燃料電池

燃料電池とは

燃料電池

燃料電池とは水素と酸素が反応して水が生成する際に発生する電気エネルギーを利用する為の装置で、電解質を挟んで燃料極に水素、空気極に酸素を供給し反応を起こします。化石燃料を利用した場合と比較して環境負荷が極めて低く、また、エネルギー効率にも優れているため様々な応用が期待されています。

エネルギー源としては水素そのものの他に天然ガスやLPG、メタノール等の化石燃料を触媒を用いて改質することで使用することが可能で、設置き場所や用途に応じた使い分けがされています。

燃料電池の使用用途

燃料電池は開発当初、電気と水素を同時に取り出せる装置として宇宙船等に利用されましたが、今日最も普及しているものは家庭用発電機です。

燃料電池を利用した家庭用の発電機は電力使用ピーク時の発電補助を目的として設置されており、都市ガスを発電用水素の供給源として利用します。

他に注目されている分野は燃料電池車で、充電不要で航続距離が長い、環境負荷が低い等様々なメリットを持っており市販もされていますが、低環境負荷と両立する場合、水素ステーションの整備等に課題が残っています。

燃料電池の原理

燃料電池には利用する電解質の種類に応じて4種類が存在しますが、今日普及しているもの、または今後の普及が期待されているものとして固体高分子型、固体酸化物型が挙げられます。

燃料電池の原理

図1. 燃料電池の原理

固体高分子型の燃料電池は電解質にフッ素樹脂系の陽イオン交換膜を利用しているのが特徴で、燃料には純水素の他にメタノールや都市ガス等を利用します。構造が比較的単純で小型化が可能なため家庭用発電機や燃料電池自動車等、多くの用途に利用されていますが、現状では白金触媒が高価なため使用を抑えるための研究が進められています。

また、固体酸化物型の燃料電池は電解質にセラミックを利用しているのが特徴で、固体高分子型と同様に燃料には純水素、メタノール、都市ガス等を用います。構造が固体高分子型と比較して単純で理論上の発電効率もより高く、高価な白金触媒も不必要ですが、600℃~1200℃の高温環境下での動作となるため部品の信頼性、耐久性の検証が必要であること、また、運転始動時の立ち上がりが遅く温度が上がるまでに時間がかかることなどが課題で、検証、改良が進められています。

燃料電池のその他情報

燃料電池のメリット

1. 発電効率が良い
火力発電の場合、燃料を燃やして得られた熱で水蒸気を生み出し、その水蒸気がタービンを回すことで電気を生み出します。この場合、燃料の化学エネルギーを熱エネルギー、運動エネルギーを経て電気エネルギーに変えるためエネルギー損失が発生します。加えて、発電所からの送電にもエネルギーが損失します。一方で、家庭用燃料電池では送電ロスもなく、化学エネルギーを直接電気エネルギーに変えるため非常に発電効率が高いです。

2. エネルギー源が安定している
燃料電池で使用する水素は、LPガスや天然ガス、石油、メタノール、バイオマスなど様々な原料から得ることができるため、燃料を安定して供給することができます。

3. 環境負荷が小さい
火力発電のように燃料を燃やす場合では二酸化炭素のみならず、窒素酸化物や硫黄酸化物などの大気汚染物質が多く生成されます。一方で、燃料電池であれば発電時に水しか生成されないので、非常に環境にやさしいです。

4. 非常に静か
燃料電池はタービン等を必要とせず、化学反応のみで電気を得られるため、稼働時は非常に静かであり、振動もほとんどありません。

このように、燃料電池は非常に優れた特性を有していますが、現状では高いコストや短い寿命などの課題があります。

粘着テープ

粘着テープとは

粘着テープ

粘着テープとは、表面に粘着剤が塗布されたテープです。

貼り合わせた面の強度を出すためには接着剤が有利ですが、粘着テープは接着剤と比較して貼り合わせた瞬間から一定の強度を出せて、必要に応じて貼り合わせた面を破損させることなく可逆的に剥がせます。

粘着剤にはチューブに入った製品も存在し、接着剤の欠点を補う目的で使用されるため、一般的には粘着テープとして用いられる場合が多いです。

粘着テープの使用用途

粘着テープは工業分野で幅広く利用されています。

物同士を貼り合わせる使い方が最も一般的ですが、粘着テープの容易に貼って剝がせる特性を利用し、建設現場などでのマスキングや分解を前提とした工業部品の組み立てなどに利用されています。目的に応じてテープの素材や粘着剤を選べるため、電気製品の絶縁や基盤の保護などにも利用可能です。

市販のテープの大半が粘着テープに分類されますが、工業目的の水に濡らして使うガムテープは「接着テープ」に分類されます。

粘着テープの原理

粘着テープはテープと物質の間に粘着剤を介して働く分子間力を利用して物を貼り合わせます。分子間力は十分に接近した物質間でのみ有効に作用する力で、通常2つの物質同士を近付けても表面の微細な凹凸が密着を妨げるため分子間力は働きません。しかし粘着剤は力を加えると液体の性状を示し、物質間の微細な凹凸を埋める働きを持つため、粘着テープと貼り付けた物質の間に分子間力を発生させます。

粘着剤は広義の接着剤の一種です。通常の接着剤が硬化させる投錨効果や化学結合を利用しており接着が不可逆的ですが、相対的に弱い作用である分子間力を利用した粘着は可逆的に剝がせます。

粘着テープの構造

粘着テープは粘着剤、表面基材、剥離紙 (剥離フィルム) で構成されています。

1. 粘着剤

粘着テープに使用される粘着剤の種類には、アクリル系粘着剤、シリコーン粘着剤、ウレタン粘着剤などがあります。アクリル系粘着剤は材料の自由度が高く、透明性や耐久性に優れています。シリコーン粘着剤は使用可能な温度範囲が広く、貼った後に気泡が抜けやすいです。ウレタン粘着剤は貼り直し作業に適しています。

2. 表面基材

不織布にはポリプロピレンやポリエステルのような合成繊維が多く、柔軟性があります。塩化ビニルは硬質と軟質の両方の性質を有し、加工適正に優れています。ポリエステルは寸法安定性、機械強度、平滑性、透明性が高いです。発泡体は厚みを持ち、剥離強度に優れ、振動や被着体の凹凸を吸収しやすいです。銅やアルミのような金属箔は耐薬品性と導電性に優れています。

3. 剥離紙 (剥離フィルム)

一般的に剥離紙が用いられますが、剥離フィルムは透明性や平滑性が高く、紙粉が出ません。

粘着テープの種類

粘着テープの素材によって特徴は異なります。

1. フィルムテープ

種類が豊富なため特徴も多種多様です。ポリ塩化ビニルは軟質PVCと硬質PVCに分類されます。軟質PVCは柔軟性や電気絶縁性が良く、硬質PVCは形状安定性に優れています。ポリエチレンやポリプロピレンは表面の保護や部品の一時固定に使用可能です。ポリエチレンテレフタレートは熱伝導性や耐UV性に優れています。ポリウレタンやポリイミドは軽くて柔軟性があり、高温環境で使われます。

2. フォームテープ

柔らかく厚みを持ち、衝撃を吸収します。冷蔵庫、窓、家具のような装飾部材を固定する際によく用いられます。

3. 布テープ

コットンやレーヨンは丈夫なため、亀裂部分のカバーやケーブル類の結束に使われます。手でも繊維に沿って割くようにちぎれて使い勝手が良いです。

4. 紙テープ

麻、パルプ、靭皮繊維が原料で、柔軟性、伸張性、耐熱性を有します。

5. アクリルフォームテープ

耐候性、耐久性、粘弾性に優れています。例えばプラスチックと金属や金属とガラスのような異種材料の接合に向いています。

参考文献
https://www.tesa.com/ja-jp/wikitapia/liquid-glue-or-adhesive-tape-who-wins.html
https://www.dic-global.com/ja/products/adhesive_tapes/about.html
https://www.neion.co.jp/faq/adhesive_type.html
https://techtimes.dexerials.jp/bonding/what-is-glueing/
https://magazine.cainz.com/article/708

排気装置

排気装置とは

排気装置

排気装置とは作業環境において発生する粉塵や有機溶剤等の人体にとって有害な物質の室内への拡散を防ぎ、強制的に吸引、排気する装置のことを指します。

排気装置には作業環境全体の換気を行う全体換気装置、有害物質の発生源を挟む形で吹き出し用と吸い込み用の2つの装置を設置するプッシュプル型換気装置、発生源に近い場所から直接吸引を行う局所排気装置の3種類が存在します。

特に有機溶剤を取り扱う作業環境の場合、従業員の安全確保の観点から排気装置の設置及び設置のための届出が義務付けられています。

排気装置の使用用途

排気装置は主に有機溶剤や粉塵などを取り扱う作業が発生する現場で幅広く使用されています。

全体換気装置は作業性や設置コストの面で優れているため取り入れやすい方法ですが、換気の効果が低く排気の処理が難しいため高リスクの有機溶剤等の取り扱いには不向きです。

一方、局所排気やプッシュプル型換気は大掛かりな装置が必要になりますが、選択的に排気を捕集、処理することが可能なため、高リスクの物質が環境中に拡散するのを防ぐことができます。

排気装置の原理

排気装置における全体換気装置としては主に換気扇が用いられています。換気扇を作業環境に複数設置することにより空気を循環させて有害物質を希釈し、安全な作業環境を保つことを目的としています。

一方、局所排気装置やプッシュプル型換気装置では空気の流れをより積極的に作り出し、有害物質を捕集することを目的としています。

局所排気装置では有害物質の発生源をフードで覆って吸引する、もしくは発生源の直ぐ側にフードを設置し、高い排風量で吸引することによって環境中への拡散を防ぎます。最も効果的なものは囲い式のフードですが、作業環境や扱う物質に応じて開放式のものも利用されています。

また、プッシュプル型換気装置は特定の作業環境において一様な流れの気流を作り出すことによって有害物質への高濃度の曝露を防ぐことを目的にしており、局所排気装置より広い範囲の排気が可能です。

局所排気装置やプッシュプル型換気装置においては装置性能が維持されていることが重要であるため、有機溶剤を取り扱う上での自主点検の指針が定められています。

参考文献
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/user/anzen/kag/pdf/taisaku/common_Ventilating.pdf
https://www.teral.net/solution/exhaust/yougo-system-local/
https://www.jaish.gr.jp/horei/hor1-49/hor1-49-30-1-5.pdf

排水桝

排水桝とは

排水桝

排水桝とは、家庭や事業所から発生した汚水や雨水の排水管に設けられているトラップです。

主に排水が合流する場所や配管が曲がっている部分に設置され、桝と称する場合もあります。排水桝の代表例は雨水を流す雨水桝、生活排水などを流す汚水桝、公共下水道との接続部分に設けられている公共桝です。

雨水桝や汚水桝は家庭内の排水設備として居住者に設置や管理が義務付けられている一方、公共桝は公的機関によって設置や管理がされています。

排水桝の使用用途

排水桝は家庭内から排出された汚水や雨水と一緒に流出した固形物が配管に詰まって流れの妨げを予防するために設置されています。

配管内に固形物が詰まった場合には大掛かりな修理が必要になる可能性もありますが、管の途中に排水桝を設けると固形物を沈殿させます。

排水桝は容易に清掃可能な構造となっており、定期的に清掃を行って詰まりや悪臭などの発生を予防可能です。

排水桝の特徴

排水桝には公共下水道への接続を円滑に行い、機能を失わないための基準が設けられています。材質は耐震性等を考慮し、かつてはコンクリート製の排水桝が主でした。現在ではコンクリートより丈夫でかつ経年劣化に強い塩ビ製が小型を中心に使用されています。

排水の種類によって異なる形状が要求され、雨水枡では泥の流入を想定した一定以上の深さを持った泥だめの設置、汚水桝では汚物の滞留を防ぐためのインバートの設置や配管との接続角度の制限などが義務付けられています。雨水桝の蓋は格子状でも可能ですが、汚水桝は密閉式の蓋の設置が義務付けられており、いずれの場合でも配管内でのガス等の滞留を防ぐため、二重トラップは設置禁止です。

清掃の際には蓋を取り除いて表面に浮かんでいる汚物や沈殿している汚物を取り除き、必要に応じて配管を洗浄可能です。

排水桝の種類

排水桝は6種類に分類でき、種類によって用途や使用される場所が違います。

1. 汚水枡

主にエアコンやトイレからの排水に用いられ、インバート枡と呼ばれます。底面に配管と同じ形状の溝があり、水以外の異物や泥が沈殿するように設計されています。

2. 雨水枡

雨水を集結させる枡です。枡によって雨水が地面に染み込むように設置される浸透式と雨水が下水道へ流れるように設置する非浸透式の2種類に分類されます。枯葉のような異物を沈殿させる役割もあります。

3. 会所枡

台所、洗面、洗濯からの排水に使われる雑排水用の枡です。排水を集めるだけでなく、泥や混合物を沈殿させ、上澄みのみを流す役割もあります。トラップ構造を有するトラップ枡が多いです。

4. 公共枡

公設枡や最終枡とも呼ばれ、敷地内からのすべての排水が合流する場所で用いられます。公共枡の先は公共下水道と排水設備に分かれています。

5. 泥溜枡

雨水や雑排水の管路に設置され、砂や泥を沈殿させます。

6. ドロップ枡

敷地の高低差が大きいときに使われます。垂直に設置し、排水の配管が垂直に落ちるため、勾配が安定しています。

排水桝の構造

排水桝の材質には塩ビ製やコンクリート製が多いです。塩ビ製の桝径には150mm、200mm、300mmなどがあります。一般的にコンクリート製は鉄筋を持たない無筋コンクリートが多く、使用条件や大きさによっては有筋コンクリートを使用可能です。

桝の蓋は塩ビ製、鋳鉄製、ステンレス製、鋼製格子型などがあり、設置場所で使い分ける必要があります。

コンクリート製の排水桝は現場で製作されます。設計図面の寸法に従って木型を組み立て、生コンクリートを打設して作成可能です。木型の組み立てが設置予定場所で難しいときには予め別の場所で作成してから現場に据え付けます。水路に使用する開口や蓋を設ける凹部が必要となり、製作には熟練技術が必要です。塩ビ製の排水桝は掘削や敷砂の後に排水桝を置き、排水管や立上り管を設置した後に蓋をして埋め戻します。

参考文献
https://www.morioka-water.jp/corporation/pdf/se_kijun.pdf
http://www.city.onojo.fukuoka.jp/s083/010/010/030/050/haisuisetubigizyutukizyun.pdf
https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/machizukuri-kankyo/kasen-gesuido/gesuido/setsuzoku/haisui/youran.files/0006_20180824.pdf
https://www.katsuhara-s.com/files/pdf/202104_haisui.pdf
https://www.nplan-hiroshima.jp/column/?postid=5640
https://sq.jbr.co.jp/library/1235

白熱電球

白熱電球とは

白熱電球

白熱電球とは、ガラス管の中に封入したフィラメントに電流を通して2,000~3,000°Cに発熱させ、発光させる装置です。

ガラス管にハロゲンガスを封入して寿命を延ばしたものをハロゲン電球と呼びます。

白熱電球は蛍光灯やLEDと比較して寿命が短くエネルギーの消費量が多いため、最近では置き換えが進められています。調光が可能で独自の色味を出せるため、店舗や事業用の照明を中心に白熱電球を引き続き利用可能です。

白熱電球の使用用途

白熱電球は導入コストの安さや色味の良さから、かつては家庭用や事業用を問わず照明器具として幅広く用いられていました。最近ではより特性を活かす形で利用可能です。

蛍光灯やLEDの分光分布が特定の部分に強いピークを持つのに対して白熱電球は連続的であるため、白熱電球に照らされた対象物は自然な色合いに感じられます。そのため白熱電球は色の再現性が求められる飲食店や落ち着いた雰囲気が好まれるリビング向けの照明などによく利用されます。

白熱電球の構造

白熱電球は口金及びタングステン製のフィラメントやガラス管で構成されており、ガラス管の中にはアルゴンや窒素が封入されています。

1. サポート線

バルブ内の導入線の一種です。ニッケル線などが使用されます。

2. 封着線

バルブを貫通する導入線の一種です。一般的に銅被覆ニッケル鋼線が使われ、ハロゲンランプにはモリブデン薄箔が使用されます。

3. ヒューズ線

外部導入線の一種です。コンスタンタン線が使用され、フィラメント折損時に生じるアーク放電による過電流を防止するヒューズになっています。

4. フィラメント

白熱電球の発光部分です。

5. アンカ

モリブデン線が使われ、フィラメントを支える補助線です。

6. バルブ

フィラメント部を封入したガラス球です。軟質ソーダガラスや硬質硼珪酸ガラスが用いられ、ハロゲンランプには石英ガラスが使われます。

白熱電球の原理

口金部分を照明器具に取り付けて電源を入れるとフィラメントに電流が流れ、フィラメントは電気抵抗により発熱し、発光します。光は赤外領域にピークを持ち、可視光も含んで連続的です。封入されたアルゴンや窒素は高温の状態でフィラメントが切れることを防ぐ役割を担っています。

ハロゲン電球は発光効率の改善を図るため、より高温環境での運転を想定して設計可能です。ガラス管にはより高温にも耐えられる石英ガラスが使用されており、ガラス管の中にはアルゴンや窒素に加えてハロゲンガスが封入されています。

フィラメントが発光している状態ではタングステンの一部が蒸発します。しかし蒸発したタングステンと封入されたハロゲンガスが相互作用し、ハロゲンサイクルの形成によってフィラメントの再生が起こるため、通常の白熱電球と比較して長寿命です。

白熱電球の種類

1. シリカ電球

シンプルな仕組みの白熱電球で、くもりガラス仕上げになっています。

2. クリア電球

透明で輝度が非常に高く、きらめきを演出する場合に採用されます。

3. ボール電球

形状が丸型で、落ち着いた雰囲気を出します。

4. ミニ電球

小型で寿命が短いため、ランプの交換頻度が多いです。

5. 小丸電球

小型で長寿命で、寿命は5,000時間を確保しています。ナツメ球とも呼ばれます。

6. レフ電球

内部に反射板が設置され、光に指向性があります。ディスプレイ照明やスポットライトに使われます。

7. クリプトン電球

電球内にクリプトンガスが封入されています。一般的な電球と比べて2倍ほど長寿命で、消費電力を10%程度削減可能です。

8. ミニクリプトン電球

非常に小さいクリプトン電球で、輝度を高く設計可能です。トイレ用ブラケットやパウダーコーナーによく用いられます。

9. シャンデリア電球

炎の形状を模したバルブ形の白熱電球です。きらびやかな演出ができ、ブラケット照明やペンダント照明に使用される場合もあります。

参考文献
https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/shoene_shinene/sho_energy/shomei_kigu/pdf/2016_01_03_00.pdf
https://www.ccs-inc.co.jp/guide/column/light_color/vol36.html
https://electric-facilities.jp/denki3/denkyu.html
https://www.ushio.co.jp/jp/technology/glossary/glossary_ha/harogen_sycle.html

発振器

発振器とは

発振器

発振器とは、電子回路を用いて持続的に交流信号を発生するものです。

オシレータ (英: Oscillator) とも呼ばれています。一定の周波数の正弦波を発生する回路から成りますが、発振回路には抵抗 (R) とコンデンサ (C) を組み合わせたRC発振回路、コイル (L) とコンデンサ (C) を組み合わせてその共振を利用したLC発振回路、水晶振動子やセラミック振動子を使ったものなどがあり、用途に応じて使い分けます。

発振器の使用用途

発振器は、放送機器や通信機器における送受信周波数を得るために使われます。放送では、定められた周波数の電波に変調された番組情報を送信し、受信機はその周波数の電波を受けて番組内容を再生するため、発振器は送受信機どちらにとっても重要な回路です。通信の分野でも同様に、一定の周波数で送信し、受信側ではその周波数に同調することで情報のやり取りが可能になります。

また、マイクロプロセッサを含むデジタル回路においては、ロジック回路の同期をとるシステムクロックが重要な役目を果たしますが、システムクロックの基となる安定した周波数の発生源として発振器を使用されています。さらに、電子楽器の音源でも発振器を備え、その信号を基に楽器の音色を形成しています。

発振器の原理

発振回路は、増幅回路と正帰還回路から構成されています。正帰還とは、ポジティブフィードバックとも呼ばれ、増幅回路の出力信号の一部を帰還回路を介して入力側に戻す際、同位相にするものです。

帰還回路に周波数選択性を持たせて信号を正帰還させることで、一定の周波数の正弦波信号が得られます。なお、周波数選択性を実現する手段としては、帯域通過フィルター、コイルとコンデンサの共振回路、水晶振動子やセラミック発振子などがあります。

発振器のその他情報

1. 振動子の種類

水晶発振回路
水晶振動子は、電気的特性からみると損失がほとんどない純粋なリアクタンス素子です。そのリアクタンスは非常に狭い周波数範囲でのみ誘導性 (コイルの特性) を示すため、水晶振動子にコンデンサを接続すれば、その周波数範囲内で共振周波数が定まります。

LC発振器の代表例であるコルピッツ発振器において、コイルを水晶振動子に置き換えると、水晶振動子が誘導性となる狭い範囲内でのみ発振します。極めて安定した周波数で発振を続けるので、優れた発振器となります。

セラミック発振回路
水晶振動子は鉱物である水晶を高精度で加工して発振周波数を決定するため、製造コストは高くなります。そこで、比較的安価なセラミック振動子を用いたセラミック発振回路も採用されるようになりました。

セラミック振動子も特定の周波数範囲で誘導性リアクタンスを示しますが、水晶振動子ほど急峻な特性ではないので、発振周波数の精度が劣ることが欠点です。

時計用水晶発振回路
水晶、セラミック何れも発振周波数は数百KHzから数十MHzの範囲ですが、時計用の水晶振動子として32.768KHzのものがあります。時計向けの発振回路は周波数精度が非常に重要なので、セラミック振動子は採用されません。

2. 発振器の関連製品

水晶振動子、セラミック振動子
振動子単体で販売されている部品で、発振回路が内蔵されている集積回路に接続して使われるものです。

発振器モジュール
発振器モジュールは、発振回路と水晶振動子を組み合わせた発振回路を1つのパッケージにまとめたものです。電子部品として販売されています。

用途の応じて様々な発信周波数の製品があるため、必要とする周波数のものを選択することが大切です。デジタル回路のクロック用として、正弦波を方形波に変換して出力するものが主流となっています。

周波数シンセサイザー
通信機などでは発振周波数を可変することが求められますが、水晶発振器単体では発信周波数が一定値に固定されてしまいます。可変周波数を求める用途向けに、周波数シンセサイザーが対応します。

信号発生器
電子計測器の一種に、周波数を可変できる信号発生器があります。低周波用にはRC発振回路を用いたもの、高周波用には周波数シンセサイザーを用いたものが主流です。

参考文献
https://www.ieice-hbkb.org/files/01/01gun_07hen_04.pdf
https://www.murata.com/ja-jp/products/timingdevice/ceralock/library/basic/oscillation
https://jeea.or.jp/course/contents/12124/

半固定抵抗器

半固定抵抗器とは

半固定抵抗器

半固定抵抗器は、抵抗値を変更することができる可変抵抗器の一種で、一度抵抗値を設定した後は長期間固定される抵抗器です。

電子機器内で回路の抵抗値を調節し、他の電子部品の個体差によるばらつきを調整する(トリムする)役割を持つことから、トリマ抵抗器またはトリマポテンショメータとも呼ばれます。

半固定抵抗器の抵抗値の調節は、ドライバでつまみを回転させて行います。上から回すタイプと横から回すタイプがあり、また単回転と多回転のつまみがあります。

半固定抵抗器の使用用途

半固定抵抗器は、通信機器、計測器、医療用機器、オーディオビジュアル機器、オフィス用事務機器、一般的な電子機器などさまざまな製品で、機器製造後のタイミング調整、温度調整、ディスプレイの明るさ調整などの用途に使われています。

通常は、一度設定した後はエンドユーザの目に触れることなく、固定抵抗器として動作しますが、メンテナンスの際に再調整が必要になることもあります。

半固定抵抗器は、回路基板の微調整に有効であることから、趣味の電子工作などでもよく使われます。 

半固定抵抗器の原理

半固定抵抗器の原理は単純です。抵抗体の両端の端子(1番端子と3番端子)に電圧をかけたとき、抵抗体上を移動する接点(摺動子またはワイパ)の物理的な位置によって、摺動子につながる2番端子と1番端子(または3番端子)との間の抵抗を変化させます。

半固定抵抗器には、大きい電圧を下げて必要な電圧を得る電圧調整の役割と、抵抗値を調整して電流値を変える電流調整の役割があります。

電圧調整に使うときは、半固定抵抗器を3端子素子として使用します。1番端子と3番端子の間に電圧をかけ、2番端子から分圧した電圧を取り出します。

電流調整の使うときは、半固定抵抗器を2端子素子のように使い、1番端子と2番端子の間に電圧をかけて電流を調整します。ただし、使用しない3番端子はオープンにせず、2番端子と接続するのが安全な使い方です。

半固定抵抗器の両端間の抵抗と全抵抗値と呼びます。全抵抗値が小さいと、可変範囲が狭くなります。一方、全抵抗値が大きいと、可変範囲が大きくなる反面、設定精度が甘くなります。一般的には、全抵抗の半分の可変範囲で調整ができるように、半固定抵抗器を選定します。 

参考文献
https://go.alpsalpine.jp/l/506151/2020-02-20/33dk7t
https://jp.rs-online.com/web/generalDisplay.html?id=ideas-and-advice/trimmer-resistors-guide

汎用フライス盤

汎用フライス盤とは

汎用フライス盤

汎用フライス盤とは、主軸と呼ばれる回転軸フライスカッターやエンドミルといった切削工具を取り付け、工具を回転させながら材料の表面を切削する工作機械のことです。

切削工具は、工具刃を回転軸周りに回転させ、材料との接触面を作り、その接触面に沿って切りくずを除去することで、材料表面を削り取ります。エンドミルは切削部を先端に持ち、軸と直交方向に穴を加工することができます。

加工に必要な工具の位置や進行方向、切り込み量、送り速度などは、機械化されていない汎用フライス盤の場合、操作者が手動で調整する必要があります。一方、数値制御技術を導入したNCフライス盤では、これらの調整がコンピュータによって自動で行うことが可能です。

汎用フライス盤の使用用途

汎用フライス盤は、材料の切削加工を行う際に広く使用される工作機械で、用途は多岐に渡ります。例えば、平面や曲面の加工だけでなく、穴開けや段加工、溝削りなどの加工も可能です。また、工作材料としては金属が多く使われますが、フライス盤に固定できるサイズの様々な材料に対して使用されます。

工具としてはフライスやエンドミルが使用され、エンドミルはフライスに比べて刃の数や形状が多彩で、より細かな切削加工を行いたい場合に使用されます。加工目的に応じて最適な工具を選定することが重要です。

また、汎用フライス盤は、CNC (コンピュータ数値制御) 機能を搭載したNCフライス盤と異なり、作業者が手動で工具と材料の位置や相対的な送り速度、切り込み量などを調整する必要があります。

一般的に、汎用フライス盤は製造業界を中心に広く使用されていますが、その用途は限定されません。DIYや趣味での加工にも使用されることがあり、専門知識を持たなくても、簡単な加工が可能です。

汎用フライス盤の原理

汎用フライス盤は手動で操作する方法で、作業者が工具の位置を調整しながら材料を加工することができます。作業者が調整可能な条件には、工具の位置、速度、切り込み量などが含まれます。汎用フライス盤はマニュアル操作を得意とし、作業者が自由度を持った加工が可能です。

NCフライスでは、3D CADを使ったデータを取り込むことで、加工プログラムを構築します。結果として、複雑な形状の材料加工も自動化して行うことができます。一方、汎用フライス盤は少量で作業者の技量を反映した加工が可能です。

そもそもフライス盤は、材料を切削して加工する工作機械であり、回転軸に取り付けたドリル刃を使用することで成り立ちます。ドリル刃を使用して加工により、平面や曲面の表面加工ができます。加工材料としては、金属材料を使用する場合が多いです。アルミ、真鍮、ステンレスなど、フライス盤に固定できるサイズの様々な材料に対して使用されます。

また、フライス盤にはエンドミルという工具が使用されます。エンドミルは、フライスと比べて刃の数や形状が多彩で、より細かな切削加工を行いたい場合に適しています。加工の目的に応じて、最適な工具を選定することが必要です。

汎用フライス盤の種類

汎用フライス盤は、作業者が手動で操作する方法で、材料を切削することができる工作機械の一種です。その種類は大きく、以下の2つに分類することができます。

1. 横型フライス盤

横型フライス盤は、台の上に材料を置き、工具が左右に移動する横方向に加工を行うタイプのフライス盤です。横型フライス盤は、大型の材料を加工することができるため、船舶や航空機、自動車などの部品製造に使用されます。また、作業者が材料に近づく必要がないので、作業効率が高く、安全面でも優れています

2. 縦型フライス盤

縦型フライス盤は、工具が上下に移動する縦方向に加工を行うタイプのフライス盤です。縦型フライス盤は、小型・中型の材料を加工することができるため、機械加工の現場では幅広く使用されます。また、材料を垂直に立てて加工可能で、穴あけや溝削りなどの加工に優れています。

参考文献
https://www.kousakukikai.tech/milling/
https://www.keyence.co.jp/ss/products/measure-sys/machining/cutting/type.jsp

非常停止スイッチ

非常停止スイッチとは

非常停止スイッチ

非常停止スイッチとは、非常時に設備を停止できるスイッチのことです。

産業用機械は、人の骨が耐えられないほど高いトルクや圧力で使用されるケースは珍しくありません。強い力を持つ機械が人間と接触した場合、重大な労働災害や人身事故が起こる危険性があります。非常停止スイッチは装置を強制的に止めることで、人身事故を未然に防げるようになります。

また、装置が暴走したときに、壊れるのを防ぐことも役割の1つです。非常停止スイッチは、人命を守る重要なスイッチであるため、誤作動が許されません。スイッチ本体および非常停止回路は、安全を最優先に設計されています。

非常停止スイッチの使用用途

非常停止スイッチは、誤作動や誤操作によって人間に危害が及びうる機械の多くに設置されています。特に、コンベアやプレス機や溶接ロボットなど、巻き込まれや挟まれによって重大な災害を引き起こす可能性がある機械です。

具体的には、ベルトコンベア等の中腹に設置される使用例が挙げられます。コンベアの巻き込まれ事故は過去に数えきれないほどあるため、労働安全衛生法施行規則にて、設置が義務付けられています。また、ベルトコンベアは長距離を輸送する装置として使う場合、広範囲にわたって非常停止スイッチを設けなければなりません。

押しボタンスイッチでは手が届かない可能性もあるため、引綱スイッチを非常停止スイッチとして使用するのが一般的です。引綱スイッチであれば、コンベアのどの部分でも非常停止することが可能です。そのほか、装置点検時に非常停止スイッチが利用されることもあります。非常停止スイッチを押した状態で点検を行えば、誤って装置が起動することがなくなるためです。

非常停止スイッチの原理

1. 押しボタン式非常停止スイッチ

非常停止スイッチ_プッシュロック式

図1. プッシュロック・ターンリセット

押しボタン式では、他の押しボタンより目立つ必要があるため塗装色は赤となる場合がほとんどです。また、押しボタンから手を離すと解除されてしまうと危険なため、押すとロック状態が保持されるプッシュロック式が採用されます。

プッシュロック式の場合、非常停止状態を解除する際はボタンを時計回りに回すパターンがほとんどです。押しボタンスイッチの裏は、電気回路を制御するための接点が付いています。押しボタンを押すことで回路を遮断するB接点を使うことが一般的です。

非常停止スイッチ_A接点B接点

図2. A接点・B接点

A接点 (押すことで回路が接点が閉じる。ノーマルオープン) を用いると、仮に接点間にゴミが入った場合、押しボタンを押しても非常停止しない可能性があります。そのような事態を避けるため、非常停止スイッチにおいてはB接点を用いて回路を設計する必要があります。

また、非常停止スイッチに誤って体が当たり、装置が停止すると生産現場の仕事に支障が出ます。そこで、体が当たった程度では停止しないように周囲をガードリングで覆う構造を取ることが多くあります。

2. 引綱式非常停止スイッチ

コンベアなどで使用される引綱式非常停止スイッチは、ワイヤーをコンベア周辺に張り巡らせた構造を取ります。ワイヤーを引くことでスイッチ部分が倒れ、機械を停止させます。押しボタン式と同様に、一度作動すると復帰させるまでロックされる構造が採用されています。

非常停止スイッチのその他情報

1. スイッチの配置場所

非常停止スイッチを設置する場合は、設置場所もよく検討する必要があります。緊急の事態が生じた際にすぐに非常停止スイッチにアクセスできるように、作業者にとって押しやすい場所に設置することが重要です。大きな設備の場合は、スイッチを複数個配置するケースもあります。

2. ロックアウト機構

非常停止スイッチ_ロックアウト機構

図3. ロックアウト機構

過去には、作業者が非常停止スイッチを押して装置内に進入し装置点検を行っていたところ、別の作業者が非常停止を解除し装置を起動させ、装置内の作業者が装置に巻き込まれ亡くなってしまったという痛ましい災害が起きています。

このような災害を避けるため、ロックアウト機構を搭載した非常停止スイッチも開発されています。非常停止スイッチに南京錠をかけられるようになっており、非常停止を行った人間しか非常停止を解除できないようになっています。

表示灯

表示灯とは

表示灯

表示灯は、装置等の状態を光によって表示する部品を指します。一般的に表示灯と言うと、電気式表示灯のことを指します。

純粋な意味での表示灯の歴史は古く、航路表示用の灯と言う意味では灯台が最古の表示灯と言えます。紀元前には使用されていたことになります。近代で使用される電気式表示灯は20世紀になって使用され始めたものであり、今では生活や産業においてなくてはならないものとなっています。

表示灯の仕組みは時代によって、可燃物を燃やした炎からガス灯等へと変化していき、現在は電気式表示灯がほとんどです。

表示灯の使用用途

表示灯は我々の生活に密着した部品であると言えます。

最も身近で誰でも見たことがある表示灯は、交通信号機ではないでしょうか。緑色で通行可能、黄色で通行注意、赤色で通行不可を示すための表示灯です。表示灯の代表例と言えます。また、身近な他の例としては消防車やパトカーの回転表示灯も挙げられます。このように、表示灯は一般生活でもよく見かける部品です。

生産現場でも回転表示灯や運転状態表示ランプは多々使われており、活躍の場は多岐に渡ります。

表示灯の原理

表示灯の動作原理は、過去から現在で変化してきました。

過去の表示灯は豆電球などが使われていました。豆電球はガラス殻の中に発光フィラメントと不活性ガスが収納されたものです。発光フィラメントに電流が流れることで熱と同時に光を発生させます。豆電球を色付きのガラスや樹脂で覆うことで特定の色を表示します。豆電球は内部の不活性ガスが抜けると、フィラメントが焼き切れるなどの故障が発生する欠点がありました。回転表示灯では、豆電球と同時に回転用モーターも使用します。豆電球を周回するように反射板をモーターで回転させることで注意を引き付けます。回転表示灯は普通の表示灯に比べて目立つ半面、モーターが内蔵されているため部品点数が増える欠点があります。

現在では、LEDを使う表示灯が主流です。LEDは電圧を印可することで発光するダイオードであり、フィラメントと違ってほとんど発熱しないため、長寿命かつ高効率です。また、近年では回転灯の代わりに点滅を繰り返すLED表示灯が販売されております。

参考文献
灯台の生い立ち https://www.tokokai.org/sign/sign02/