ワンタッチ継手とは
ワンタッチ継手とは、パイプやチューブなどの異なる部品を差し込むだけで簡単に接続する継手です。
日本産業規格における正式名称は「熱可塑性樹脂チューブ用プッシュイン継手」です。その名前が示すように、1つの操作 (ワンタッチ) で継手を接続または解除することができます。通常、継手の接続部にはプッシュボタンやレバーなどで構成され、これらを操作することで簡単に接続・解除可能です。
迅速な接続と解除が可能なことに加えて、工具や専門的な知識が必要なく、手動で簡単に操作可能です。これにより、作業時間の短縮や生産性の向上が期待できます。チューブを単純に接続させるだけではなく、分岐や向きの調整・延長をさせることを目的としたパーツもあります。
ネジ径や接続できるチューブの径、設計使用圧が製品ごとに異なります。そのため、使用する条件や接続する機器の仕様に合ったものを選定する必要があります。
ワンタッチ継手の使用用途
ワンタッチ継手は、さまざまな産業や用途で使用されます。一般的には配管や空圧機器・圧縮空気用チューブなどで使用されます。以下はワンタッチ継手の使用用途一例です。
1. 配管
工業施設や建築現場などで、パイプやチューブの接続に使用される場合があります。水道設備や空調システム、ガス供給システムなどでワンタッチ継手が使用されます。また、タンクやポンプの周辺で接続用途に使用されることもあります。
2. 空圧機器
空圧機器との接続に広く使用されています。空圧機器は、空気を動力源として使用する機器であり、ワンタッチ継手はその接続に便利です。
接続に使用される機器は、エアシリンダーやエアバルブが代表的です。エアシリンダーは圧縮空気を使用して直線運動を行うデバイスで、シリンダー作動用空気の供給ポートや排気ポートに利用されます。
エアバルブは圧縮空気によって流体の流れを制御するデバイスで、入出力ポートへ配管・チューブ接続に使用されます。
3. 農業・園芸
水耕栽培システムに使用されます。ワンタッチ継手は、水や養液の供給管や循環装置の接続に使用されます。
ワンタッチ継手の原理
ワンタッチ継手は本体、シールリング、ロック機構、リリースボタンなどで構成されます。
本体はエアチューブなどを差し込む部分です。樹脂や金属で構成され、ロック機構やシールリングが配置されています。エアチューブが挿入されるとロック機構が強固に保持し、シールリングで流体漏れを防止します。
解除する際は、リリースボタンを押し下します。リリースボタンを押すとロック機構が解除され、エアチューブを引き抜くことが可能です。一般的にはスプリング構造が採用されており、ボタンを押している間だけロックが解除されます。
ワンタッチ継手の種類
ワンタッチ継手は形状により、ストレート、エルボ、ユニオン、チーズ、クロスなどの種類があります。
1. ストレート
パイプやチューブを直線的に接続するための継手です。2つのパイプを直接接続する場合に使用されます。片方がチューブフィッティング機構になっており、もう一方が雄ネジになっていることが多いです。
2. エルボ
パイプやチューブを曲げるための継手であり、直角や45度の角度での接続に使用されます。配管の方向転換や経路変更を可能にします。ネジを閉めたあと、向きを自在に変えられる機能がついた製品も販売されています。
3. ユニオン
チューブ同士を接続できる継手です。接続部を容易に分解可能とするため、チューブの定期交換や定期洗浄が必要な場合に使用します。また、チューブを延長させたいときにも重宝します。
4. チーズ
接続口がT、Y字型に分岐している構造の継手です。主パイプから分岐したり、複数のパイプを1本のパイプに集約するために使用します。T型継手やY型継手と呼ばれることもあります。
5. クロス
4つのパイプやチューブを交差させるための継手です。その形状からクロスと呼ばれます。直交する2つのパイプラインを接続する際に使用されます。
参考文献
https://www.pisco.co.jp/faq/cat/26/
https://www.pisco.co.jp/faq/cat/26/?limit=10&page=1
https://www.kikakurui.com/b8/B8381-1-2008-01.html
https://jp.misumi-ec.com/vona2/mech/M1900000000/M1905000000/M1905030000/?CategorySpec=00000033299%3A%3Ag
http://www.smcworld.com/assets/manual/ja-jp/files/KQx-OMQ0021.pdf