角シム

角シムとは

角シム_図0

角シム (英: Square Shim Plate) とは、シムプレートの一種で、外形が矩形 (角型) のものです。

シムプレートは、部品と部品または部品と設備・設置場所の間に挟み込み、相互間の位置・レベル・間隔を調整するための部品です。角シムは、主にベース用シムに分類され、機械部品の組み立ての際に、部品間のレベル調整や隙間のずれを修正し調整するために使用します。

この調整により、機械の振動や騒音などを抑え、機械の損傷を防止し、安定した運転を行うことが可能になります。

なお、シムプレートは角シム以外に、ベアリングフランジ用に使用するシムリングや自由に長さをカットできるシムテープがあります。

角シムの使用用途

角シム_図1

図1. 角シムの使用例

角シムは、ベース用シムとして使用することが多く、部品間レベルの微調整のために用います。角シムの板厚は、例えば同形状で t0.05~t1.0 mm など多種類の厚みのものがあり、1枚から複数枚を組み合わせて、必要な精度に適合するように調整を行います。

特に角シムは、大きさや厚さ、穴あけの有無など、定型的な寸法が準備されており、適合する寸法の選択が容易です。そのため、汎用的なポンプ用モーターやピローブロックなどのレベル調整や、正確な水平度を必要とする機器や設備の傾きを調整する場合に使用されます。

なお、上記の例は遠心ファンの駆動装置としてモーターを使用しています、モーターを設置するベースとモーターの取り付け用脚の間に角シム (ベース用シム) を挿入し、モーターの傾きとレベルを調整します。その結果、モーターの出力軸~カップリング~ファン軸の芯が真っ直ぐになり、振動が無く正確な回転が可能です。

スペーサーも隙間や間隔を調整するために使用しますが、部品間位置調整が主用途で、傾き調整などのレベル調整目的では使用しません。また、ライナーもシム同様の用途で使用しますが、t1.0 mm以上の厚みのものを示します。

角シムの原理

高い精度を求められる場合、単純な部品の取り付けだけでは精度が出ないことがあります。各種部品には公差があり、ある範囲内で加工され寸法だしされていますが、部品点数が多くなると累積で積み上がった公差により、全体組み立て後に必要な精度に収まらない場合も珍しくありません。

そのため、角シムなどのシムプレートを使用し、微調整を行い必要な精度を確保します。部品の傾きや部品のレベルを、角シムを部品間に挿入し変化させることで、全体組み立て状態の精度調整を行います。

角シム自体の板厚も精度が求められ公差があります。必要となる精度に適合するように、角シムの板厚精度を確認することが重要です。板厚の精度は、各メーカーの寸法表などを参照してください。

角シムの種類

1. 形状

角シム_図2

図2. 角シムの形状例

角シムの形状は、主に下記のような種類があります。

  • 取り付け用穴なし
  • 取り付け用穴付き (1、2、4穴など)
  • 取り付け用溝付き (1、2溝など)
  • アライメントシム

取り付け用穴、溝付きは、主にボルトで取り付け組み立てる機械や設備用に使用します。取り付け用溝付きは、ボルトを完全に抜き取らずに挿入することができます。

また、アライメントシムは、挿入・引抜の作業が容易になるよう、工具などを引っ掛ける部分があります。

2. 材質

角シム_図3

図3. 角シムの材質例

角シムの材質は、主に下記のような種類があります。角シムの材質の選定は、耐腐食性など使用する環境の場合はステンレス鋼アルミニウムを使用します。

  • 真鍮
    黄銅 JIS H3100 C2680、C2681など

  • 冷間圧延鋼板及び鋼帯JIS G3141 SPCCなど
  • ステンレス鋼 
    冷間圧延ステンレス鋼板 SUS304、SUS316など
  • アルミニウム
    アルミニウム及びアルミニウム合金の板及び条 JIS H4000 A1050

3. その他

角シムのその他種類として、下記のようなものがあります。

  • 表面処理
    防錆のための黒染め処理されています。
  • 粘着剤塗布
    仮止め用に表面に粘着剤を塗布されています。
  • ラミネートタイプ
    t0.05 mmなど極薄のシムプレート複数枚があらかじ接着され、1から数枚ずつはがすことで板厚の微調整ができます。
  • マーキング
    板厚などの数値を表面に刻印、インクマーキングされています。

参考文献
https://kikaikumitate.com/post-4771/

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