石炭ガスとは
コークス炉ガスともよばれるガスの総称です。現在は、ほとんどが製鉄所を中心としたコークス炉で製造されています。
約60年前までは都市ガスの主原料として使用されていましたが、約40年前になるとそのほとんどが製鉄所内の燃料や発電用として用いられるだけになりました。
水素50%、メタン30%を主成分とし、一酸化炭素、窒素、重炭化水素、二酸化炭素を少量ずつ含んでいます。石炭ガスからの水素製造が、水素エネルギー時代に普及することを期待して、始まっています。
石炭ガスの使用用途
石炭ガスの製造は、石炭をコークス炉にて高温で乾留します。約300度前後から石炭は軟化溶融し、二酸化炭素、一酸化炭素、水素、メタンなどのガス類に水蒸気、コールタール、ベンゾールなどが発生して、最後にコークスが残リます。
副産物として得られるコークスは、製鉄・鋳物製造などで使用されます。
また、コールタールからはナフタレンの形で塩化ビニルやポリエステル樹脂の可塑剤、クレオソート油の形で木材防腐剤、タイヤ用のカーボンブラック、無水タールの形で鋳鉄管防錆剤、ピッチの形で炭素材や電極、粗製アントラセンの形で染料などに利用されます。
ベンゾールからはナイロン、スチレン、塗料用溶剤などが作られます。ガスから取り除いた硫黄は硫安の形で化成肥料などに利用されています。
現在、石炭ガスからの水素製造が始まっています。ガス中の水素を分離・精製して高純度水素(99.9999%)を製造するもので、日本では2004年(から小規模ながら実際の水素ステーションで供給されています。