硫酸アンモニウム

硫酸アンモニウムとは

硫酸アンモニウムとは、化学式(NH4)2SO4で表される硫酸のアンモニウム塩です。

硫安とも呼ばれ、常温においては白色無臭の結晶状の固体として存在します。pHは4.5~5.0で酸性を示します。空気中で加熱すると120℃から分解し始め、357℃でアンモニアを放って融解します。

工業的な製造方法としては、硫酸にアンモニアを吸収させることで大規模に製造する方法が一般的です。国内において消防法や、毒物及び劇物取締法などの指定に該当しない物質です。

硫酸アンモニウムの使用用途

硫酸アンモニウムは、主に農業分野において肥料として使用されています。植物の生育に欠かせない重要な物質の1つに窒素がありますが、硫酸アンモニウムは窒素を含むため窒素肥料として使用されます。

また、アンモニア態窒素は、植物の根から吸収されやすい性質があるため、速効性もあります。安価なため大量に散布することも可能です。そのため、硫酸アンモニウムは窒素肥料として重用されています。

その他スキー場で雪を固める用途や、生化学分野においてタンパク質を沈殿させる用途にも使用されます。

硫酸アンモニウムの性質

硫酸アンモニウムの分子量は132.14です。水に溶けやすく、エタノールにはほとんど溶けません。密度は1.769です。熱分解により、硫酸水素アンモニウム (NH4HSO4) 、二硫酸水素三アンモニウム ((NH4)3H(SO4)2) 、二硫酸アンモニウム ((NH4)2S2O7) と変化し、アンモニアと二酸化硫黄、窒素に分解します。

硫酸アンモニウムの構造

硫酸アンモニウムは、イオン化合物であり、イオン結合によって構成されます。

硫酸アンモニウムの分子式を分解すると、2つのアンモニウムイオン (NH4+) と1つの硫酸イオン (SO42-) が結合していることがわかります。アンモニウムイオンは、1つの窒素原子が4つの水素原子によって囲まれた陽イオンであり、硫酸イオンは、硫黄原子と4つの酸素原子によって構成される陰イオンです。

硫酸アンモニウムのその他情報

硫酸アンモニウムの製造方法

1. 硫酸とアンモニアを原料とする合成法
硫酸とアンモニアの中和反応で硫酸アンモニウムを得ます。原料コストが高いですが、設備や操作の面でメリットがあります。医薬品や試薬向けではこの合成法が用いられます。バッチ式合成法と連続式合成法の製造工程が知られています。

2. コークス製造の副生成物として回収する方法
石炭から乾留してコークスを製造する過程で、アンモニアが排出されます。アンモニアと濃硫酸を接触させて、硫酸アンモニウムを生成し、回収します。バルブ式吸収設備とシャワー式吸収設備の製造工程が知られています。

3. カプロラクタムの合成工程から副生成物として回収する方法
ナイロン原料のカプロラクタム (NH(CH2)5CO) の合成工程は以下の通りです。2と3の過程はいずれも大量の硫酸アンモニウムを副生します。

  1. シクロヘキサンの酸化によりシクロヘキサノンを得る
  2. ヒドロキシルアミン (NH2OH) 硫酸塩を用いて、シクロヘキサノンオキシムに変換する
  3. 発煙硫酸によってベックマン転移させてカプロラクラムを合成する

4. アクリルアミドの合成工程から副生成物として回収する方法
アクリロニトリルの加水分解に、触媒として硫酸を用いる場合、硫酸アンモニウムを副生成します。現在主流の方法である、アクリロニトリルを微生物の出す酵素で水和する方法では硫酸アンモニウムが生成しません。それゆえ、アクリルアミドの合成過程から回収する方法から得られる硫酸アンモニウムの生産量は急減しました。

5. 石炭ボイラーから出た二酸化硫黄ガスをアンモニアを用いて回収する方法
石炭の燃焼による二酸化硫黄ガスをアンモニアと反応させ、硫酸アンモニウムを得ます。直接法と間接法の製造工程が知られています。

参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/nikkashi1972/1980/5/1980_5_706/_pdf

硫化銅

硫化銅とは

硫化銅とは、硫黄との無機化合物です。

銅や硫黄の酸化数や組成の違いによって、硫化銅(I)や硫化銅(II)などが知られています。天然で硫化銅(I)は輝銅鉱として、硫化銅(II)はラン銅鉱として産出されます。

銅が含まれているため急性毒性により、法律で「医薬用外劇物」とされ、取り扱いには注意が必要です。

硫化銅の使用用途

硫化銅は金属銅の原料として用いられています。

硫化銅(I)は触媒、蛍光塗料、硫黄や銅の製造、帯電防止繊維の製造などに用いられています。

硫化銅(II)は混合触媒、船底塗料などに使用可能です。アニリンブラックの顕色剤のような繊維の染色にも利用されます。

硫化銅の性質

硫化銅(I)は鉄灰色光沢ある結晶で、電気の良導体です。水や塩酸には溶けませんが、アンモニア水や温希硝酸には溶けます。空気中で加熱して、二酸化硫黄が発生して酸化銅(II)に変わります。

硫化銅(II)は黒色の粉末または青黒色の結晶です。硫化銅(I)より導電性が大きいです。水中ではコロイド状に分散しやすく、希無機酸にほとんど溶けません。エタノールやアルカリに不溶です。シアン化カリウム水溶液、多硫化アルカリ水溶液、熱硝酸にはよく溶けます。

硫化銅の構造

硫化銅(I)は化学式はCu2Sで、式量は159.16g/molです。硫化第一銅とも呼ばれ、硫化銅(I)にはα、βの2形があります。α形は黒色の立方晶系で、91°C以上で安定しています。密度は5.79g/cm3で、融点は1,130°Cです。β形は黒色の斜方晶系で、密度は5.6g/cm3で、融点は1,100°Cです。

硫化銅(II)は硫化第二銅とも呼ばれ、化学式はCuSと表されます。式量は95.61g/molで、密度は4.64g/cm3です。六方晶系ですが、103°Cで単斜晶系に変化します。銅原子の3分の1に硫黄原子3つが三角形に配位しており、Cu-S原子間距離は2.19Åです。残りの銅原子には硫黄原子が四面体に配位しており、Cu-S原子間距離は2.32Åです。220°Cで分解し、硫化銅(I)になります。

硫化銅の種類

Cu2SとCuS以外にも、多種多様な硫化銅が知られています。硫化銅の化学式はCuxSyです。

例えば、Cu9S8はヤロー鉱 (英: yarrowite) に、Cu39S28はスピオコープ鉱 (英: spionkopite) に、Cu8S5はゲール鉱 (英: geerite) に、Cu7S4は阿仁鉱 (英: anilite) に含まれます。Cu9S5はダイジェナイト (英: digenite) に、Cu58S32はロクスビー鉱 (英: roxbyite) に、Cu31S16はデュルレ鉱 (英: djurleite) 、CuS2はビラマニン鉱 (英: Villamaninite) に存在します。

硫化銅のその他情報

1. 硫化銅の合成法

過剰の硫黄と銅を熱すると硫化銅(I)が得られます。水素気流中で硫黄と硫化銅(II)を加熱しても、硫化銅(I)が生じます。

黄銅鉱 (CuFeS2) を焙焼しても、硫化銅(I)を生成可能です。得られた混合物からスラグを除去し、空気中の酸素によって処理すれば、金属銅が得られます。

2. 硫化銅の反応

硫化銅(I)が希硝酸に溶解すると、硫化銅(II)と硝酸銅(II)になります。熱硝酸では硝酸銅(II)とともに硫黄や酸化二窒素が生成し、濃硫酸と反応すると、硫酸銅(II)、硫化銅(II)、二酸化硫黄が得られます。

銅(II)塩水溶液に硫化水素を通すと、硫化銅(II)を合成可能です。熱硝酸に溶解すると、硝酸銅(II)、酸化二窒素、硫黄が生じます。乾燥した空気中では安定していますが、湿った空気中では酸素によって、少しずつ酸化して硫酸銅(II)が生成します。分析化学では、銅(II)イオンと硫化水素の反応によって硫化銅(II)の黒色沈殿を与えるため、銅(II)イオンを検出可能です。

石炭ガス

石炭ガスとは

コークス炉ガスともよばれるガスの総称です。現在は、ほとんどが製鉄所を中心としたコークス炉で製造されています。

約60年前までは都市ガスの主原料として使用されていましたが、約40年前になるとそのほとんどが製鉄所内の燃料や発電用として用いられるだけになりました。

水素50%、メタン30%を主成分とし、一酸化炭素、窒素、重炭化水素、二酸化炭素を少量ずつ含んでいます。石炭ガスからの水素製造が、水素エネルギー時代に普及することを期待して、始まっています。

石炭ガスの使用用途

石炭ガスの製造は、石炭をコークス炉にて高温で乾留します。約300度前後から石炭は軟化溶融し、二酸化炭素、一酸化炭素、水素、メタンなどのガス類に水蒸気、コールタール、ベンゾールなどが発生して、最後にコークスが残リます。
副産物として得られるコークスは、製鉄・鋳物製造などで使用されます。

また、コールタールからはナフタレンの形で塩化ビニルやポリエステル樹脂の可塑剤、クレオソート油の形で木材防腐剤、タイヤ用のカーボンブラック、無水タールの形で鋳鉄管防錆剤、ピッチの形で炭素材や電極、粗製アントラセンの形で染料などに利用されます。

ベンゾールからはナイロンスチレン、塗料用溶剤などが作られます。ガスから取り除いた硫黄は硫安の形で化成肥料などに利用されています。

現在、石炭ガスからの水素製造が始まっています。ガス中の水素を分離・精製して高純度水素(99.9999%)を製造するもので、日本では2004年(から小規模ながら実際の水素ステーションで供給されています。

水酸化銅

水酸化銅とは

水酸化銅とは、の水酸化物で、淡青色無定形粉末状の固体です。

銅イオンの価数は1価 (Cu+) と2価 (Cu2+) がありますが、水酸化銅は一般的には2価の水酸化銅 (II) であるCu (OH)2のことを指します。

水酸化銅の使用用途

水酸化銅 (II) は、主にレーヨン、セロファンなどのセルロースを原料とする加工品の製造、他の銅塩の製造、媒染剤、顔料、殺菌剤、殺虫剤などに使用されます。

1.セルロース原料の製品

セルロースはほとんどの溶媒に溶解せず、それ自身も融解しにくいことから、化学処理することで溶媒に溶解する状態に変性させた後、繊維状やフィルム上に加工します。この化学処理の際に水酸化銅が用いられています。

水酸化銅をアンモニア水溶液に溶解させることでテトラアンミン銅錯体が生成し、シュバイツァー試薬と呼ばれる深い青色の溶液が得られます。

シュバイツァー試薬の合成
Cu(OH)2 +  4NH4OH → [Cu(NH3)4(H2O)2](OH)2 + 2H2O

シュバイツァー試薬はセルロースの水酸基を、自身の水酸化物イオン (OH)で中和します。中和されたセルロースの水酸基に銅イオン (Cu2+) が配位結合して錯イオンを形成することでセルロースが溶解するようになります。

セルロースと銅の錯体形成
2(C6H10O5)n + n[Cu(NH3)4(H2O)2](OH)→ n(C6H10O5)2[Cu(NH3)4(H2O)2] + 2nH2O

シュバイツァー試薬に溶解したセルロースに必要な処理を施したのち、希硫酸などにより錯イオン化された水酸基の部分からCu2+が脱離しHに戻ることで再析出し、レーヨンなどのセルロース製品として回収されます。

セルロースの再生
n(C6H10O5)2[Cu(NH3)4(H2O)2] + 3nH2SO4 → 2(C6H10O5)n + nCuSO4 + 2n(NH4)2SO4

2. 殺菌剤、殺虫剤

銅イオンは、糸状菌由来の病害だけでなく、細菌性病害に対しても優れた予防効果を示します。そのため、柑橘系の植物やその他の果実、野菜など、幅広く農薬として使用できます。しかし、薬害が発生するおそれがあり、使用する際は炭酸カルシウム水和剤を併用する必要があります。

水酸化銅の特徴

水酸化銅は、分子量97.56、比重2.368、融点60~80℃の淡青色の固体です。冷水や希酸には不溶ですが、熱水では分解しCuOになります。アンモニア水やシアン化アルカリ溶液に対しては、錯塩を作って溶けます。

また、水酸化アルカリ溶液に溶け、紫色のコロイド溶液を生じることも特徴です。融点付近に加熱するとCuOになり黒色に変化します。常温常圧で安定性は高いですが、水生環境に関しては、短期、長期ともに有害性があるため、廃棄する際には注意が必要です。

1価の水酸化銅 (I) であるCuOHは、銅 (I) 塩水溶液 (CuClなど) に水酸化アルカリを加えた際に生成する黄色の沈殿物とされていますが、これは酸化銅Cu2Oの沈殿物であるとも言われています。

水酸化銅のその他情報

1. 水酸化銅の製造方法

硫酸銅 (II) の水溶液に水酸化ナトリウムを加えることで、水酸化銅が生成し青色の沈殿が生成します。これを脱水することで水酸化銅の青色粉末が得られます。

主反応:CuCl2 + 2NaOH → Cu(OH)2 + 2NaCl

2. 水酸化銅の安全性

火災、爆発などの危険性はないため消防法の危険物には該当していませんが、眼に対する有害性、水生環境への有害性は重篤とされており、以下の国内法規が適用されています。

  • 労働安全衛生法:名称などを表示すべき危険物および有害物
  • 危険物船舶運送及び貯蔵規則:毒物類・毒物
  • 航空法:毒物類・毒物
  • 水質汚濁防止法:指定物質
  • 大気汚染防止法:有害大気汚染物質

参考文献
https://labchem-wako.fujifilm.com/sds/W01W0103-0421JGHEJP.pdf

四塩化ケイ素

四塩化ケイ素とは

四塩化ケイ素とは、ケイ素 (Si) に4つの塩素が結合した構造の無機化合物です。

別名として塩化ケイ素、四塩化シリコン、テトラクロロシラン、シリコンテトラクロライドなどがあります。常温では液体として存在していますが、沸点が57.6℃と低いため、加熱によりすぐに揮発します。

四塩化ケイ素の使用用途

四塩化ケイ素は、そのままの状態で使用されることはほとんどありません。基本的には、他のケイ素化合物の原料として使用されます。

1. 高純度の四塩化ケイ素

シリコン単結晶用やシリコンウエハーのエピタキシャル成長用、エッチングガスなどの半導体分野、合成石英、合成石英ガラス用の原料として使用されています。合成石英ガラスは、純度が高く、金属不純物が少ないです。その上、光をよく通し、熱に強いため、光ファイバーや半導体用のフォトマスクに使用されています。

2. 一般純度の四塩化ケイ素

樹脂の補強充填剤、半導体研磨用のCMPスラリー、接着剤、塗料などの粘性調整剤などに使用される酸化ケイ素 (シリカ) の原料として使用されています。この他、各種有機シリコン (シランカップリング剤、シリコーン樹脂用など) の原料にも使用されます。

四塩化ケイ素の特徴

四塩化ケイ素の分子式はSiCl4で、分子量は169.89です。比重は1.52、融点が-70℃、沸点が57.6℃で、常温常圧では無色の粘性のある液体の状態です。また、息苦しくなるような刺激臭を持っています。エーテル、ベンゼンクロロホルム、四塩化炭素に溶解します。

水、強酸化剤、強酸、アルコール、塩基、ケトン、アルデヒドと激しく反応し、有毒で腐食性の高い塩化水素 (HCl) を生成します。湿気の多い空気中では瞬時に加水分解して塩素ガスを含む白煙を生じます。

水の存在下においては、加水分解で生成した塩酸の働きで、多くの金属を腐食します。このため、使用できる金属はニッケル鋼、銅ニッケル合金などに限られます。樹脂では、ポリエチレンポリ塩化ビニル、テフロンなどが使用可能です。

四塩化ケイ素のその他情報

1. 四塩化ケイ素の製造方法

一般的には、金属ケイ素と塩素、または塩化水素を加熱するか、ケイ化カルシウムなどを塩素化することによって製造されます。必要とする製品純度に対応する純度の原料を使用する必要があります。

金属ケイ素の塩素化:Si + 4HCl → SiCl4 + 2H2
ケイ化カルシウムの塩素化:CaSi2 + 5Cl2 → 2SiCl4 + CaCl2

また、もみがら、稲わらなどのケイ酸バイオマスから四塩化ケイ素を製造する研究も報告されています。

2. 四塩化ケイ素の安全性

取扱上
四塩化ケイ素は、皮膚、粘膜に付着すると、重度の刺激性があり、紅斑・浮腫重度の結膜炎や咳などを引き起こす可能性があります。取扱いの際は、保護マスク、不浸透性保護手袋、側板付き保護眼鏡、長袖作業着などを着用してください。

関連法規
反応性が高く、腐食性の高い物質としては意外なほど、主要な国内法規には該当していませんが、国内の法令においては以下が適用されています。

  • 船舶安全法:腐食性物質 (危規則第3条危険物告示別表第1)
  • 航空法:腐食性物質 (施行規則第194条危険物告示別表第1)
  • 港則法:危険物・腐食性物質 (法第21条2、則第12条、昭和54告示547別表二ロ)

不燃性であり、爆発や火災を発生させる危険性は高くないため、消防法の危険物には指定されていません。しかし、火災が発生した場合は、熱や炎、消火時に使用した水などによって、腐食性や毒性の高い塩化水素ガスが発生し、非常に濃い煙を出すため注意が必要です。危険がなければ、火災場所から容器を移動させる等の処置をとることをおすすめします。

参考文献
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/10026-04-7.html

亜硝酸カリウム

亜硝酸カリウムとは

亜硝酸カリウムとは、分子式KNO2で泡エアされる化合物です。

亜硝酸塩の1種であり、白色または淡黄色の結晶粉末です。潮解性があり、水に溶けやすく、水溶液はアルカリ性を示します。強力な酸化剤で助燃性を持つことが知られており、530℃以上に加熱すると爆発する場合があるため、取り扱いには注意が必要です。

安全性の面においても、眼や皮膚に対する刺激性が示されています。毒物および劇物取締法で「劇物」に指定されており、消防法では「第一類危険物」に分類されています。

亜硝酸カリウムの使用用途

亜硝酸カリウムは、主に食品用防腐剤として使われ、排水処理、燃料電池用金属酸化物膜の製造など、幅広く使用されています。

1. 食品用防腐剤

亜硝酸カリウムを食品中で使用する場合は、亜硝酸となった状態でその効果を現します。亜硝酸ナトリウムと併用されることが多く、バクテリアの繁殖を防ぎ、肉にピンク色をつける用途で、ハム・ソーセージ・ベーコン・タラコ・イクラ等の発色剤として使われます。

その他、チーズや清酒の発酵調整剤として用いられることもあります。

2. 医薬品の製造原料

亜硝酸カリウムは、狭心症の治療薬であるニトログリセリンや、青酸カリ中毒の治療薬の1つである亜硝酸ナトリウムなどの製造に使用されています。

亜硝酸カリウムの性質

亜硝酸カリウム (KNO2) は、白色からわずかに黄色の結晶性の粉末です。わずかに吸湿性があり、空気中の水分を吸収し徐々に溶解します。融点は441℃、沸点は約600℃です。水によく溶けますが、エタノール、エーテル、ベンゼンなどの有機溶媒には不溶です。

カリウムカチオン (K+) と亜硝酸アニオン (NO2-) からなる単純な直鎖状の分子構造をしています。亜硝酸カリウムは強い酸化剤であり、さまざまな有機および無機化合物と反応させることが可能です。亜硝酸カリウムは、酸素の存在下で550℃から790℃まで加熱すると、熱分解により硝酸カリウムを生成します。

このとき、窒素ガスを放出するため、体積が大幅に増加します。また、亜硝酸カリウムは、室温で酸化第二鉄または酸化コバルトの存在下、アミドカリウムの液体アンモニア溶液と極めて遅い速度で反応し、窒素と水酸化カリウムを生成します。

そのほか、亜硝酸カリウムは、硝酸アンモニウムや有機化合物など、他の物質と混合すると爆発性の化合物を形成することがあります。このように、亜硝酸カリウムは物理的・化学的性質から使用用途は幅広いです。しかし、適切に取り扱わないと危険な場合もあります。

亜硝酸カリウムのその他情報

亜硝酸カリウムの製造方法

亜硝酸カリウムは、いくつかの方法で製造することができます。代表的な方法は、水酸化カリウム (KOH) と亜硝酸 (HNO2) を反応させるものです。亜硝酸は、亜硝酸ナトリウム (NaNO2) を塩酸 (HCl) と反応させることによりin situで合成されます。この反応は以下の式で進行します。

2KOH + HNO2 → KNO2 + KNO3 + H2O

得られた亜硝酸カリウムと硝酸カリウムの混合物は、晶析により分離することができます。また、炭酸カリウム (K2CO3) と亜硝酸を反応させ、硝酸カリウムとともに亜硝酸カリウムを生成する方法や、硝酸カリウム (KNO3) と金属鉄を反応させ、硝酸塩を亜硝酸塩に還元する方法もあります。

いずれの方法も亜硝酸カリウムは強い酸化剤であり、適切に取り扱わないと危険なため、注意が必要です。また、亜硝酸カリウムは水によく溶けるので、固体の回収が難しいという特徴があります。

参考文献
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/7758-09-0.html

亜硝酸アンモニウム

亜硝酸アンモニウムとは

亜硝酸アンモニウムとは、亜硝酸塩の1種であり、無色の結晶です。

非常に不安定で反応性の高い化合物で、各種有機化合物、肥料、火薬の製造に使用されています。爆発性が高く、分解すると亜酸化窒素、水、窒素ガスが発生します。

酸化窒素とアンモニア、または炭酸アンモニウムを反応させて得られます。潮解性があり、非常に不安定なため、室温でも水と窒素に分解してしまうことが特徴です。

亜硝酸アンモニウムは、酸化窒素とアンモニア、または炭酸アンモニウムを低温・高圧反応させることで得られます。
消防法では「危険物第1類・酸化性固体・硝酸塩類」に該当し、 労働安全衛生法 では、「名称等を表示すべき危険物および有害物」に該当します。

亜硝酸アンモニウムの使用用途

亜硝酸アンモニウム (NH4NO2) は、その不安定性から用途が限られており、主に実験室での使用に限定されています。亜硝酸アンモニウムの主な用途は、窒素ガス製造のための試薬です。

また、肥料やダイナマイトなどの火薬の製造における窒素源としても使用されます。しかし、その非常に不安定な性質のため、商業的な火薬の製造にはあまり使用されていません。さらに、亜硝酸アンモニウムはロケット燃料の成分や他の化合物の合成における実験用試薬として使用されてきました。

その他、亜硝酸アンモニウムは、肥料や火薬の原料、硝酸塩原料、冷却剤として使用されることも多いです。最も身近なものとして、冷却剤が挙げられます。硝酸アンモニウムと同様に、水と混ぜることによって吸熱反応を起こすことで、冷却効果が得られるというものです。

また、肥料として使用する場合は、亜硝酸アンモニウムから分離された窒素が、土中で微生物などにより酸化され、硝酸性窒素へと変化する可能性があるため、使用には注意が必要です。

亜硝酸アンモニウムの性質

亜硝酸アンモニウムは水に非常によく溶け、吸湿性があります。金属表面と接触すると、腐食性の溶液を形成することがあります。

また、亜硝酸アンモニウムは、白色またはわずかに黄色の結晶性固体です。非常に不安定かつ反応性の高い化合物であり、室温において徐々に水と窒素に分解します。

その他、加熱や衝撃、摩擦によって爆発的に分解する性質もあります。これは、亜硝酸アンモニウムが強い酸化剤であり、他の化合物に容易に酸素を供与することができるためです。

亜硝酸アンモニウム溶液は高いpHと低い温度で安定し、pHが7.0を下回ると爆発する恐れがあります。安全なpHを維持するためには、アンモニア水を加えることが一般的です。

亜硝酸アンモニウムの構造

亜硝酸アンモニウムは化学式NH4NO2で表され、アンモニウムイオン (NH4+) と亜硝酸イオン (NO2-) がイオン結合している構造を持ちます。 分子は四面体構造をとり、窒素原子と四つの水素原子が対称的に配置されています。

亜硝酸イオンは、一方向に二重結合を持つ非対称な構造です。分子の形状は直鎖状で、N-N-O結合角は120°となっています。

亜硝酸アンモニウムのその他情報

亜硝酸アンモニウムの製造方法

亜硝酸アンモニウムは、二酸化窒素および一酸化窒素ガスをアンモニア水に吸収させることによって調製されます。また、バリウムや鉛の亜硝酸塩と硫酸アンモニウムの組み合わせや、亜硝酸銀と塩化アンモニウム、過塩素酸アンモニウムと亜硝酸カリウムなどを用いた反応でも得ることが可能です。

これらの反応で生じた沈殿物を濾過し、濾液を濃縮すると、水溶性の無色結晶を形成します。また、オゾンや過酸化水素によるアンモニアの酸化反応でも合成可能です。

これら方法で生成された亜硝酸アンモニウムは、空気や水分に曝されると容易に分解し、硝酸アンモニウムとアンモニアを生成するため、取り扱いには十分な注意が必要です。

参考文献
http://www.st.rim.or.jp/~shw/MSDS/01372150.pdf

亜塩素酸ナトリウム

亜塩素酸ナトリウムとは

亜塩素酸ナトリウム (英: Sodium chlorite) とは、亜塩素酸のナトリウム塩で、組成式NaClO2で表される無機化合物です。

別名で亜塩素酸ソーダとも呼ばれることもあります。CAS登録番号は7758-19-2です。特異な刺激臭を持ち、酸化力を持つ物質であることから、酸化剤や漂白剤として用いられることの多い物質です。

亜塩素酸ナトリウムの使用用途

亜塩素酸ナトリウムの主な使用用途は、酸化剤、漂白剤です。パルプや綿、麻など様々な繊維の漂白や、和紙、油脂、ショ糖の脱色、プリント基板表面処理、脱硝処理、廃水処理などに用いられています。

日本国内では食品添加物 (漂白剤、殺菌料) として使用が認められている化合物です。ただし、健康被害が生じる可能性があるため、食品添加物として使用する場合は、最終食品の完成前に除去されなければならないと規定されています。その他の用途では、水処理工程における消毒剤や、コンタクトレンズの洗浄液などが挙げられます。

亜塩素酸ナトリウムの性質

亜塩素酸ナトリウムの基本情報

図1. 亜塩素酸ナトリウムの基本情報

亜塩素酸ナトリウムは、式量90.44であり、180-200℃で分解します。特異な刺激臭を持ち、常温での外観は、無色の吸湿性のある結晶です。密度は2.5g/mLであり、水によく溶けます (水への溶解度: 39g/100ml) 。

亜塩素酸ナトリウムの種類

亜塩素酸ナトリウムは、主に研究開発用試薬製品や工業用薬品として一般に販売されています。

1.  研究開発用試薬製品

研究開発用試薬製品としては、5g、100g、500g、2kg、10kgなどの容量の種類があります。実験室で取り扱いやすい容量での提供ですが、試薬製品としては比較的大容量で提供される安価な製品です。

不純物として炭酸ナトリウムを含む場合があります。通常、室温で保管可能な試薬製品として取り扱われます。主な想定用途は、有機合成化学などにおける酸化剤です。

2. 工業用薬品

工業用薬品としては、単一物質のほか、25%などの溶液でも販売されています。漂白剤や酸化剤としての用途のほか、化学原料としても用いられる製品です。容量単位については、各販売メーカーに個別に相談するのが一般的です。

亜塩素酸ナトリウムのその他情報

1. 亜塩素酸ナトリウムの合成

亜塩素酸ナトリウムの合成

図2. 亜塩素酸ナトリウムの合成

亜塩素酸ナトリウムは、二酸化塩素に水酸化ナトリウムと過酸化水素とを反応させることによって合成されます。

2. 亜塩素酸ナトリウムの化学反応

亜塩素酸ナトリウムの化学反応

図3. 亜塩素酸ナトリウムの化学反応

亜塩素酸ナトリウムは、水溶液に塩素もしくは次亜塩素酸ナトリウムを作用させることにより、二酸化塩素が発生します。また、電気酸化、及び直射日光や紫外線による分解によっても二酸化塩素が発生します。加熱分解による生成物は、塩素酸ナトリウム塩化ナトリウムです。

また、亜塩素酸ナトリウムは、有機合成化学において、亜塩素酸 (HClO2) を活性種として酸化反応に用いられます。具体的な反応の例としては、アルデヒドをカルボン酸へ変換する反応などです。

3. 亜塩素酸ナトリウムの有害性と法規制情報

亜塩素酸ナトリウムは、以下のような有害性が指摘されています。また、強酸化性物質として、火災若しくは爆発の恐れがある化合物ともされます。

  • 飲み込むと有害
  • 皮膚に接触すると生命に危険
  • 重篤な皮膚の薬傷及び眼の損傷
  • 長期にわたる、又は反復ばく露により臓器 (脾臓) の障害のおそれ
  • 水生生物に非常に強い毒性

これらの危険性のため、亜塩素酸ナトリウムは、各種法令による規制を受ける物質です。毒物及び劇物取締法では劇物に指定されており、労働安全衛生法では「名称等を表示すべき危険物及び有害物」「名称等を通知すべき危険物及び有害物」に指定されています。

消防法においては、「第1類: 酸化性固体、亜塩素酸塩類、危険等級I、第一種酸化性固体」に分類される物質です。法令を遵守して正しく取り扱うことが求められます。

参考文献
http://www.kokusan-chem.co.jp/sds/D005330-1.pdf

リン酸アンモニウム

リン酸アンモニウムとは

リン酸アンモニウムとは、リン酸とアンモニアの酸塩基反応によりえられる無機化合物です。

リン酸一アンモニウム (NH4H2PO4) 、リン酸二アンモニウム ((NH4)2HPO4) 、リン酸三アンモニウム ((NH4)3PO4) の3種類があり、リン酸アンモニウムはこれらの総称です。

リン酸アンモニウムの使用用途

工業的に広く用いられているリン酸アンモニウムは、リン酸一アンモニウムとリン酸二アンモニウムです。この2つのリン酸アンモニウムは組成が異なりますが、用途としては共通しているものが多くみられます。

1. リン酸一アンモニウム

様々な種類の火災に対して消火効果を発揮する万能型消火器であるABC消火器の消火剤として使用されています。

2. リン酸二アンモニウム

燐安と呼ばれ、化学肥料原料として広く使用されています。工業用途では、金属表面処理剤、有機合成触媒、金属表面処理剤、排水処理剤、染色助剤、ホーロー釉薬として使用されています。

医薬、食品用では、試薬、バイオ薬剤、醸造用添加剤・医薬品・食品類の膨張剤、乳化剤、微生物培養基剤、化粧品のpH調整剤、緩衝剤、口腔ケア剤などに有用です。

リン酸アンモニウムの性質

1. リン酸一アンモニウム (NH4H2PO4)

分子量115.03、無色または白色の結晶性粉体です。比重は1.803、融点は190℃で、空気中でも安定です。水に対して良く溶け、水溶液はpH4.0~5.0の弱酸性を示し、緩衝作用があります。

可溶性のアルカリ土類金属と反応して、難溶性の塩を生成します。エタノールにはほとんど溶解しません。加熱すると216℃以上で分解してアンモニアが発生します。

2. リン酸二アンモニウム ((NH4)2HPO4)

分子量132.06、無色または白色の結晶性粉体です。比重は1.619、融点は190℃で、空気中で比較的安定です。水に対して良く溶け、水溶液はpH7.6~8.4の弱アルカリ性を示し、緩衝作用があります。

可溶性のアルカリ土類金属と反応して、難溶性の塩を生成します。エタノールにはほとんど溶解しません。加熱すると155℃以上で分解しアンモニアが発生します。

3. リン酸三アンモニウム ((NH4)3PO4・3H2O)

水和物として製品があり、分子量203.13、白色の結晶性粉体です。空気中では不安定でアンモニアを発生してリン酸二アンモニウムに変化するため、強いアンモニア臭があります。

水にはよく溶け、水溶液はpH10程度のアルカリ性を示します。エタノールにはほとんど溶解しません。

リン酸アンモニウムのその他情報

リン酸アンモニウムの製造方法

リン酸アンモニウムは、リン酸とアンモニアを水溶液中で反応させることにより製造されています。この反応の際のリン酸とアンモニアの配合比を変えることで、3種類のリン酸アンモニウムを作り分けることが可能です。

  • H3PO4 + NH3 → NH4H2PO4
  • H3PO4 + 2NH3 → (NH4)2HPO4
  • H3PO4 + 3NH3 → (NH4)3PO4

リン酸アンモニウムの原料であるリン酸の製造方法として、湿式法、乾式法と呼ばれる2つの製造方法が知られています。リン鉱石を原料とする点は共通ですが、湿式法は硫酸でリン鉱石を分解し、乾式法は電気炉でリン鉱石を熱分解します。

乾式法のほうが、エネルギーコストがかかり製造コストが高くなる反面、高純度のリン酸を得ることができます。このため、高純度を求めない肥料用途には湿式法、それ以外の用途に、乾式法で製造されたリン酸が用いられてきました。

一方、湿式法で、不純物である金属、有機物を除去する精製技術は年々進化しています。現在では工業用途や食品用途に求められる品質を満たす、湿式法で製造されたリン酸も作られるようになってきています。

参考文献
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen_pg/KAG_DET.aspx?joho_no=27588

 

リドカイン

リドカインとは

リドカインの基本情報

図1. リドカインの基本情報

リドカインとは、白色から微黄色をした結晶・粉末です。

リドカインは水に不溶ですが、メタノールエタノールに溶けます。希塩酸にも溶けやすいことが特徴です。一般的には、リドカインを規定量の希塩酸 (HCl) に溶解させた塩酸リドカイン (C14H22N2O・HCl) が、注射薬として使用されています。

薬理作用を持ち、イオンチャネルの1種であるナトリウムチャネルに結合し、ナトリウムイオンの透過を阻害します。これによって活動電位を不活性化し、神経伝達を遮断することが可能です。

リドカインの使用用途

リドカインは、その薬理作用を活かして医薬品として使用されます。局所麻酔や不整脈の抑制を目的として使用されることが多いです。

局所麻酔薬としては、0.5~2%と濃度の異なるリドカイン製剤が流通しています。用量を超えた使用をすると、痙攣を引き起こしたり、心筋に影響を与えたりと副作用を起こす危険性があるので、注意が必要です。また、抗不整脈薬としては、静注用と点滴用の2種類が存在しています。

リドカインの性質

リドカインは、酢酸ジエチルエーテルに溶解しやすいです。リドカインは水に溶けにくいため、希塩酸によって塩酸リドカイン (C14H22N2O・HCl) が、注射薬として用いられています。塩酸リドカイン注射薬は水性で無色澄明の液体で、日本薬局方においてリドカイン注射液と呼ばれています。

リドカインの構造

リドカインの化学式はC14H22N2Oで、分子量は234.34です。注射薬として一般的に用いられている塩酸リドカインの化学式はC14H22N2O・HClで、分子量は270.8です。塩酸リドカインを代表として、リドカインには有効な化合物がいくつかあります。

リドカインのその他情報

1. リドカインの局所麻酔作用

リドカインはスウェーデンの化学者であるニルス・ロフグレン (英: Nils Löfgren) とベングト・ルンドベリ (英: Bengt Lundqvist)  によって開発されたアミド型局所麻酔薬です。

2. リドカインとテトラカインの比較

リドカインとテトラカインの基本情報

図2. リドカインとテトラカインの基本情報

最も局所麻酔作用が強いと言われているテトラカインと比べると、作用や作用時間において若干劣っています。ただし、テトラカインよりも毒性が低くて、充分な薬効を持っているため、一般的にリドカインを使用されてきました。

また、テトラカインとの混合物として併用された報告例もあります。麻酔部周囲の血管を収縮させて、少量の麻酔剤によって持続的な効果を得る以外にも、止血作用によって術中の出血を抑制するため、アドレナリンのような血管収縮剤が配合されているキシロカイン注射液0.5%エピレナミン含有があります。

3. リドカインとプロカインの比較

リドカインとプロカインの基本情報

図3. リドカインとプロカインの基本情報

プロカインと比較すると、リドカインは脂溶性やタンパク結合能が高く、麻酔作用や持続時間が長いです。作用時間を長くするためには、アドレナリンを併用します。しかし、指先などに不可逆的な壊死を引き起こす可能性があり、アドレナリンが併用できない部位も存在します。

4. リドカインの薬理作用

リドカインはナトリウムチャネルに結合して、ナトリウムイオンの透過を阻害することで、活動電位を不活性化することにより、神経伝達を遮断します。イオンチャネルの一種のナトリウムチャネルは、心拍にも関与しているため、不整脈改善効果を得ることが可能です。

具体的には、局所麻酔薬として、0.5%、1%、2%のリドカイン製剤が市販されています。表面麻酔、伝達麻酔、浸潤麻酔、脊椎麻酔、硬膜外麻酔などに用いることが可能です。

リドカインは抗不整脈薬として、ボーン・ウイリアムス分類のIb群に該当します。この群はアプリンジン以外は、心室性不整脈のみに適応があります。さらに、リドカインは、痒み止めのための外用薬や点鼻薬として、市販されています。

参考文献
https://labchem-wako.fujifilm.com/sds/W01W0112-0269JGHEJP.pdf