シールキャップ

シールキャップとは

シールキャップとは、加工の都合などからやむを得ず開けられた穴を塞ぐ蓋のことです。

素材には耐油性や耐熱性に優れたゴムと金属環が使用されます。密閉する空間が大きい場合などには、蓋を埋め込み式として外側からストップリングなどで抑えることもあります。気密性の確保と取り外しの容易さが重要になります。外部からの異物侵入防止、内部に溜めてある潤滑油などの外部流出防止のため、耐熱性や耐摩耗性を高める工夫がされています。容易に開けられるものや、フレキシブルパイプの端末閉塞といった特殊用途向けのものなど様々な種類があります。

シールキャップの使用用途

自動車、建設機械、農業機械、工作機械といった機械分野で広く使用されています。建築分野では、配管の端末閉塞や流量センサー保護のために使用されます。電気・電子分野では、コネクタの未接続時の保護などにも使われます。その他、薬品や油などの液体容器の蓋に使用されたり、各種包装容器などの特殊仕様の蓋として使われたりします。

シールキャップのその他情報

キャップシール

シールキャップとよく似た「キャップシール」という言葉があります。ワインや日本酒といった飲料用のボトルキャップに被せられたフィルム状のシールなどのことで、キャップをシールするものを意味します。その他、キャップの内部やねじ部分にはめ込まれているシーリング用のゴム材を指す場合もあります。

シーラー

シーラーとは

シーラー (英: sealer) とは、“シール (密封) するもの”という意味で樹脂製の袋の開口部を熱圧着などで密封する装置です。

主にポリエチレンポリプロピレンで作られた袋やシートに使われ、家庭用と業務用といった用途別あるいは形状・密封の仕組みの違うシーラーが作られています。

塗装の分野でもよく使用される言葉ですが、意味が異なるものです。

シーラーの使用用途

多くの分野で商品包装に使用されていましたが、家庭用シーラーの登場で一般の人にも知られる機器となりました。

業務用シーラーは包装の一工程として存在しますが、家庭用シーラーの延長でスーパーや農家などでも食材の小分けや出荷用として普及しています。

シーラーのその他情報

シーラーの特徴

シーラーは、形状や密封の仕組みで何種類か製作されており用途に応じた選定が可能です。

形状として、おもに家庭用として使われるクリップ型、ペン型、卓上型などがありペン型以外は袋状のシール向き、ペン型はスポットで融着するのに適しています。

密封の仕組みは、いずれも熱による融着ですが加熱の仕組みが異なります。一番多いタイプは、発熱体のある台座にハンドルを押し当ててシールするもので、仕組みが簡単で大きさなど種類も豊富です。このタイプのシーラーは、押し付けておく時間が必要になり、台座側が加熱されるため長時間の使用には注意が必要です。

インパルスシーラーというタイプは、インパルス状の大電流で瞬時に融着させるため機器を含め発熱は少なく、すぐに使えるメリットがあります。

そのほか超音波や高周波電圧によるシーラーも製作されていますが、いずれも多くは業務用として使用されています。

接着フィルム

監修: 大日本印刷株式会社

接着フィルムとは

接着フィルムとは接着性のある樹脂をフィルム状に製膜した接着剤です。使用する接着樹脂の性質により粘着性タイプや熱硬化性タイプ、熱可塑性タイプなどがあります。

フィルム状の接着剤のため、従来の液体接着剤と比べ接着部を薄く均一にすることが容易で、接着力のばらつきや塗布ムラ、はみ出しがほとんどありません。作業現場での臭い低減効果もあります。

接着フィルムの使用用途

接着フィルムは、次世代の接合技術として各種工業製品から住宅設備、医療に至るまで幅広い分野で使用されています。

  • スマートフォンの外部や内部などでは絶縁性、透明性、耐久性が必要な個所で使用されています。
  • 自動車は接着フィルムが様々な部分に利用されている工業製品です。金属とプラスチックなど異種材料を接合する箇所などで広く使用されています。
  • 建築物用には施工性、気密性、断熱性の向上などに様々な用途で利用されています。

液状タイプの接着剤に比べ作業者によっての塗布量のばらつきや出来栄えの違いを少なくすることが可能です。

接着フィルムの原理

接着とは二つの被着体表面を三つ目の媒体を介して互いに接合することですが、以下の要因によって起こると言われています。

  1. 機械的接着(アンカー効果)
    被着体の凹凸や穴に接着樹脂が流れ込んでその隙間を埋めるように接着する。
  2. 化学的接着(一次結合による分子間力)
    被着体と接着樹脂が化学的作用により結ばれている状態を作り接着する。
  3. 物理的接着(二次結合による分子間力)
    ぬれ性による分子間の密着性により接着する。

接着フィルムではこれらの要因を利用して被着体同士を接着します。
接着フィルムを構成する接着樹脂には常温で粘着性を持つものや熱を加えることで接着性を発現するものなどいろいろな種類があります。

本記事は接着フィルムを製造・販売する大日本印刷株式会社様に監修を頂きました。

搬送用タイミングベルト

監修: 株式会社クレタス

搬送用タイミングベルトとは

搬送用タイミングベルト

搬送用タイミングベルトとは、製品搬送を使用目的としたタイミングベルト(歯付きベルト)です。主に正確な位置決め精度が求められる際に使用します。ベルトの歯形と同じ歯形のプーリにかみ合わせて回すことで、同期搬送することができます。

また、ベルト背面に各種プロファイル(プロフィル)を取り付けることで、搬送物の正確な位置決めをサポートすることができます。

搬送用タイミングベルトの仕組み

構造

  • 本体
    熱可塑性ポリウレタン(TPU)  機械的強度、耐オゾン製、耐摩耗性に優れ発塵が少なくクリーンに使用ができます。
  • 主な心線
    スチール心線 伸びが少ないため、応答性や高精度の位置決め用途に最適。
    アラミド心線 軽量で耐屈曲性に優れます。食品用に最適。
    高強度グラスファイバー心線 メンテナンスの簡素化、良好な加工性がある。

ベルトタイプ

  • フレックスタイプ
    初めから決まった長さで成形加工して作るもの。ジョイント部がないので強度が必要な場所に使用する。製作に時間が掛かるので、短納期での対応は難しい。
  • ジョイントタイプ(つなぎ目有り)
    プーリ間長に応じた長さ(歯数)を長尺材料から切り出し、溶着加工で輪状に加工したもの。
    ・ オープンエンドタイプ
    往復運動する装置のベルトとして使用されるもの。輪状の加工をしないで板状のまま使用する。

その他、標準仕様、ウェット食品用、ドライ食品用、帯電防止用、特殊搬送用、幅広仕様などがあります。それぞれの用途によってウレタンの種類・硬度、心線などの仕様が異なります。

  • 歯形状
    メートルピッチ・インチピッチでの台形・円弧歯形があります。
  • 帆布仕様
    歯面帆布仕様 プーリやテーブル面との摩擦が軽減し更に低騒音となります。
    背面帆布仕様 搬送物との摩擦が軽減し、滑り・アキューム用途に適しています。

 

特殊加工

搬送用タイミングベルトは、さまざまな用途に活用されるため、各種処理が必要になる場合があります。

  • プロファイル加工
    搬送物の仕分けや分離、送りや起動などを制御するには、正確な位置決めが必要となります。搬送タイミングベルトは搬送物の形状に合わせたプロファイルを取り付けすることで、正確な位置決め搬送のサポートをすることが出来ます。 
    熱可塑性ポリウレタンのベルトとプロファイルを高周波溶着加工をすることで強固に取りつけることが出来ます。ベルトの搬送面に取り付けたプロファイルに機械部品やクランプオン装置を装着することもあります。

 

  • カバー貼り加工 
    ベルト背面にクッション性のよいスポンジや、グリップ性または滑り性の良い素材を貼り付けるなど、用途に合わせてカバー材を接着することが出来ます。CRスポンジやウレタンシートなどカバー材には種類があります。主に耐摩耗性・クッション性・離型性・耐熱性など、特性のある材料が用いられます。

 

  • 穴加工、歯研磨加工
    バキューム搬送用では、ベルト本体に穴をあけて使用します。
    さらに、歯を削り落として歯部を平滑にすることもできます 。

 

  • 幅継ぎ加工
    タイミングベルトの製造最大幅を超えた仕様において、
    ベルトを横並びに幅継ぎ加工することで、規格外サイズのベルトを製作することが出来ます。

 

付帯品

  • プーリ
    材料 アルミニウム、ステンレス、スチールなどが一般的です。メッキなど表面処理も可能です。
  • クランプ
    ベルトが輪になっていないオープンエンドのベルト両端を固定するために使用します。プーリ間をベルトが往復し、リニア位置決めなどの用途で使用します。

搬送用タイミングベルトの選定

搬送を行う際は搬送用タイミングベルトの表面に突起があったり摩擦抵抗が大きいものを選定します。また、搬送物を横から投入する場合は逆に表面が滑りやすく加工された搬送用タイミングベルトを選びます。

  • 原動機特性

    搬送の際にどのような原動機を用いるかによって使用できるベルトの種類が変わります。搬送作業においては特殊な原動機を用いることが少ないと思われますが、タイミングベルトを導入する際は製造業者へ使用可否を確認することが望ましいです。

  • 負荷動力

    負荷動力とはプーリーなどの従動側が消費する動力で、タイミングベルトを動かすために最低限必要な動力に関係します。プーリーとベルトの摩擦やベルト自体の重力の大きさによって負荷動力は決まるため、ベルトの材質、大きさ、プーリーの種類などで値は決まります。

  • プーリー径

    プーリー径は動力側、従動側のプーリーの大きさです。プーリーの大きさによって用いることができる搬送用タイミングベルトは異なります。なお、径だけではなくプーリーの回転数や歯の数などもタイミングベルト選定に影響する因子です。

搬送用タイミングベルトの交換

タイミングベルトは定期的な交換が必要で、搬送用タイミングベルトも同様です。タイミングベルトには強い力が加わり続けるため、経時的に歯が摩耗したり亀裂、クラックが発生することがあります。

このように劣化したベルトを使用し続けると安定した搬送が行えなくなるため、動作が不安定になった際は交換が必要です。また、日常点検でも搬送用タイミングベルトに摩耗や亀裂がないように確認することが推奨されます。

本記事は搬送用タイミングベルトを製造・販売する株式会社クレタス様に監修を頂きました。

ゴム加工

監修: 株式会社クレタス

ゴム加工とは

ゴム加工

ゴム加工とは、ゴム製品をつくるためのあらゆる加工手段のことです。

ゴム製品をさまざまな形状に加工することでゴムの特性をよく活かすことができます。ゴム加工には、打ち抜き加工や切削加工などがあります。

ゴム加工の使用用途

ゴムは、素材による加工方法への影響が少なく扱いやすい素材とされています。ゴム加工には前述した加工方法以外にも注型加工や金型プレス加工、ウォータージェット加工などがあります。

1. 注型加工

シリコンの型に圧力を加えることなく液状のウレタンゴムを流し込み、固めることによって、ゴムを成形する方法です。型は、安価につくることができるため、試作品の製造に向いています。

2. 型プレス加工

上型と下型があり、ゴム材料を金型に設置し、熱を加えながら加圧することによってゴム材料を成形する加工方法です。比較的複雑な形状にも対応することができますが、その場合には、中子を製作して加工が行われます。

3. ウォータージェット加工

超高圧水ポンプで加圧した水を、細く小さな穴径のノズルから噴射して、その水流の力で対象物を切断する加工方法です。また、刃物を使用した機械切削よりも加工スピードが速いことも特長です。

4. カッティングマシーンによるゴム加工

カッティングマシーン

図1. カッティングマシーン

カッティングマシーンを使用します。カッティングマシーンは、NCルータカッティングプロッターの機能を合わせ持った加工設備です。カッター刃を上下振動 (レシプロカッター) させて、シート状のゴム・樹脂・スポンジ等の軟質素材においても切断加工対応が可能です。

ゴム加工の原理

ゴム素材特製の簡易表

表1. ゴム素材特製の簡易表

ゴムの素材には多くの種類があり、各素材によってゴムの特性が異なります。そのため、加工方法を選択する際には素材の特性にも目を向ける必要があります。

例えば天然ゴム (NR) は、材料費が少なく抑えられる反面で耐熱性や耐候性、耐油性などを持ち合わせていません。また、長持ちしないため、負荷が続く箇所への使用や熱が伝わり続ける加工方法などには向いていません。

一方で、汎用的な使用に向いているゴム素材もあります。例としてはクロロプレンゴム (CR) が挙げられます。CRは、耐熱性や耐候性、耐油性を有しており、材料費も特別に高いわけではありません。しかし、耐熱性などの特性は、非常に優れているわけではないため、ゴムの性能を超えるような使用や加工方法には注意が必要です。

そのほかにも屋外で使用されるゴムとして定番なエチレンプロピレゴム (EPT・EPDM) などがあります。このゴムは、耐候性が非常に優れており、耐熱性も有しています。その一方で、耐油性は、持ち合わせていないため、油の付着するような環境には注意する必要があります。ここに耐油性の特性を加えて耐熱性を引き上げたい場合には、シリコンなどが考えられますが、素材の価格は高くなっています。

ゴム加工の種類

1. 打ち抜き加工

薄手の材料と厚手の材料の加工方法の違い

図2. 薄手の材料と厚手の材料の加工方法の違い

打ち抜き加工は大量生産に向いている加工方法です。主にパッキンなど、シート状の製品を多数生産するのに向いています。製品の形を切り取る抜型を製作し、打ち抜き機に材料と一緒にセットして加圧して抜きます。抜型はビク型やトムソン型などと呼ばれます。

ビク型 (トムソン型)  (左) と加工直後 (右)の比較 

図3. ビク型 (トムソン型)  (左) と加工直後 (右)の比較 

平面的な加工という意味ではNCルータでも加工できるものが多いですが、打ち抜き加工では先に抜型を作ってしまえば、切削加工よりも時間を掛けずに加工することができます。

抜き打ち加工製品

図4. 抜き打ち加工製品

単品の製品を作る場合はルーターで製作した方が安く早くできますが、数枚~数100枚単位の注文やリピートで生産するような場合は打ち抜き加工で作った方が、早く加工できるばかりでなく、穴ピッチなどの寸法精度が安定した生産が可能となります。上から圧力をかけて切るため、材料のゴム厚みが厚手の場合は、力が横に抜けようとして膨らんでしまい、型から外した後に製品の厚み部分が凹んでしまう現象が起こるので注意が必要です。

2. 切削加工

旋盤フライス盤ボール盤、NC工作機械などにデータを入力することでゴム素材を削ったり、穴を開けることによって、必要な形状に加工を行う方法です。切削加工は、小ロットの生産に向いている加工方法です

ゴム加工のその他情報

ゴム加工の加工手順

1. CADソフトでデータを作成する

CADソフトによるデータ作成の様子

図5. CADソフトによるデータ作成の様子

まずは図面から加工プログラムの作成を行うため、ドラフトボードというCADソフトでデータを作成します。2DCADのような形で図面を引く作業です。

2. 加工用プログラムを作成する
刃物の切削速度やレシプロカッターの振動速度、エンドミル回転数等の加工条件を設定して加工用のプログラムは完成となります。

3. 加工段取り作業

加工段取り作業

図6. 加工段取り作業

材料にあわせてカッター刃の選定を行い、材料を作業台にバキュームさせてセットします。この機械はバキューム範囲を8分割する仕様になっているため、材料が乗っている範囲にだけバキュームが掛かるようにセッティングします。

4. 加工開始

加工の様子

図7. 加工の様子

準備したプログラムを起動して加工を開始します。カッター刃の周囲にある円形の部品は、材料を押さえる機構になっていて柔らかい材料が刃に引っ張られて変形すること防ぐことができます。材料によってはこの押さえ部品が引っ掛かってしまうこともあるので、その場合には滑り性のよりテフロンテープなどを貼って対応する場合もあります。

5. 残材の取り外し
残材の取り外し

図8. 残材の取り外し

製品の外周や穴などに残っている残材を取り外して製品完成です。その後検査工程で寸法チェックをして出荷します。

本記事はゴム加工を行う株式会社クレタス様に監修を頂きました。

樹脂加工

監修: 株式会社クレタス

樹脂加工とは樹脂加工

プラスチックは生活に欠かせない素材の一つであり、身の回りには様々な種類のプラスチック(樹脂)が使われています。

例えばビニール袋などにはポリエチレン (PE) が使われており、テレビや冷蔵庫などの家電製品の筐体として使われるABS樹脂、発泡スチロールなどに使われるポリスチレン (PS) などがあります。

これらの樹脂を適切な性能、形状とするために行われるのが樹脂加工です。加工条件は樹脂の種類や加工後の形状によって様々で、主な加工法としては射出成形や押出成形、真空成形、樹脂の切削加工などが挙げられます。

そのほかにも打ち抜き加工や光造形加工、ブロー成形、真空注型などの方法もあります。

樹脂加工の種類

樹脂加工は前述の通り様々な方法で行われています。樹脂の硬さや融点、流動性など樹脂固有の物性や最終的に得たい形状、物性に合わせて適切な加工条件が選択されます。

樹脂加工法は大別すると切削加工と成形加工に分けられ、前者は少量多品種の生産に用いられ、後者の成形加工は大量生産に用いられます。

プラスチックは基本的に加熱することで流動性を示すため、高温では金型などに流し込むことが可能です。例えば3Dプリンタも3Dデータを読み込み、加熱して流動性を示す樹脂を吐出することで造形物を得ることができます。

1. 切削加工

切削加工は固めた樹脂を機械で削る加工法です。

ブロック状の樹脂を旋盤鋸盤などを用いて削り取ることで樹脂を加工します。この方法は一つ一つの樹脂を加工するため、大量生産よりは少量多品種の加工に向いた方法です。

切削加工は成形加工に比べて微細な加工が可能で、複雑な形状にも対応可能な方法です。また幅広い樹脂に対して適用可能な方法でもあり、スーパーエンプラや複合材にも用いることができます。

2. 成形加工

成形加工とは金型などに加熱した樹脂を注入したのちに冷却によって固化させて加工する方法です。

金型さえ用意すれば自動の加工機械に樹脂を充填することで加工できるため大量生産に向いている方法です。

成形加工は結晶性プラスチックであるポリエチレンやポリアミド、ポリスチレンやポリカーボネートなど様々な樹脂の加工に用いられています。

成形加工は細かく分類すると射出成形、押出成形、真空成形などに分けられ、樹脂の性質や求める品質に応じて適切な手法を選定します。

  • 射出成形
    射出成型とは樹脂を加熱して溶融させたあと、装置内で圧力をかけることで金型に流し込み、固まるまで圧力をかけたまま冷却、固化したあとに金型を取り出す方法です。スマートフォンのケース、バケツ、コンテナやCD、DVDなど幅広い生活用品の製造に使われている他、自動車の内装部材などにも射出成型は使われています。
  • 押出成形
    押出成形は射出成型と同様に樹脂を加熱して溶融させて金型に流し込んで製品形状に変形させたあとに樹脂を押し出し、冷却、固化させた後に一定の長さで切断する方法です。押出成形はパイプやシート、フィルム、チューブのように一定の形状を有する樹脂の加工に用いられています。

3. マシニングセンタによる樹脂切削加工

マシニングセンタ

図1. マシニングセンタ

マシニングセンタとは、数値制御装置 (NC) のコントロールにより複雑な加工を高精度で行う事ができ、自動で工具交換ができるため、効率的な加工を可能とした加工機です。主軸に回転する工具を取付、材料に直接工具を当てて加工する機械です。

複数の工具を使う際、作業員が工具を取り替える作業を自動化できるため、フライス削りや中ぐり、穴あけ、ねじ立てなどの様々な加工を連続して行うことができます。比較的小さな材料から削り出す製品や立体的な加工に向いた加工機です。

工程1

CAMデータの作成

図2. CAMデータの作成

まずは製品図面から加工プログラムとなるCAMデータ (加工データ) を作成します。3軸制御 (X軸・Y軸・Z軸) の加工になるので、図面を基にした3DモデルをCAMデータで作り上げる作業が一番最初に必要となります。

作成したCAMデータを機械に転送して、加工段取り作業の第一段階は完了です。

工程2

工具セッティング作業

図3. 工具セッティング作業

工具セッティング作業です。今回は『Φ4エンドミル』と『Φ4 (R2) ボールエンドミル』の2種類を使用。プログラムで指定した工具ポッドへセットして工具の段取り作業は完了です。

工程3

材料を固定し加工する様子

図4. 材料を固定し加工する様子

ここから加工する材料を所定の位置に固定して加工を開始します。

今回はワーク底面まで加工があるため、両面テープで固定していますが、ワークの材質や加工方法によっては強力な固定が必要になる場合はバイスで直接チャッキングをしています。

加工は設定したプログラムに沿って行われ、自動で加工終了します。

樹脂加工のその他情報

樹脂加工の機械

樹脂加工に用いる機械は加工条件によって異なります。切削加工で必要なのは樹脂を削り取る機械で、旋盤や鋸盤、フライス盤などが用いられます。

一方成形加工では樹脂の加熱、加圧部、金型などが一体となった機械が必要です。そのような機械として射出成形機押出成形機などが販売されています。また求める製品の形状に合わせた金型の製作も必要となるため、成形加工を行うには初期費用が大きく掛かります。

一方で成形加工は大量生産に向いているため、樹脂加工会社では様々な成形機が導入されています。 

プレス機
樹脂加工では穴あけや曲げなどの加工が必要な場合もあります。このような加工で用いられる機械がプレス機です。

樹脂加工におけるプレス機は製品の形状に合わせた金型に溶融した樹脂を流し込み、金型同士で挟むことでプレスします。プレス加工は数秒程度で加工が終わるため、大量生産に向いている方法です。

本記事は樹脂加工を行う株式会社クレタス様に監修を頂きました。

簡易リフト

簡易リフトとは

簡易リフト

簡易リフトは、昇降機とも呼ばれており、エレベーターなどもこの区分に該当しています。

適用を受ける法令には、主に労働安全衛生法がありますが、一部において建築基準法の適用を受けることがあります。

労働安全衛生法では、工場などに設置されるエレベーターは、積載荷重が0.25トン以上のものにおいて適用の対象としています。ただし、一般の公衆用途として扱われるものについては適用対象外です。

それぞれの区分としては「カゴの面積が1平方メートル超、かつ高さが1.2メートルを超えるもの」がエレベーターとされており「カゴの面積が1平方メートル以下、または高さが1.2メートル以下のもの」を簡易リフトとしています。

建築基準法では、用途や積載荷重にかかわらずに人または荷物を運搬する昇降機を適用の対象としています。

それぞれの区分としては「カゴの面積が1平方メートル超、または高さが1.2メートルを超えるもの」がエレベーターと定義されており「カゴの面積が1平方メートル以下、かつ高さが1.2メートル以下のもの」を小荷物専用昇降機としています。

したがって、労働安全衛生法では、簡易リフトとされていても、建築基準法では、エレベーターに指定されることがあるため、注意が必要です。

簡易リフトの使用用途

簡易リフトは、主に工場や倉庫、物流センターなどで活用されています。人が搭乗するための基準を満たしていないため、荷物以外を乗せることができません。人の搭乗や一定の基準に伴った昇降機の設置を検討する場合には、設置にあたって建築確認申請が必要になることを覚えておきましょう。

しかし、簡易リフトは、大小さまざまな荷物を運搬することが可能となっており、重量のある荷物においては、台車やパレットに積んで運ぶこともできます。

建築基準法では、簡易リフトと似たものに小荷物専用昇降機がありますが、これは電動ダムウェーダーと呼ばれていたもので、エレベーターに近似した構造のものです。人の搭乗を想定した製品ではなく、おおむね小荷物のみを運搬する昇降機です。ただし、運搬装置のカゴのなかで運転操作が可能な製品については、人の搭乗を想定していると考えられるため、エレベーターに分類されます。

簡易リフトの原理

簡易リフトは、労働安全衛生法施行令第1条の9によって定められていて、そのほかの関係法令などによっても労働者の安全が守られています。

同政令では、簡易リフトとエレベーターは、別表の第一第一号から第五号までに掲げる事業の事業場に設置されるものに限るものとし、せり上げ装置、船舶安全法の適用を受ける船舶に用いられるもの、および主として一般公衆の用に供されるものを退いたものから、荷のみを運搬することを目的とするエレベーターで、搬器の床面積が1平方メートル以下またはその天井の高さが1.2メートル以下のものを対象として取り扱うとしています。

また、そのほかにもクレーン等安全規則や簡易リフト構造規格などが定められています。

クレーン等安全規則は、定期自主検査などについても記載されており、事業者は、簡易リフトを設置した後に、1月以内ごとに1回、もしくは1年以内ごとに1回の定期的な自主検査を行わなければならないと定めています。ただし、1月あるいは1年をこえる期間において使用しない簡易リフトの当該使用しない期間についてはこの限りではありません。

簡易リフト構造規格は、リフトの各部における構造が定められています。

捕虫器

捕虫器とは

捕虫器

捕虫器とは、虫の習性を利用して誘引して、捕獲する機器です。

電撃殺虫器とは異なり、殺さずに粘着式のテープを用いたり、吸引したりして、捕獲するのが基本となっています。

捕虫器の使用用途

捕虫器は電撃殺虫器同様に、食品工場やレストランなどの場所で虫を捕獲するために使用されています。食品工場やレストランでは、人が食べるものを生産・料理しており、特に、虫の混入に注意が必要です。捕虫器はその対策として、導入されています。

捕虫器の特徴

長所

捕虫器の長所としては、音を出さずに虫を捕獲できることです。捕虫器は虫を捕獲する際に、基本的に粘着テープなどで捕獲するので、音が出ません。そのため、特にレストランなど音が気になるところでの使用が多いです。

また、捕虫器は虫を駆除せずに生きたまま捕獲します。テープや電池を交換する際の不快感を軽減することも可能です。

その他、電撃殺虫器のように高電圧を使用しないため、安全性が高いことも長所の1つとしてあげられます。誘引用のライトを使用している場合でも、変圧器は含まれていないため、消費電力は小さくランニングコストの節約につながります。

短所

捕虫器の短所は、殺虫せずに粘着テープで捕獲するため、定期的に粘着テープを変える必要があることです。同じ粘着テープをそのまま使用していると、誘引できても捕獲することができなくなります。効果を発揮するためには、捕虫器の定期的なメンテナンスが必要です。

捕虫器の種類

捕虫器の種類として、捕獲方法の違いから粘着テープタイプと吸引タイプに分類できます。

1. 粘着テープタイプ

粘着テープタイプの捕虫器は、虫を誘引しやすい光を使って、捕虫器内の粘着テープやシートで虫をからめ取ります。捕虫するときに、音がしないため、レストランや寝室に置くのに適しています。

しかし、粘着テープやシートは、虫以外のゴミが付着してしまったり、乾燥による粘着力の低下が見られたりするため、定期的なメンテナンスが必要です。

2. 吸引タイプ

吸引タイプの捕虫器は、虫を誘引しやすい光を使って、虫を引きつけておいて、ファンで起こした気流で吸い取ります。吸い取られた虫は、捕虫器内に閉じ込められます。粘着テープタイプよりも効率よく、捕虫することが可能です。

一方で、ファンが動くことで音がするため、寝室などでの使用はおすすめできません。しかし、近年はファンの音が静かに設計された捕虫器も増えてきています。

捕虫器の選び方

捕虫器を選ぶときは、以下の3つのポイントに注意しましょう。

1. 効果の範囲

捕虫器によって効果範囲は異なります。一般的に販売されている家庭用の捕虫器は、寝室やリビングに置くことを想定して設計されているため、20〜40平方メートルが効果範囲になります。

一方で、業務用に販売されている捕虫器は、60〜120平方メートルが効果範囲になっています。その分、重量やサイズが大きく、業務用捕虫器が置けるような場所の確保が必要です。

2. ランプの種類

捕虫器には、蛍光灯や紫外線、LEDランプが使用されています。特に、近年多くなってきたLEDランプは使用可能期間が長く、消費電力の節約にもなります。 また、対象とする虫の種類によって、適切なライトの種類があります。虫に応じた誘引しやすいライトの種類を使用して、捕虫効果を高めることが重要です。

3. メンテナンス方法

吸引タイプは受け皿を取り外すだけで虫を捨てることができ、簡単に処理できる捕虫器も多いです。ファンも拭き取るだけで、メンテナンスができます。一方で、粘着テープタイプは粘着テープやシートの交換が必要です。しかし、粘着力が高く、交換の頻度が低いタイプだと、管理が簡単になります。

捕虫器の使い方

捕虫器は基本的に、誘引ライトで引きつけることが多いため、ライトのON/OFFを切り替えることで捕虫器が作動します。充電タイプや電池タイプの捕虫器があるため、電気の管理やランプの寿命の把握が必要です。

また、捕虫器で捕獲する虫のほとんどは、ハエや蚊などの小さな虫です。小さな虫の行動範囲は低い場所なので、地面や地面に近い場所に捕虫器を置くことで、効果が発揮されます。

高演色LED

高演色LEDとは

高演色LED

高演色LEDとは、まるで自然光のような光を放つ製品です。演色性とは光源が色の見え方に及ぼす性質のことで、光源がどのような波長の光を放つかによって変わります。色の見え方が太陽光に近いほど演色性が高く、高演色LEDの光があたったものは太陽光に近い色の見え方になります。

一般的なLEDを用いた場合、自然光で照らされた対象物とLEDで照らされた対象物を比較すると色味の違いを感じます。この原因は演色性の違いによるものです。演色性は平均演色評価数(Ra)という指標によって評価します。

Ra値が100に近いほど自然光で見た色味に近くなり、値が低いほど自然光で見た色味との差が見られます。LEDの演色性は、Ra80以上の製品が一般的で、高演色LEDでは、Ra90以上の製品が主に取り扱われています。

高演色LEDライトの種類

高演色LEDは基本的には一般的なLEDと同様であるため、場所を問わず様々な環境で使うことができます。

例えばレストランなどの飲食店においては、素材や料理の色味によってお客様の美味しさへの印象も変わる可能性があります。またアパレルショップでは店内で展示されている洋服の色味と、屋外で着用したときの色味が異なればお客様の満足度が下がるかもしれません。

このように色味がユーザーに与える印象は大きいことから、高演色LEDは様々な場面で使われています。また、業務用のみならず家庭用の照明においても自然光に近い見た目になる高演色LEDはユーザーに好まれており、部屋の照明用途などで販売されています。

  • 蛍光灯

    オフィスや商業施設、博物館や美術館などの蛍光灯ソケットにそのまま取り付けられる高演色LEDが販売されています。これらの製品は既存の照明器具、ホルダーを改造せずにそのまま取り付けられるため、導入コストを抑えたLEDへの交換が可能です。

    また、Raのみならず各色の演色評価数も高い高演色LEDも販売されており、印刷所など色味が非常に重要な業界を中心に用いられています。

  • シーリング

    蛍光灯型の高演色LEDのほか、部屋の天井照明として用いられるシーリング型の高演色LEDも販売されています。こちらも従来の照明器具、ホルダーを交換すること無く使用することが可能で、家庭のリビングやキッチンなどの用途で販売されています。

    また在宅勤務を行う方々が増えてきたことに伴うウェブ会議の増加を受け、表情が明るく見える高演色LED照明が家庭でも用いられることがあります。

  • ワークライト

    小型のワークライトにも高演色LEDが使われています。印刷所の校正室や部屋で写真撮影を行うとき、ネイルサロンなどの美容系サロンなどでは色味が非常に重要です。このような場所で色味を確認したい対象に直接光を当てる際にワークライトが使われています。

    USB充電式のワークライトも販売されており、場所を問わずに使うことが可能です。

高演色LEDチップ

LED照明はLEDチップと点灯回路から構成されており、軽量で小型、衝撃に強く長寿命など様々な利点があります。

光はLEDチップから出力されており、通常のLEDでは青色LEDと黄色の蛍光体、もしくは赤、緑、青のLEDを組み合わせることで白色光を出力します。ただし、青色LEDと黄色の蛍光体を組み合わせた白色LEDは赤みが少なく、自然光とは同じような色味を出しません。

そこで高演色LEDでは青色LEDと緑と赤色の蛍光体を用いたり、赤、緑、青色のLEDを用いて白色光を作ります。そのほかにも3色のLEDに白色のLEDを付加することでさらに演色性を向上させた製品なども販売されています。

  • 高演色LEDペンライト

    上記の通りLEDチップは非常に小型であることから、ペンライトなどの小さな照明器具にも使うことが可能です。

    高演色LEDも小さなチップとして販売されており、高演色LEDを用いたペンライトも販売しています。出力光の強度も大きいため、暗闇での作業であったり、医療従事者の方々が用いるペンライトとしても使用されています。

透水管

透水管とは

透水管

透水管は、一時的に雨水を貯留するための管です。水はけの悪い地中に埋設することにより、水はけを改善し、地表が水たまりになることを防ぎます。

また、透水管は、浸透トレンチと呼ばれており、小分類として雨水浸透施設の枠のなかに分類されています。雨水浸透施設は、中分類として拡水法と井戸法に分けられます。

拡水法には、浸透ますや浸透トレンチ、浸透側溝、透水性舗装、道路浸透ます、浸透池、砕石空隙貯留浸透施設が分類されており、井戸法には、乾式井戸と湿式井戸があります。

通常、雨水は、地表に到達した後に地中に浸透します。しかし、土質によっては、雨水が浸透されずに地表に留まり、水たまりを形成する問題が生じます。小さな水たまりであれば、雨が止んだ後に地中へ吸収されるか、もしくは蒸発して空気中に拡散されますが、降水量が多いと、地中に吸収しきれずに地表へと大量にあふれてしまいます。

こうした状況において、透水管は、能力を発揮します。

透水管の使用用途

透水管は、公園や運動場、学校のグラウンド、集合住宅、戸建住宅などで活用されており、雨水浸透施設として浸透ますや浸透側溝と併用して活用されることもあります。

透水管以外にも浸透トレンチには、有孔管があります。有孔管は、金属やプラスチックで構成されていて、管に多数の穴があいています。しかし、有孔管は、長年の使用により穴に砂やゴミなどが目詰まりしやすく、水はけを適切に行えなくなる可能性があります。

その点において、透水管は、管自体が不織布やメッシュ状の素材で構成されているため、目詰まりが生じづらいです。また、管の強度を保つためにリブ構造が施されている製品や適正な空隙率を計算した透水性のコンクリートで構成されている製品なども販売されています。

透水管の原理

透水管などの雨水浸透施設は、各地域や市町村において、標準的な設置数量や構造などに違いがあります。なぜなら、日本国内であっても地域によって、降水量や土質が異なるため、すべてを統一してしまうと、適切な貯留が行えないからです。

例えば千葉県の我孫子(あびこ)市では、建物の新築時における雨水浸透施設の標準的な設置数量を敷地面積によって区分しています。

100平方メートル未満であれば、浸透ますを2個以上もしくは浸透トレンチを2.0メートル以上で設置することが望ましく、100平方メートル以上200平方メートル未満であれば、浸透ますを4個以上あるいは浸透トレンチを3.0メートル以上で設置することが望ましいとされています。

そのほかの項目も同様に敷地面積が広がれば、設置数量も増加していきます。

また、雨水浸透施設の設置においては、税制が優遇されていたり、融資制度や助成制度などの支援措置が各市町村で用意されています。

例として、雨水貯留や利用浸透施設の整備における促進税制では、大都市地域で貯水容量が300立方メートル以上のものを設置するか、あるいは特定都市河川流域で100立方メートル以上の雨水貯留施設を設置することによって、5年間の割増償却が10%ほど適用されます。さらに3,000平方メートル以上の透水性を有する舗装をおこなった場合も同様に適用されます。

縦型透水管