モリブデン

モリブデンとは

モリブデン

モリブデンは金属の一種です。原子番号42で、元素記号は「Mo」です。

産業製品では硫化モリブデンとして、潤滑目的や焼付防止剤に使用されます。また、鉄鋼材料の添加物として使用される場合もあります。

モリブデンの使用用途

民生品に使用されることはほとんどなく、産業用途として使用されることが多い金属です。

モリブデン硫化物の硫化モリブデンは特殊用途の潤滑剤に配合されます。硫化モリブデンはオイルやグリスに配合すると、耐熱温度や耐荷重を向上させる効果のある材料です。したがって、ボルトの焼き付き防止剤として使用される場合もあります。その他、オイルレスブッシュの固体潤滑剤としても使用されます。

また、鉄鋼材料の添加剤としても使用される場合があります。鉄にクロムとモリブデンを添加した「クロムモリブデン鋼」は、堅牢でしなやかなです。そのため、自動車材料として使用されることもあります。

モリブデンの特性

モリブデンはレアメタルの一種です。高融点かつ高沸点で、高温下でも強度が高い特徴を有します。電気抵抗は高い上に高価なため、導電材料として使用されることはありません。熱膨張率は低く、高温下でも歪みがあまり発生しないという特性があります。

モリブデンの原理

モリブデンは銀色の金属で、常温常圧で固体です。非常に安定した構造体のため、反応性も高くありません。世界中での埋蔵量は純モリブデンとして850万トン程度と言われており、その多くは中国に埋蔵されています。

空気中では酸化被膜を作るため、内部は純金属です。水酸化ナトリウムには反応しませんが、硫酸塩酸には溶けます。高温では空気中で酸化し、酸化モリブデンとなります。

モリブデンのその他情報

1. 栄養素としてのモリブデン

モリブデンは体内の有害成分を無毒化する、さらには無毒化した成分を体外に排出するなどの働きがあります。人間にとって重要な栄養素の1つです。成人の生体内に10mg程度存在し、その多くは肝臓や腎臓に分布します。

モリブデンの役割の一例としては、キサンチンオキシダーゼ、アルデヒドオキシダーゼなどの酸化還元酵素の捕因子が挙げられます。捕因子とは、有機物やイオンなどのたんぱく質以外で、酵素を活性化させる物質のことです。捕因子によって活性化された酸化還元酵素は、酵素反応によって特定の物質を別の物質へと変化させる働きをします。

モリブデンは豆類や穀類や肉類に多く含まれます。2020年版の食事摂取基準によると、モリブデンの推奨摂取量は成人男性で約30μg/日、成人女性で約25μg/日です。通常の食事から多く摂取できるので、体内のモリブデンが不足することはほとんどありません。もし不足した場合には、心拍数の増加、夜盲症などの症状が現れることがあります。

2. モリブデンの毒性

モリブデンを大量に摂取すると血中尿酸濃度が増加し、痛風のような症状がみられることがあります。しかし、通常の食事程度の量でそのような症状が起こることはないです。

ラットの経口摂取におけるLD50 (半数致死量:急性毒性の指標) の値は、三酸化モリブデンで188mg/kg、モリブデン酸ナトリウムで250mg/kg、モリブデン酸二アンモニウムで680kg/mgです。これらの値から、毒物及び劇物取締法の分類では三酸化モリブデンとモリブデン酸ナトリウムが劇物に属します。

モリブデン酸ナトリウムは危険性の高い物質です。エアロゾルは呼吸器や眼を刺激し、吸入すると咳やのどの痛みなどの症状が現れます。また、誤って経口摂取した場合は吐き気や嘔吐などの症状が現れます。

参考文献
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http://www.te27.jp/mori.html
https://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/05/dl/s0529-4ao.pdf
http://www.mac.or.jp/mail/140701/03.shtml
https://www.env.go.jp/chemi/report/h24-01/pdf/chpt1/1-2-2-17.pdf

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