リドカインとは
図1. リドカインの基本情報
リドカインとは、白色から微黄色をした結晶・粉末です。
リドカインは水に不溶ですが、メタノールやエタノールに溶けます。希塩酸にも溶けやすいことが特徴です。一般的には、リドカインを規定量の希塩酸 (HCl) に溶解させた塩酸リドカイン (C14H22N2O・HCl) が、注射薬として使用されています。
薬理作用を持ち、イオンチャネルの1種であるナトリウムチャネルに結合し、ナトリウムイオンの透過を阻害します。これによって活動電位を不活性化し、神経伝達を遮断することが可能です。
リドカインの使用用途
リドカインは、その薬理作用を活かして医薬品として使用されます。局所麻酔や不整脈の抑制を目的として使用されることが多いです。
局所麻酔薬としては、0.5~2%と濃度の異なるリドカイン製剤が流通しています。用量を超えた使用をすると、痙攣を引き起こしたり、心筋に影響を与えたりと副作用を起こす危険性があるので、注意が必要です。また、抗不整脈薬としては、静注用と点滴用の2種類が存在しています。
リドカインの性質
リドカインは、酢酸やジエチルエーテルに溶解しやすいです。リドカインは水に溶けにくいため、希塩酸によって塩酸リドカイン (C14H22N2O・HCl) が、注射薬として用いられています。塩酸リドカイン注射薬は水性で無色澄明の液体で、日本薬局方においてリドカイン注射液と呼ばれています。
リドカインの構造
リドカインの化学式はC14H22N2Oで、分子量は234.34です。注射薬として一般的に用いられている塩酸リドカインの化学式はC14H22N2O・HClで、分子量は270.8です。塩酸リドカインを代表として、リドカインには有効な化合物がいくつかあります。
リドカインのその他情報
1. リドカインの局所麻酔作用
リドカインはスウェーデンの化学者であるニルス・ロフグレン (英: Nils Löfgren) とベングト・ルンドベリ (英: Bengt Lundqvist) によって開発されたアミド型局所麻酔薬です。
2. リドカインとテトラカインの比較
図2. リドカインとテトラカインの基本情報
最も局所麻酔作用が強いと言われているテトラカインと比べると、作用や作用時間において若干劣っています。ただし、テトラカインよりも毒性が低くて、充分な薬効を持っているため、一般的にリドカインを使用されてきました。
また、テトラカインとの混合物として併用された報告例もあります。麻酔部周囲の血管を収縮させて、少量の麻酔剤によって持続的な効果を得る以外にも、止血作用によって術中の出血を抑制するため、アドレナリンのような血管収縮剤が配合されているキシロカイン注射液0.5%エピレナミン含有があります。
3. リドカインとプロカインの比較
図3. リドカインとプロカインの基本情報
プロカインと比較すると、リドカインは脂溶性やタンパク結合能が高く、麻酔作用や持続時間が長いです。作用時間を長くするためには、アドレナリンを併用します。しかし、指先などに不可逆的な壊死を引き起こす可能性があり、アドレナリンが併用できない部位も存在します。
4. リドカインの薬理作用
リドカインはナトリウムチャネルに結合して、ナトリウムイオンの透過を阻害することで、活動電位を不活性化することにより、神経伝達を遮断します。イオンチャネルの一種のナトリウムチャネルは、心拍にも関与しているため、不整脈改善効果を得ることが可能です。
具体的には、局所麻酔薬として、0.5%、1%、2%のリドカイン製剤が市販されています。表面麻酔、伝達麻酔、浸潤麻酔、脊椎麻酔、硬膜外麻酔などに用いることが可能です。
リドカインは抗不整脈薬として、ボーン・ウイリアムス分類のIb群に該当します。この群はアプリンジン以外は、心室性不整脈のみに適応があります。さらに、リドカインは、痒み止めのための外用薬や点鼻薬として、市販されています。
参考文献
https://labchem-wako.fujifilm.com/sds/W01W0112-0269JGHEJP.pdf