工業用内視鏡

工業用内視鏡とは

工業用内視鏡とは、狭い空間や曲がりくねった管など、肉眼では確認できない部分の様子を観察できる機器です。

細長いプローブの先にカメラがついており、カメラを確認したい部位に配置して、接眼レンズから内部を観察したり、本体モニターやPCなどに画像を映し出して内部の様子をリアルタイムに観察したりすることが可能です。

解像度や焦点深度、プローブと本体の長さ、プローブのフレキシブル性、光源の数、動作可能温度範囲など観察対象や用途、使用環境によって適切なものを選択する必要があります。また、映像を記録することができる機能もあり、後日の確認やデータ管理にも役立ちます。

さらに、最近の工業用内視鏡は、高性能カメラやLEDライトを搭載しており、より鮮明な映像を提供することが可能です。

工業用内視鏡の使用用途

自動車、航空機、発電所、ガスや水道なのインフラなどの産業分野で広く活用されています。

1. 自動車・航空機・鉄道・船舶分野

エンジン、油圧部品、噴射ノズル、タービンなどの内部検査

2. 電力分野

原子力、火力発電所の復水器、配管、タービンなどの保守点検

3. 土木・建築分野

橋梁のメンテナンス、鉄骨の診断、床下や天井裏などの観察

4. インフラ分野

水道、ガス設備の配管の錆、腐食、詰まりなどの点検

工業用内視鏡の原理

内視鏡は、照明機構、カメラ、および画像処理機能の3点構成です。内視鏡の先端には、鏡面や光学レンズが配置されており、これにより画像がカメラに送信されます。光を送信するために硬い管や柔軟なシースで保護された光ファイバーを使用します。

内視鏡は、内部部品や構造物の状態を評価するために非破壊検査に使用され、検査中に画像がリアルタイムで表示が可能です。

操作の難易度が非常に高く、専門的なトレーニングを受けた技術者が操作する必要があります。

工業用内視鏡の種類

工業用内視鏡は、本体とプローブで構成され、モニターが付いているものやPCに接続できるもの、接眼レンズを覗き込むものがあります。

工業用内視鏡には、ビデオスコープ、ファイバースコープ、硬性鏡などの種類があります。

1. ビデオスコープ

プローブの先端に小型の専用カメラが搭載されており、リアルタイムで専用のディスプレイやスマートフォンなどでの視聴映像ができるのが特徴です。同時に静止画の撮影もでき、対象物の長さを測長できるものもあります。

また、防水性能があるだけでなく、水中の機器や配管などの内部を調べることも可能です。

2. ファイバースコープ

主に、非破壊的な検査や修理に使用されます。柔軟性のあるを数千から数万本の束にしたプローブを使用されているのが特徴です。

1本1本のグラスファイバが光を集めて、反対側の接眼レンズで像を得ることができます。グラスファイバ1本1本がカメラの役割のため、得られる画像にはグラスファイバのハニカム構造状の影が映りこみます。

3. 硬性鏡

対物レンズで得た画像をリレーレンズで伝送します。リレーレンズのプローブ部は金属チューブなので、曲げることができません。単純な構造で、操作方法も簡単であることが特徴です。

硬性鏡は、光源、光ファイバー、レンズ、そしてカメラで構成され、手術や治療、病変部位の観察など医療分野で使用されます。

工業用内視鏡用の特徴

1. 機能が多い

工業用内視鏡には、さまざまな便利な機能が搭載されています。中には、モニター上でズームができたり、カメラケーブルの先端に温度センサーと警報機能が備わっていたりする製品もあります。

そのほか、ハンズフリーマイクロフォンを使って、音声・動画の保存をすることができたり、先端部に超高輝度白色LEDが搭載されていて被写体の明るさを任意に設定できたり、LEDを用いてフラッシュ機能を備えたりする製品もあるため、用途に合わせて機能を選択できる便利な機器です。

さらに、多くの製品でPCやTVモニターへのデータ出力もできるため、複数名での映像共有も可能です。

2. 耐熱性が高い

工業用内視鏡は、配管の内部や機械の内部などの観察に適した耐熱性を備えている製品もあります。例えば、自動車のエンジンオイルの温度は、時に100℃を大きく超える場合があり、200℃までの耐熱特性を持つ内視鏡を使用することが望ましいです。

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