バススイッチ

バススイッチとは

バススイッチとは、デジタル信号を伝達するための半導体スイッチです。

基本的な機能は機械スイッチと同様ですが、MOSFET (英: Metal Oxide Semiconductor Field-Effect Transistor、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ) システムを利用していることが特徴です。

MOSFETにより、信号を電気的に導通 (オン) させたり遮断 (オフ) したりします。スイッチであるため、当然双方向で動作し、信号の向きを気にする必要はありません。中には、信号を増幅したり、逆にレベルを下げたりする機能を内蔵しているものもあります。

バススイッチの使用用途

バススイッチはデジタル回路用のデバイスであり、CPUと周辺ICの間の信号ラインに挿入して使用します。大きな電流を流すことはできないため、電源ラインのスイッチとしては使えません。

信号の導通と遮断を行うタイプに加えて、接続先を切り替えるタイプも存在します。最も単純な例として、入力Aに対して出力BとCが配置されている場合、A-B間が導通されている状態からA-C間の導通に切り替える際にバススイッチが使用されます。

また、信号遅延がなく、高速スイッチングに対応できるため、比較的高速な回路でも利用されています。さらに、ノイズを発生させたり電力消費量を増加させたりしないため、電圧変換器、ホットスワップ、ホットプラグ、バスまたは容量の隔離・分離などに利用されます。

バススイッチの原理

一般的なバスイッチは2つのMOSFETを組み合わせて作られています。P-CHのMOSFETとN-CHのMOSFETのゲートを直結し、互いのドレインを並列に接続します。ゲートから信号を入力することにより、常にP-CHまたはN-CHのMOSFETが導通状態となることを利用し、出力信号として取り出す仕組みです。

似た原理を持つデバイスにはバスバッファがあります。バススイッチとバスバッファは駆動能力に違いがあります。バススイッチは高速なスイッチングが可能である一方、接続されるデバイスの駆動能力は高くありません。一方、バスバッファはファンアウト数が大きい、つまり駆動能力が高いのですが、切替に遅れが発生します。

回路上での用途を考慮して、どちらのデバイスが良いかを見極めることが必要です。

バススイッチの種類

バススイッチは、前述のP-CHとN-CHのMOSFETを並列に接続して構成するタイプの他に、N-CHおよびチャージポンプがあります。以下に詳しく解説します。

1. P-CHとN-CHの並列タイプ

P-CHとN-CHのオン抵抗特性を併せ持っています。オン抵抗の特性カーブが入力電圧0Vから電源電圧までほぼ平坦であるため、出力信号の電圧を最大限に活用可能です。

2. N-CHタイプ

ゲートに所定の電圧加え、ドレインとソース間に信号を入力することにより、オン・オフのスイッチングを行います。

3. チャージポンプタイプ

出力信号電圧の範囲を向上させるために、N-CHのMOSFETのみを使用するタイプです。チャージポンプ回路で昇圧し、ゲート電圧を高く保持できます。上記の並列タイプと同じように、オン抵抗が入力電圧に対して低く、特性カーブが平坦であるため、入出力信号の電圧を最大限に活用できます。ただし、他のタイプよりも多く電力を消費するのが欠点です。

バススイッチのその他情報

バススイッチは、フラットパネルテレビ、携帯電話、PCおよび周辺機器、カーナビゲーションシステムなどに組み込まれ、高速デジタル信号の伝送に使用されます。これら応用製品の開発が進むにつれ、信号の伝達速度は高まっています。

このトレンドに対応するため、バススイッチは高速化の一途を辿っています。また、携帯電話などの外部インターフェースを搭載し、複数の信号のやり取りを行う機器では、複数の信号を切り替える高機能化が顕著です。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です