コモンモードチョークコイル

コモンモードチョークコイルとは

コモンモードチョークコイルは、コモンモードノイズと呼ばれるノイズを減少させるためのフィルタです。

コモンモードノイズは電源線や信号線を伝わるノイズの一種で、基準大地から配線基盤を経て、再び基準大地へと流れるのが特徴です。

コモンモードチョークコイルは内部にインダクタを含んでおり、ノイズが流れたときに瞬時にその流れを遮断することができます。

電子機器のノイズ対策やEMC対策として、コモンモードチョークコイルは重要な役割を果たしています。 

コモンモードチョークコイルの使用用途

多くの電子機器はノイズの影響を受けても正常に動作するよう、EMC対策が施されます。

EMCとはElectromagnetic Compatibilityの略で、JIS規格では電磁両立性と定義されています。つまり電磁的な妨害を与えたり、受けたりすることなく、たとえ受けても正常に動作するよう設計されていることを意味します。

こうしたEMC対策は、家電製品やOA機器、車両機械などの電子機器が含まれます。

特に後述するコモンモードノイズを除去するために、コモンモードノイズコイルが使用されます。

コモンモードチョークコイルの原理

電源線や信号線を伝わる伝導ノイズは、「ディファレンシャルモードノイズ」と「コモンモードノイズ」の2つに分類されます。

まず基板上に組み込まれた電気回路では、回路の中のある部分から生じた電流は、負荷を通過した後に別のルートを通って戻ってきます。これはディファレンシャルモードと呼ばれ、このように流れたノイズはディファレンシャルモードノイズと呼ばれます。

一方、回路内を電流がループせず、基準大地と基板上の配線間に静電容量が存在するために、これらの間に電流が流れ、反対側から基準大地へと電流が戻るルートが存在します。これはコモンモードと呼ばれるものです。

通常、基準大地と基板回路との静電容量は微小なため、低周波の信号では流れませんが、高周波のノイズであればインピーダンスが低下することでコモンモードノイズが透過しやすくなります。

コモンモードチョークコイルはこれらのうちコモンモードノイズを除去するためのフィルタです。

コイルは円環状のコアに2本の導線が巻きつけられた構造を持ちます。

2本の導線に逆向きの電流が流れると(ディファレンシャルモード)、磁束の向きは逆向きとなり、打ち消し合います。そのためフィルタとしての機能は果たしません。

しかし、同方向の電流が流れると(コモンモード)、磁束が強めあうことでインダクタとして働くため、ノイズをフィルタリングすることができます。

参考文献
https://article.murata.com/ja-jp/article/basics-of-noise-countermeasures-lesson-6
https://www.murata.com/ja-jp/products/emc/emifil/overview/lineup/cmcc

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