亜塩素酸ナトリウム

亜塩素酸ナトリウムとは

亜塩素酸ナトリウム (英: Sodium chlorite) とは、亜塩素酸のナトリウム塩で、組成式NaClO2で表される無機化合物です。

別名で亜塩素酸ソーダとも呼ばれることもあります。CAS登録番号は7758-19-2です。特異な刺激臭を持ち、酸化力を持つ物質であることから、酸化剤や漂白剤として用いられることの多い物質です。

亜塩素酸ナトリウムの使用用途

亜塩素酸ナトリウムの主な使用用途は、酸化剤、漂白剤です。パルプや綿、麻など様々な繊維の漂白や、和紙、油脂、ショ糖の脱色、プリント基板表面処理、脱硝処理、廃水処理などに用いられています。

日本国内では食品添加物 (漂白剤、殺菌料) として使用が認められている化合物です。ただし、健康被害が生じる可能性があるため、食品添加物として使用する場合は、最終食品の完成前に除去されなければならないと規定されています。その他の用途では、水処理工程における消毒剤や、コンタクトレンズの洗浄液などが挙げられます。

亜塩素酸ナトリウムの性質

亜塩素酸ナトリウムの基本情報

図1. 亜塩素酸ナトリウムの基本情報

亜塩素酸ナトリウムは、式量90.44であり、180-200℃で分解します。特異な刺激臭を持ち、常温での外観は、無色の吸湿性のある結晶です。密度は2.5g/mLであり、水によく溶けます (水への溶解度: 39g/100ml) 。

亜塩素酸ナトリウムの種類

亜塩素酸ナトリウムは、主に研究開発用試薬製品や工業用薬品として一般に販売されています。

1.  研究開発用試薬製品

研究開発用試薬製品としては、5g、100g、500g、2kg、10kgなどの容量の種類があります。実験室で取り扱いやすい容量での提供ですが、試薬製品としては比較的大容量で提供される安価な製品です。

不純物として炭酸ナトリウムを含む場合があります。通常、室温で保管可能な試薬製品として取り扱われます。主な想定用途は、有機合成化学などにおける酸化剤です。

2. 工業用薬品

工業用薬品としては、単一物質のほか、25%などの溶液でも販売されています。漂白剤や酸化剤としての用途のほか、化学原料としても用いられる製品です。容量単位については、各販売メーカーに個別に相談するのが一般的です。

亜塩素酸ナトリウムのその他情報

1. 亜塩素酸ナトリウムの合成

亜塩素酸ナトリウムの合成

図2. 亜塩素酸ナトリウムの合成

亜塩素酸ナトリウムは、二酸化塩素に水酸化ナトリウムと過酸化水素とを反応させることによって合成されます。

2. 亜塩素酸ナトリウムの化学反応

亜塩素酸ナトリウムの化学反応

図3. 亜塩素酸ナトリウムの化学反応

亜塩素酸ナトリウムは、水溶液に塩素もしくは次亜塩素酸ナトリウムを作用させることにより、二酸化塩素が発生します。また、電気酸化、及び直射日光や紫外線による分解によっても二酸化塩素が発生します。加熱分解による生成物は、塩素酸ナトリウム塩化ナトリウムです。

また、亜塩素酸ナトリウムは、有機合成化学において、亜塩素酸 (HClO2) を活性種として酸化反応に用いられます。具体的な反応の例としては、アルデヒドをカルボン酸へ変換する反応などです。

3. 亜塩素酸ナトリウムの有害性と法規制情報

亜塩素酸ナトリウムは、以下のような有害性が指摘されています。また、強酸化性物質として、火災若しくは爆発の恐れがある化合物ともされます。

  • 飲み込むと有害
  • 皮膚に接触すると生命に危険
  • 重篤な皮膚の薬傷及び眼の損傷
  • 長期にわたる、又は反復ばく露により臓器 (脾臓) の障害のおそれ
  • 水生生物に非常に強い毒性

これらの危険性のため、亜塩素酸ナトリウムは、各種法令による規制を受ける物質です。毒物及び劇物取締法では劇物に指定されており、労働安全衛生法では「名称等を表示すべき危険物及び有害物」「名称等を通知すべき危険物及び有害物」に指定されています。

消防法においては、「第1類: 酸化性固体、亜塩素酸塩類、危険等級I、第一種酸化性固体」に分類される物質です。法令を遵守して正しく取り扱うことが求められます。

参考文献
http://www.kokusan-chem.co.jp/sds/D005330-1.pdf

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