パナソニックの不祥事・不正一覧

2020年の不正・不祥事

連結子会社による資格の不正取得

概要

パナソニック環境エンジニアリング株式会社(以下PESENG)とコンシューマーマーケティング株式会社(以下PCMC)において施工管理技師等の資格が不正取得されている疑惑が自主調査の過程で浮上した。

自主調査で判明したのは2社に所属する資格保有者595名のうち37名が不適切な資格取得をした疑義がある。

会社の公式リリース(日時: 2020年11月27日)

インターホンの安全審査不正

概要

2020年6月12日に製造している共同住宅用のインターホンについて安全性審査合格のために架空のデータを利用していたことを公表した。

安全性審査の不正は少なくとも2005年から行われており、把握されているものだけで2142件に及ぶとされている。

審査は三重県の津工場で製造されたものを業界団体であるインターホン工業会が審査する流れであったが、ここでの審査に不正があった。

具体的には火災発生時などにドア横の機器から警報音を発する際、音圧を計測するという手続きが現場で周知されていなかった。そのために音圧の想定値を入力していたことが2020年3月に従業員からの指摘で発覚した。

これを受けてパナソニックは業務マニュアルの作成と周知徹底といった再発防止策を講じることを発表。なお現在2021年7月7日現在、公式サイトでリリース等は行われていない。

ニュースソースはこちら

2019年の不正・不祥事

子会社における内定者の自殺報道

概要

パナソニック産機システムズに2018年春に内定をもらった学生が同社の人事部長からパワハラを受けて自殺した事件。

学生は春に内定をもらって以降、SNS上の交流サイトにて毎日ログインの上課題をこなすことや本への感想を求められていた。そのなかで人事部長のパワハラがあり、自殺につながったと遺族が代理人を通じて謝罪や損害賠償、関係者の処分を求めた。

パナソニック産機システムズは内定前に亡くなった学生がいることは事実だが、それがパワハラを原因とした自殺であることは明言していない。

会社の公式リリース(日時: 2020年7月27日)

パナソニック株式会社の概要

設立:1935年12月15日

従業員数:243,540名

売上高:6兆6,988億円

埃センサー

埃センサーとは

埃センサー (英: dust sensor) とは、埃を検知するセンサーです。

一般家庭環境やパーティクルの管理されたクリーンルームなどで、空間に浮遊する粒子を検知するために用いられます。一般家庭用では、空気清浄機やエアコン等に埃センサーが内蔵されています。

似たものとして挙げられるのが、パーティクルカウンターです。光散乱原理に基づき、浮遊する粒子の検出を行います。タバコの煙やアレルギーの原因であるハウスダストなどを検出することが可能です。

埃センサーの使用用途

埃センサーは、ハウスダストやタバコの煙など、空気中に浮遊する粒子を光学的に検出するセンサーです。空気清浄機やエアコン、換気扇や環境モニタなどに搭載され、各種ほこりやたばこの煙、ハウスダストなどを検出します。

また、フイルム等のほこり検知、エアーブローの完了確認、エアーシャワーの埃量との同期制御、粉塵発生時の空気清浄機の駆動、レストランや厨房等の煙の影響監視用などに使われます。小型IOT機器やヘルメット等、ウェアラブル機器への搭載が可能です。

さらに、警報用途では集塵機のフィルター破損警報、埃・粉塵・発煙の警報信号、集塵装置のフィルター破損警報、工作機械の油煙警報、リサイクル工場の粉塵警報などがあります。また、焼入れ工場のヒューム及びミスト監視、制御盤の発煙監視にも使用されます。

埃センサーの原理

埃センサーの検出方式は、赤外線を使う方法やレーザーを使用する方法があります。

1. 赤外線方式

埃センサーは、空間に浮遊するほこりに赤外線を照射し、その散乱光を検出することで、ほこり量を検出します。埃センサーの構成は、光を放射する発光ダイオードと埃に反射した光を受けるフォトダイオードなどです。

そのほか、光を効率よく集めるためのレンズ、内部に微弱な上昇気流を発生させるヒータが使われ、吸気口から埃や煙を吸い込み、排気口から排出します。赤外線などの発光ダイオードを用い、外部からの入力信号に応じてパルス的に発光します。受光素子であるフォトダイオードへ発光ダイオードから入射光を受光させ、入射光量に応じたパルス電流を出力します。

発光素子、受光素子の全面に指向性を絞るための非球面レンズ等が設置されており、投光・受光の光軸が交わる領域が、埃や煙などを検出する領域です。また、不必要な光が迷光として受光素子に入射することを避けるために、センサケースに迷光を低減させるスリット等を設けます。

たばこの煙やハウスダストを識別するには、出力電圧の時間的推移をみることで区別が可能です。連続して出力電圧が検出される場合は、たばこの煙と識別し、間欠的に出力電圧が検出される場合は、ハウスダスト等の粒子と識別します。埃センサーは、粒子径φ0.3µm、濃度25µg/m3程度より検出が可能です。

2. レーザー方式

レーザ方式は、レーザーをダストに照射して、固形物の量を検出する方法です。赤外線方式に比べ、高精度で高安定です。低濃度から1,000µg/m3程度の高濃度まで、高精度に測定ができます。

電気制御の最適化で、長寿命化が可能です。また、トラッキング防止構造でセンサー内部の汚れを抑制できます。経年使用による性能変化に、自動キャリブレーション機能で対応します。

埃センサーのその他情報

PM2.5埃センサー

PM2.5埃センサーは、PM2.5の検出に特化したセンサーです。PM2.5は大気中に浮遊する小さな粒子のうち、粒子の大きさが2.5µm以下の非常に小さな粒子のことです。工場の噴煙、自動車の排出ガスをはじめ、たばこの煙などに含まれます。

PM2.5の検出は、赤外線方式、レーザー方式いずれも検出が可能です。0.3~10µmまでの空気中の浮遊粒子の濃度が正確に検出できます。赤外線方式のセンサーは従来気象観測用の大型でしたが、非常に小型のセンサーが開発され、家電製品などに搭載できるようになっています。

PM2.5の測定は、空気中からほこりなど粒径の大きな物質を取り除く必要があります。1つの方法は、分粒器を使う方式です。分流器は、粒径が小さいほど慣性が弱い性質を利用し、PM2.5以下の粒子だけがフォトダイオードの前を通過させる方法です。

参考文献
https://www.shinyei.co.jp/stc/products/optical/ppd20v.html
https://www.cqpub.co.jp/toragi/TRBN/trsample/2003/tr0308/0308bg08.pdf

銅管

銅管とは

銅管とは、非常に優れた熱伝導性と耐食性を持つ配管のことです。

柔軟性にも優れているため、施工も容易です。配管は材質によって金属管と非金属管に分かれ、金属管には鋼管やステンレス管、アルミニウム管などがあり、非金属管にはポリエチレン管やポリブデン管、塩ビ管などがあります。

建築設備、冷暖房装置、工業用途で使用される場合が多いです。主に軟質銅管と硬質銅管があり、軟質銅管は屈曲性があり配管工事に適し、硬質銅管は曲げにくく建築用途や高圧配管に使用されます。銅管は鋼管と比べると高価ですが、リサイクル性が高く環境に配慮した素材です。

銅管の使用用途

1.  建物

軽量で耐食性と抗菌性が高いため、建物の裏側など狭い場所や熱湯や飲料水が通る配管に使用されています。柔軟性に優れ加工が容易で、複雑な形状で製作でき圧着継手やろう漬けで接続できます。

2. 熱交換器

熱伝導性が高く、熱交換器や太陽熱発電など加熱や冷却をする機器に使用されます。鋼管は強度が高いですが、熱伝導性は低いため、急激な温度変化には弱く変形や破損の可能性があります。しかし、銅管は柔軟性が高く、耐食性もあるので長寿命です。

3. その他

導電性のよさから自動車のモーター部品に、熱伝導率のよさからパソコンやゲーム機のCPU冷却装置に、また耐食性のよさから医療ガス用配管など、銅管は多岐にわたる分野で使用されています。

銅管の特徴

1. 抗菌性

大腸菌O-157やレジオネラ菌の繁殖を抑制する効果や、インフルエンザ・ウイルスやノロ・ウイルスの感染力を不活性化する効果などが実証されています。かつては、さびの一種である「緑青」が有毒物質であると信じられていましたが、現在では無害であることが検証済みです。

2. 耐食性

表面に酸素と結合した酸化被膜を生成することにより腐食を防ぎますが、酸性やアルカリ性や硫黄化合物、海水や潮風で腐食します。鋼管同様に塗装や腐食防止材を使用することが必要です。 腐食防止剤としてクロム酸やベンゾトリアゾールが使用され、塗装には樹脂系のエポキシ樹脂を使用します。

3. 熱伝導性

鉄の約7倍、ステンレスの約20倍も熱を伝えやすいので、加熱装置や冷却装置や金型の冷却配管や冷凍配管や空調の熱交換器などで使用されます。熱を伝えるだけなら金や銀も大きいのですが、非常に高額で強度も保てませんので銅が最も経済合理性が良いです。

4. 加工性

柔らかい銅管は容易に曲げることができるので、狭い場所への配管や接触面積を増やすために、緻密な配管ができます。しかし、小径の配管は手でも曲げることが可能で、施工後に接触すると曲がったり破損したりする恐れもあるため、設置場所には注意が必要です。

5. 低温耐性

銅は鉄に比べて低温脆性に優れています。低温下では鉄は脆くなりやすく、急激な温度変化に対しても敏感です。しかし、銅はそのような環境下でも比較的強靭であり、鉄よりも優れた耐摩耗性と耐食性を示します。

銅は熱伝導率が高く、熱膨張係数が低いことによるもので、高温下でも安定した性質のためです。

6. 導電性

配線用の配管と使用する際に管自体を接地線として使用でき、漏電防止をすることができます。

銅管の種類

日本工業規格 (JIS) H3300で規定され、外径、管厚さ、曲げ半径、耐圧性能などで分けられます。

1. 無酸素銅管

オー材とも呼ばれ、直管とコイル状の材料があり柔らかい管です。配線配管、冷媒管、水道管など幅広く使用されます。

2. 酸素銅管

オーエル材とも呼ばれ、性質は無酸素銅に近いです。タフピッチ銅が代表的で無酸素銅に比べて安価ですが、600度以上に加熱すると水素脆性が発生し、亀裂や割れが発生する恐れがあります。

3. 半硬質銅管

ハンカタ材とも呼ばれ、冷媒直管で主に使用されます。ベンダーで曲げ加工ができるので自動車用パイプなど圧力がかかり複雑な形状が必要な場所に使用されます。

4. 硬質銅管

ハード材とも呼ばれ、非常に硬くて強度があるので曲げることはできず、建築配管、冷凍配管、油圧配管などの強度が求められる場所に使用されます。

テストインジケータ

テストインジケータとはテストインジケータ

テストインジケータとは、てこ式のダイヤルゲージで、比較測定器のことです。
テストインジケータには多様な種類があり、目盛りがついている位置と測定子の動き方で分類されています。
一般的に用いられている標準タイプは縦型というタイプで、ダイヤル面が測定子の軸に平行に取り付けられており、正面に向いています。また、測定子は前後に動きます。
この他に、横型、傾斜型、垂直型などのタイプがあり、目的に合わせて選択することができます。

テストインジケータの使用用途

テストインジケータの使用用途は、平面度や平行度や偏芯などの変位量を測定することができ、この他にも、対象物の寸法や、機械の回転軸なども測定することができ、多様な用途に対応しています。
てこ式なので、直行方向の動きを変位量として測定することができます。
種類によって測定子の長さが異なるため、目盛りのついている位置や測定範囲、測定子の長さを選ぶことで、用途に合った使用をすることができます。
テストインジケータは、主に、一般的なダイヤルゲージでは計測することが難しいような深い場所や狭い場所で計測を行う時に使用されています。

テストインジケータの原理

続いて、テストインジケータの原理について説明します。
変位量を測定することができるのは、目盛り板と指針、測定子、ステムから構成された構造に理由があります。
測定子の直行方向の動きに対して目盛りの指針が回転するような仕組みをしているため、計測したい機器の軸の円運動に変換することで変位量をアナログで表示することができます。
計測したい対象である機器の軸の回転に対して、回転の円が真円になっていれば目盛りの指針は動かないのに対し、回転の円が偏心していると目盛りの指針が動くという仕組みをしているためです。
測定にはこの構造原理が重要なので、目盛りと測定子の位置を変えた、目盛りと測定子の動きを変えた豊富な種類がそろっています。
例えば縦型と横型を比べると、縦型は正面の目盛りに対して測定子が前後に動き、横型では測定子が左右に動くようになっています。
また、垂直型や傾斜型は、目盛りが見やすい位置についており、垂直型は測定子に対して上を向くように、傾斜型は角度がついて取り付けられています。

参考文献
https://www.mitutoyo.co.jp/new/report/no255/topics/index.html
https://jp.misumi-ec.com/vona2/s_cate/%E3%83%86%E3%82%B9%E3%83%88%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%B8%E3%82%B1%E3%83%BC%E3%82%BF/

ホイールコンベヤ

ホイールコンベヤとは

ホイールコンベヤは、ホイールのライン上で荷を搬送するためのコンベヤ機器です。

搬送物の寸法に応じて、ソロバンコンベヤとコロコンキャリアを選びます。ソロバンコンベヤは、ソロバンのように並んだホイール上を搬送させ、コロコンキャリアは、一定間隔に空いた2列のホイール上を搬送させます。

ソロバンコンベヤは、搬送物の底面の幅より広い必要があり、コロコンキャリアは底面の幅に対して0.6~0.7倍程度の列間隔である必要があります。

ホイールコンベヤの使用用途

工場の製造ラインなどでは、ホイールコンベヤを利用した荷物運搬輸送システムが構築されます。

ホイールコンベヤ上を自走もしくは人力によって、荷物を目的地へと効率的に輸送します。荷物は、段ボールやプラスチックケース、紙類、木箱などがあり、ホイール間に挟まりずらく底面が平坦で凹凸がないものが適しています。

ホイールコンベヤの原理

ホイールコンベヤは、ホイールを転がしながら荷を搬送させる機器です。

底面の材質や重量などによりますが、コンベヤに緩やかな傾斜を付けるため、自走によって搬送が可能です。具体的には、10kgの段ボールケースでは4%の傾斜、同重量のプラスチックケースでは2%程度の傾斜が必要で、搬送物が重くなれば傾斜を急にする必要があります。

類似のコンベヤとして、ライン上に複数のローラが並んで荷を搬送させるローラコンベヤがあります。

ローラコンベヤには、自走タイプと外部駆動タイプがあり、汎用性が高いためホイールコンベヤと並んで広く使用されます。ホイールコンベヤの方が回転が良く、本体自体も軽いので持ち運びしやすく、軽量品に対してスムーズな搬送が可能です。

参考文献
https://www.okurayusoki.co.jp/product/conveyor/gravity/wheel/function/

角シム

角シムとは

角シム_図0

角シム (英: Square Shim Plate) とは、シムプレートの一種で、外形が矩形 (角型) のものです。

シムプレートは、部品と部品または部品と設備・設置場所の間に挟み込み、相互間の位置・レベル・間隔を調整するための部品です。角シムは、主にベース用シムに分類され、機械部品の組み立ての際に、部品間のレベル調整や隙間のずれを修正し調整するために使用します。

この調整により、機械の振動や騒音などを抑え、機械の損傷を防止し、安定した運転を行うことが可能になります。

なお、シムプレートは角シム以外に、ベアリングフランジ用に使用するシムリングや自由に長さをカットできるシムテープがあります。

角シムの使用用途

角シム_図1

図1. 角シムの使用例

角シムは、ベース用シムとして使用することが多く、部品間レベルの微調整のために用います。角シムの板厚は、例えば同形状で t0.05~t1.0 mm など多種類の厚みのものがあり、1枚から複数枚を組み合わせて、必要な精度に適合するように調整を行います。

特に角シムは、大きさや厚さ、穴あけの有無など、定型的な寸法が準備されており、適合する寸法の選択が容易です。そのため、汎用的なポンプ用モーターやピローブロックなどのレベル調整や、正確な水平度を必要とする機器や設備の傾きを調整する場合に使用されます。

なお、上記の例は遠心ファンの駆動装置としてモーターを使用しています、モーターを設置するベースとモーターの取り付け用脚の間に角シム (ベース用シム) を挿入し、モーターの傾きとレベルを調整します。その結果、モーターの出力軸~カップリング~ファン軸の芯が真っ直ぐになり、振動が無く正確な回転が可能です。

スペーサーも隙間や間隔を調整するために使用しますが、部品間位置調整が主用途で、傾き調整などのレベル調整目的では使用しません。また、ライナーもシム同様の用途で使用しますが、t1.0 mm以上の厚みのものを示します。

角シムの原理

高い精度を求められる場合、単純な部品の取り付けだけでは精度が出ないことがあります。各種部品には公差があり、ある範囲内で加工され寸法だしされていますが、部品点数が多くなると累積で積み上がった公差により、全体組み立て後に必要な精度に収まらない場合も珍しくありません。

そのため、角シムなどのシムプレートを使用し、微調整を行い必要な精度を確保します。部品の傾きや部品のレベルを、角シムを部品間に挿入し変化させることで、全体組み立て状態の精度調整を行います。

角シム自体の板厚も精度が求められ公差があります。必要となる精度に適合するように、角シムの板厚精度を確認することが重要です。板厚の精度は、各メーカーの寸法表などを参照してください。

角シムの種類

1. 形状

角シム_図2

図2. 角シムの形状例

角シムの形状は、主に下記のような種類があります。

  • 取り付け用穴なし
  • 取り付け用穴付き (1、2、4穴など)
  • 取り付け用溝付き (1、2溝など)
  • アライメントシム

取り付け用穴、溝付きは、主にボルトで取り付け組み立てる機械や設備用に使用します。取り付け用溝付きは、ボルトを完全に抜き取らずに挿入することができます。

また、アライメントシムは、挿入・引抜の作業が容易になるよう、工具などを引っ掛ける部分があります。

2. 材質

角シム_図3

図3. 角シムの材質例

角シムの材質は、主に下記のような種類があります。角シムの材質の選定は、耐腐食性など使用する環境の場合はステンレス鋼アルミニウムを使用します。

  • 真鍮
    黄銅 JIS H3100 C2680、C2681など

  • 冷間圧延鋼板及び鋼帯JIS G3141 SPCCなど
  • ステンレス鋼 
    冷間圧延ステンレス鋼板 SUS304、SUS316など
  • アルミニウム
    アルミニウム及びアルミニウム合金の板及び条 JIS H4000 A1050

3. その他

角シムのその他種類として、下記のようなものがあります。

  • 表面処理
    防錆のための黒染め処理されています。
  • 粘着剤塗布
    仮止め用に表面に粘着剤を塗布されています。
  • ラミネートタイプ
    t0.05 mmなど極薄のシムプレート複数枚があらかじ接着され、1から数枚ずつはがすことで板厚の微調整ができます。
  • マーキング
    板厚などの数値を表面に刻印、インクマーキングされています。

参考文献
https://kikaikumitate.com/post-4771/

SAW

SAWとは

図1. IDT (SAW素子) 発信子の基本的構造

SAWとは、圧電材料表面近傍だけを伝搬する弾性波です。

固体表面の一方が気体、液体、真空、別な素材の固体の近傍は、弾性波の伝搬の性質が無限に広がる (バルクの) 固体、液体、気体のいずれとも異なる性質を持ちます。特に固体の基板物質が圧電材料の場合は圧電効果 (ピエゾ効果) のために、歪を加えると特定の方向に表面近傍を伝搬する弾性表面波SAW (英: Surface Acoustic Wave) を発生します。

圧電単結晶、圧電薄膜、圧電セラミックスを基板材料として用いたIDT (英: Interdigital Transducer) は、図1の発信子のような構造を持ち、高周波電源の代わりに高速パルス測定器を用いれば受信子となります。SAWの伝搬速度は1~5km/s程度で、電磁波の10万分の1程度であり回路の小型化が可能です。

SAWの原理

圧電材料を2つの電極で挟んで電極間に歪をかけると電圧をを生じ (圧電効果) 、逆に電極間に歪をかけると電圧を発生します(逆圧電効果)。

圧電材料を用いた基板の上に一対の櫛状の電極を、櫛が交互に並ぶように向かい合わせて配置したSAW素子はIDTと呼ばれ、2つの電極の間に高周波電圧をかけると、IDTには高周波の弾性表面波SAWが発生し、SAW発信子として機能します。

極めて高い周波数の電圧をかければ超音波のSAWを発生させることもできます。逆にIDTがSAWを受けると、IDTに高周波電圧が発生しSAW受信子として機能します。櫛の数や形状、基板材料やその厚さを調整することで、様々な特徴を持つSAWを発信・受信することができます。

発信子と受信子でSAWを送受信することで、発信子と受信子の間の基板の性質を検知したり、基板に特定の膜や素子を配置することにより、SAWの周波数を変調することができます。この性質がSAWが様々な用途に利用される理由です。

SAWの使用用途

SAWの利用範囲は大きく広がっています。いくつかの例を以下に示します。

1. 電子部品への応用

2個のIDTをSAWの発信子、受信子として用いて電気信号のフィルターとして用いるSAWフィルタが、SAWの利用途として最も一般的です。SAWフィルタではフィルタ特性をIDT電極の幅や厚さと材料選択で調整できます。SAWフィルタは、携帯電話、ラジオ受信機、テレビ受信機、デジタル受信機などに広く採用されています。

2. 液体・液滴のマイクロ操作

基板上にマイクロ流体液滴を配置し、SAWが基板上の流体に伝達され、大きな慣性力により流体を加速できることを利用してマイクロ流体ポンプができます。 基板上ではSAW波は横波で、液滴に入ると縦波になり渦を作るため、流体液滴を混合させる効果が発生します。 SAWを駆動機構として用いて液滴を2つ以上の流出口に向けて押し出し、選別します。 液滴のサイズ調整や分割にも使用されています。

3. 流量センサー

液体を流す管の外側に複数のIDT (発信子、受信子) を通常は非接液で配置します。一つの発信子から発生させた表面弾性波が特定の角度で液体にも伝播し、液体を通過する際に、正方向と逆方向の両方に受信波を生じます。液体を1回から複数回通過する発信波と受信波の時間差は流速に相関します。発信波及び受信波郡の時間差を比較・演算することで、流量とそのほかのパラメータの計測が可能となります。

4. ガスセンサーへの応用

図2. SAW素子を用いたガスセンサーの構成

図2に示すように、基板上の2つのIDT間にガス分子に感応性のある薄膜を形成します。ガス分子が薄膜に吸着した時のSAWの周波数や、振幅などの特性からガスの吸着量などを求めることができます。薄膜の材質によりガスの種類を特定できます。水素の場合はPdやPd-Ni合金などが用いられます。

5. タッチパネルへの応用

超⾳波表⾯弾性波 (SAW) ⽅式のタッチパネルでは、指で触れたディスプレイの位置を超⾳波表⾯弾性波の減衰によって検知します。

ガラス基板の四隅に配置した通常2個のIDTから、パネル表⾯に振動として伝わる超⾳波表⾯弾性波を出し、対向する2個のIDTで受信します。指が画⾯に触れると超⾳波表⾯弾性波が減衰するため、受信⼦で振幅変化を検知することでタッチパネル上の位置を特定できます。

6. コンピュータの耐放射線性向上への応用

図3. コンピュータ (L1キャッシュ) への応用例

図3に示すように、コンピュータのCPUと高速でデータを交換するためのL1キャッシュメモリ (256kB程度) 上に5×5個のSAW素子を配置します。宇宙空間などの放射線環境で荷電粒子が入射した時にメモリのデータを反転させる現象 (ソフトエラー) の発生位置を25個のSAW素子への衝撃波信号の到着の時間差から演算できます。

7. 量子コンピュータへの応用

実用的な量子コンピュータを実現するには、量子ビット (量子情報の最小単位) の高集積化が必要となります。特殊な構造をしたくし形電極「チャープIDT」に、時間変化する高周波電圧を印加すると幅広い帯域の表面弾性波ができます。

同位相の表面弾性波を重ね合わせて不要な波を打ち消して形成したSAW孤立パルスに単一電子を載せることにより、量子ビットを移送できます。

SAWのその他情報

圧電材料について

センサーまたはアクチュエータの両機能を利用できる圧電材料は、圧電単結晶、圧電薄膜、圧電セラミックスに大別されます。単結晶の特徴は伝搬損失が小さく、広い周波数領域で使えることです。特に高周波用材料は単結晶のみが使用されています。

圧電単結晶材料として、開発当初は水晶、ニオブ酸リチウム (LiNbO3: 略称LN) 単結晶、タンタル酸リチウム (LiTaO3: 略称LT) などが用いられていました。現在では亜鉛・ニオブ酸鉛とチタン酸鉛の固溶体 (PZNT) マグネシウム・ニオブ酸鉛とチタン酸鉛の固溶体 (PMZT) などの3元系から成る遷移金属化合物に特徴的なペロブスカイト型結晶構造を持つ化合物単結晶の開発も進んでいます。

圧電セラミックスは、振幅の大きいSAWが得られることや容易に大量生産が可能なこと,酸化物であるため比較的安定であることなどが長所です。PZTやBaTiO3などが挙げられます。

弾性波が基板に漏れてSAWの特性を損なうことを防ぐために圧電材料の薄膜化が図られています。例えば音速の速い層の上に圧電単結晶材料の薄膜を形成することで実現できます。圧電薄膜の材料としてはZnO、AIN / ScAIN、KNN、PLAなどが挙げられます。

参考文献
https://eetimes.itmedia.co.jp/ee/articles/2209/09/news044.html
https://upcommons.upc.edu/bitstream/handle/2117/98119/TGRU1de1.pdf
https://www.global.toshiba/content/dam/toshiba/migration/corp/techReviewAssets/tech/review/2000/10/125.pdf
http://web.archive.org/web/20160316203315/http://www.fujitsu.com/jp/group/labs/documents/resources/tech/techguide/list/saw.pdf
https://www.ceramic.or.jp/museum/contents/pdf/2006_08_01.pdf

パワーシリンダ

パワーシリンダとは

パワーシリンダは、モータでボールネジを回転させることで、直線方向に高荷重の物体を押したり引いたりするためのアクチュエータです。

従来の油圧シリンダの場合、ポンプを稼働させて推力を維持する必要がありますが、パワーシリンダには必要がありません。ゆえに電力使用量の削減が可能です。

油を輸送する配管が不要であるため、システム構成が簡単であるというメリットがあります。モータを駆動するためのケーブル接続のみで済みます。

また停電時に電力を喪失しても、ブレーキ付きモータが作動することにより負荷が保持されるため、落下事故の心配がないというメリットがあります。 

パワーシリンダの使用用途

パワーシリンダは高負荷の直線運動が必要とされる重機械、建設機械、農業機械などにおいて主に使用されます。

具体的には、機械部品のロック機構や扉の開閉、各部位の角度・位置調整が挙げられます。
また重量物の昇降にも応用されます。

医療現場でもパワーシリンダによる昇降機能を利用して、車椅子やベッドを移動させることができます。

対象とする搭載物に応じて最大推力が広く定められています。また使用温度範囲も低温から高温まで対応できるパワーシリンダが使用されます。

パワーシリンダの原理

パワーシリンダはモーターとギアヘッド、ボールネジによって構成された機器です。これらの連動により直線的な伸縮運動を実現します。

動作原理について記述します。まずモーターから発生した回転運動がギアヘッドに伝わり、ギアヘッドの回転が生じます。

ギアヘッドはボールネジと連結されているため、ヘッドの回転方向に応じてネジが伸びたり縮んだりすることで、伸縮の大きさを調整することができます。

なお、ボールネジとはネジが切られたロッドにナットやベアリング用のボールが接続された部品のことです。ギアヘッドからの回転運動を直線運動に変換することができます。

その結果、直線運動における位置や速度といったパラメータの調節をモーターの動作により簡単に制御することができます。

比較的、低速でも動作が安定しており、加速時もスムーズに移行させることができます。
そのため、複数の位置でシリンダを停止させたい場合(多点停止)であっても、安定して使用することができます。

参考文献
https://www.tsubakimoto.jp/power-transmission/linear-actuator/electro-mechanical/power-cylinder/
https://www.weblio.jp/content/%E3%83%91%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%83%80%E3%83%BC

コモンモードチョークコイル

コモンモードチョークコイルとは

コモンモードチョークコイルは、コモンモードノイズと呼ばれるノイズを減少させるためのフィルタです。

コモンモードノイズは電源線や信号線を伝わるノイズの一種で、基準大地から配線基盤を経て、再び基準大地へと流れるのが特徴です。

コモンモードチョークコイルは内部にインダクタを含んでおり、ノイズが流れたときに瞬時にその流れを遮断することができます。

電子機器のノイズ対策やEMC対策として、コモンモードチョークコイルは重要な役割を果たしています。 

コモンモードチョークコイルの使用用途

多くの電子機器はノイズの影響を受けても正常に動作するよう、EMC対策が施されます。

EMCとはElectromagnetic Compatibilityの略で、JIS規格では電磁両立性と定義されています。つまり電磁的な妨害を与えたり、受けたりすることなく、たとえ受けても正常に動作するよう設計されていることを意味します。

こうしたEMC対策は、家電製品やOA機器、車両機械などの電子機器が含まれます。

特に後述するコモンモードノイズを除去するために、コモンモードノイズコイルが使用されます。

コモンモードチョークコイルの原理

電源線や信号線を伝わる伝導ノイズは、「ディファレンシャルモードノイズ」と「コモンモードノイズ」の2つに分類されます。

まず基板上に組み込まれた電気回路では、回路の中のある部分から生じた電流は、負荷を通過した後に別のルートを通って戻ってきます。これはディファレンシャルモードと呼ばれ、このように流れたノイズはディファレンシャルモードノイズと呼ばれます。

一方、回路内を電流がループせず、基準大地と基板上の配線間に静電容量が存在するために、これらの間に電流が流れ、反対側から基準大地へと電流が戻るルートが存在します。これはコモンモードと呼ばれるものです。

通常、基準大地と基板回路との静電容量は微小なため、低周波の信号では流れませんが、高周波のノイズであればインピーダンスが低下することでコモンモードノイズが透過しやすくなります。

コモンモードチョークコイルはこれらのうちコモンモードノイズを除去するためのフィルタです。

コイルは円環状のコアに2本の導線が巻きつけられた構造を持ちます。

2本の導線に逆向きの電流が流れると(ディファレンシャルモード)、磁束の向きは逆向きとなり、打ち消し合います。そのためフィルタとしての機能は果たしません。

しかし、同方向の電流が流れると(コモンモード)、磁束が強めあうことでインダクタとして働くため、ノイズをフィルタリングすることができます。

参考文献
https://article.murata.com/ja-jp/article/basics-of-noise-countermeasures-lesson-6
https://www.murata.com/ja-jp/products/emc/emifil/overview/lineup/cmcc

伸縮管継手

伸縮管継手とは

伸縮管継手とは、管の長さの変化に対応できるように設計された管継手です。

管継手は、配管と配管を接続・方向転換・分岐する部品を指します。温度変化による配管の伸縮を吸収することができます。伸縮管継手は、管の長さの変化に対応することが可能です。

熱膨張や地震などによって管の長さが変化した場合でも、伸縮管継手はその変化に合わせて伸縮します。また、振動や衝撃を吸収することもできます。配管システムや機械装置の振動や騒音を軽減し、装置の安定性や快適性を向上させることが可能です。

ただし、伸縮管継手は定期的なメンテナンスが必要です。使用状況や環境によっては、伸縮管継手のクランプや留め具の締め直しや摩耗部品の交換などが必要になる場合があります。メンテナンスを怠ると継手の性能が低下し、漏れや故障のリスクも増加します。

伸縮管継手の使用用途

伸縮管継手はさまざまな分野で使用されます。以下は伸縮管継手の使用用途一例です。

1. ヒーターや冷却装置

ヒーターや冷却装置などの熱交換機器では、伸縮管継手が使用されます。熱膨張や振動によって、配管の長さが変化する場合に、伸縮管継手がその変化を吸収し、配管の応力を軽減することが可能です。これにより、熱交換機器の効率や安全性を向上させ、設備の寿命を延ばします。

2. ガス配管

ガスパイプラインなどでは、伸縮管継手が使用されることも多いです。地震や地盤の変動によってガス管の伸縮や変位が生じる場合に、伸縮管継手がその変化に対応します。パイプラインの安全性を確保し、供給システムの効率を向上させることが可能です。

3. 船舶

船舶や海洋施設の建設でも伸縮管継手が使用されます。海上での振動や波浪による変位や変形に対応するため、配管に伸縮管継手が組み込むことが多いです。船体や施設の可動性や耐久性を確保し、環境変動に対する適応性を向上させます。

4. 自動車

自動車など排気システムでは、エンジンからの排気ガスを効率的に排出するために伸縮管継手が使用されることも多いです。エンジンの振動や温度変化により、排気管の長さが変化する場合に伸縮管継手がその変化を吸収します。

高温や振動による配管の破損や漏れを防止し、排気システムの効率や信頼性を向上させます。

伸縮管継手の原理

伸縮管継手の原理は、伸縮性のある素材と設計に基づいています。伸縮性がある柔軟な素材はゴムやプラスチックなどを使用することが多いです。これにより、管の長さの変化に対応することができます。

伸縮管継手の内部には、複数の畳み込みやリブが配置されています。これらの畳み込みやリブは、継手が伸び縮みする際に変形し、柔軟性を与える部品です。

伸縮管継手は、接続する2つの管やチューブの端部に取り付けられます。一方の端には内部のリブや畳み込みがあり、他方の端には外部のリブや畳み込みがあります。

伸縮管継手の種類

伸縮管継手はスリーブ型、ベローズ型、ベント型の3種類が代表的です。

1. スリーブ型

内部にスリーブ持つ継手です。スリーブは一方の端の管にスリップジョイント方式でスライドさせることが可能で、他方の端の管にはめ込まれます。伸縮性が高く、伸縮量に合わせてスリーブを調節することができます。

2. ベローズ型

蛇腹 (ベローズ) を持つ継手です。完全に密封されているため、漏れの恐れが少ない点が特徴です。ただし、伸縮の繰り返しによる疲労破壊の可能性があります。

効果的に動作させるためには両端に固定点を設ける必要があり、設置場所が限られています。また、固定点には、ベローズの変位によるバネ反力や内圧による静的推力がかかるため、相応の強度が必要です。

3. ベント型

曲げ可能な部分 (ベント) を持つ継手です。曲げ部分にはU字型、Ω型、ループ状などの形状があり、配管の伸縮・たわみ・ねじれを吸収します。

単純な構造をしているため、耐久力が強い点が特徴です。ただし、設置するのに大きなスペースが必要になります。

参考文献
https://www.technoflex.co.jp/business/metal/exp.html
https://www.nfk-jp.com/spec/bellows/