低い圧力損失かつ流速が速いことが特徴です。衝突と旋回の両方の作用を併せ持つため、低流速から高流速まで幅広く流量変動に対応しています。また、一般の衝突型セパレータに比べて省スペースで設置できることもメリットの1つです。

参考文献
https://www.smcworld.com/products/ja/s.do?ca_id=321

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