オシロスコープ

オシロスコープとは

オシロスコープ

オシロスコープとは電気信号を波形として画面上に出力する機器で、時間経過による信号の変化を二次元的に観察できることが特徴です。

オシロスコープはアナロオシロスコープとデジタルオシロスコープに大別されます。

1. アナログオシロスコープ

入力信号をブラウン管の管面上に電子ビームを走査して波形を描き、それを観測するオシロスコープを指します。オシロスコープへの入力信号は、わずかの遅延時間で直ちに波形が表示されます。

2. デジタルオシロスコープ

入力信号をA/D変換器でデジタルデータに変換し、そのデータをメモリに一旦保存してから、ディスプレイで波形を表示するオシロスコープを指します。アナログオシロスコープとは異なり、離散的なデータの集まりなので、各データ間を補完して滑らかな曲線で表示させます。

オシロスコープの使用用途

オシロスコープは電気信号を波形として観察するため、電子回路の動作を視覚的に確認することができます。オシロスコープを利用することで、電子回路内の信号波形を確認し、設計の狙い通り動作しているかの検証が可能です。

高速デジタル回路の動作検証では、デジタル信号の変動(ジッター)に影響されない確実なタイミングで信号を取り込むことが求められますが、そのタイミングの設定にオシロスコープが使用されます。

また、機器の故障原因が電子回路にある場合、その電子回路の各部の信号波形を追跡することで故障部位を突き止められるため、電子機器の修理にも有効な測定器です。

オシロスコープの原理

従来のアナログオシロスコープでは、プローブから入力した信号はオシロスコープの垂直増幅回路に伝えられます。垂直増幅回路で信号は減衰もしくは増幅され、その後ブラウン管の垂直偏向板に伝わります。

垂直偏向板に印加された電圧によって電子ビームは上下に走査されます。この一連の流れがオシロスコープの原理です。入力した信号は同時にトリガ回路にも伝わりますが、その信号が設定されたトリガ条件に一致した瞬間から電子ビームは水平方向への走査を開始します。

デジタルオシロスコープでは、入力した信号をA/D変換器でデジタルデータに変換し、そのデータをメモリに順次保存します。そして入力信号がトリガ条件を満たした時点から所定時間経過後、新たなデータの保存を停止します。

その結果、上記メモリにはトリガ条件に一致したタイミング前後の信号が記録されているので、その信号をディスプレイで波形として表示します。即ち、トリガ以前の信号波形も観測可能です。

また、メモリ内のデータを使って、波形解析、例えばFFT演算による信号の周波数分析も行えます。さらには、そのデータをメモリカードなどに出力して、PCによる解析やデータの保存もできます。

オシロスコープの選び方

機種選定時には、測定内容に対して十分なスペックを備えたオシロスコープであることが重要なポイントです。具体的には、周波数特性、サンプリングレート、チャンネル数、メモリ長、利用可能なプローブの種類などの検討が必要となります。

現在のオシロスコープは波形を観測するという基本的な用途に加えて、タイミング検証や波形解析、コンプライアンステストなどへと用途が拡大しており、それに伴い測定範囲の拡大や高機能化が進んでいます。そのため、使用目的に合った機能を有する機種の選定が求められています。

オシロスコープの使い方

オシロスコープは、電圧の時間変化の観測に加えて、繰り返し信号の周波数測定やリサージュ曲線の描画なども可能です。電子回路の評価試験、ビデオや音声信号の波形観測、パワーデバイスの応答特性の試験、高速デジタル回路のタイミング余裕の測定、メカトロニクス製品における評価など幅広く利用されています。

測定する前準備としては、プローブの位相調整とプローブ間のスキュー調整があります。特にカレントプローブと電圧プローブを併用する場合、カレントプローブの遅延時間が大きいので、スキュー調整は必須です。また、電源投入後30分程度待ってから測定することも、十分な測定精度の確保のために欠かせません。

実際に所望の波形を観測するコツは、トリガ調整が必要になります。アナログオシロスコープでは、スロープの選択とトリガレベル、トリガディレイしか調整要素はありませんが、デジタルオシロスコープでは、それらに加えてパルス幅や間隔など様々なトリガ条件が設定できるようになりました。

さらに、複数のトリガ条件が成立したときに信号を取り込むシーケンシャルトリガも利用可能です。これらを活用し、観測する信号を取り込むテクニックが求められます。

オシロスコープのその他情報

1. アナログオシロスコープとデジタルオシロスコープの特徴と相違点

両者の特徴を纏めると次の様になります。

アナログオシロスコープ

  • リアルタイム性に優れていて、新たな信号を取り込んで表示するまでのデッドタイムが短い
  • 信号の明るさで、同一波形の発生頻度が判断できる
  • 単発現象や繰り返し頻度の少ない現象観測には不向き
  • 観測結果の保存には写真撮影機材などを用意する必要がある
  • 波形を使った解析はできない

デジタルオシロスコープ

  • 単発現象を補足して表示することが可能
  • 観測結果は、電子データとして扱えますので、保存が容易
  • 波形をデジタル・データとして扱い、プロセッサによる解析が可能
  • 信号処理にかかるデッドタイムが長いため、実際に観測できる時間が相対的に短くなる
  • 繰り返し波形における波形の頻度情報が失われる

今現在、工業計測の用途に限れば、入手可能なアナログオシロスコープは存在せず、ほぼ100%デジタルオシロスコープが選択されています。

<p.これは、高速A/Dコンバータや波形処理用のプロセッサが広く供給されていることや、デジタルオシロスコープの欠点を補う技術面の進歩などにより、比較的低価格でも高機能な製品が販売されるようになったのが理由です。

2. オシロスコープの注意点

オシロスコープで正しい波形を観測するためには幾つか注意すべき点がありますが、特に測定したい周波数帯域を充分カバーする周波数特性を持った機種を選定することが重要です。

オシロスコープの周波数特性は振幅が-3dBになる周波数で定義されますので、正確な振幅測定には被測定信号の周波数の5倍程度の周波数特性の機種を選定すべきです。

またデジタルオシロスコープでは、データサンプリング周波数に関しても注意しなければなりません。サンプリング周波数が被測定信号の2倍以下になると、エイリアシングを起こして偽波形が表示されてしまうためです。

参考文献

https://jp.tek.com/oscilloscope
https://www.iti.iwatsu.co.jp/ja/support/05_07.html
https://www.cqpub.co.jp/column/books/2001a/11891osiro/
https://electrictoolboy.com/media/1353/
https://www.keysight.com/jp/ja/assets/7018-05607/ebooks/5992-2095.pdf

交流電源

交流電源とは

交流電源とは、周波数を持って向きと大きさを変える交流電力のことを指します。

電力会社から一般家庭へ供給される電力は全て交流電源です。エアコン、冷蔵庫、照明器具などのコンセントに刺す家電は全て交流電源で動きます。

産業用途では、直流を交流へ変換する装置を交流電源装置と呼ぶこともあり、幅広く用いられています。

交流電源の使用用途

交流電源は一般家電から産業機器まで幅広く用いられます。

家庭用機器としては、ドライヤー、エアコン、電子レンジなど多くの家電が交流電源で動きます。産業用機器としては、業務用冷凍機や、排気用換気ブロワ、工業用水汲み上げポンプなどの電力源はほとんどが交流電源です。

IT業界などでは、重要なデータサーバーやデータストレージを保護するために無停電電源装置が使用されます。無停電電源装置とは、通常時は商用電源でバッテリーを充電しつつ交流電源を給電し、商用電源が切れたらバッテリーから電源を供給する商品です。交流電源装置と言った場合には、この無停電電源装置を指すこともあります。

データサーバなどは重要かつ精密機器です。交流電源のわずかな乱れによって故障する危険もあります。無停電電源装置は、これら精密機器に乱れのない交流電源を供給する目的でも使用されます。

また、意図的に交流電源の乱れを生み出すことで電気機器に故障が発生しないかを試験するためのシュミレーターも販売されています。

交流電源の原理

商用の交流電源は、主に同期発電機によって供給されます。同期発電機は、電磁誘導作用を利用して電力を供給します。

電磁誘導作用とは、巻銅線に磁石を近づけたり離したりすると電圧が発生する原理です。同期発電機は、内部で強力な磁場を発生させつつ巻線を高速回転させることで発生する電圧によって電力を生み出しています。

IT業界における交流(安定化)電源装置はACスタビライザ方式(AVR)と周波数コンバータ方式(CV・CF)の2つに大別されます。

1. ACスタビライザ方式

ACスタビライザ方式には出力電圧・波形を安定させる目的があり、周波数コンバータ方式にはそれに加え、周波数を安定化させる目的があります。

ACスタビライザ方式は、スライダック方式とタップ切り替え方式に大別されます。スライダック方式は、サーボモーターなどで変圧器のタップを連続的に切り替えることで交流電圧を一定に保つ方式です。

タップ切り替え方式では入力された交流電流の電圧を基準となる電圧と比較し、誤差を修正し出力する方式です。

2. 周波数コンバータ方式

周波数コンバータ方式はリニアアンプ方式とインバータ方式に大別されます。どちらの方式でも交流電流を一度直流電流に変換します。

その後、リニアアンプ方式ではリニアアンプを、インバータ方式ではDC/ACインバータを用いて出力電圧・周波数の補正を行い、交流電源として出力します。

交流電源のメリット

交流電源のメリットは大きく分けて2つあります。

1. 変圧が容易

交流電源は、変圧器の巻線比に応じて変圧を容易に行えます。長距離送電は高電圧で行うことで損失を少なくでき、需要場所に変圧器を置くことで容易に電力を取り出せます。

直流電源を用いても電圧を変換することは可能なのですが、コンバータ本体のコストや変換時の時間がかかってしまいます。この電圧を調整する方法により、送配電の設備コストを抑えることができるというのが交流電源の最大のメリットです。

2. 回路の遮断が容易

プラス電圧とマイナス電圧を交互に繰り返すというのが交流電源の特徴です。もし事故や災害の時に電流を一時的に止めたい場合、電流ゼロの瞬間を利用して遮断することで電気系統や遮断器本体に与えるダメージを抑えることができます。

交流電源のその他情報

交流電源の発明

交流電源を発明者した人物は、ニコラ・テスラという発明家です。テスラは現在のクロアチア共和国で生まれ、幼少期から数学が得意でした。

グラーツ工科大学在学中に「グラム発電機(発電機とモーターの両方機能を持つ直流電流の発電装置)」を目にしたテスラは、発電方法の改善について考えることになります。その5年後に、世界ではじめての交流電流の発電装置「二相交流モーター」の発明に成功しました。

その後テスラは交流電流の考えを発展させていき、直流電流で有名なトーマス・エジソンのもとで働くことになりました。しかし、直流電流の発明者であるエジソンは、テスラの発明した交流電流に対して否定的でした。

両者とも自身の発明した電流の有用性や安全性をアピールし、後に「直流電流のエジソンvs交流電流のテスラ」という構図が出来上がりました。この対立の末テスラの交流電流が世間的に認められ、現代では、交流電流はなくてはならないものになっています。

参考文献
OJO  http://kojo-seiko.co.jp/technology/001.html
エヌエフ回路設計ブロック  http://www.nfcorp.co.jp/techinfo/dictionary/055.html
KIKUSUI  https://www.kikusui.co.jp/knowledgeplaza/?d=powersupply2&p=3
https://electric-facilities.jp/denki1/souden.html

直流電源

直流電源とは

直流電源

直流電源とは直流電源を供給する電源装置です。

電源には直流電源と交流電源の2種類があります。直流電源とは電流・電圧の向きが常に一方向である電源です。交流電源は、電流・電圧の向きが周期的に切り替わる電源を指します。

電力会社から供給される商用電源は、電圧変更と電源遮断が容易な交流電源が一般的です。対して、半導体の動作には直流電源が必要なため、電子製品へ供給する電源は直流でなければなりません。

したがって、直流電源は主に電子製品の動作に使用されます。

直流電源の使用用途

直流電源は身近な製品から産業分野の巨大装置まで幅広い用途で使用されます。以下が使用例です。

  • PC・スマートフォン充電用ACアダプタ
  • 路面電車用の電源供給装置
  • LED照明の電源供給装置
  • 空調機や冷蔵庫の制御基盤内部
  • 電解工場・メッキ工場用の電源供給装置
  • 直流を用いた電気炉の電源

家電製品でも多くは直流電源を内部に持ちますが、扇風機や白熱電球などの一部の家電は交流電源を直接使用するため、直流電源装置を持ちません。

直流電源の原理

直流電源装置 (AC-DC電源) は交流電源を整流・安定化させて直流電源にします。

直流化の方法によって大別すると、シャントレギュレーション方式・シリーズレギュレーション方式・スイッチングレギュレーション方式の三種類です。

1. シャントレギュレーション方式

シャントレギュレーション方式では入出力の間にダイオードと抵抗を直列に接続します。
交流電源がダイオードを一定の方向でしか通過できないため、出力端では直流電源が出力されます。
構造が簡単な代わりに抵抗による熱損失が大きいため、三方式の中で最低効率です。

2. シリーズレギュレーション方式

シリーズレギュレーション方式では入出力の間にトランジスタなどの素子を直列に接続します。
交流電源は一定の方向でしかトランジスタを通過することができないので、出力端では直流電源が出力されます。

3. スイッチングレギュレーション方式

スイッチングレギュレーション方式では交流電源を、スイッチング素子で電流・電圧の向きを切り替えます。その結果、一定方向かつ平均化された直流電源が出力されます。

直流電源のその他情報

1. 直流電源と交流電源の違い

先述した通り、電源には直流電源と交流電源があります。直流電源と交流電源の特徴を以下に列挙します。

直流電源の特徴

  • 乾電池や鉛蓄電池などの化学反応から取り出すことが可能
  • 半導体の動作には直流電源が必要
  • 長距離送電時にはリアクタンスによる損失がない
  • 誘導電磁波が発生しない
  • 変圧・遮断用装置が高価

交流電源の特徴

  • 同期発電機などの回転機器から電源を取り出すことが可能
  • 変圧器によって容易に変圧可能
  • 電流が0となるタイミングで容易に遮断が可能
  • 誘導による電磁波対策が必要
  • 力率や過渡安定度の考慮が必要

以上の特徴から、大型電源化に向いているため電力会社の商用電源は交流電源です。
ただし、近年は過渡安定度の考慮が不要で損失が少ない直流による大電力送電も検討されています。

2. 直流電源の使い方

直流電源は種類も規模もさまざまですが、いずれにおいても定電圧もしくは定電流でのモードで作動します。

・定電圧モード

定電圧モードは一定の電圧で動作するように作られたモードです。一定電圧で使用する電子回路の製品確認などに使用されます。定電圧モード一定の製品として、パワーサプライは広く産業に使用されます。

・定電流モード

定電流モードは一定の電流で動作するように作られたモードです。アナログ信号の電送や、LEDライトの調光装置に使用されます。

製品に内蔵された直流電源装置にはどちらかのモードのみで動作する場合が多いです。試験用直流電源装置などは各モードを手動で切り替えられる装置が多いため、用途に応じてモードを変更可能です。

参考文献
https://www.nfcorp.co.jp/techinfo/keisoku_kouza/dc/dc01/index.html
https://www.kikusui.co.jp/knowledgeplaza/?d=powersupply1
https://www.kikusui.co.jp/knowledgeplaza/?d=powersupply2
https://www.matsusada.co.jp/column/column-dc-power.html
https://www.matsusada.co.jp/column/constant.html
https://www.keisokuten.jp/static/dn03_kikusui.html?ref=top_slider

温湿度センサー

温湿度センサーとは

温湿度センサー

温湿度センサーとは、温度と湿度を測定するための機器です。

温度センサー湿度センサーで構成されています。1台で温度と湿度の2項目を計測できるため、設置の手間がかからず、設置スペースも必要ありません。

温湿度センサーの使用用途

温湿度センサーは温度および湿度を測定するために使用されるものであり、例えば以下のような分野で使用されています。

  • 外気温・湿度の測定
  • エアコンや暖房器具などの空調機器のセンサー
  • 自動車のエンジンを管理するセンサー
  • スマートフォンやパソコンなどのセンサー
  • 工業的な検査

温湿度センサーの原理

温湿度センサーは、温度センサーと湿度センサーにより構成されています。温度センサーは、測温抵抗体 (RTD) ・リニア抵抗器・サーミスタの3種類に大別され、湿度センサーは抵抗変化型と静電容量変化型の2つに大別されます。順番に解説します。

1. 温度センサー

測温抵抗体 (RTD)
温度センサーの1種である測温抵抗体 (RTD) は、電気抵抗値を測定することで温度が分かる仕組みです。白金、ニッケル、銅等の金属や金属酸化物、半導体の電気抵抗が温度の上昇とともに上がる性質を利用しており、電気抵抗値を測定することで温度を測定しています。

リニア抵抗器
リニア抵抗器は、ニッケルニッケルやパラジウムの合金を使用した測温抵抗体で、温度と抵抗がほぼ直線に増加する特性を利用しています。白金等を利用した測温抵抗体ほど精度は高くありません。

サーミスタ
サーミスタは、温度により抵抗値が変化する素子です。これを用いた温度センサーでは、素子の温度と抵抗の相関性を利用して温度を測定します。サーミスタは、温度の上昇により抵抗が高くなるPTCサーミスタ (正特性) と温度の上昇により抵抗が低くなるNTCサーミスタ (負特性) の2種類があります。

PCTサーミスタは、ある温度で抵抗が急上昇することが特徴で、半導体が熱暴走した際の過電流保護用などに好適です。一方のNCTサーミスタは、常温での抵抗値が高く、温度上昇による抵抗値変化が大きい特性を持ちます。そのため、温度での回路保護などが一般的な使用方法です。なお、通常サーミスタと言うと、NCTサーミスタを指します。

2. 湿度センサー

抵抗変化型
抵抗変化型の温度センサーは、抵抗値の変化から湿度を導き出すセンサーです。センサーに内蔵されたくし型の回路のくし歯の間を高分子よりなる感湿膜で橋渡しした構造を持つことが特徴です。

湿度が上昇して感湿膜が吸湿すると感湿膜内の可動イオンが増えることから感湿膜の抵抗値が下がり、逆に湿度が下がると抵抗値が上がることを利用しています。つまり、抵抗変化型の温度センサーでは、抵抗値の変化から湿度を導き出しています。

静電容量型
静電容量型の温度センサーは、静電容量の変化を湿度に換算する仕組みのセンサーです。2つの電極で高分子よりなる感湿膜を挟み込んだ構造を持つことが特徴です。湿度が上昇すると感湿膜内の可動イオンが増えるため、電極間の静電容量は増えます。

一方、湿度が下がると感湿膜の可動イオンが減ることから電極間の静電容量が減ります。すなわち、静電容量型の温度センサーは、静電容量の変化を湿度に換算する仕組みです。

温湿度センサーの種類

温湿度センサーは、形状でも分類され、ICチップに組み込まれたICタイプ温湿度センサーやIoT (Internet of Things) に利用されるワイヤレスタイプ温湿度センサーなどがあります。

1. ICタイプ温湿度センサー

ICタイプ温湿度センサーは、センサー素子とA/D変換などの計測回路が集積されて1つのチップとされた構成です。センサー素子単体をそれぞれ使う場合には、用途に応じて周辺の回路設計が必要であり時間とコストがかかります。

しかし、一体型のICタイプ温湿度センサーではこのような手間がなく、手軽に使用できます。また、基板に実装する際の必要な実装面積を小さくでき、小型化、低消費電力、低コストが実現可能です。

2. ワイヤレス温湿度センサー

近年では、パソコンやスマートフォンだけでなく、様々な機器がインターネットに繋がり連携できるようになってきました。いわゆるIoT (Internet of Things) と呼ばれる技術で、もの同士の間で情報を交換する、遠隔操作する、データを収集するなどが可能となり、さまざまなサービスで活用されています。

特に遠隔で物品の状態を監視する、異常を検知するなどのサービスや仕組みでは、センサーの役割は重要です。そこで、IoTセンサーと呼ばれるWi-FiやBluetoothなどのワイヤレス通信手段でデータを転送するセンサーが登場しています。

ワイヤレス温湿度センサーもその中の1つで、ワイヤレス温湿度センサーを活用することで、遠隔地の温度湿度の確認およびモニタリングを行うシステムが構築可能です。具体的には、データセンターや製造ライン、冷房設備、倉庫、ビニールハウスなど、常時人がいない場所や見えない場所の温湿度管理や異常検知に活用されています。

また、応用事例として、窓やドアの開閉感知、人や動物の動きを検知するセンサーや、家電と連携させたホームセキュリティサービスや、高齢者向けの見守りサービスなど、様々な用途、場面で活用されています。

参考文献
https://product.tdk.com/info/ja/products/sensor/sensor/humidity/technote/tpo/index.html
https://www.koaglobal.com/product/library/sensor/basic
https://www.ni.com/ja-jp/innovations/white-papers/06/overview-of-temperature-sensors.html
https://www.okazaki-mfg.com/Tech_info/resistance_thermometer.html
https://www.murata.com/ja-jp/products/thermistor/ntc/basic/thermistor
https://www.daiichi-kagaku.co.jp/situdo/note/arekore10/
https://www.jp.omega.com/prodinfo/Integrated-Circuit-Sensors.html
https://emb.macnica.co.jp/articles/5007/
https://www.hitachi-solutions-create.co.jp/column/iot/iot-sensor.html
https://direct.sanwa.co.jp/ItemPage/UNI-01-C003

工業用はかり

工業用はかりとは

工業用はかり

工業用はかりとは、農林水産業、工業問わず、製品の生産や開発の現場で使用される、モノの重さを測るための計測器です。

工業用はかりには化学薬品の分析など、実験室で使う精密な計量に使われる電子天秤と呼ばれるものから、床に埋め込まれており、台車やパレットなどごと計測できるフロアスケール、大型のトラックごと計測するトラックスケールといわれるタイプまで、さまざまな製品があります。

さらに、粉末を計量する防塵仕様や、液体の軽量のための防水仕様、また爆発性ガスが発生するなどの危険場所での計量には防爆仕様など、使用用途や測定環境によってさまざまです。

工業用はかりの使用用途

工業用はかりはさまざまな産業において、重さを知るために、それぞれのニーズにあった製品が使用されています。具体的には、化学分野のラボ室での研究開発や分析、農林水産業、工業製品の生産工場、物流業界の倉庫などです。

生産や物流業界では、製品の数量を知るための数量計として利用されています。例えば、小さなねじ製品の数量を数えるために、あらかじめ100個程度の重量を工業用はかりに記憶させておくと、はかりにのせるだけで製品の数量を知ることができます。

他にも液体や粉体の自動充填や充填量検査、バッチ処理のための計量、調合、分注など一連の自動化した製造プロセス内に工業用はかりが組み込まれています。医薬品、化粧品、化学品、食品業界など工業用はかりが使用されている分野はさまざまです。

工業用はかりの原理

一般的なはかりには、フックの法則を利用したばねばかりや、てこの原理を利用した天秤などがありますが、工業用はかりには主に電磁式、ロードセル式、音叉式の測定原理が用いられています。

1. 電磁式工業用はかり

電磁式工業用はかりの内部構造は、天秤の構造と同様です。竿の片方に試料を載せ、支点を挟んで竿の反対側に電磁コイルが配置されています。

試料の重さに対して平衡を保つために必要な電磁力を測定し、電磁力を重量に換算します。電磁式では高精度で測定が可能であり、分析天秤など微量な試料を測定するはかりに適した方式です。

2. ロードセル式工業用はかり

重みで歪みが発生する起歪体 (きわいたい) と、起歪体の歪みを検知する歪みゲージで構成されたはかりです。起歪体の一方は固定されており、その反対側に試料を載せます。

試料の重みで発生する起歪体の歪みを歪みゲージで抵抗値として取り出し、重量に換算します。構造が比較的単純で、価格が安価です。精度の要求がそれほど高くない、重量物などの測定に適した方式です。

3. 音叉式工業用はかり

音叉式の工業用はかりは、音叉を2つ繋いだ振動子に試料の荷重を加えることで変化する振動数を測定し、重量に換算します。比較的歴史が浅い測定原理であり、測定精度は電磁式とロードセル式の中間に位置します。

工業用はかりのその他情報

1. 台はかり

計量台と呼ばれる台の形をしている平面の上に、静止している物を置いて重量を計測する「はかり」を総称として「台はかり」と呼びます。台の部分が載せたものの重量により沈み、その量を重量として はかる構造のものです。

家庭用の体重計、キッチンスケール、商店のはかり、プロパンガスの量を計るはかり、床面が計量台の構造で、大型の車両などが自走して載ることができる「トラックスケール」など、多岐にわたる用途の目的や容量で、いろいろな製品があります。

また、内部構造もバネを用いたアナログタイプの物以外にも、ロードセル、電磁式などのセンサーを持ち、デジタル数字で表示するデジタルタイプや防水構造や防爆構造など用途、ひょう量、価格帯により多種多様な製品があります。

2. 計量台

質量を計測する 「はかり」 の計測する物を載せる計量皿、プラットフォーム部の名称です。メーカーによって「台ばかり」の製品呼称として、計量台と呼ぶことがあります。

3. 電子天秤

電子天秤とは主に、質量を計測する「電子はかり」のことです。天秤の構造を内蔵している機種と、天秤構造が無いワンブロック構造のものがあります。電子天秤の測定方式は、電磁力平衡方式、ロードセル式、音叉振動方式などです。

初期の電子天秤は電磁力平衡式が主流でしたが、ひずみゲージ式ロードセルを使ったものが広く出回るようになりました。測定精度は電磁力平衡式の方が、ロードセル式よりも高いのが一般的です。

参考文献
https://www.mt.com/jp/ja/home/products/Industrial_Weighing_Solutions/bench-scales.html
https://www.tanaka-scale.co.jp/category/industrial/
https://www.an.shimadzu.co.jp/balance/hiroba/bean/bean04.htm
https://www.vibra.co.jp/learn/sensor/
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kakyoshi/60/11/60_KJ00008329776/_pdf
https://www.keiryou-keisoku.co.jp/
https://www.aandd.co.jp/products/weighing/balance/bal-base/

工業用内視鏡

工業用内視鏡とは

工業用内視鏡とは、狭い空間や曲がりくねった管など、肉眼では確認できない部分の様子を観察できる機器です。

細長いプローブの先にカメラがついており、カメラを確認したい部位に配置して、接眼レンズから内部を観察したり、本体モニターやPCなどに画像を映し出して内部の様子をリアルタイムに観察したりすることが可能です。

解像度や焦点深度、プローブと本体の長さ、プローブのフレキシブル性、光源の数、動作可能温度範囲など観察対象や用途、使用環境によって適切なものを選択する必要があります。また、映像を記録することができる機能もあり、後日の確認やデータ管理にも役立ちます。

さらに、最近の工業用内視鏡は、高性能カメラやLEDライトを搭載しており、より鮮明な映像を提供することが可能です。

工業用内視鏡の使用用途

自動車、航空機、発電所、ガスや水道なのインフラなどの産業分野で広く活用されています。

1. 自動車・航空機・鉄道・船舶分野

エンジン、油圧部品、噴射ノズル、タービンなどの内部検査

2. 電力分野

原子力、火力発電所の復水器、配管、タービンなどの保守点検

3. 土木・建築分野

橋梁のメンテナンス、鉄骨の診断、床下や天井裏などの観察

4. インフラ分野

水道、ガス設備の配管の錆、腐食、詰まりなどの点検

工業用内視鏡の原理

内視鏡は、照明機構、カメラ、および画像処理機能の3点構成です。内視鏡の先端には、鏡面や光学レンズが配置されており、これにより画像がカメラに送信されます。光を送信するために硬い管や柔軟なシースで保護された光ファイバーを使用します。

内視鏡は、内部部品や構造物の状態を評価するために非破壊検査に使用され、検査中に画像がリアルタイムで表示が可能です。

操作の難易度が非常に高く、専門的なトレーニングを受けた技術者が操作する必要があります。

工業用内視鏡の種類

工業用内視鏡は、本体とプローブで構成され、モニターが付いているものやPCに接続できるもの、接眼レンズを覗き込むものがあります。

工業用内視鏡には、ビデオスコープ、ファイバースコープ、硬性鏡などの種類があります。

1. ビデオスコープ

プローブの先端に小型の専用カメラが搭載されており、リアルタイムで専用のディスプレイやスマートフォンなどでの視聴映像ができるのが特徴です。同時に静止画の撮影もでき、対象物の長さを測長できるものもあります。

また、防水性能があるだけでなく、水中の機器や配管などの内部を調べることも可能です。

2. ファイバースコープ

主に、非破壊的な検査や修理に使用されます。柔軟性のあるを数千から数万本の束にしたプローブを使用されているのが特徴です。

1本1本のグラスファイバが光を集めて、反対側の接眼レンズで像を得ることができます。グラスファイバ1本1本がカメラの役割のため、得られる画像にはグラスファイバのハニカム構造状の影が映りこみます。

3. 硬性鏡

対物レンズで得た画像をリレーレンズで伝送します。リレーレンズのプローブ部は金属チューブなので、曲げることができません。単純な構造で、操作方法も簡単であることが特徴です。

硬性鏡は、光源、光ファイバー、レンズ、そしてカメラで構成され、手術や治療、病変部位の観察など医療分野で使用されます。

工業用内視鏡用の特徴

1. 機能が多い

工業用内視鏡には、さまざまな便利な機能が搭載されています。中には、モニター上でズームができたり、カメラケーブルの先端に温度センサーと警報機能が備わっていたりする製品もあります。

そのほか、ハンズフリーマイクロフォンを使って、音声・動画の保存をすることができたり、先端部に超高輝度白色LEDが搭載されていて被写体の明るさを任意に設定できたり、LEDを用いてフラッシュ機能を備えたりする製品もあるため、用途に合わせて機能を選択できる便利な機器です。

さらに、多くの製品でPCやTVモニターへのデータ出力もできるため、複数名での映像共有も可能です。

2. 耐熱性が高い

工業用内視鏡は、配管の内部や機械の内部などの観察に適した耐熱性を備えている製品もあります。例えば、自動車のエンジンオイルの温度は、時に100℃を大きく超える場合があり、200℃までの耐熱特性を持つ内視鏡を使用することが望ましいです。

マイクロスコープ

マイクロスコープとは

マイクロスコープ

マイクロスコープ(英語: Microscope)とは広義に顕微鏡のことで、対象物を拡大して観察するための機器です。ただし、マイクロスコープと言えば一般的にデジタルカメラを搭載した顕微鏡のことを指し、光学顕微鏡と区別されています。光学顕微鏡に比べて焦点深度が深く、角度や長さを計測する機能があるのが大きな特徴です。

光学顕微鏡は対物レンズと接眼レンズの2つのレンズがありますが、マイクロスコープは対物レンズのみで、接眼レンズに相当する部分がデジタルカメラとなっています。この点が光学顕微鏡とマイクロスコープの最も大きな違いともいえるでしょう。マイクロスコープの場合は通常、観察対象をモニターに映します。

各メーカーから様々な機種が発売されており、拡大倍率は数倍から数千倍と幅広いラインナップが用意されています。

マイクロスコープの使用用途

マイクロスコープは、対象物を拡大して観察するだけではなく、得られた画像データから各種評価や解析を行うことができます。

自動車・航空関連、電子デバイス業界、医療・化粧品業界、化学・材料業界などの様々な分野で導入されており、研究開発から品質保証まで幅広い用途で使用されています。

例えば、電子部品の故障解析では、ICチップの外観検査や不良品の故障解析、異物混入検査や発見された異物のサイズや形状の解析などがマイクロスコープで行うことが可能です。

マイクロスコープの原理

マイクロスコープは、光学レンズ(対物レンズ)で対象物を拡大し、光学顕微鏡ではヒトの眼に当たる部分がデジタルカメラとなっています。光学レンズで拡大された像を撮像素子で検出し、モニターにその画像を映し出します。

光学顕微鏡の拡大倍率は、対物レンズと接眼レンズの倍率の積で表されますが、マイクロスコープの場合は、モニターサイズやカメラの撮像素子サイズが観察倍率に影響し、その点が光学顕微鏡の倍率の考え方と異なります。
マイククロスコープの倍率も対物レンズの倍率とモニターの倍率の積で表されます。モニターの倍率は、モニターサイズを撮像素子サイズで除した数値です。

対象物をより詳細に観察するには、倍率以外に分解能という細部を識別する性能が必要です。分解能が十分でない場合、観察画像がぼやけてしまい、細部を鮮明に観察することができません。マイクロスコープの場合は、対物レンズやデジタルカメラの光学レンズの分解能、撮像素子の解像度、モニターの解像度が分解能に影響しています。

観察する対象物や目的に合わせて最適な倍率と分解能が得られる機種を選定する必要があります。これらの高度な分解能の処理能力のユーザー要求に対応すべく、最近では4Kモニタタイプの画像も登場しています。

マイクロスコープのその他の情報

1. マイクロスコープの歯科治療での利用

マイクロスコープの用途の一つとしては歯科治療での利用があげられます。マイクロスコープの焦点調整機能を生かすことで、肉眼では検知しにくい微細な患部の観察が可能となります。

特に、根管治療と呼ばれる虫歯菌の完全な除去を行う際には、マイクロスコープによって治療者の視認性をあげ、可能な限り患部を削りきるという手法が使われます。肉眼ではどうしても患部の確認に限界があり、見落としによる患部取り残しのリスクがあります。

マイクロスコープを用いることで、治療の質を向上させ、患部取り残しによる再発リスクを低減することができます。ただし、マイクロスコープを用いた歯科治療は原則として保険適用外の自費診療となっていることに留意が必要です。

2. マイクロスコープの美容利用

マイクロスコープは、美容整形や頭皮のチェックなどの美容関連の治療・診断にも用いられます。マイクロスコープで拡大した肌を見ることで、皮膚の乾燥状況や毛じらみの発生状況などを視認し、患部の状態を判断することができます。

美容整形などをうけるクライアントとしても、自身の肌や頭皮の状態を画面で確認することができるため、診察に対して納得感を得ることができます。また、状態改善のための動機付けとなる側面もあります。

3. 最新のマイクロスコープの機能事例

昨今のマイクロスコープは、真空での観察が必要な走査型電子顕微鏡(SEM)に代わって、数ミクロン単位の電子部品や半導体ICの内部の詳細解析にも多用されています。そのために実用上、数ミリから数ミクロンといった具合に、観察の途中において桁で大きく倍率や解像度を上げていかなければなりません。

この操作には、光学顕微鏡と同様に対物レンズを交換していく必要がありますが、近年のマイクロスコープにはこのレンズ変更のための自動回転やレンズ変更時の自動焦点合わせ機能を内蔵し、ほぼ全自動でこの工程を行ってくれるものがあります。

画像処理についても倍率の高い画像を、畳のように縦横に並べて大きな1枚の画像に合成してくれる機能や、画像の焦点調整機能を活用して、対象物を3次元(3D)的に立体的な画像に処理してくれるような高機能なタイプも登場しているのです。

これらの機能を組み合わせて、半導体ICの配線チェックや、電子部品の内部欠陥箇所の不良解析に活用されている事例もあります。

4. マイクロスコープの価格

マイクロスコープは、その用途や性能によって値段が異なります。倍率や視野範囲が狭いマイクロスコープであれば1万円前後から取り扱いがありますが、美容成形や頭皮等の簡単な検査目的で利用するものであれば5万円程度、医療目的で利用されるものは10万以上という価格帯となっています。

さらに、半導体製造など製造業における製品検査用途として用いられるようなマイクロスコープには高い倍率やミクロン単位の高精細な高精細な画像表示が求められるため、数百万程度が一般的な価格帯となります。

手術や治療に用いる場合では画面表示の遅延が少なく、フレームレートが高いことも重要ですが、低遅延・高フレームレートのマイクロスコープは価格が高くなる傾向があります。また、レンズを交換することで表示倍率を拡大することができる製品なども販売されています。この場合画像処理能力も高度化され、専用のモニターや制御ソフトも高度化するために価格はさらに上昇します。

参考文献

https://www.shodensha-inc.co.jp/ja/
https://www.keyence.co.jp/products/microscope/digital-microscope/
https://xlab.leica-microsystems.com/blog/industrial/digital-microscope_magnification/
https://www.abe-shikaiin.net/pages/root.html
https://ureruzo.com/scopeSankou00.htm
https://www.asahikogakuki.com/microscope/ms-300/

工業用カメラ

工業用カメラとは工業用カメラ

工業用カメラとは、工場やセキュリティを目的とした用途などで使用されるカメラのことです。

産業用カメラと呼ばれることもあります。工業用カメラには大きく、モニタリング用とマシンビジョン用の2種類があります。モニタリング用のカメラは、監視用途が多いです。

カメラにはモニターが接続されて、ヒトが目視で対象物を観察します。監視以外にも、デジタルマイクロスコープなどに用いられるカメラも、モニタリング用の工業用カメラです。

マシンビジョン用の工業用カメラは、さまざまな工業製品の製造工程の中に組み込まれ、ヒトの代わりに情報を認識するものです。取り込まれた画像データはコンピューターがさまざまな処理を行い、解析結果をアウトプットします。自動検査などに使用されるのは、マシンビジョン用の工業用カメラです。

工業用カメラの使用用途

モニタリング用の工業用カメラは、防犯カメラ監視カメラ、車載レコーダー、デジタルマイクロスコープなどに応用されており、ヒトが目視で対象物を観察することを主な目的としています。ATMやレジなどに搭載されている防犯・監視カメラも、モニタリング用の工業用カメラです。

マシンビジョン用の工業用カメラは、主に製造工程内で使用されています。ヒトに代わって工業用カメラで撮影した画像をコンピューターで解析し、例えば検査結果を判定するなど検査システムに組み込まれています。

用途としては、欠陥・異物検査や液体の容器への充填基準の判定、バーコード読み取り、文字認識など幅広く、自動車、医療、電気電子、物流、印刷分野などです。

工業用カメラの原理

工業用カメラも、私たちが使うデジタルカメラと同様に、レンズとカメラ本体で構成されています。レンズから入った光は、カメラ本体にある撮像素子によって、デジタルデータに変換されます。

撮像素子は可視光だけでなく、赤外線、紫外線、エックス線などでも感知可能です。撮像素子の性能はサイズ、画素数、走査方式などによって決まります。

産業用カメラの選び方

産業用カメラは用途が限定される場合がほとんどであり、必要最低限の性能を満足するものを選ぶことが大切です。ここではポイントを3つ挙げます。

1. 面で捉える必要があるか

工業用カメラには民生用のカメラと同様に、ある特定の範囲を画像として捉えるエリアカメラと、ラインセンサカメラがあります。ラインセンサカメラには素子が1列しかありませんが、対象物を動かすことによって製品の全体像を把握することが可能です。

円筒物のものであれば製品を回転させ、平面状の製品であれば、平行移動させることによって、製品の全体像が把握できます。生産ラインでの監視や検査であればエリアカメラを使わなくても、ラインセンサカメラで役割を果たすことができます。

2. どのような画像が必要なのか

必要となる画像の色情報、解像度、そして取り込み速度によって、求められる工業用カメラも変わります。形状だけを判別するのであればカラー情報ではなく、モノクロ情報が得られれば問題ありません。解像度も必要以上に高くしても、カメラの価格が高く、データ量が増えてしまいます。また検査する製品の数が多くなれば、処理できるデータ量でなければなりません。

3. インターフェイス

撮影した画像や映像を、どのように取り込むのかについても、十分に理解しておく必要があります。工業用カメラの代表的なインターフェイスは、USB、CameraLink、Gigabit Ethernetがあります。これらは最大転送速度も異なりますが、ケーブルの長さにも注意が必要です。

パソコンにも多く使われているUSBは最大3m (USB3.0) CameraLinkは10mまで、Gigabit Ethernetは100mまで使えます。

工業用カメラのその他情報

イメージセンサーの走査方式の違い

インターレース方式とプログレッシブ方式があります。インターレース方式は、画像を横に切って、偶数段と奇数段ごとに分けて表示する方式です。

なめらかな動きを表現できるため、監視カメラなどのモニタリング用に採用されています。プログレッシブ方式は、分割した部分を1度に表示する方式です。

瞬間をとらえることが得意出あるため、製造工程で使用されるマシンビジョン用に採用されています。

 参考文献
https://www.tel.co.jp/museum/exhibition/principle/cmos.html
https://www.keyence.co.jp/ss/products/vision/visionbasics/basic/hard/primer.jsp
https://www.hitachi-kokusai.co.jp/products/tv/camera/select_imagesize.html
https://systemk-camera.jp/camera-blog/knowledge/what-image-sensor.php
https://toragi.cqpub.co.jp/Portals/0/backnumber/2005/02/p106-107.pdf

はんだ槽

はんだ槽とは

はんだ槽(英語: Solder bath)とは、溶けたはんだを容れるあるいは溶けたはんだで満たされた容器(槽)のことで、容器内ではんだを溶融状態で維持するためのヒーターを併設した機器や設備です。

はんだ槽は、はんだポットやはんだバスとも呼ばれています。はんだ付けする対象物の形状や数量により、実験室で使用できる卓上レベルの大きさから製造ラインで使用するような大がかりなものまで、サイズは様々です。

なお、はんだ槽には、槽の中ではんだが静止した状態となる静止タイプと槽内部にノズルがあり、はんだを噴流させる噴流タイプの2つのタイプがあります。

はんだ槽の使用用途

はんだ付けには、人が手で行う手はんだもありますが、はんだ槽を用いて行うはんだ付けは、比較的単純な対象物に対して安定した品質で大量に効率よくはんだ付けを行う場合に使用されます。

はんだ槽を使用するはんだの方法は、リード線のはんだ付けや、プリント基板への部品の実装などの分野に好適です。はんだ槽は、はんだ付けする際に使用します。人が手で行う手はんだに対して、はんだ槽によるはんだは、比較的単純な対象物に対して安定した品質で大量に効率よくはんだ付けを行う場合に使用されます。

はんだ槽の原理

はんだ槽は、溶融はんだを貯める容器とはんだを溶融状態にしておくためのヒーターから構成されています。熱量をかけてはんだを溶融した状態に保持するという単純な構造ですが、生産設備として導入されているはんだ槽は、はんだ槽の温度を細かく制御できたり、対象物をはんだ槽に運ぶコンベアが装備されているものが主流です。

なお、はんだ槽としては、はんだ液が槽内で静止している静止タイプとはんだを噴流させるノズルが装備されている噴出タイプがあります。はんだ槽内のはんだは溶融状態で空気に長時間触れていると酸化し、酸化物が生成されます。酸化物ははんだ付けする母材とはんだの濡れ性を悪化させ、はんだ不良を起こす大きな原因です。

そのため、酸化していない溶融はんだを常に供給することが良好なはんだ付けをおこなうための重要なポイントです。このことから、ノズルではんだ槽内部の溶融はんだを噴出させて母材に酸化していないはんだを接触させる方式の噴出タイプが多く使用されています。

静止タイプはもちろん、噴出タイプにおいても酸化物を取り除く対策が必要ですが、噴流タイプの方が常にはんだが流動しているので酸化物ができにくく、酸化物を除去する作業が少なくて済むというメリットがあります。

1. 静止タイプのはんだ槽を使ったはんだ付け

静止タイプのはんだ槽

図1. 静止タイプのはんだ槽

図1の静止タイプのはんだ槽の模式図に示すように、はんだ槽の中に溶融はんだを配し、図2に示すように溶融はんだ内にプリント基板などはんだ付けする部品を浸漬し、引き上げればはんだ付け完了です。

2. 噴出タイプのはんだ槽を使ったはんだ付け

噴出タイプのはんだ槽を使ったはんだ付けは、噴出タイプのはんだ槽の模式図に示すように溶融はんだが入っているはんだ槽内にノズルを配しており、はんだ槽内の溶融はんだをノズルにより噴き上げて噴出させます。これをプリント基板などはんだ付けする部品に吹き付け、はんだ付け完了です。

噴出タイプのはんだ槽

図2. 噴出タイプのはんだ槽

このような、はんだを噴出させるノズルが装備されているはんだ槽を使用する方法はフローはんだと呼ばれ、プリント基板製造分野で多く導入されています。具体的な装置の構造は、プリント基板にチップを組み込んだものをコンベアではんだ槽に運び、溶融したはんだを噴出させて基板と部品の所定の場所に実装するというもので、自動化された製造プロセスの一部に組み込まれています。

はんだのその他情報

1. はんだの種類

はんだを使う際、「フラックス」や「ヤニ」を使います。その目的はきれいな「はんだ付け」をするためです。「フラックス」は塩化アンモニウムや塩化亜鉛を含んだ液体です。

プリント基板上の不純物除去をして基板表面の洗浄を行い、きれいにはんだ付けができるようにする目的で使用されます。また、銅配線された基板面では配線面の酸化防止を行います。

「ヤニ」は「松やに」に含まれる成分により、はんだの酸化防止を行いきれいなはんだ付けの仕上げができるようにします。一般に「ヤニ」は「はんだ」に含まれていることが多く、「ヤニに入れはんだ」として販売されています。

2. はんだの材質

はんだ(英語:solder)は鉛とスズを主成分とする合金です。主に電子回路を構成するプリント基板に搭載した各種電子部品やコネクターを、プリント基板上の配線部と金属接合して通電可能とする為に使用されます。また、別の用途としては配管同士の金属結合にも広く使用されています。

はんだの歴史は、紀元前3000年ころのメソポタミア文明まで遡ります。銅製の器に銀製の取手を付ける場合に「銀-」はんだや「スズ-銀」はんだが使われていました。その後、ギリシャ-ローマ時代には現在主流となる「スズ-鉛」はんだが水道管の接合に使用されています。

その後、「鉛」の有毒性が明らかになり、EUが世界に先駆けて「スズ-鉛」はんだの使用規制(Rohs指令2006年施行)を実施しました。そして現在では、世界のはんだメーカーと電機メーカーが主体となり「鉛フリー」のはんだを開発し、広く世の中に普及しています。現在のはんだ合金の主成分は「スズ-銀-銅」系、「スズ-銅-ニッケル」系、「スズ-亜鉛-アルミ」系など、「鉛」を使用しないはんだが主流です。

はんだ槽は、溶融はんだを貯める容器とはんだを溶融状態にしておくためのヒーターから構成されています。熱量をかけてはんだを溶融した状態に保持するという単純な構造ですが、生産設備として導入されているはんだ槽は、はんだ槽の温度を細かく制御できたり、対象物をはんだ槽に運ぶコンベアやはんだを噴流させるノズルが装備されていたりするものが主流で、プリント基板製造分野でフローはんだと呼ばれる工程に導入されています。

フローはんだ工程で使用されるはんだ槽について説明します。この工程で使用されるはんだ槽は静止タイプと噴流タイプがあります。

はんだ槽のはんだは溶融状態で空気に長時間触れていると酸化し、酸化物が生成されます。酸化物は母材とはんだの濡れ性を悪化させ、はんだ不良を起こす原因となります。酸化していない溶融はんだを常に供給することが良好なはんだ付けに重要なポイントとなります。

どちらのタイプのはんだ槽もこれらの酸化物を取り除く対策が必要ですが、噴流タイプについては、ノズルではんだ槽内部の溶融はんだを噴出させて母材に酸化していないはんだを接触させる方式となっています。

3. はんだの温度

はんだの温度は、はんだ液によって異なりますが、鉛を含有するはんだで融点183℃、鉛フリーはんだが210℃前後であり、鉛フリーはんだの方が高い融点となります。このため、鉛フリーはんだは、なかなか溶けづらく濡れ広がり難しいとの欠点が指摘されてきました。

ただし、現在は従来の「スズ-鉛」系と遜色ない製品が開発されており、代表的な鉛フリーはんだとして有名な「スズ-銀-銅」(Sn96.5%、Ag3%、Cu0.5%)、「スズ-銅-ニッケル」(Sn99%、Cu0.7%、Ni他の添加物)の融点は217~227℃となります。

 参考文献
http://www.kumikomi.net/archives/2010/11/ep35pri1.php?page=1
https://www.adogawa.co.jp/%E9%83%A8%E5%93%81%E5%AE%9F%E8%A3%85/3190.html
http://technitron.co.jp/3A1flowprcs/newpage3A1.html
https://www.hakko.com/japan/hikaru/pages/story9.html
https://www.adogawa.co.jp/cat_mounting/4026.html
https://www.renesas.com/jp/ja/document/semiconductor-package-mount-manual
https://www.jstage.jst.go.jp/article/sfj1970/28/7/28_7_301/_pdf/-char/ja
https://www.monotaro.com/s/c-124058/
https://www.adogawa.co.jp/cat_mounting/4926.html
https://www.adogawa.co.jp/cat_mounting/5669.html
https://www.adogawa.co.jp/cat_mounting/5336.html
https://www.britannica.com/technology/soldering
https://godhanda.co.jp/blog/kisokouza03/

印字検査装置

印字検査装置とは

印字検査装置 (英語:Print inspection system) とは、食品や医療業界の製造工程で行われる日付の印字などについて、間違いや問題がないか検査を行う装置です。

近年では、消費者の安心・安全への意識が高まっており、食品や医療において製品の期限表示のミスは大きな問題に繋がることがあります。印字ミスがあった場合は、商品の回収に伴う費用や時間の損失だけでなく、顧客の信頼も失いかねません。

そのため、人的要因によるミスを防ぐ印字検査装置は、製造現場においてニーズの高い機材です。印字検査装置を導入することで、高い精度と一定の基準での安定した検査が可能であるとともに、画像保存による記録を担保できます。

印字検査装置の使用用途

印字検査装置は、製品やパッケージに印字された期限の日付、製造所固有記号、ロット番号などに対して、印字の有無や、印字の欠けや抜け、間違いなどを検査する機能を持つため、製造ラインで使用されるケースが多いです。

製人手では難しい判別や、製品の裏面など目視検査に時間を要する箇所の印字検査ができます。検査に利用した画像は保存しておくこともできるので、出荷後のトラブルを想定し、リスクの低減にも繋がります。

印字検査装置は、検査後にNG製品のみ排出する機構と連動することが可能です。排出機構と連動させることで、ラインを稼働したままNG製品を排出できます。主な機構としては、エア吹き出し口からのエアジェットにより排出機構やアーム機構によるNG品をピンポイントで排出する機構などを導入できます。

印字検査装置の原理

印字検査装置は、印字面を撮影するカメラ、取り込んだ画像を検査する解析装置、結果や設定を表示するモニタ、および画像を保存するためのストレージで構成されています。

製造現場のラインから流れてくる対象の印字面は、固定されたデジタルカメラにより画像として取り込まれます。取り込まれた画像は画像解析に供され、問題がないか検査されます。生産の現場では高精度なエラー検出だけでなく、過剰にエラーを検出しないことも重要なポイントです。

画像解析技術の発達により、印字部分の文字だけでなく、汚れの存在など他の問題を検出できる多くの機能をもつ印字検査装置もあります。また、印刷機とリンクできる印字検査装置も販売されており、検査の効率化やさらなる自動化が期待されています。

印字検査装置のその他情報

印字検査装置のメリット

1. 検査員の削減とミスの排除
印字検査装置を導入することで、印字の検査に要していた検査員の人手を使わずに作業ができるようになります。また、人の手で検査を行う場合、検査ミスが出ることもあります。作業効率と品質担保を長期間維持するためにも、印字検査装置は非常に重要です

2. 高精度な印字検査が可能
印字検査装置はプリンタとの連動機能を搭載している機種もあり、アイテムの切替・カレンダーなどの同期が自動で行えるため、設定の漏れやミスがありません。また、印字検査機は、印字間違い・印字抜け・印字欠けなどを高精度で識別できるので、過剰なエラー反応を制御し、不要なロス品を防ぐことで、生産性を維持しながら確実な検査を行います。

3. 印字画像を保存できるので再発予防につながる
印字検査機の検査画像を保存しておくことで、出荷時の検査履歴を残せるようになります。製品出荷後に問題が発生した場合、検査画像が残っていないと、印字検査をした日時や出荷時の状態も確認ができないので原因がわかりません。検査画像を全て保存すしておくことで、原因調査や再発防止にも役に立ち、食品や医療品のさらなる安定供給に繋がるというメリットもあります。

参考文献

https://www.edm-net.co.jp/products/pc

https://www.keyence.co.jp/ss/products/marker/inkjet/counterplan/sensor.jsp