ラバーシール

ラバーシールとは

ラバーシールとは、ゴム製のシール材を指し、ゴムの特性を活かしてパッキンやガスケット、オイルシールなど、幅広い分野で使われるものです。

気密性が要求される分野では、クッション性が要求されます。一方、液体の漏れの防止が主目的であれば、強度が高く耐久性の優れた材質が使用される場合が大半です。

また、ラバーシールには、用途に応じて最適なゴム材が使われています。例えば、屋外用の場合は耐環境性の良いゴムを使用しています。

ラバーシールの使用用途

ラバーシールは、各種特性のバランスがとれたニトリルゴム (NBR)を使ったものが多く、自動車向けのオイルシールをはじめOリングや耐熱ホース、ベルトなど幅広く活用されています。用途に応じて多くの品種が製造されているため、その中から取拾選択し、採用されています。

そのほか、シリコーンゴムを使ったラバーシールは、耐熱性をはじめ耐寒性、耐潤滑油性、耐水性に優れていることから、自動車の電装用コネクタガスケット、防水ガスケットなどに使われる場合が多いです。

ラバーシールの性質

ラバーシールは、各種ゴムからなっており、固体の物質間のすき間を埋める材料です。ゴムの弾性により、すき間に密着し、その間の流通を防ぐことができます。

ラバーシールで止められる流体は気体、または液体です。中でも、水または油のシールをする目的で使用されることが多いです。

ラバーシールの形態には、あらかじめ成形されたゴムを隙間に押し込んで使用するものだけではなく、液体状のゴムを隙間に注入し、固化させることで用いるものもあります。僅かななすき間が許されず、取り外しを前提としない用途では、充填型のラバーシール材が多く採用されています。例えば、建築用で使用する建材のすき間の防水用途には、充填型のラバーシールが最適です。

ラバーシールの種類

ラバーシールの中でもよく使われるのが、「ガスケット」「パッキン」「Oリング」などと呼ばれる種類です。

1. ガスケット

ガスケットは、固定用シールです。部品や配管などの接続部の密封に使用されます。ガスケットを接続部の間に挟み、ボルト等で固定することで、接続部の隙間を塞ぎ、内部を通る流体の漏出や異物混入を防止します。

使用環境や流体に合わせてガスケットの材質を選ぶことで、漏出やガスケットの劣化を防ぎます。

2. パッキン

パッキンは運動用のシール材です。パッキンは繰り返し着脱したり、回転や往復運動などを行う部品を密閉したりする際に用います。

パッキンの中でも、特に運動する部分と接するものは接触シールと呼ばれます。機械部品のオイルシールやポンプのグランドパッキンなどが接触シールです。

3. Oリング

Oリングは、主に部品などの溝に設置して用いるものです。ガスケットにもパッキンにもなります。円形で、気圧や水圧などの圧力を利用して流体をシールする自封作用を持ちます。一般的な水道の蛇口から、ステンレスの圧力容器まで広く用いられます。

ラバーシールの種類

ラバーシールの種類は、材質によっていくつかに分類できます。材質によってラバーシールの特徴は異なるため、用途に応じて最適なものを選ぶことが大切です。

1. ニトリルゴム (NBR)

機械的強度などの物性面をはじめ、コストなどの総合的にバランスのとれたシール材です。オイルシールやOリングなどに広く使用されています。

2. アクリルゴム (ACM)

耐油性や耐熱性、耐オゾン性に優れており、トランスミッションなど駆動系機器に使用されています。

3. ふっ素ゴム (FKM)

耐熱性をはじめ耐油性、耐燃料油性が他のゴム材料より優れており、エンジンや駆動系シール材として利用が拡大している素材です。

4. エチレンプロピレンゴム (EPDM)

耐熱性や耐オゾン性には優れているものの、鉱油系潤滑油に弱いことからブレーキ液用や水系液体シールに向いている素材です。

5. スチレンブタジエンゴム (SBR)

汎用ゴムの1つで、耐摩耗性には優れています。コスト面含めトータルバランスのとれた素材ですが、工業用油には不向きで、ブレーキ用シール材として使用されています。

6. ウレタンゴム (AU)

耐熱性をはじめ耐摩耗性、耐オゾン性などに優れています。硬度調整範囲が広いことで知られており、主に建機用などに使用されています。

参考文献
https://www.nok.co.jp/technology/seal/introduction/material.html

金属丸棒

金属丸棒とは

金属丸棒とは、一定の直径を持つ円柱状の金属製品です。

一般的に金属丸棒は金属材料を棒状に成形したもので、鋼やアルミニウム、真鍮、など様々な金属材料で作られています。

直径や長さ、材質に応じて様々な用途に使用されています。例えば建築や構造物の補強、機械加工、工具製造、自動車や航空機の製造などに利用されています。また表面処理や加工方法によって、強度や耐久性、耐食性などの性質が向上する場合があります。

金属丸棒の使用用途

金属丸棒の使用用途は主に下記の通りです。

  1. 建築や構造物の補強
    建築物の耐震補強や橋梁の補修など
  2. 機械加工
    軸や歯車やボルトなどの部品製造
  3. 工具製造
    ドリルビット、バイト、グラインダーなど
  4. 自動車や航空機の製造
    車体フレーム、サスペンション、エンジン部品など
  5. 船舶の製造
    船体フレーム、ステアリング機構、モーターマウントなど
  6. 鉄道の車両製造
    車体フレーム、車輪、枕木など

金属丸棒の性質

1. 加工性

金属丸棒は、切削加工や曲げ加工、穴あけ加工など、様々な加工方法で形状を変えられます。下記の加工方法を組み合わせることで様々な形状の金属丸棒を製造でき、用途に合わせて使用できるようになります。

切削加工
切削加工は、切削工具を使用して金属丸棒を所定の形状に切り取る加工方法です。主に旋盤やミリングマシンが使用されます。金属丸棒を切削加工することで、直線的な形状や円筒形状など、様々な形状が作れるため精度の高い丸棒を製造できます。

曲げ加工
曲げ加工は、金属丸棒を曲げたり折り曲げたりする加工方法です。この方法によって曲線的な形状や角度がついた形状を作れます。

穴あけ加工
穴あけ加工は、金属丸棒に穴をあける加工方法です。主にドリルやタップやボーリングマシンが使用され、金属丸棒に穴をあけます。

ミリングマシンとは、工作機械の一種で金属やプラスチックなどの素材を加工するために用いられます。工作物を固定し、回転する切削刃 (エンドミル) を用いて素材の表面を削り取り、所定の形状や寸法に加工します。

2. 耐食性・耐摩耗性

金属丸棒は、表面処理によって耐食性や耐摩耗性を向上できます。表面処理には、めっき処理、塗装、焼き入れ、熱処理などの方法があります。

めっき処理
めっき処理は、金属丸棒の表面に金属や合金を電気化学的にめっきすることで耐食性や外観の改善を図る方法です。めっきには、亜鉛クロムニッケルなどが使用されます。

塗装
塗装は、金属丸棒の表面に塗料を塗ることで、耐食性や防錆性を向上させる方法です。塗料には、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂などが使用され、塗装後は外観や保護性が向上します。

焼き入れ
焼き入れは、金属丸棒を高温で熱処理することで硬度や強度を向上させる方法です。焼き入れによって、金属丸棒の耐摩耗性や耐久性を向上できます。鋼やステンレスなどの金属に使用されます。

熱処理
熱処理は、金属丸棒を熱処理することで硬度や強度を変化させる方法です。熱処理には、焼き入れの他にも焼き戻し、焼きなまし、奥深焼きなどがあります。

金属丸棒の表面処理によって耐久性や耐摩耗性が向上することで、製品の寿命を延ばせます。また外観の美しさも向上できます。表面処理は金属丸棒の用途や使用環境に応じて、適切な方法を選択することが重要です。

3. サイズ

金属丸棒は、用途に応じて様々なサイズが製造されており、それぞれ異なる特性があります。

建築用途には太いサイズの丸棒が使用されます。建築物の柱や梁、壁などの構造物の補強材料として使用されるため、強度や耐荷重性が求められて太いサイズの丸棒が選択されます。

一方、医療機器のような精密な用途には細いサイズの丸棒が必要です。例えば骨折した骨を固定するための金属プレートなどに使用されます。また試験管ホルダーなどの細かな部品も細いサイズの丸棒から製造されます。

金属丸棒のその他情報

金属丸棒から作られる製品

金属丸棒から作られるものには、以下のようなものがあります。

  1. ねじ
  2. スプリング
  3. ワイヤー
  4. ロッド
  5. ピン
  6. 鉄骨

ボルトクランプ

ボルトクランプとは

ボルトクランプとは、ボルトでクランプ(clamp:固定)するもの、あるいはクランプするボルトを指し、固定するものにはチューブやパイプといった管材が一般的です。

ボルト付きクランプともいわれるボルトクランプは、固定されているところから管材が抜けるのを防止するほか、管材同士の固定、管材を天井などに固定するといった目的にも使用されています。

ボルトクランプと呼ばれるボルトには、ボルト先端で物を固定できるようフラット面にしたものやボルトの軸心に対し、偏心した頭部で物を固定するなど、いろいろなボルトが工夫されています。

ボルトクランプの使用用途

ボルトクランプは、ガス器具のホース抑えのように切れ込みの入ったバンドをボルト1本で締め込んで固定するものがあります。

そのほか、ボルト2本を使ってU字型になったクランプを締め込んでいく、建築現場の仮設用足場に使用するパイプの固定に使われるものなどがあります。

また、締め付けボルトを指すボルトクランプは、緩み防止のため、ナットとの併用が一般的で、先端をフラット面にしたものや樹脂製パッドを先端に付けたものなど工夫されています。

ボルトクランプの選び方

配管用に使用されるクランプは、複数本を多段多列に並べることができるクランプと多段に積み重ねしていけるタイプなどが製作されています。

多段多列タイプは、材質によってさらに合成ゴム製とアルミニウム製に分けられ、高温配管にはアルミニウム製を使用します。

目安となる推奨温度範囲は、ゴム製は、-40℃〜100℃に対し、アルミニウム製では400℃以下とされています。

一方、多段型のクランプは、使われている材質が2種類あり、ポリプロピレン製とグラスファイバー入り66ナイロン製で、いずれも樹脂の使用により振動の吸収性能に優れているという特徴があります。

多段型では材質による違いが、強度に現れてきており、ポリプロピレン製とグラスファイバー入り66ナイロン製とでは、曲げ強度・圧縮強度・引張強度のいずれにも大きな開きがあります。

違いは、ポリプロピレン製とグラスファイバー入り66ナイロン製の順に列記すると、曲げ強度で36N/㎟と240N/㎟、圧縮強度で60N/㎟と200N/㎟、引張強度が27N/㎟と180N/㎟というデータが公表されています。

ストリッパボルト

ストリッパボルトとは

ストリッパボルト (英: Stripper bolt) とは、主に金型などに使用されるボルトです。

金型のストリッパプレートの上下可動域を規制するために使われるボルトで、名称の由来になります。ボルトの頭下から一部のネジを一段太くした胴部があるのが特徴で、形状から「段付きボルト」と呼ばれることもあります。

ストリッパボルトの使用用途

1. 金型の部品

図1. 金型の例

ストリッパボルトは、金型のストリッパプレートの上下ガイド部品です。バッキングプレートの穴をガイドに複数のストリッパボルトにより吊り下げられたストリッパプレートは、金型下降により、ストリッパボルトをガイドに下型に当たり、上下の金型を押し付けます。

型バラシの際、上型が上昇することでストリッパプレートが離れ、上型から成型品や下型を円滑に離すことが可能です。複数のストリッパボルトを使用し、その胴の長さでストリッパプレートの位置を規制するため、胴の長さにバラツキがあるとストリッパプレートが傾き、金型の機能を果たせなくなります。

このため、金型での使用ではストリッパボルトの胴の長さバラツキも重要です。

2. コイルバネのガイド及びストッパ

ストリッパボルトは、金型以外にもコイルバネにより上下する機器で、ガイドと上下ストッパを兼ねて使用されます。

ストリッパボルトの胴部がコイルバネのガイドを兼ねることで安定した動作が可能です。

3. 上下摺動部のガイド

ストリッパボルトは、その胴部をガイドにできるので、簡易的な上下摺動部として使用可能です。ただし、ボルト軸心方向の引張負荷はできますが、横方向の力や曲げ負荷はかからないように注意が必要です。

ストリッパボルトの原理

ストリッパボルトは、頭下の胴部外径で摺動のガイドとなり、胴部の長さで上下動の範囲を規制する構造です。胴部の外径は、はめあい公差 (公差クラス g6,h7など) で仕上げられており、胴部の長さも一定の公差で規制されています。

段部があるため頭部外径に対し、ねじ径は一般のボルトより小さくなり、頭の六角穴など締め付け部はねじ径に合わせたサイズとなります。材質は炭素鋼、クロモリ鋼、ステンレス鋼を使用し、強度や耐摩耗性向上のため焼き入れなどが施されます。高張力ボルトと同等以上の強度の物が多いです。

ストリッパボルトの種類

1. おねじ式

図2. おねじ式ストリッパボルト

おねじ式ストリッパボルトは、端部のねじ部がおねじ (ボルト) となっており、相手側タップ穴に直接ねじ込むことができるタイプです。一部品で固定までできますが、ねじ部根本にヌスミが設けられているため応力集中が発生しやすく、特に軸心の横荷重は加わらないように注意が必要です。

2. めねじ式

めねじ式ストリッパボルトは、端部のねじ部がめねじ (ねじ穴) となっており、相手側は裏面より別のボルトで固定するタイプです。固定用ボルトを締め付けるために、胴部にスパナ溝が付いたタイプもあります。

固定用のボルトが増え、両側から締め付ける必要がありますが、おねじ式での応力集中の発生は少なく、用途により確実に固定することができます。

3. ブッシュ式

ブッシュ式ストリッパボルトは、締め付けボルトと胴部にあたるつば付ブッシュまたは、スペーサとワッシャに分割されたタイプです。ねじ部と胴部が分離しているため、おねじ式での応力集中の発生は少なく、片側から締め付けが可能です。ブッシュの最低肉厚が必要なため、胴部は他のタイプに比べ大径となります。

4. 頭部形状

ストリッパボルトの頭部は、ダイセットから飛び出させないため、ザグリ穴で埋められる六角穴付きのボルト頭が多いです。それ以外に六角穴付きボルトと同様に、頭高さを低くした低頭型や工具レスで締められる大径で外周ローレット加工したものもあります。

ストリッパボルトのその他情報

ストリッパボルトの注意点

ストリッパボルトに似た形状のボルトで、「プラボルト」や「ショルダーボルト」などがあります。それぞれ使用用途や荷重のかかる方向が異なるため、混合しないように注意が必要です。

ストリッパボルトは、上下動のガイドとしての部品です。ボルト軸心方向の引張負荷用途には使用できますが、横方向の力や曲げ負荷がかかる用途には向きません。横荷重や曲げ負荷がかかる用途では「ショルダーボルト」を使用します。

樹脂プレート

樹脂プレートとは

樹脂プレートとは、ポリカーボネートや塩化ビニルなどの合成樹脂を板状に成形したものです。

材料の種類や配合、形状、色調によって、多種多様な機能を発現します。樹脂プレートは、ディスプレーやショーケースなど日常で目にする用途をはじめ、建築資材や畜舎用資材、半導体製造用装置に至るまで非常に幅広い用途に用いられています。

樹脂プレートの使用用途

樹脂プレートは、日常生活でも目にする一般的な用途から、建築、畜産、半導体製造装置などの産業用途まで幅広く使われています。代表的な使用用途は、以下のとおりです。

1. ポリカーボネート樹脂プレート

ポリカーボネートプレートは、数ある樹脂プレートの中でも耐衝撃性や機械的強度に秀でた特徴を持ちます。屋外で使用するのに必要な耐候性にも優れており、自己消化性も持つことから、カーポートや波板、屋根材などの建築資材に用いられています。耐衝撃性を活かし、防弾ガラスにも使われています。

2. 塩化ビニル樹脂プレート

塩化ビニルプレートは、古くから使われている歴史のある樹脂プレートです。強度が優れているのに加え、加工も容易であるため文房具やディスプレイなど、多彩な分野で使われています。また、樹脂配合の種類が豊富で高い耐薬品性や難燃性を付与することができることから、半導体製造装置にも用いられています。

3. ポリエチレンテレフタレート樹脂プレート

ポリエチレンテレフタレート樹脂はPET樹脂とも呼ばれ、日常でよく目にするPETボトルの原料です。この樹脂を成形したプレートは比較的価格が安く、加工が容易という特長を持ちます。また、完全燃焼した場合、有害ガスが発生せず二酸化炭素と水に分解されるのも利点です。

4. ABS樹脂プレート

ABS樹脂は、アクリロニトリルブタジエンスチレンの共重合体で耐薬品性に優れています。それを成形したプレートは塗装が可能なため、電気機器や自動車部品として活用されています。

5. フェノール樹脂プレート

フェノール樹脂プレートの大半は、木質材に樹脂を含侵させた後に真空条件下で加熱し成形されます。比較的高価ではありますが、その絶縁性と強度を活かし、変圧器や配電盤用の板材として用いられています。

6. メラミン樹脂プレート

メラミン樹脂プレートは家具やキッチンなどの化粧板として良く使われます。紙にメラミン樹脂を含侵させて加熱して成形します。耐熱性が高く傷つきにくい特徴を持つことから化粧プレートの代名詞とも呼ばれています。

樹脂プレートの特徴

樹脂プレートは、使われる樹脂の種類によって大きく2つに分類されます。1つ目は熱可塑性樹脂プレートで、加熱により柔らかくなる性質の材料を成形したものです。

もう1つは熱硬化性樹脂プレートで、こちらは熱を加えると固くなる性質の樹脂を成形したものです。それぞれ特徴が異なるため、用途を考慮した上で適切な方を選択する必要があります。

1. 熱可塑性樹脂プレート

熱可塑性樹脂は、樹脂それぞれが溶融する温度まで加熱すると柔らかくなり流動化し、冷却すると硬化する特性を持ちます。熱で柔らかくなると聞くと耐熱性が低いと思われるかもしれませんが、その反面、熱で複雑な形状に加工することが可能です。

製造工程で発生した端材や一般流通の後に回収した材料をリサイクルできるなどの利点も有しています。代表的な熱可塑性樹脂プレートとして、ポリカーボネート、塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ABS樹脂プレートなどが挙げられます。

2. 熱硬化性樹脂プレート

熱硬化性樹脂は、樹脂あるいは硬化剤が架橋反応を開始する温度まで加熱すると固くなる特性を持ちます。一回硬化すると、再度熱を加えたとしても軟化することはありません。代表的な熱硬化性樹脂プレートとして、フェノール樹脂、メラミン樹脂プレートなどが挙げられます。

樹脂プレートのその他情報

1. 樹脂プレートの成形方法

樹脂プレートの成形する際は、各樹脂の特性に適した方法を選択する必要があります。例えば、ポリカーボネートや塩化ビニルなどの熱可塑性樹脂の場合、押出成形が良く用いられます。

押出成形とは、押出機の中に樹脂を投入し、加熱しながら混錬することで溶融状態にした後、冷却ロールで冷やしながら厚みなど品質を整える成形法です。

一方、フェノールやメラミン樹脂などの熱硬化性樹脂の場合、プレス成型が良く用いられます。プレス成型では、木質材料は紙に硬化する前の液状の樹脂と硬化剤を含侵させ、プレス機で熱と圧力をかけて硬化させる成型法です。

樹脂ロッド

樹脂ロッドとは

樹脂ロッドとは、高分子化合物である樹脂を基材として形成される棒状の製品です。

これらのロッドは、その特性や用途に合わせて異なる種類の樹脂を使用して製造されます。樹脂自体は、長い分子鎖が結合したポリマー構造を持ち、その組成によって異なる物性を示します。

樹脂ロッドはこれらの樹脂を加工し、特定の形状やサイズに成形したものです。

樹脂ロッドの使用用途

1. 工業製品の部品

樹脂ロッドは、耐久性や軽量性を活かして、機械や装置の部品として使用されます。機械要素の軸受け、歯車、バネ、軸など、さまざまな部品に適用されています。

2. 自動車産業

自動車の内外装部品において、樹脂ロッドは優れた強度と軽量性を提供します。バンパーやドアハンドル、ダッシュボードの補強などで使用され、燃費向上や車両軽量化に寄与しています。

3. 電子機器

樹脂ロッドは優れた電気絶縁性を持つため、電子機器や電気部品の絶縁材として利用されます。プリント基板、端子、ハウジングなどで使用され、安全性と信頼性を向上させます。

4. 建築資材

建築業界では、樹脂ロッドが外装材や内装材の製造に利用されます。窓枠、ドアハンドル、照明器具の部品などに使用され、耐候性や耐久性を確保します。

5. 医療機器

医療分野では、樹脂ロッドが耐化学性や生体適合性を活かして使用されます。医療機器の部品や器具、プロテーゼなどに適用され、患者の安全性と快適性を確保します。

6. 産業機器

樹脂ロッドは、産業用機械や機器の構造部品としても利用されます。特に、化学薬品や腐食性環境での使用に適しており、耐久性が求められる場面で活躍します。

7. クラフトやホビー

樹脂ロッドは手作りの工芸品やホビーにも利用されます。模型製作、ジュエリー制作、アート作品の制作など、創造的な用途で幅広く使用されます。

8. 農業用具

農業分野でも、樹脂ロッドが農業用具の一部に組み込まれています。ネットや支柱の補強、農薬散布器のパーツなどに利用され、耐候性や長寿命性が求められます。

樹脂ロッドの特徴

1. 軽量性と強度

樹脂ロッドは軽量でありながら、優れた強度を持っています。これにより、構造部品や補強材として使用される際に、重量を軽減しつつ必要な強度を確保できます。

2. 耐久性

樹脂は耐候性に優れており、外部からの影響や環境変化に対しても長期間にわたって耐えることができます。これが樹脂ロッドの製品寿命を延ばす一因となっています。

3. 化学的耐性

特定の樹脂は薬品や腐食物質に対して耐性を持っており、化学環境下でも変質しにくいです。このため、化学業界や研究分野で使用されることが多いです。

4. 電気絶縁性

樹脂ロッドは電気を通さない性質を持ちます。これが、電子機器や電気部品の絶縁材として広く利用される理由です。

5. 加工性

樹脂は成型や切削加工が容易であり、複雑な形状やデザインを実現することができます。この加工性が、樹脂ロッドの多様な用途を可能にしています。

6. 生体適合性

一部の樹脂は生体に対して刺激を与えにくく、生体組織との親和性が高いです。医療分野や医療機器の製造において、人体との接触が必要な場面で活用されています。

7. 断熱性

熱を伝導しづらい性質を持つため、断熱材や熱絶縁材として使用されることがあります。建築や工業分野で、高温や低温からの保護に役立てられます。

8. リサイクル可能性

一部の樹脂はリサイクルが可能であり、環境への配慮が求められる現代社会において、持続可能な素材として注目を浴びています。

樹脂ロッドの種類

1. ポリエチレン (PE) ロッド

ポリエチレン樹脂を基材として作られるロッドです。耐久性や化学的耐性に優れ、軽量でありながら十分な強度を持っています。水や薬品との接触が多い環境で使用されることが多いです。

2. ポリプロピレン (PP) ロッド

ポリプロピレン樹脂を使用して製造されるロッドです。耐熱性や電気絶縁性があり、食品業界や電子機器の絶縁材として利用されることがあります。

3. ポリウレタン (PU) ロッド

ポリウレタン樹脂から作られ、優れた弾力性や耐摩耗性を持っています。機械部品や車両部品の製造に使用され、クッション性が求められる場面で重宝されます。

4. ポリビニルクロライド (PVC) ロッド

PVC樹脂から製造され、耐候性や耐薬品性があります。建築材料や水処理機器の部品として広く利用されています。

5. アクリル (PMMA) ロッド

ポリメチルメタクリレート (アクリル) 樹脂を使用して作られる透明なロッドです。光透過性に優れ、看板や装飾品、照明部品などに使用されます。

6. デルリン (POM) ロッド

ポリアセタール樹脂を基材としたロッドで、耐摩耗性や低摩擦性を持ちます。機械部品や歯車、軸受などに使用され、滑りやすい環境で重宝されます。

7. ナイロン (PA) ロッド

ポリアミド樹脂から作られ、耐摩耗性や耐薬品性に優れています。ギアやベアリング、軸受など、高摩擦環境での使用に適しています。

8. フッ素樹脂 (PTFE) ロッド

フッ素樹脂をベースにしたロッドで、非常に高い耐熱性と化学的安定性を持ちます。耐腐食性が求められる環境や高温の条件下で使用されます。

小径ボルト

小径ボルトとは

小径ボルトとは、ねじとは異なるボルトのうち頭部の径が小さいものです。

頭部の形状は限定しないものとされ、厳密には小径ボルトという明確な分類はありません。小径といえば2mm未満と考えるのが一般的です。しかし、時計ビスに限定されてしまうため、径については臨機応変にとらえ、小径ボルトはあくまでボルトの頭が小さいものとされています。

小径ボルトには、頭部形状が通常の六角形のほか、六角穴付き、プラス穴付き、割り入りビスと多くの種類が製作されています。

小径ボルトの使用用途

小径ボルトは、ボルトの頭を目立たせたくないという要求から制作されています。装置などの外装面から隠れるような埋め込み型が理想です。

電気・電子関連の産業分野をはじめ、美観を重視した高級装身具、眼鏡やスマートフォンのようなモバイル機器といった分野で使用されています。

小径ボルトの原理

小径ボルトを「小頭ねじ」や「低頭ねじ」も含むと仮定します。M6のねじが頭部が6mmの高さに対し、低頭ボルトは4mmさらに低い超低頭ボルトとなると1.5mmというレベルのものまで製作されています。

小径ボルトには、その特性をさらに活かすため、各種の工夫が加えられています。いたずら防止のため通常の工具では外せないねじ溝としたり、メッキ処理を変えたりフランジ付きにする製作も可能です。

限られたスペースでボルトとしての機能は果たせるようにした小径ボルトは、スマートフォンに代表される機器の小型化を反映したボルトのひとつの姿です。

機器の小型化と合わせて、ねじがもともと抱えている緩みについても対策が行われています。

シューター

シューターとは

シューター (英: shooter) とは、ものを落とす仕組みや物品の総称を指します。

シューターという名称と前後にシューターをつけた商品は数多くあり、そのほとんどは商標登録され、更新されています。

例えば、「doubleshooter\ダブルシューター」という名称は「区分5: 殺虫剤 (農薬にあたるものに限る) 」で外国企業が権利者となって登録し、更新中です。

シューターの使用用途

シューターと名付けられた機械や器具は、様々な分野で使われています。

例えば、シューターという傾斜型のラックは、工場の生産ラインや倉庫などで使用されています。他にも、建築関係では、屋外・屋内に設けられた配管システムであったり、釣り具や自動車、ビールといった商品に使われ、商標登録も行われています。

シューターの特徴

シューターを商業登録という視点で見ると以下のようになります。

商標「シューター」で登録されている分野は、区分で示すと「09」「12」「28」「32」「33」「42」となり、前後に「シューター」とついた商標は「役務」 (労務を示すサービス商標) を含め、多くの区分におよんでいます。

具体的には、区分09は「眼鏡、水中眼鏡、サングラス、救命具、自動膨張式救命胴衣用ボンベ」です。区分12は「自動車並びに、部品および附属品、陸上の乗物用の動力機械器具、軸、軸受け、軸継ぎ手、ベアリング、動力伝導装置、緩衝器、ばね、制動装置、乗物用の交流電動機または直流電動機、乗物用盗難警報器」です。

他にも、区分28は「釣り具」、区分32は「ビール、ビール風味の麦芽発泡酒」、区分33は「日本酒、洋酒、果実酒、中国酒、薬味酒」、区分42は「役務」 (サービス商標) のため、省略します。

コンタクトピン

コンタクトピンとは

コンタクトピンとは、圧着端子で構成された電気信号の接続用の部品です。はんだ付けが困難な箇所や配線ケーブルを最短でつないでコンパクトにまとめたい場合によく用いられます。個々にモジュール化されており、各々のコンタクトを交換したり再利用も可能です。さまざまな規格があり、なかには基板へ直接接続するタイプもあります。

材質は、一般に黄銅(真鍮)、純銅およびリン青銅であり、金メッキやスズでさび止めの表面加工がされています。リン青銅を使うことで柔軟性が向上します。純銅は、電源供給用に用いられています。

コンタクトピンの使用用途

コンタクトピンの使用用途には、電線ケーブル間同士の接続やFA機器・電子機器用のピンソケットタイプのコネクタ端子用途など、その形態は豊富です。

また、各種ICやモジュールの評価ボードの電源接続用端子、データ通信用LANボードや航空宇宙産業向け機器の制御ライン向けなど、幅広い産業向けの用途で用いられているのが特徴です。

なお、使用用途に応じて、ピンの形状やサイズは異なっていますので、選択するコンタクトピンの仕様には注意が必要です。

コンタクトピンの原理

コンタクトピンは、一般にコンタクトとも呼ばれ、オスとメスのタイプがあります。ピンコンタクトがオス、ソケットコンタクトがメスであり、オスはポスト、メスはハウジングとも呼ばれています。

基板との接続の場合には、ベース付ポストといわれる基板に接続するコネクタをハウジングと対で用います。このように電線ケーブルと接続したコンタクトピンは、コネクタを介して基板側の配線と電気的に接続します。

各々のコンタクトピンは、ケーブル電線と一般に圧着接続にて電気的に接続します。圧着が必要な箇所は、2箇所であり、中央は芯線を圧着するための芯線部、外側は被覆とともに締め付けて電線ケーブルを固定する被覆部です。中央の芯線部は、芯線バレルの名称もあり、ケーブルとともに締め付けます。被覆部は、被覆バレルとも呼ばれます。

コンタクトピンの電線ケーブルとの圧着には、専用の圧着工具を用いますが、ピンのサイズ範囲に合わせて工具の選定が必要です。

コーナーブラケット

コーナーブラケットとは

コーナーブラケット (英: corner bracket) とは、パネル類のコーナー部を保護したり補強したりする材料です。

また、手すりなどのコーナー部の固定用にも使われます。コーナーブラケットは主にパネルや機器の取付け・位置決め、補強をはじめ、コーナーの保護や汚れ防止、コーナーにぶつかっての怪我や破損の防止など、使用目的はさまざまです。

アルミやステンレスなどの金属や樹脂など、色々な材質を使ったものが製作され、必要に応じた寸法の取付け用の穴加工されたものが製作されています。

コーナーブラケットの使用用途

コーナーブラケットは電気・電気機器などの装置の背面コーナー部に取付けたり、防犯用カメラを天井のコーナーに取付けたりするために使用されます。また、絵画や写真の額、ポスターフレームなどのパネル類のコーナー部に使用する場合は、保護や補強が目的です。

その他、コーナーブラケットには、屋内外の手すりのコーナー部の接続箇所に利用されるものや冷凍機器などのコーナー部などに取付けられたゴムパッキンの抑え、防水性向上といった目的で使用されているものもあります。さらに、コーナーブラケットが多く使用されている分野として、ドア、窓、建具、建材などの建物関連が挙げられます。

使われている材質は、屋内では樹脂やアルミが多く、屋外ではステンレスなどの耐環境性能に優れた金属類が主流です。中には、補強金具と称する建材もあります。筋交いを固定するコーナー部や土台・梁のコーナーに使う金具で、建物の地震対策に多く使われます。

コーナーブラケットの原理

コーナーブラケットは、保護・補強、取付けブラケット、手すりの安全対策、抑え金具、防水性向上、屋外線引留金具など多くの目的で使用されます。

1. 一般用

保護・補強はパネルの4隅部において、パネルの縦材と横材を繋ぐ部材としてコーナーブラケットを使用し、変形強度を上げて保護します。また、ボックス型の機器のコーナー部に当て板状に固定して補強します。

取付けブラケットは、棚板の固定、監視カメラの取付けなど、部屋のコーナー部に使用するものです。コーナー部は、一般に取付けが難しいので、ブラケットの形状を工夫して、容易に固定ができるようにします。

手すりの固定では、コーナー部の曲がり処理が可能な固定用ブラケットを使い、手すりの終端には手すりの端部が露出しないようなブラケットにすることで、安全性が高まります。

2. 特殊用

電気工事関連では、屋外線引留金具にブラケットを使用します。屋外線を引きとめる際に、地上高が確保できない場合や障害物などで引込点が確保できない場合などです。

大型の冷蔵室や冷凍室の扉の4隅部には、ゴムパッキンを抑え、防水性を高めるコーナーブラケットを取り付けます。

コーナーブラケットの種類

アルミコーナーブラケットは大きく分けると、突起付き、押出型、複数列溝型などの種類があります。

1. 突起付きブラケット

突起付きは、回り止め用の突起が取付け面についています。材質はADC12で、同じサイズの押出型ブラケットに比べ、低コストです。突起は取付け時の回り止めであり、作業性が向上します。

付加機能をつけた色々な種類のブラケットがあり、例として片リブブラケット、ナット止めブラケット、片側突起付きブラケット、片面長穴ブラケット、カバー付きブラケットなどが挙げられます。

2. 押出型ブラケット

アルミ押出しで製造したブラケットです。材質はA6N01SS-T5で、表面にアルマイト処理を行っています。外観に優れ、埃が溜まりにくい構造で、突起付きブラケットより強度が出ます。

押出型ブラケットには、付加機能をつけた色々な種類のブラケットがあります。具体的には、厚型ブラケット、偏心ブラケット、不等辺ブラケット、異種サイズ接続ブラケットなどです。

3. 複数列溝ブラケット

複数列溝があるフレームのに使用するブラケットです。2列溝用突起付きブラケット、2列溝用押出型ブラケット、3列溝用押出型ブラケット、4列溝用押出型ブラケットなどの種類があります。