モバイルロボットのメーカー13社・16製品を一覧でご紹介します。まずは使用用途や原理についてご説明します。
目次
モバイルロボットは単純な搬送作業ができるロボットです。従来、工場内の製造ラインの移動といった搬送作業は人が行っていましたが、技術の発達によってモバイルロボットが導入されるようになりました。そのためただ運ぶだけの単調な重労働から解放されるようになりました。
最近ではAI機能を搭載するロボットが増え、ロボット自身が最適なルートを判断して所定の場所まで荷物を搬送するようになっています。AI機能を持つロボットは、飲食店等でも少しづつ導入されるようになっています。
モバイルロボットは工場で多く導入されており、自動車工場ではとくに重量のある部品を搬送し、半導体工場では狭い場所でも混雑を避けて効率よく搬送しています。
食品工場の生産ラインの変更にも柔軟に対応できるので、コンベア式では時間がかかる工程変更も短時間で行っています。
物流倉庫では特に荷物が行き交いますが、ロボットコントローラでロボットの現在位置や稼働状況を確認できるので、効率よく搬送し、ミスを防いでいます。
モバイルロボットは個々に性能が異なるので、磁気テープ等を必要としない大体のモバイルロボットが持つ機能、原理について記載します。
内蔵されているレーザースキャナによって、360度の視界が得られ、自分の進む道を判断し、ぶつからないよう障害を避けて通ることができます。さらに両サイド、バック、ローフロントにセンサがついていて衝突を防止しています。
頑丈な金属カバー等を取り付けることで堅牢な造りにし、重量のある荷物を搬送することができます。最大級のモバイルロボットでは1.5tもの重量を搬送できる製品もあります。
複数台使用する場合にはリアルタイムで動きをモニタリングし、コントロールします。地図情報をロボットに入力し、通信機器を利用して一括して複数のロボットに指示を与えることができます。
ロボットは基本的にリチウムイオンの充電池で動作しているので定期的に充電する必要があります。
また、電源のオン、オフボタンはもちろん非常停止ボタンがついており、緊急停止に対応しています。台車やタッチスクリーンつきのロボットもあります。
AGVとは、Automatic Guided Vehicleの略称です。
一般的には、床面に磁気テープや磁気棒を敷設して、それらから発せられる磁気によって誘導されて走行を行う搬送用台車のことを指します。
AGVは工場の生産現場を中心に、部品などの搬送に幅広く活用されています。
製品の保管や出荷を担っている物流センターや、病院などにも広く導入されています。
MUSINのAGVでは、高性能のリチウムイオン電池を搭載し、短時間充電・長時間稼働を実現しています。
QRコードを用いることによって、簡単にレイアウト変更が可能になっています。
イギリスの調査会社が2020年9月に発表したThe Mobile Robot Market 2020というレポートによると、2019年は市場全体では約20億$近くに、また出荷台数は5万台近くに達したということです。
市場が活発化している背景として、日本などの先進国が抱えている労働力不足の問題や、昨今世界中で猛威を振るっているコロナウイルスによるソーシャルディスタンスの必要性から、省人化への移行を積極的に取り組み始めている企業が世界中で増え続けていることがあります。
2020年では、AGVの収益は11%と予測されていて、これはモバイルロボット全体では24%増の収益が期待されています。
また、今後5年間は需要増が見込まれるということです。
様々な企業が販売しているAGVには、マニュアルが付属しています。
マニュアルには、製品の説明からソフトウェアの概要、安全、セットアップや接続、操作、保守、オプション、仕様、セーフティゾーンの変更、ペイロードストラクチャなどの項目についての内容が細かく記載されています。
導入の検討の際やトラブルが発生した時にはこのようなマニュアルはとても重宝します。
また、英語や中国語といった他の言語にも翻訳されているので、海外の従業員のトレーニング用にも使用することができます。
参考文献
https://cobot-system.com/images/agv/omron/mobilerobot_ld.pdf
https://www.fa.omron.co.jp/product/special/robotics/mobile/
https://www.mujin.co.jp/solution/mobilerobot/agv/
https://shiko.biz/agv
https://www.kyodo-robot.com/blog_trend/20201203-mobilerobotmarket
https://www.fa.omron.co.jp/products/family/3664/download/manual.html
社員数の規模
設立年の新しい会社
歴史のある会社
キーカートは、低価格と簡単設定で手軽に導入できるエントリーモデルのモバイルロボットです。
作業環境や用途に合わせて、積載や潜込み牽引の基本タイプと牽引に特化したショートタイプの2つから選ぶことができ、いずれもシンプルな構造なため、架台の取り付けなど自由にカスタマイズできます。
磁気テープによる誘導型のため、簡単に経路が設定でき、高速や減速、停止などの動作制御もテープのマークパターンだけでおこなえます。
荷物の仕分け作業や組立ラインへのセット部品の搬入などの自動化に適したロボットです。
NSTの無人搬送台車AGVは、作業に合わせて高さを調節できる昇降機能を搭載した、ライントレース型のモバイルロボットです。
床に敷設した磁気テープに沿って走行するため、ラインのレイアウトを自由に変更でき、急な工程変更にも柔軟に対応できることが特長です。
このモバイルロボットを活用することで、自動車関係のエンジンやトランスミッション、家電関係のディスプレイやフレーム等の組み立て、搬送のシステムといった、様々なシーンに応じたライン製作が可能です。
研究開発用移動台車プラットフォームPOWERWHEELⅡは、積載スペースが650mm×950mm、最大積載量100kgのフラットな天板部分をもち、実験機材やケース、ラック等の搭載に適したモバイルロボットです。
大容量リチウムイオン電池により、連続稼働時間が最大8時間という長時間の実験も可能です。
制御用PCを搭載しているため、自由にアプリケーション開発ができ、物流倉庫や工場内の自律移動台車を用いた新サービスの研究開発などに適しています。
MUJINAGVは、1台あたり350万円と低コストなモバイルロボットで、コンパクトな形状でも最大800kgの荷物を運搬できます。
運搬時の荷物の揺れを抑えながらも、加速と減速をスムーズにおこなう高い走行性能や、QRコード形式による制御で、簡単にレイアウトの変更ができる柔軟性が特長です。
短時間の充電で長時間稼働が可能な高性能バッテリーを搭載しているため、深夜でも連続して稼働し、作業が途切れることはありません。
このロボットは、工場内の保管ケースの搬送や工程間の部材の搬送などに適しています。
MUJINCTUは、高さ4mの棚まで運搬できるため、これまで余っていた縦スペースをコンテナ等の保管に活用できるモバイルロボットです。
一度に最大5個のコンテナを搬送でき、荷物の揺れを抑えながら、狭いスペースでも加速・減速をスムーズにおこないます。
精密機器メーカーでの部材の仕分けからラインへの運搬の自動化や、3PLサービスの現場などに導入されており、保管効率や出荷効率の向上などを目的とした導入に適しています。
S-CARTは、工場や物流、建築現場はもちろんのこと、オフィスやホテル、病院など様々な場所で活用できるよう、搬送重量100kgと1000kgの2タイプがラインナップされた、ガイドレス走行のモバイルロボットです。
タブレット端末で自由にルートが設定でき、走らせたいルートをたどらせて覚えさせるだけで簡単に自動運転ができます。
高さが20cmと低床設計になっているため、潜り込み作業が可能なことも特長です。
1時間の充電で連続稼働時間が8時間の大容量リチウムイオン電池搭載し、安全性の高い設計となっています。
産業用モバイルロボットの実用化を初めて実現したオムロンが開発したLDシリーズは、自動車やデジタル、食品などの生産現場で導入され、運搬や周回などの単純作業をはじめ様々な種類の作業・用途に対応しています。
高性能なフリート管理システムは、ロボット作業における作業効率の最適化や稼働時間の最大化、作業用途にあわせてロボット特性を活かした柔軟で迅速な指示が可能です。
最小限のプログラミングですぐに導入でき、マグネットテープの設置などの工事は必要ありません。