ラバーシール

ラバーシールとは

ラバーシールとは、ゴム製のシール材です。

ゴムの特性を活かしてパッキンやガスケット、オイルシールなどがあります。気密性が要求される分野では、クッション性が要求されます。一方、液体の漏れの防止が主目的であれば、強度が高く耐久性の優れた材質が使用されます。

ラバーシールの材料は主に、シリコン、NBR (ニトリルゴム) 、EPDM (エチレンプロピレンゴム) 、FKM (フッ素ゴム) などです。材質選定だけでなく設計によっても、密閉性能や耐久性が変わります。

ラバーシールの使用用途

ラバーシールは、各種特性のバランスがとれたニトリルゴム (NBR) を使ったものが多いですが、用途に応じて多くの品種が製造されています。主な使用用途は次のとおりです。

1. 自動車産業

自動車のエンジン、トランスミッション、ブレーキシステムには、高温・高圧・振動環境に耐えるラバーシールが不可欠です。

Oリングはエンジン内部でオイルや冷却水の漏れを防ぎ、リップシールは回転軸周りで潤滑油を保持しながら外部からの異物侵入を防ぎます。ガスケットはシリンダーヘッドや排気系で密閉性を確保し、排ガスの漏れ防止が可能です。特に、フッ素ゴム (FKM) やシリコンゴムなどの耐熱・耐油性に優れた素材が多用されます。

2. 産業機械・設備

産業機械の油圧・空圧システム、ポンプ、バルブには、高い耐久性と密閉性能を持つラバーシールが選定されます。

油圧シリンダーでは高圧作動油の漏れを防ぐパッキンが使用され、バルブシールは化学薬品や高温流体に耐えながら漏れ防止が可能です。軸シール (メカニカルシール) はポンプやモーターの回転部分に設置され、摺動部の摩耗を最小限に抑えながら密閉性を確保します。

3. 航空宇宙産業

航空機や宇宙機器では、極端な温度変化や高圧・真空環境に耐えるラバーシールが必要です。

フッ素ゴム (FKM) シールは耐熱性・耐薬品性に優れ、燃料系統や油圧システムでの密閉に適用されます。シリコンゴムシールは極低温環境でも柔軟性を維持し、航空機の窓枠やドア周辺での気密保持に最適です。また、宇宙開発ではPTFEコーティングを施したシールが採用され、高真空環境でのガス漏れ防止に貢献しています。

4. 医療・食品産業

医療機器や食品加工機器では、化学的に安定したラバーシールが求められます。

シリコンゴムは無毒性・耐熱性に優れ、オートクレーブ滅菌可能であるなど、医療機器のシール材として適切です。食品産業でも安全性の認められたラバーシールのみが使用可です。たとえば、アメリカに輸出する食品の保管には、FDA (米国食品医薬品局) 認証を受けたゴム材が使用されています。また、PTFE (テフロン) コーティングシールは強酸・強アルカリ環境でも劣化しにくく、化学薬品を扱う設備にも適しています。

5. 建築・インフラ

建築やインフラ設備では、防水性・気密性・耐久性を兼ね備えたラバーシールが使用されます。

窓枠やドアシールは、外部からの雨水や風の侵入を防ぎ、省エネルギー性能を向上させます。配管ジョイントシールは水道・ガス管の接合部で漏れを防止し、耐候性・耐薬品性のあるEPDMやNBRが一般的です。また、橋梁や高速道路などの伸縮継手にもラバーシールが活用され、温度変化や振動による構造へのダメージを軽減します。

ラバーシールの性質

ラバーシールの性質は気体や液体の漏れ防止に寄与します。

具体的な性質は以下のとおりです。

  • 弾性
  • 復元性
  • 密閉性
  • 耐久性
  • 耐環境性

弾性によりシール面に密着し、微細な凹凸を埋めることで高い密閉性を確保します。復元性が高いほど、圧縮や変形後も元の形状を維持しやすく、長期間の使用が可能です。また、ラバーシールは温度変化、圧力、化学薬品、摩耗に対する耐性も求められます。

ラバーシールの形態には、あらかじめ成形されたゴムを隙間に押し込んで使用するものだけではなく、液体状のゴムを隙間に注入し、固化させることで用いるものもあります。僅かなすき間が許されず、取り外しを前提としない用途では、充填型のラバーシール材が多く採用されています。

ラバーシールの種類

ラバーシールの主な種類は、ガスケット、パッキン、Oリングです。

1. ガスケット

ガスケットは、静的なシール用途に用いられる固定型シール材で、フランジ接続部や配管継手、エンジンのシリンダーヘッドなどの密閉に使用されます。

ボルト締結により均等な圧力を加え、シール面の微細な凹凸を埋めることで流体の漏洩防止が可能です。耐熱・耐薬品・耐圧性に優れた素材を選ぶことで、過酷な環境下でも長期的な密閉性を維持できます。

2. パッキン

パッキンは、可動部の密閉に使用されるシール材で、回転運動や往復運動を伴う部位での流体漏れを防ぎます。

接触シールとして機能する場合は、シール面との適度な摩擦により密閉性を維持しながら、摺動性を確保する必要があります。耐摩耗性や低摩擦特性を持つ材質を選ぶことで、長寿命化とシール性向上が可能です。

3. Oリング

Oリングは、円形断面を持つシンプルな形状のシール材で、静的・動的シールの両方に対応可能です。

部品内の溝に装着され、圧力による自封作用で流体の漏洩を防ぎます。材質選定により、耐熱性、耐薬品性、耐摩耗性を向上させることができ、特定の流体や環境条件に最適化したシール性能を発揮します。

ラバーシールのその他情報

ラバーシールは、材質によって特徴が異なります。具体的な材質は下記のとおりです。

1. ニトリルゴム (NBR)

ニトリルゴム (NBR) は、耐油性、耐摩耗性、機械的強度に優れ、幅広い産業で使用される汎用性の高いシール材です。主成分であるアクリロニトリルの含有率を調整することで、耐油性や柔軟性を最適化できます。

一般的な鉱油やグリース、燃料油に強く、特にオイルシールやOリングに多用されます。また、耐熱温度は約-40℃~120℃と比較的広範囲に適応可能です。コスト面でも優れており、性能と価格のバランスが取れたゴム材料として、機械、車両、工業設備で多く採用されています。

2. アクリルゴム (ACM)

アクリルゴム (ACM) は、耐油性や耐熱性、耐オゾン性に優れており、トランスミッションなど駆動系機器に使用されています。特に、アクリルゴムはエステル系や鉱油系の潤滑油に強く、150℃以上の高温環境下でも安定した性能を維持します。

また、耐オゾン性・耐候性にも優れており、長期間の使用でも劣化しにくい特徴があります。ただし、アクリルゴムは-20℃以下の環境では硬化しやすいため、寒冷地での使用には適していません。価格はNBRより高いですが、高温・高負荷環境での耐久性を重視する用途に適しています。

3. ふっ素ゴム (FKM)

ふっ素ゴム (FKM) は、耐熱性・耐油性・耐薬品性に優れ、過酷な環境での使用が可能なシール材です。ふっ素ゴムはエンジンオイルや燃料、酸・アルカリなどの化学物質に強く、自動車のエンジンやトランスミッション、航空宇宙産業でのシール材として利用されます。

耐熱温度は約-20℃~250℃と非常に広く、高温下でも弾性やシール性を維持できます。一方で、低温環境では硬化しやすく、コストも高いため、用途に応じた慎重な選定が求められます。

4. エチレンプロピレンゴム (EPDM)

エチレンプロピレンゴム (EPDM) は、耐熱性・耐オゾン性・耐候性に優れ、水系流体やブレーキ液に適したシール材です。特に、冷却水システムや蒸気ラインのシール材として広く採用されており、150℃程度までの高温環境下でも優れた耐久性を発揮します。

また、電気絶縁性にも優れ、自動車のウェザーストリップや電気部品のシールにも使用されます。ただし、鉱油系の潤滑油や燃料には適さず、エンジンオイルやガソリンが接触する用途には使用できません。

5. スチレンブタジエンゴム (SBR)

スチレンブタジエンゴム (SBR) は、耐摩耗性に優れ、コストパフォーマンスの良い汎用ゴムの一つです。自動車のブレーキシステムに使用されるシール材として採用されており、摩耗しやすい部位でも長期間の使用に耐えられます。

また、耐衝撃性や弾性にも優れていますが、耐油性や耐薬品性には劣るため、工業用油や化学薬品を扱う用途には適していません。耐熱温度は約-50℃~100℃程度で、寒冷地でも比較的柔軟性を維持できる点が特徴です。

6. ウレタンゴム (AU)

ウレタンゴム (AU) は、耐摩耗性・耐熱性・耐オゾン性に優れた高強度のシール材で、特に建設機械や油圧システムのシールとして使用されています。他のゴムと比べて高い機械的強度を持ち、圧縮永久歪みが少なく、長期間の使用でも劣化しにくいのが特徴です。

また、硬度調整範囲が広く、用途に応じた最適な弾性を実現できます。耐油性にも優れていますが、水分や湿気の多い環境では加水分解を起こす可能性があり、適切な環境での使用が求められます。

金属丸棒

金属丸棒とは

金属丸棒とは、一定の直径を持つ円柱状の金属製品です。

一般的に金属丸棒は金属材料を棒状に成形したもので、鋼やアルミニウム、真鍮、など様々な金属材料で作られます。高精度の加工が可能な点も特徴で、製造業における重要な素材の1つです。

直径や長さ、材質に応じて様々な用途に使用されます。例えば建築や構造物の補強、機械加工、工具製造、自動車や航空機の製造が主な用途です。また表面処理や加工方法によって、強度や耐久性、耐食性などの性質が向上する場合があります。

金属丸棒の使用用途

金属丸棒の使用用途は主に下記の通りです。

1. 建築

建築物の耐震補強や橋梁の補修に利用されます。

2. 機械加工

軸や歯車やボルトなどの部品製造に適しています。

3. 工具製造

ドリルビット、バイト、グラインダーなどの工具に使用されます。

4. 機械製造

車体フレーム、サスペンション、エンジン部品などの機械部品に用いられます。

5. 船舶の製造

船体フレーム、ステアリング機構、モーターマウントなどに活用されます。

6. 鉄道の車両製造

車体フレーム、車輪、枕木などで利用されます。

金属丸棒の性質

金属丸棒は、金属の特性を活かして形状や性能を調整し、幅広い用途に対応できます。

1. 加工性

金属丸棒は、切削加工や曲げ加工、穴あけ加工など、様々な加工方法で形状を変えられます。下記加工方法の組み合わせにより、様々な形状の金属丸棒を製造でき、用途に合わせて使用可能です。

  • 切削加工
    切削加工は、切削工具を使用して金属丸棒を所定の形状に切り取る加工方法です。金属丸棒を切削加工することで、直線的な形状や円筒形状など、様々な形状が作れるため精度の高い丸棒を製造できます。
  • 曲げ加工
    曲げ加工は、金属丸棒を曲げたり折り曲げたりする加工方法です。この方法によって曲線的な形状や角度がついた形状を作れます。
  • 穴あけ加工
    穴あけ加工は、金属丸棒に穴をあける加工方法です。主にドリルやタップやボーリングマシンが使用され、金属丸棒に穴をあけます。

2. 耐食性・耐摩耗性

金属丸棒は、表面処理による耐食性や耐摩耗性向上が可能です。表面処理には、めっき処理、塗装、焼き入れ、熱処理などの方法があります。

  • めっき処理
    めっき処理は、金属丸棒の表面に金属や合金を電気化学的にめっきすることで耐食性や外観の改善を図る方法です。めっきには、亜鉛クロムニッケルなどが使用されます。
  • 塗装
    塗装は、金属丸棒の表面に塗料を塗ることで、耐食性や防錆性を向上させる方法です。塗料には、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂などが使用され、塗装後は外観や保護性が向上します。
  • 焼き入れ
    焼き入れは、金属丸棒を高温で熱処理することで硬度や強度を向上させる方法です。焼き入れによって、金属丸棒の耐摩耗性や耐久性を向上できます。鋼やステンレスなどの金属に使用されます。
  • 熱処理
    熱処理は、金属丸棒を熱処理することで硬度や強度を変化させる方法です。熱処理には、焼き入れの他にも焼き戻し、焼きなまし、奥深焼きなどがあります。

金属丸棒の表面処理によって耐久性や耐摩耗性が向上、製品が長寿命化する点がメリットです。また外観の美しさも向上できます。表面処理は金属丸棒の用途や使用環境に応じて、適切な方法の選択が重要です。

金属丸棒の選び方

金属丸棒を選ぶ際には、使用用途や環境に適した材質、サイズ、表面処理を基準に検討します。

1. 材質

耐久性、軽さ、耐食性、導電性、加工性など、求められる特性を明確にし、材質を選びます。高い強度が必要な建築材や機械部品には鋼や鉄の利用が一般的です。航空機や電子機器部品には、軽量で切削や曲げ加工がしやすいアルミニウムが適します。

2. サイズ

金属丸棒は、用途に応じて様々なサイズが製造されており、それぞれ異なる特性があります。

建築
建築用途には太いサイズの丸棒が使用されます。建築物の柱や梁、壁などの構造物の補強材料として使用されるため、強度や耐荷重性が求められて太いサイズの丸棒が選択されます。

医療
医療機器のような精密な用途には細いサイズの丸棒が必要です。例えば骨折した骨を固定するための金属プレートなどに使用されます。また試験管ホルダーなどの細かな部品も細いサイズの丸棒から製造されます。

3. 表面処理の種類

耐久性や外観を考慮し、適切な表面処理が施された金属丸棒を選びます。屋外設備や配管には、さびを防ぎ耐食性を向上するめっき処理が適します。工具や自動車部品など硬度や耐摩耗性を重視する場合、熱処理された金属丸棒を選びます。

金属丸棒のその他情報

金属丸棒から作られる製品

金属丸棒から作られるものには、以下のようなものがあります。

  1. ねじ
  2. スプリング
  3. ワイヤー
  4. ロッド
  5. ピン
  6. 鉄骨

ボルトクランプ

ボルトクランプとは

ボルトクランプとは、ボルトでクランプ (英: clamp) するものを指します。

ボルトクランプで固定するものにはチューブやパイプといった管材が一般的です。ボルト付きクランプとも言われ、固定されたところから管材が抜けるのを防止します。また、ボルトクランプは管材同士の固定、管材を天井などに固定する場合にも使用可能です。

使用されるボルトは、ボルト先端で物を固定できるようフラット面にしたものがあります。他にも、ボルトの軸心に対し、偏心した頭部で物を固定するなど、工夫された形状のものが数多く存在します。

ボルトクランプの使用用途

ボルトクランプは、締め付け力を利用して部品や構造物を安定させるため、多くの場面で使用されています。

1. 配管の固定

ボルトクランプは、建築や工業分野で配管を固定するために欠かせない部品です。固定される主な配管の種類は次のとおりです。

  • 水道管などの建築物内配管
  • 工場内の流体を通す配管
  • 高圧ガス配管

適切に使用することで、配管の位置を固定するだけでなく、外的要因による損傷を防ぎ、長期間にわたって安定した運用ができます。

2. ホース接続部の締結

ボルトクランプは、液体や気体が通るホースの接続部で漏れを確実に防ぐものです。固定される主なホースは下記になります。

  • 自動車エンジンの冷却水や空気が通るホース
  • 農業機械や建設機械の油圧ホース
  • 高温や高圧環境下のホース

ボルトクランプは高い締め付け力を持ち、振動や圧力変化に強いため、自動車や産業機械などの厳しい条件下で特に有用です。

3. シャフトや支柱の固定

ボルトクランプは、円柱形の部材も固定できるため、シャフトや支柱の固定にも利用可能です。主な支柱は下記になります。

  • 建築現場や公共施設の手すりや安全柵
  • 機械部品の支持シャフト
  • 壁に取り付ける配管支持具

構造がシンプルで取り付けや取り外しが容易であるため、一時的な現場でボルトクランプは大いに使用されます。

ボルトクランプの原理

ボルトクランプは、締結力と摩擦力を利用して部品を固定する締結方法です。ボルトを締め付けることで軸方向に引張力 (軸力) が発生し、締結部材が圧縮されます。そのため、接触面に強い摩擦力が生じ、部材同士がずれないように固定できます。

ボルトクランプの性能を決める要素は、締め付けトルク、材質、摩擦係数です。適切な締め付けトルクを設定することで、ボルトが十分な軸力を発生させ、摩擦力が得られます。しかし、過剰な締め付けはボルトの破損や材料の塑性変形を引き起こし、不十分な締め付けは緩みによる締結不良の原因となります。そのため、トルク管理が重要であり、トルクレンチやテンション制御ボルトなどを用いることで適切な締結力が可能です。

また、振動や衝撃による緩みを防ぐために、ばね座金やナイロンナット、二重ナットなどの緩み止め手法が用いられます。特に高力ボルトを使用した場合は、通常のボルトより高い摩擦接合と疲労強度を持ち、振動や衝撃による緩みにも強い特性があります。

ボルトクランプの種類

ボルトクランプの代表的な種類は下記のとおりです。

1. Uボルトクランプ

UボルトクランプはU字形状のボルトを用いたクランプです。主に円柱状の部材 (パイプやシャフト) を固定するのに使用されます。両端にナットを取り付けて締め付けることで部材を挟み込むことが可能です。そのため、配管や支柱の固定や取り外しが容易にできます。

2. Tボルトクランプ

TボルトクランプはT字型の締め具を備えたクランプです。高い締め付け力を必要とする場面で用いられ、自動車や産業機械でホースの接続部を固定するなど、強固に接続することができます。

3. Jボルトクランプ

JボルトクランプとはJ字型に曲げられたボルトを使用し、部材を固定するクランプです。特定の構造物を引っ掛けるようにして据え付けられるのが一般的な使用方法です。

4. Vボルトクランプ

Vボルトクランプとは、断面がV字型の特殊形状を持つボルトクランプです。クランプがV字であるため、L字アングル材などの特殊形状の部材に密着して強固に接続することが可能です。また、L字部材であっても力が均等に分散されて締め付けられるため、応力集中を防ぐことができます。

5. Cボルトクランプ

CボルトクランプとはC字型のクランプフレームで、ボルトによって固定力を調整できるクランプです。脱着が容易であるため、溶接作業や木工など、一時的に部品を固定する作業に多用されます。

ボルトクランプの選び方

ボルトクランプの選定方法は主に次の3つです。

1. 用途に応じた形状を決める

ボルトクランプを選ぶ際は、使用目的に適した種類を選ぶことが基本です。たとえば、Uボルトクランプは配管やシャフトの固定に適しており、特に建築現場や機械の支持構造に使われます。

他にも、Tボルトクランプは高い締め付け力が求められる用途で役立ち、主に自動車エンジンや高圧ホースの接続に使用されます。目的に合ったクランプ形状を選ぶことで、適切な締結力と安全性が得られるのです。

2. 材質やサイズを確認する

材質やサイズの選定は、クランプの性能を最大限発揮させるために必要です。たとえば、ステンレス製のクランプは耐腐食性に優れ、湿気や薬品の影響が大きい環境での使用に適しています。

一方、炭素鋼製はコストを抑えつつも十分な強度を持っています。さらに、特殊合金は高温や摩耗が激しい環境で使用する際に最適です。対象部材の直径や厚みに合ったものを選ぶことが、安定した固定を実現するための重要なポイントです。

3. 作業効率とコストを考慮する

ボルトクランプを選ぶ際には、作業効率とコストパフォーマンスも重要です。頻繁に着脱が必要な場合、簡単に取り付けられるボルトクランプを選ぶと、作業時間を短縮できます。

しかし、価格だけに注目すると、安全性が低下し故障や交換頻度が増え、結果的にコストが上昇することがあります。初期投資と長期的なメンテナンス費用のバランスを考えた選択が重要です。

ストリッパボルト

ストリッパボルトとは

ストリッパボルト (英: Stripper bolt) とは、金型やコイルバネ機器などの産業用途で広く使用される特殊なボルトです。

頭部、胴部、ねじ部の3構造からなっており、ボルトの頭下から一部のねじを一段太くした胴部があるのが特徴です。特にプレス金型では位置決めとガイドという重要な役割があり、上下に動くストリッパプレート (材料を抑える部品) の動作を安定させるために欠かせない部品で、「段付きボルト」とも呼ばれます。

ストリッパボルトの使用用途

1. 金型での使用

図1. 金型の例

ストリッパボルトは、金型のストリッパプレートを吊り下げ、その上下可動域を規制する役割を担います。バッキングプレートの穴をガイドにして複数のストリッパボルトにより吊り下げられたストリッパプレートは、金型が下降する際にストリッパボルトをガイドにして下型に当たり、上下の金型を押し付けます。

型バラシ時には、上型が上昇することでストリッパプレートが離れ、成型品や下型を上型から円滑に離すことが可能です。複数のストリッパボルトを使用してその胴の長さでストリッパプレートの位置を規制しています。ストリッパボルトの胴部の長さにバラツキがあると、ストリッパプレートの傾きや金型の機能不全を引き起こす可能性があるため、ストリッパボルトの胴の長さの精度が重要視されます。

2. コイルバネのガイドおよびストッパ

ストリッパボルトは、金型以外にもコイルバネにより上下する機器において、胴部がバネのガイドを兼ねることで安定した動作を実現し、上下ストッパとしても機能します。

3. 上下摺動部のガイド

ストリッパボルトは、胴部を摺動のガイドとして利用できるため、簡易的な上下摺動部としても使用可能です。ただし、ボルト軸心方向の引張負荷には対応可能である一方、横方向の力や曲げ負荷が加わる設計は避ける必要があります。

ストリッパボルトの原理

ストリッパボルトの構造は、ボルト頭下の胴部によって特徴付けられます。この胴部は、外径がはめあい公差 (公差クラス g6やh7など) で精密に仕上げられており、同部の長さでストリッパプレートの上下動範囲を規制する構造です。また、胴部の長さも一定の公差内で管理されており、高い精度を持つことが求められています。

段付き構造により、頭部外径に対するねじ径は一般的なボルトより小さく設計され、頭の六角穴など締め付け部はねじ径に合わせたサイズです。材質には炭素鋼、クロムモリブデン鋼、ステンレス鋼を使用し、焼き入れや表面処理によって強度や耐摩耗性が向上しています。これにより、多くのストリッパボルトは高張力ボルトに匹敵する、もしくはそれ以上の強度を持っています。

ストリッパボルトの種類

1. おねじ式ストリッパボルト

図2. おねじ式ストリッパボルト

おねじ式は、端部のねじ部がおねじ (ボルト) になっており、相手側タップ穴に直接ねじ込むことができるタイプです。一部品で固定が可能ですが、ねじ部根本のヌスミ部分で応力集中が発生しやすいため、特に軸心の横荷重には注意が必要です。

2. めねじストリッパボルト

めねじ式は、端部のねじ部がめねじ (ねじ穴) になっており、相手側は裏面から別のボルトで固定するタイプです。胴部にスパナ溝が付いたものもあり、固定用ボルト締め付け時の利便性が向上しています。固定用のボルトが増え両側から締め付ける必要がありますが、おねじ式での応力集中の発生は少なく、用途により確実に固定することができます。

3. ブッシュ式

ブッシュ式は、締め付けボルトと胴部にあたるつば付きブッシュまたはスペーサとワッシャに分割されており、ねじ部と胴部が分離した構造です。このため応力集中の発生が少なく、片側からの締め付けが可能です。ただし、最低肉厚が必要なため、胴部が他のタイプより大径になります。

4. 頭部形状

ストリッパボルトの頭部は、ダイセットから飛び出させないため、ザグリ穴で埋められる六角穴付きボルト頭が主流です。それ以外に、六角穴付きボルトと同様に頭高さを低くした低頭型や、工具を使わず締め付けられる大径で外周をローレット加工したものもあります。

樹脂プレート

樹脂プレートとは

樹脂プレートとは、ポリカーボネートや塩化ビニルなどの合成樹脂を板状に成形したものです。

材料の種類や配合、形状、色調によって、多種多様な機能を発現します。樹脂プレートは、ディスプレーやショーケースなど日常で目にする用途をはじめ、建築資材や畜舎用資材、半導体製造用装置に至るまで非常に幅広い用途に用いられています。

樹脂プレートの使用用途

樹脂プレートは、日常生活でも目にする一般的な用途から、建築、畜産、半導体製造装置などの産業用途まで幅広く使われています。代表的な使用用途は、以下のとおりです。

1. ポリカーボネート樹脂プレート

ポリカーボネートプレートは、数ある樹脂プレートの中でも耐衝撃性や機械的強度に秀でた特徴を持ちます。屋外で使用するのに必要な耐候性にも優れており、自己消化性も持つことから、カーポートや波板、屋根材などの建築資材に用いられています。耐衝撃性を活かし、防弾ガラスにも使われています。

2. 塩化ビニル樹脂プレート

塩化ビニルプレートは、古くから使われている歴史のある樹脂プレートです。強度が優れているのに加え、加工も容易であるため文房具やディスプレイなど、多彩な分野で使われています。また、樹脂配合の種類が豊富で高い耐薬品性や難燃性を付与することができることから、半導体製造装置にも用いられています。

3. ポリエチレンテレフタレート樹脂プレート

ポリエチレンテレフタレート樹脂はPET樹脂とも呼ばれ、日常でよく目にするPETボトルの原料です。この樹脂を成形したプレートは比較的価格が安く、加工が容易という特長を持ちます。また、完全燃焼した場合、有害ガスが発生せず二酸化炭素と水に分解されるのも利点です。

4. ABS樹脂プレート

ABS樹脂は、アクリロニトリルブタジエンスチレンの共重合体で耐薬品性に優れています。それを成形したプレートは塗装が可能なため、電気機器や自動車部品として活用されています。

5. フェノール樹脂プレート

フェノール樹脂プレートの大半は、木質材に樹脂を含侵させた後に真空条件下で加熱し成形されます。比較的高価ではありますが、その絶縁性と強度を活かし、変圧器や配電盤用の板材として用いられています。

6. メラミン樹脂プレート

メラミン樹脂プレートは家具やキッチンなどの化粧板として良く使われます。紙にメラミン樹脂を含侵させて加熱して成形します。耐熱性が高く傷つきにくい特徴を持つことから化粧プレートの代名詞とも呼ばれています。

樹脂プレートの特徴

樹脂プレートは、使われる樹脂の種類によって大きく2つに分類されます。1つ目は熱可塑性樹脂プレートで、加熱により柔らかくなる性質の材料を成形したものです。

もう1つは熱硬化性樹脂プレートで、こちらは熱を加えると固くなる性質の樹脂を成形したものです。それぞれ特徴が異なるため、用途を考慮した上で適切な方を選択する必要があります。

1. 熱可塑性樹脂プレート

熱可塑性樹脂は、樹脂それぞれが溶融する温度まで加熱すると柔らかくなり流動化し、冷却すると硬化する特性を持ちます。熱で柔らかくなると聞くと耐熱性が低いと思われるかもしれませんが、その反面、熱で複雑な形状に加工することが可能です。

製造工程で発生した端材や一般流通の後に回収した材料をリサイクルできるなどの利点も有しています。代表的な熱可塑性樹脂プレートとして、ポリカーボネート、塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ABS樹脂プレートなどが挙げられます。

2. 熱硬化性樹脂プレート

熱硬化性樹脂は、樹脂あるいは硬化剤が架橋反応を開始する温度まで加熱すると固くなる特性を持ちます。一回硬化すると、再度熱を加えたとしても軟化することはありません。代表的な熱硬化性樹脂プレートとして、フェノール樹脂、メラミン樹脂プレートなどが挙げられます。

樹脂プレートのその他情報

1. 樹脂プレートの成形方法

樹脂プレートの成形する際は、各樹脂の特性に適した方法を選択する必要があります。例えば、ポリカーボネートや塩化ビニルなどの熱可塑性樹脂の場合、押出成形が良く用いられます。

押出成形とは、押出機の中に樹脂を投入し、加熱しながら混錬することで溶融状態にした後、冷却ロールで冷やしながら厚みなど品質を整える成形法です。

一方、フェノールやメラミン樹脂などの熱硬化性樹脂の場合、プレス成型が良く用いられます。プレス成型では、木質材料は紙に硬化する前の液状の樹脂と硬化剤を含侵させ、プレス機で熱と圧力をかけて硬化させる成型法です。

樹脂ロッド

樹脂ロッドとは

樹脂ロッドとは、樹脂を棒状に加工した製品の総称です。

プラスチックロッド、プラスチック丸棒とも呼ばれます。汎用のプラスチックから、高い性能を有するスーパーエンジニアリングプラスチックを用いたものなど、材料の種類に応じて幅広い製品を造ることができ、その種類は数百種類にのぼります。難燃性や導電性など特殊な機能を付与したグレードもあります。樹脂ロッドは原料となるプラスチックを溶融させて押出成形するか、材料を金型に投入して圧縮成形することにより製造されます。

樹脂ロッドはその形状のまま使われることは稀で、ほとんどはギアやベアリングなどの形状に切削加工されて使用されます。

樹脂ロッドの使用用途

樹脂ロッドは、その性能に応じて産業用機械から半導体業界、医療分野に至るまで幅広い分野で使用されています。以下に、代表的な使用用途を紹介します。

1. 産業機械の部品

樹脂ロッドは、耐久性や軽量性を活かして、機械や装置の部品として使用されます。具体的には、機械要素の軸受け、歯車、バネなどの部品に応用されています。

2. 自動車用部品

樹脂ロッドは金属部材に比べて軽量で、かつ耐久性が良いため、自動車用の部品として使われています。例えば、ドアハンドルの部品や軸受けなどには摺動性の良いPOM樹脂製の樹脂ロッドの加工品が使われています。また、バンパーやダッシュボードを補強する部品としても使われています。金属が使われていた部分を樹脂に変えることで、軽量化されるだけでなく、燃費の向上にも役立っています。

3. 電子機器

樹脂ロッドは金属とは異なり、優れた電気絶縁性を持ちます。この特性を利用して、電気製品や電子機器内の絶縁材として利用されています。具体的には、プリント基板のコネクターや端子、ハウジングなどで使用されており、信頼性と安全性を向上させます。

4. 建築資材

建築資材の分野でも樹脂ロッドが広く使われています。プラスチックは金属に比べて熱伝導率が低いため、窓枠として使われることで冷暖房にかかる電気使用量を削減できます。またその高い耐久性を活かし、照明器具の部品やドアのハンドルなどにも用いられています。

5. 医療機器

医療分野では、樹脂ロッドが耐化学性や生体適合性を活かして使用されます。医療機器の部品や器具、プロテーゼなどに適用され、患者の安全性と快適性を確保します。

6. 農業用具

農業分野でも、樹脂ロッドが農業用具の一部に組み込まれています。ネットや支柱の補強、農薬散布器のパーツなどに利用され、耐候性や長寿命性が求められます。

樹脂ロッドの原理

樹脂ロッドはその優れた特徴から、幅広い分野で使用されています。以下に、それぞれの特徴点について詳しく説明します。

1. 軽量性

樹脂ロッドは金属に比べ軽量であるにもかかわらず、容易に壊れない強度と耐久性を持ち合わせています。この特長を生かして補強材や構造用部品として使用され、重量の軽減に寄与しています。

2. 加工性

樹脂ロッドは棒形状のまま使用されることは稀で、ほとんどがCNCという切削加工によって所望の形状に加工されて使用されます。部品ごとに金型を用意する必要がなく、金属では難しい複雑な形状やデザインにすることができますが、加工時の熱で変形する可能性がある為、熱膨張や冷却時の収縮の影響に注意する必要があります。工具との接触面積を必要最小限にした方が良いでしょう。

3. 化学的耐性

ポチエチレン、ポリプロピレン、フッ素系樹脂で作られた樹脂ロッドは、薬品や腐食物質に対して耐性を持っており、化学物質がある環境下でも変質しにくいです。このため、化学業界や研究分野で使用されることが多いです。

4. 電気絶縁性

樹脂ロッドは電気を通さない性質を持ちます。これが、電子機器や電気部品の絶縁材として広く利用される理由です。

5. 断熱性

熱を伝導しづらい性質を持つため、断熱材や熱絶縁材として使用されることがあります。建築や工業分野で、高温や低温からの保護に役立てられます。

樹脂ロッドの種類

1. ポリエチレン (PE) ロッド

ポリエチレン樹脂製のロッドで、耐久性や耐薬品性に優れており、軽量でありながら十分な強度を持っています。耐薬品性を活かし、化学物質や薬品に触れる環境で使用されることが多いです。

2. ポリプロピレン (PP) ロッド

ポリプロピレン樹脂製のロッドで、耐熱性と電気絶縁性に優れています。食品業界や電子機器の絶縁材として利用されることがあります。

3. ポリウレタン (PU) ロッド

ポリウレタン樹脂から作られ、優れた弾力性や耐摩耗性を持っています。機械部品や車両部品の製造に使用され、クッション性が求められる場面で重宝されます。

4. 塩化ビニル(PVC) ロッド

塩化ビニル、いわゆるPVC樹脂から製造され、耐候性や耐薬品性があります。建築材料や水処理機器の部品として広く利用されています。

5. アクリル (PMMA) ロッド

ポリメチルメタクリレート (アクリル) 樹脂を使用して作られる透明なロッドです。光透過性に優れ、看板や装飾品、照明部品などに使用されます。

6. デルリン (POM) ロッド

ポリアセタール樹脂を原料として成形したロッドで、耐摩耗性や低摩擦性を持ちます。機械部品や歯車、軸受などに使用され、摺動性が必要な環境で重宝されます。

7. ナイロン (PA) ロッド

ポリアミド樹脂から造られ、耐摩耗性や耐薬品性に優れています。ギアやベアリング、軸受など、高摩擦環境での使用に適しています。

8. フッ素樹脂 (PTFE) ロッド

フッ素樹脂を成形した樹脂ロッドで、非常に高い耐熱性と化学的安定性を持ちます。耐腐食性が求められる環境や高温の条件下で使用されます。具体的には、実験機具のコックや逆上弁のポールなどに使用されています。

小径ボルト

小径ボルトとは

小径ボルトとは、ボルトの中でも特に頭部の径が小さいもののことです。

頭部の形状は六角形や六角穴付きなどさまざまで、明確な規格や分類はありませんが、一般的には直径が2mm未満のものが該当します。ただし、時計用のビスなどに限定されるため、小径ボルトはあくまで「頭部が小さいボルト」として柔軟に捉えるのが適切です。

また、小径ボルトは機能性だけでなく、美観や設計の自由度を高めることを目的として使用されます。そのため、使用される環境や用途に応じて多様な種類や形状が製作されています。

小径ボルトの使用用途

小径ボルトは、見た目を損なわずに固定力を発揮するため、特に目立たせたくない箇所で使用される部品です。

埋め込み型のデザインが一般的で、装置の外装面に自然に馴染むよう設計されています。利用分野は多岐にわたり、電気・電子機器や産業用装置、美観を重視する高級装身具、眼鏡、スマートフォンなどが挙げられます。

これらの製品では、小径ボルトの小型で控えめな頭部形状が採用されることで、デザイン性と実用性の両立が可能です。また、機器の小型化が進む中で、小径ボルトはスペースの限られた環境での使用に最適です。さらに、必要に応じて特殊な加工や表面処理が施されていて、耐久性や防錆性が高いものもあります。

小径ボルトの原理

小径ボルトは、小さな頭部形状と限られたスペースでも十分な機能を発揮できる設計が特徴です。

例えば、小頭ねじや低頭ボルトとも呼ばれるタイプは、標準的なねじに比べて頭部が大幅に低く、超低頭タイプではわずか1.5mm程度まで薄型化されています。この特徴により、スマートフォンやモバイル機器といった小型化が進む製品に対応可能です。また、独自の工夫として、一般的な工具で外せない特殊な溝を設ける「いたずら防止仕様」や、メッキ処理の変更、フランジ付き加工などが挙げられます。

これにより、小型化と強度、耐久性のバランスが向上します。さらに、ねじ特有の緩みを防ぐ対策を施されているものや、使用環境に応じた設計により信頼性の高いねじを実現が可能です。

小径ボルトの種類

小径ボルトは、その多様な種類によってさまざまな用途や環境に対応しています。

1. 代表的な種類

六角穴付きボルト、低頭ボルト、小頭ボルト、皿小ねじ、なべ小ねじ、平小ねじ、止めねじなどがあります。これらは形状や機能により、設計上の要求や使用環境に適した選択が可能です。

2. 形状による分類

リセス形状 (溝形状) も六角、十字、ヘクサロビュラ (星形) 、いたずら防止型など多岐にわたります。さらに、脱落防止機能やガス抜き穴を備えた特殊仕様のボルトも存在し、高精度を求められる産業分野で使用されています。

3. 材質による分類

鉄やステンレスに加え、チタン、りん青銅、モリブデン、樹脂製 (PEEK、PC、PPS) などが選べ、耐熱性や耐腐食性を求める用途に対応可能です。

小径ボルトの選び方

小径ボルトを選ぶ際は、使用環境や設計条件に応じて、材質、形状、サイズを慎重に検討する必要があります。

1. 材質

耐熱性が求められる航空機エンジン周辺では、耐熱性に優れたチタン製やモリブデン製のボルトが選ばれます。一方で、軽量化が重要な電子機器やスマートフォンには樹脂製 (PEEKやPC) のボルトが適しています。

2. 形状

外観を損なわない埋め込み型の設計が求められる高級装身具では、皿小ねじや低頭ボルトが使用されます。さらに、振動や衝撃が多い産業用機械では、脱落防止機能付きの六角穴付きボルトが推奨されます。

3. サイズ

M1.4やM2などの微細な規格が、精密機器や光学機器の組み立てに適しており、狭いスペースにも対応可能です。また、食品工場や医療機器では、耐腐食性と清掃性が求められるため、ステンレス製のボルトが選ばれることが一般的です。

シューター

シューターとは

シューターとは、ものを落とす仕組みや物品の総称です。

重力を利用して物を移動や射出する装置全般を指します。シューターという名称と、その前後に「シューター」をつけた商品は数多く存在し、そのほとんどは商標登録され更新されています。例えば、ダブルシューターという名称は「区分5: 殺虫剤 (農薬にあたるものに限る) 」で外国企業が権利者となって登録し、更新中です。

このようにシューターという言葉は様々な業界で用いられ、重要な役割を果たします。

シューターの使用用途

シューターと名付けられた機械や器具は、様々な分野で使われています。その用途は多岐にわたり、産業界から日常に至るまで広く浸透しています。

1. 工場や倉庫での活用

シューターは、工場の生産ラインや倉庫などで広く使用されています。これは、シューターの特性である重力を利用した物の移動が、効率的な物品の運搬や保管に役立つためです。傾斜を利用することで、適切な速度で物を流すことができ、自動化にも適しています。

2. 建築関連での利用

シューターは、建築関係でも重要な役割を担っています。屋外・屋内に設けられた配管システムとして用いられ、建物の排水や給水などに活用されています。パイプ状のシューターを使うことで、水や空気などの流体を効率的に移送することが可能です。

3. その他の商品への応用

シューターは、釣具や自動車、ビールといった様々な商品にも使われ、それぞれ商標登録がなされています。釣り具では、ルアーを投げ出すためのそうちとしてシューターが用いられます。自動車では、燃料噴射装置などにこの名称がつけられます。

 シューターの原理

シューターの基本的な原理は、重力を利用して物を落下させる点にあります。傾斜を付けることで、物品を自然に移動できます。この原理を応用し、ラックやコンベアなどの形で実現することで、効率的な物の移動や射出を可能にしています。

傾斜角度を調整することで、移動速度をコントロールしたり、一時的に物を留めることが可能です。また、パイプ状の構造にすることで、液体や気体の移送にも活用されています。重力によって流体が流れ落ちる性質を利用し、効率的な移送を実現しています。

シューターの構造

シューターの具体的な構造は、用途によって異なりますが、基本的には傾斜や管状の形状を持つことが特徴です。

1. ラックやコンベアの場合

ラックやコンベアタイプのシューターの場合、傾斜した棚や搬送路を持つことが一般的です。棚の傾斜角度を調整することで、物品の移動速度をコントロールします。また、複数の棚を組み合わせることで、多段式のラックを構成することも可能です。

2. 配管システムの場合

配管システムとして用いられるシューターの場合は、パイプ状の構造を持ち、重力の作用で液体や気体を移送します。途中の弁などで流量を調整したり、方向を変えたりすることが可能です。また、複雑な配管網を構成することで、建物全体の水や空気を管理できます。

3. その他の商品の場合

シューターは、釣り具や自動車など専門的な分野で用いられることがあり、それぞれの用途に特化した構造を持っています。例えば、釣り具のシューターは、ルアーを勢いよく飛ばすための機構を備えています。また、自動車の燃料噴射装置では、高圧で燃料を霧状に噴射するための精密な構造が必要です。

シューターの特徴

シューターの特徴は、以下のようにまとめられます。

1. 重力を利用した効率的な移動

シューターは重力を巧みに利用することで、物品を効率的に移動させることができます。動力を必要とせず、シンプルな構造でありながら高い機動性を発揮するのが特徴です。

2. 幅広い用途と応用性

シューターは、工場や倉庫、建築、釣り具、自動車など、実に様々な分野で活用されています。その応用性の高さは、シューターという言葉が多くの業界で用いられ、商標登録されていることからも分かります。

3. 商標登録の多様性

商標「シューター」は「09」「12」「28」「32」「33」「42」などの多岐にわたる区分で登録されています。また、シューターの前後につけた商標は、サービス商標である「役務」の区分を含め、非常に多くの区分に及んでいます。

区分09
眼鏡、水中眼鏡、サングラス、救命器具、自動膨張式救命胴衣用ボンベ

区分12
自動車並びに、部品および附属品、陸上の乗物用の動力機械器具、軸、軸受け、軸継ぎ手、ベアリング、動力伝導装置、緩衝器、ばね、制動装置、乗物用の交流電動機または直流電動機、乗物用盗難警報器

区分28
釣り具

区分32
ビール、ビール風味の麦芽発泡酒

区分33
日本酒、洋酒、果実酒、中国酒、薬味酒

区分42
役務 (サービス商標) 

コンタクトピン

コンタクトピンとは

コンタクトピンとは、圧着端子で構成された電気信号の接続用の部品です。はんだ付けが困難な箇所や配線ケーブルを最短でつないでコンパクトにまとめたい場合によく用いられます。個々にモジュール化されており、各々のコンタクトを交換したり再利用も可能です。さまざまな規格があり、なかには基板へ直接接続するタイプもあります。

材質は、一般に黄銅(真鍮)、純銅およびリン青銅であり、金メッキやスズでさび止めの表面加工がされています。リン青銅を使うことで柔軟性が向上します。純銅は、電源供給用に用いられています。

コンタクトピンの使用用途

コンタクトピンの使用用途には、電線ケーブル間同士の接続やFA機器・電子機器用のピンソケットタイプのコネクタ端子用途など、その形態は豊富です。

また、各種ICやモジュールの評価ボードの電源接続用端子、データ通信用LANボードや航空宇宙産業向け機器の制御ライン向けなど、幅広い産業向けの用途で用いられているのが特徴です。

なお、使用用途に応じて、ピンの形状やサイズは異なっていますので、選択するコンタクトピンの仕様には注意が必要です。

コンタクトピンの原理

コンタクトピンは、一般にコンタクトとも呼ばれ、オスとメスのタイプがあります。ピンコンタクトがオス、ソケットコンタクトがメスであり、オスはポスト、メスはハウジングとも呼ばれています。

基板との接続の場合には、ベース付ポストといわれる基板に接続するコネクタをハウジングと対で用います。このように電線ケーブルと接続したコンタクトピンは、コネクタを介して基板側の配線と電気的に接続します。

各々のコンタクトピンは、ケーブル電線と一般に圧着接続にて電気的に接続します。圧着が必要な箇所は、2箇所であり、中央は芯線を圧着するための芯線部、外側は被覆とともに締め付けて電線ケーブルを固定する被覆部です。中央の芯線部は、芯線バレルの名称もあり、ケーブルとともに締め付けます。被覆部は、被覆バレルとも呼ばれます。

コンタクトピンの電線ケーブルとの圧着には、専用の圧着工具を用いますが、ピンのサイズ範囲に合わせて工具の選定が必要です。

コーナーブラケット

コーナーブラケットとは

コーナーブラケット (英: corner bracket) とは、パネル類のコーナー部を保護したり補強したりするための材料です。

また、手すりなどのコーナー部分を固定する用途にも用いられます。コーナーブラケットは主にパネルや機器の取付け・位置決め、補強をはじめ、コーナーの保護や汚れ防止、コーナーにぶつかっての怪我や破損の防止など、使用目的はさまざまです。材質にはアルミやステンレスなどの金属や樹脂などが使用され、取り付け用の穴が加工された製品が一般的です。

コーナーブラケットの使用用途

コーナーブラケットは多用途に利用され、以下のような場面で使用します。使われている材質は、屋内では樹脂やアルミが多く、屋外ではステンレスなどの耐環境性能に優れた金属類が主流です。中には、補強金具と称する建材もあります。筋交いを固定するコーナー部や土台・梁のコーナーに使う金具で、建物の地震対策に多く使われます。

1. 装置や機器のコーナー部分への固定

電気・電気機器などの装置の背面コーナー部に取付けたり、防犯用カメラを天井のコーナーに取付けるために使用されます。

2. パネル類の補強と保護

絵画や写真の額、ポスターフレームなどのパネル類のコーナー部を保護、補強します。

3. 手すりの接続

屋内外の手すりのコーナー部の接続箇所に利用されます。安全性を高める目的もあります。

4. 防水性の向上

冷蔵機器や冷凍機器のコーナー部などに取付けられたゴムパッキンの押さえ、防水性向上といった目的で使用されている製品もあります。

5. 建材や建具の補強

コーナーブラケットが多く使用されている分野として、ドア、窓、建具、建材などの建物関連が挙げられます。

コーナーブラケットの原理

コーナーブラケットは、物理的な補強原理に基づいて機能します。部材と部材が交差する接合部に取り付けることで、力が分散され、接合部の強度を高めることができます。特に、直角接合部では、コーナーブラケットが支点となり、外力による変形や歪みを防ぐ役割を果たします。

固定方法としては、ネジやボルトを使用するのが一般的です。取り付け穴があらかじめ設けられている場合が多く、これにより効率的で確実な固定が可能となります。一部のコーナーブラケットでは接着剤と併用することもあり、これによってさらなる強度が得られます。

コーナーブラケットの種類

1. 一般的なコーナーブラケットの種類

コーナーブラケットにはさまざまな種類があり、用途や環境に応じて選ばれます。以下に代表的な種類を挙げます。

L字型ブラケット
最も基本的な形状で、直角接合に特化しています。家具の補強や棚の取り付けに適しています。

三角形補強ブラケット
三角形の形状をしており、より高い強度が必要な場面で使用されます。特に重量のある棚や構造物に適しています。

T字型ブラケット
T字型の接合が必要な場合に使用されます。たとえば、柱と梁の交差部分などに利用されます。

折りたたみ式ブラケット
使用しないときには折りたたむことができるブラケットです。折り畳み式のテーブルや簡易的な棚に適しており、省スペース化が可能です。

特殊形状ブラケット
独自の形状や機能を持つブラケットで、特定の用途や設計に対応します。

2. アルミ製コーナーブラケット

突起付きブラケット
回り止め用の突起が取付け面についており、作業性が向上します。材質はADC12で、同じサイズの押出型ブラケットに比べ、低コストです。突起は取付け時の回り止めであり、作業性が向上します。

付加機能をつけた色々な種類のブラケットがあり、例として片リブブラケット、ナット止めブラケット、片側突起付きブラケット、片面長穴ブラケット、カバー付きブラケットなどが挙げられます。

押出型ブラケット
アルミ押出しで製造したブラケットです。材質はA6N01SS-T5で、表面にアルマイト処理を行っています。外観に優れ、埃が溜まりにくい構造で、突起付きブラケットより強度が高いです。

押出型ブラケットには、付加機能をつけた色々な種類のブラケットがあります。具体的には、厚型ブラケット、偏心ブラケット、不等辺ブラケット、異種サイズ接続ブラケットなどがあります。

複数列溝ブラケット
複数列溝があるフレームに使用するブラケットです。2列溝用突起付きブラケット、2列溝用押出型ブラケット、3列溝用押出型ブラケット、4列溝用押出型ブラケットなどの種類があります。