小径ボルト

小径ボルトとは

小径ボルトとは、ボルトの中でも特に頭部の径が小さいもののことです。

頭部の形状は六角形や六角穴付きなどさまざまで、明確な規格や分類はありませんが、一般的には直径が2mm未満のものが該当します。ただし、時計用のビスなどに限定されるため、小径ボルトはあくまで「頭部が小さいボルト」として柔軟に捉えるのが適切です。

また、小径ボルトは機能性だけでなく、美観や設計の自由度を高めることを目的として使用されます。そのため、使用される環境や用途に応じて多様な種類や形状が製作されています。

小径ボルトの使用用途

小径ボルトは、見た目を損なわずに固定力を発揮するため、特に目立たせたくない箇所で使用される部品です。

埋め込み型のデザインが一般的で、装置の外装面に自然に馴染むよう設計されています。利用分野は多岐にわたり、電気・電子機器や産業用装置、美観を重視する高級装身具、眼鏡、スマートフォンなどが挙げられます。

これらの製品では、小径ボルトの小型で控えめな頭部形状が採用されることで、デザイン性と実用性の両立が可能です。また、機器の小型化が進む中で、小径ボルトはスペースの限られた環境での使用に最適です。さらに、必要に応じて特殊な加工や表面処理が施されていて、耐久性や防錆性が高いものもあります。

小径ボルトの原理

小径ボルトは、小さな頭部形状と限られたスペースでも十分な機能を発揮できる設計が特徴です。

例えば、小頭ねじや低頭ボルトとも呼ばれるタイプは、標準的なねじに比べて頭部が大幅に低く、超低頭タイプではわずか1.5mm程度まで薄型化されています。この特徴により、スマートフォンやモバイル機器といった小型化が進む製品に対応可能です。また、独自の工夫として、一般的な工具で外せない特殊な溝を設ける「いたずら防止仕様」や、メッキ処理の変更、フランジ付き加工などが挙げられます。

これにより、小型化と強度、耐久性のバランスが向上します。さらに、ねじ特有の緩みを防ぐ対策を施されているものや、使用環境に応じた設計により信頼性の高いねじを実現が可能です。

小径ボルトの種類

小径ボルトは、その多様な種類によってさまざまな用途や環境に対応しています。

1. 代表的な種類

六角穴付きボルト、低頭ボルト、小頭ボルト、皿小ねじ、なべ小ねじ、平小ねじ、止めねじなどがあります。これらは形状や機能により、設計上の要求や使用環境に適した選択が可能です。

2. 形状による分類

リセス形状 (溝形状) も六角、十字、ヘクサロビュラ (星形) 、いたずら防止型など多岐にわたります。さらに、脱落防止機能やガス抜き穴を備えた特殊仕様のボルトも存在し、高精度を求められる産業分野で使用されています。

3. 材質による分類

鉄やステンレスに加え、チタン、りん青銅、モリブデン、樹脂製 (PEEK、PC、PPS) などが選べ、耐熱性や耐腐食性を求める用途に対応可能です。

小径ボルトの選び方

小径ボルトを選ぶ際は、使用環境や設計条件に応じて、材質、形状、サイズを慎重に検討する必要があります。

1. 材質

耐熱性が求められる航空機エンジン周辺では、耐熱性に優れたチタン製やモリブデン製のボルトが選ばれます。一方で、軽量化が重要な電子機器やスマートフォンには樹脂製 (PEEKやPC) のボルトが適しています。

2. 形状

外観を損なわない埋め込み型の設計が求められる高級装身具では、皿小ねじや低頭ボルトが使用されます。さらに、振動や衝撃が多い産業用機械では、脱落防止機能付きの六角穴付きボルトが推奨されます。

3. サイズ

M1.4やM2などの微細な規格が、精密機器や光学機器の組み立てに適しており、狭いスペースにも対応可能です。また、食品工場や医療機器では、耐腐食性と清掃性が求められるため、ステンレス製のボルトが選ばれることが一般的です。

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