ストリッパボルト

ストリッパボルトとは

ストリッパボルト (英: Stripper bolt) とは、主に金型などに使用されるボルトです。

金型のストリッパプレートの上下可動域を規制するために使われるボルトで、名称の由来になります。ボルトの頭下から一部のネジを一段太くした胴部があるのが特徴で、形状から「段付きボルト」と呼ばれることもあります。

ストリッパボルトの使用用途

1. 金型の部品

図1. 金型の例

ストリッパボルトは、金型のストリッパプレートの上下ガイド部品です。バッキングプレートの穴をガイドに複数のストリッパボルトにより吊り下げられたストリッパプレートは、金型下降により、ストリッパボルトをガイドに下型に当たり、上下の金型を押し付けます。

型バラシの際、上型が上昇することでストリッパプレートが離れ、上型から成型品や下型を円滑に離すことが可能です。複数のストリッパボルトを使用し、その胴の長さでストリッパプレートの位置を規制するため、胴の長さにバラツキがあるとストリッパプレートが傾き、金型の機能を果たせなくなります。

このため、金型での使用ではストリッパボルトの胴の長さバラツキも重要です。

2. コイルバネのガイド及びストッパ

ストリッパボルトは、金型以外にもコイルバネにより上下する機器で、ガイドと上下ストッパを兼ねて使用されます。

ストリッパボルトの胴部がコイルバネのガイドを兼ねることで安定した動作が可能です。

3. 上下摺動部のガイド

ストリッパボルトは、その胴部をガイドにできるので、簡易的な上下摺動部として使用可能です。ただし、ボルト軸心方向の引張負荷はできますが、横方向の力や曲げ負荷はかからないように注意が必要です。

ストリッパボルトの原理

ストリッパボルトは、頭下の胴部外径で摺動のガイドとなり、胴部の長さで上下動の範囲を規制する構造です。胴部の外径は、はめあい公差 (公差クラス g6,h7など) で仕上げられており、胴部の長さも一定の公差で規制されています。

段部があるため頭部外径に対し、ねじ径は一般のボルトより小さくなり、頭の六角穴など締め付け部はねじ径に合わせたサイズとなります。材質は炭素鋼、クロモリ鋼、ステンレス鋼を使用し、強度や耐摩耗性向上のため焼き入れなどが施されます。高張力ボルトと同等以上の強度の物が多いです。

ストリッパボルトの種類

1. おねじ式

図2. おねじ式ストリッパボルト

おねじ式ストリッパボルトは、端部のねじ部がおねじ (ボルト) となっており、相手側タップ穴に直接ねじ込むことができるタイプです。一部品で固定までできますが、ねじ部根本にヌスミが設けられているため応力集中が発生しやすく、特に軸心の横荷重は加わらないように注意が必要です。

2. めねじ式

めねじ式ストリッパボルトは、端部のねじ部がめねじ (ねじ穴) となっており、相手側は裏面より別のボルトで固定するタイプです。固定用ボルトを締め付けるために、胴部にスパナ溝が付いたタイプもあります。

固定用のボルトが増え、両側から締め付ける必要がありますが、おねじ式での応力集中の発生は少なく、用途により確実に固定することができます。

3. ブッシュ式

ブッシュ式ストリッパボルトは、締め付けボルトと胴部にあたるつば付ブッシュまたは、スペーサとワッシャに分割されたタイプです。ねじ部と胴部が分離しているため、おねじ式での応力集中の発生は少なく、片側から締め付けが可能です。ブッシュの最低肉厚が必要なため、胴部は他のタイプに比べ大径となります。

4. 頭部形状

ストリッパボルトの頭部は、ダイセットから飛び出させないため、ザグリ穴で埋められる六角穴付きのボルト頭が多いです。それ以外に六角穴付きボルトと同様に、頭高さを低くした低頭型や工具レスで締められる大径で外周ローレット加工したものもあります。

ストリッパボルトのその他情報

ストリッパボルトの注意点

ストリッパボルトに似た形状のボルトで、「プラボルト」や「ショルダーボルト」などがあります。それぞれ使用用途や荷重のかかる方向が異なるため、混合しないように注意が必要です。

ストリッパボルトは、上下動のガイドとしての部品です。ボルト軸心方向の引張負荷用途には使用できますが、横方向の力や曲げ負荷がかかる用途には向きません。横荷重や曲げ負荷がかかる用途では「ショルダーボルト」を使用します。

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