埃センサーとは
埃センサー (英: dust sensor) とは、埃を検知するセンサーです。
一般家庭環境やパーティクルの管理されたクリーンルームなどで、空間に浮遊する粒子を検知するために用いられます。一般家庭用では、空気清浄機やエアコン等に埃センサーが内蔵されています。
似たものとして挙げられるのが、パーティクルカウンターです。光散乱原理に基づき、浮遊する粒子の検出を行います。タバコの煙やアレルギーの原因であるハウスダストなどを検出することが可能です。
埃センサーの使用用途
埃センサーは、ハウスダストやタバコの煙など、空気中に浮遊する粒子を光学的に検出するセンサーです。空気清浄機やエアコン、換気扇や環境モニタなどに搭載され、各種ほこりやたばこの煙、ハウスダストなどを検出します。
また、フイルム等のほこり検知、エアーブローの完了確認、エアーシャワーの埃量との同期制御、粉塵発生時の空気清浄機の駆動、レストランや厨房等の煙の影響監視用などに使われます。小型IOT機器やヘルメット等、ウェアラブル機器への搭載が可能です。
さらに、警報用途では集塵機のフィルター破損警報、埃・粉塵・発煙の警報信号、集塵装置のフィルター破損警報、工作機械の油煙警報、リサイクル工場の粉塵警報などがあります。また、焼入れ工場のヒューム及びミスト監視、制御盤の発煙監視にも使用されます。
埃センサーの原理
埃センサーの検出方式は、赤外線を使う方法やレーザーを使用する方法があります。
1. 赤外線方式
埃センサーは、空間に浮遊するほこりに赤外線を照射し、その散乱光を検出することで、ほこり量を検出します。埃センサーの構成は、光を放射する発光ダイオードと埃に反射した光を受けるフォトダイオードなどです。
そのほか、光を効率よく集めるためのレンズ、内部に微弱な上昇気流を発生させるヒータが使われ、吸気口から埃や煙を吸い込み、排気口から排出します。赤外線などの発光ダイオードを用い、外部からの入力信号に応じてパルス的に発光します。受光素子であるフォトダイオードへ発光ダイオードから入射光を受光させ、入射光量に応じたパルス電流を出力します。
発光素子、受光素子の全面に指向性を絞るための非球面レンズ等が設置されており、投光・受光の光軸が交わる領域が、埃や煙などを検出する領域です。また、不必要な光が迷光として受光素子に入射することを避けるために、センサケースに迷光を低減させるスリット等を設けます。
たばこの煙やハウスダストを識別するには、出力電圧の時間的推移をみることで区別が可能です。連続して出力電圧が検出される場合は、たばこの煙と識別し、間欠的に出力電圧が検出される場合は、ハウスダスト等の粒子と識別します。埃センサーは、粒子径φ0.3µm、濃度25µg/m3程度より検出が可能です。
2. レーザー方式
レーザ方式は、レーザーをダストに照射して、固形物の量を検出する方法です。赤外線方式に比べ、高精度で高安定です。低濃度から1,000µg/m3程度の高濃度まで、高精度に測定ができます。
電気制御の最適化で、長寿命化が可能です。また、トラッキング防止構造でセンサー内部の汚れを抑制できます。経年使用による性能変化に、自動キャリブレーション機能で対応します。
埃センサーのその他情報
PM2.5埃センサー
PM2.5埃センサーは、PM2.5の検出に特化したセンサーです。PM2.5は大気中に浮遊する小さな粒子のうち、粒子の大きさが2.5µm以下の非常に小さな粒子のことです。工場の噴煙、自動車の排出ガスをはじめ、たばこの煙などに含まれます。
PM2.5の検出は、赤外線方式、レーザー方式いずれも検出が可能です。0.3~10µmまでの空気中の浮遊粒子の濃度が正確に検出できます。赤外線方式のセンサーは従来気象観測用の大型でしたが、非常に小型のセンサーが開発され、家電製品などに搭載できるようになっています。
PM2.5の測定は、空気中からほこりなど粒径の大きな物質を取り除く必要があります。1つの方法は、分粒器を使う方式です。分流器は、粒径が小さいほど慣性が弱い性質を利用し、PM2.5以下の粒子だけがフォトダイオードの前を通過させる方法です。
参考文献
https://www.shinyei.co.jp/stc/products/optical/ppd20v.html
https://www.cqpub.co.jp/toragi/TRBN/trsample/2003/tr0308/0308bg08.pdf