晶析装置

晶析装置とは

晶析装置とは、液体や気体から固体である結晶を析出させる機器のことです。

晶析は古くから利用されている技術で、例えば食塩の生成など日常生活で身近なものとして存在します。溶媒に対する溶質の溶解度が温度に依存して決まることを利用しており、溶質が最大限溶けている状態を飽和状態と呼びます。

冷却、蒸発、溶媒の変更、反応などにより、溶解度が下がり飽和状態を超えると、溶質が溶けきれず結晶として析出する点が特徴です。晶析装置は、化学、製薬、食品など幅広い分野で活用されており、品質管理や新しい物質の開発に役立っています。

さまざまな種類の晶析装置が存在し、それぞれの目的や条件に応じた選択が重要です。晶析装置の正確な理解と適切な運用により、効率的な結晶生成や研究が可能となります。

晶析装置の使用用途

晶析装置は、結晶生成に使用される機器で、形状によって異なる結晶が得られます。主に2つのタイプがあり、それぞれ特徴と使用用途が異なります。

晶析装置は、化学、製薬、食品などの産業で幅広く利用されており、適切な装置を選択することで、効率的な結晶生成が可能です。

1. クリスタルオスロ型

クリスタルオスロ型晶析装置は、溶媒蒸発部分と結晶成長部分が分離されています。外部から熱を与えることで、溶媒を蒸発させ結晶を析出させる仕組みです。結晶成長部分でポンプによる循環がないため、結晶破砕が起こりにくいのがメリットです。

しかし、溶液濃度を下げる必要があり、装置の大型化がデメリットと言えます。青化ソーダなどのメッキ処理に用いられる物質が製造されます。

2. 逆円錐型

逆円錐型晶析装置は、逆円錐の形状をしており、大きな結晶ほど沈降速度が遅いことを利用して、溶媒を分離します。粒径が大きくかつ粒径分布が小さい結晶を作製することが可能です。

晶析装置の原理

晶析装置は結晶生成のための機器で、結晶化のメカニズムは結晶核の生成と成長の2つのプロセスから構成されています。

1. 結晶核の生成

圧力や温度の変化により、固相状態がエネルギー的に安定する場合があります。ナノサイズの微小な結晶が生成し、これを結晶核と呼びます。

結晶核の生成には、自発的に発生する1次核発生と、力が加わって大きな結晶から剥離したものが核になる2次核発生があります。実験室レベルでは1次核発生が支配的ですが、工業レベルでは2次核発生が主です。

2. 結晶成長

結晶核の表面に原子や分子が付着し、結晶が成長します。結晶表面には階段状の部分 (ステップ) があり、原子や分子はステップの折れ曲がった部分 (キンク) に取り込まれ、キンクへの連続的な取り込みによって、結晶層が厚くなり成長が進行します。

結晶成長は複雑なプロセスであり、まだ完全なメカニズムの解明には至っていません。

晶析装置のその他情報

晶析装置と併用される機械

晶析装置は、結晶生成に特化した機器ですが、効率的な結晶の生成・回収・精製のために、溶解槽、濾過装置、温度調節機器、遠心分離機などの機械と併用されます。

1. 溶解槽
溶解槽は、晶析装置の前処理工程で使用されます。溶質を溶かすための容器で、適切な濃度の溶液を調整するために重要です。溶解槽では溶質と溶媒を混合し、加熱や攪拌を行って均一な溶液を作成します。

2. 濾過装置
濾過装置は、溶液中の不純物を除去するために使用されます。晶析前に行われる濾過工程は、生成される結晶の品質に大きく影響します。濾過装置には、ろ過紙やろ過膜が使用され、微粒子や不純物を捕捉します。

3. 温度調節機器
温度調節機器は、晶析装置内の温度を制御するために使用されます。晶析過程では、温度が重要な因子であり、適切な温度制御によって、結晶の生成速度や品質が大きく変わります。温度調節機器は、ヒーターや冷却装置です。

4. 遠心分離機
遠心分離機は、晶析装置で生成された結晶を回収するために使用されます。遠心力を利用して結晶と溶液を分離し、結晶の回収効率を高めます。遠心分離機は、連続式やバッチ式などです。

参考文献
https://www.nippon-chem.co.jp/dcms_media/other/cre2004-2.pdf
https://www.mt.com/jp/ja/home/applications/L1_AutoChem_Applications/L2_Crystallization.html
https://www.sunmay.co.jp/products/detail_001486.html
https://www.taimei-chem.co.jp/product/05.html
https://www.tsk-g.co.jp/tech/industry/crystallizer.
http://www.slab.phys.nagoya-u.ac.jp/uwaha/uwaha09cl2.pdf
https://www.nippon-chem.co.jp/dcms_media/other/cre2004-2.pdf
https://www.nsc.nagoya-cu.ac.jp/labs/miurah/research/stepdynamics/
https://www.jstage.jst.go.jp/article/gkk1952/14/Special2/14_Special2_126/_pdf

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です